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ものづくり探訪 #4 器のふるさとを巡る旅。愛知・常滑

「器」「やきもの」と聞いて、思い浮かべるイメージは皆さんそれぞれ違うと思います。それもそのはず!
日本国内だけでも、50種類近くの焼き物があるというではありませんか。
使う土の種類や焼成方法は地域によってさまざま。
さらに釉薬の種類やかけ方、絵付けの種類などを考えると、本当に多様なバリエーションがあり、奥の深い世界だと感じ入ってしまいますね。

今回の舞台は愛知県常滑市。 常滑焼 の産地を巡る、やきもの散歩を綴っていきます。

常滑観光で検索すると、ヒットするのが「やきもの散歩道」
1時間くらいで楽しめるAコースは、フランスでエッフェル塔、京都で金閣寺に行くくらい、定番の観光コースですがしっかり楽しめます。私も今回で3回目の訪問です。

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常滑焼とは?
常滑焼の歴史は非常に古く、その歴史は1000年近くあります。
日本古来の陶磁器窯のうち、中世から現在まで生産が続く代表的な6つの窯は「六古窯」と呼ばれており、常滑は六古窯の中でも最も古く、規模も最大。平安時代後期から中世にかけて生産された「古常滑」は全国各地の遺跡で出土しています。
現代で常滑焼、と聞くと赤茶~オレンジのような色味の朱泥土を使った急須をイメージする方も多いと思いますが、常滑焼のスタイルはそれだけにあらず。
昔ながらの窯や街並みを眺めながら、常滑焼の魅力に触れる散歩に出かけてみましょう。

やきもの散歩道の風景

ふいに現れる、レンガの窯と煙突にご注目!

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国の重要有形民族文化財に指定されているという、日本に現存する中で最大級の登窯。
燃焼室が8室連なっているということで、連房式と呼ばれています。
明治時代に作られ、使われていました。

まるで呪文のような、両面焚倒焔式角窯(りょうめんだきとうえんしきかくがま)。
大正時代に利用されたこちらの窯は、今では登窯広場の展示工房館内部に、窯ごと移設され、内部を見学することができます。

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窯の燃料も、石炭や松葉・薪などから、昭和時代には重油へと変わり、効率も良くなっていったそうです。

現在ではガス窯、電気窯などの普及で役目を終え、使われていませんが、その佇まいから歴史を感じました。

散歩道では、足元のチェックもお忘れなく。

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フォトスポットのひとつ、土管坂。

埋まっているのは、土管・・・ではなく、土管などの製品を焼成する際、下敷きに使われ、無事に土管が焼きあがったら捨てられてしまう部品「ケサワ」。

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ある工房の店内には、焼き物のかけらたちが無数に敷かれていました。

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屋外の砂利を思わせる、独特なしつらえです。

常滑のお店3大スタイル?

やきもの散歩道にある、お店のスタイルは大きく3つあります。

ひとつは、さすが観光地、お土産に特化したザ・商店。
ふたつめは、中で作家さんが作品を制作し、販売もする工房&ショップ。
最後に、作家さんのこだわりの作品を集めて紹介するギャラリースタイル。

それぞれに魅力があり、工房では器の製作体験ができるところも多いです。いくつか気になるお店があったのですが、思わず一目惚れ!私物を購入した、素敵なギャラリーをひとつご紹介させてください。

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morrina(モリーナ)は、常滑の作家さんたちの作品を集めたギャラリーです。
それぞれの作家の紹介はもちろんのこと、作品に使われている技法や素材の特徴なども、丁寧にお話いただきました。

常滑の焼き物は、使うほどに味が出て、長く愛用したくなるものが多いので、こうしたお店はとっても嬉しい存在。
ちなみに、私が購入したのはこちらです。

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大原光一さん作、鉱石のような灰釉がすばらしいお碗

morrina 器と暮らしの道具
愛知県常滑市栄町7-3
営業時間 10:00-17:00/水曜定休

植物のある風景

散歩の醍醐味、自然観察。
道中見かけた、植物とやきもののある風景をお届けします。

道路脇に積まれた土管には、シダ植物などが茂っています。

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土管坂を下りながら見下ろせる、土管坂花園には季節の花が。

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軒先の水蓮鉢。元気すぎる水蓮やホテイアオイ、ウォーターマッシュルームなど。

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ここで、花好きとして気になるのは、花瓶の存在。
中にはこんなミニサイズの一輪挿しも見かけましたが・・・

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こうした焼き物の街であっても花瓶のラインナップはさほど多くありませんが、コップやお碗、平鉢などの食器を花瓶にみたてて選ぶと、ぐっと選択肢も増えて楽しめます。

ゆるい散歩にお付き合いいただきありがとうございました。
常滑は、私のようなペーパードライバーでも安心!
名古屋駅から電車1本で行けて、駅から徒歩圏内にご紹介したようなスポットが集中しています。

東海エリアで有名な、瀬戸や美濃も良いですが、常滑も訪れる価値有りです。いつかの観光リストに、追加お願いします!

もし電車で行ったなら、帰りに立ち寄っていただきたい場所があります。
次回のご紹介をお楽しみに・・・

writer
太田成沙
hanaike director
いけばな小原流 家元教授

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いけばなでの体験をもとに、花の魅力を発信するプロジェクト「hanaike」を構想。家にいながら、四季を感じ「花のある暮らし」を楽しめるコンテンツや商品を提案するWEBサービスを立ち上げる。第一線で活躍するフラワーアーティストや華道家をクリエイターとして集め、オンラインだけでなくリアルな場でのワークショップや物販イベントなどを企画・運営している。


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