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夏の花|花の歳時記

今月から、いけばなの視点からみる 花の楽しさ を発信する連載をはじめます。お願いしたのは、私、太田と同門の「いけばな小原流」を勉強され、ご自身のアカウントで素敵な作品を発信されている、いけばな作家新井 麻友さんです。

好きな夏の花って何ですか?
大切な人を思って花を選んだり、自分のために部屋に飾ったり、花って結構パーソナルなものだと思っているんです。
だからきっと季節で思い浮かぶ花も人ぞれぞれなんだろうなぁ、と。
そこで、皆さんの好きな夏の花が気になって Instagramでアンケートを取ってみました。

向日葵、アサガオ、桔梗、テッセン、クチナシ、
芙蓉、ルリタマアザミ、時計草、クルクマ、野紺菊、
クレマチス、アガパンサス、竜胆、蓮、ハイビスカス、
キツネノカミソリ、百日紅、ノウゼンカズラ、ムクゲ・・・

沢山のお返事頂きました!ご協力下さった皆さまありがとうございました。
アンケートの中には「ノウゼンカズラを見ると夏の通学路を思い出す」なんていう方も。花にまつわる思い出って素敵です。

集計結果はこちら。

1位:向日葵
2位:ブルー系の花、桔梗や竜胆、ルリタマアザミ
(どれも複数票いただいていたのでまとめさせていただきました)

やっぱり向日葵は夏の代名詞ですね!

このアンケートを踏まえて、今回は人気のあった花で2つの生け花をいけてみようと思います。

1. 向日葵とルリタマアザミの生け花

向日葵の元気な黄色に、涼しげなブルーのルリタマアザミを合わせました。

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ガラス花器に投げ入れるだけでも素敵。元気いっぱいの濃い黄色に淡いブルーのルリタマアザミで引き締めて。
向日葵と言ってパッと思い浮かべるのは、小学生の頃育てたような、花びらがペタッと一枚ずつ広がっている花姿の向日葵だと思います。
でもお花屋さんでじっくり見ると、向日葵と一言で言ってもたくさん品種があり、色もレモンイエローからブラウン系、花びらも八重咲きで豊かな雰囲気の向日葵もありますよね。

その中でも、今回は半八重咲きで芯の茶色とのコントラストが美しいパナッシェを使いました。

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枝物は野ばらの実を。立ち上がる枝を見上げるように向日葵をいけました。

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2. 竜胆とドウダンツツジの生け花

次に人気のあったブルー系の花、選んだのは竜胆(リンドウ)です。
夏はやっぱり涼しげなブルーの花を見たくなりますよね。
竜胆の咲く時期は9月以降ですが、切り花はシーズンより前倒しで店頭に並ぶのが一般的なので、お盆の頃にはお花屋さんで手に入るようになります。
8月は植物の緑も濃く美しいので、柔らかな葉を持つドウダンツヅジを合わせて。
そしてポイントにシースターファン(シダ)を入れて軽やかに仕上げました。

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この青、竜胆ならではの鮮やかさ。目から涼を感じます。

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こちらにも向日葵の生け花で使った野ばらの実をあしらっています。

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今はまだ青い実も、秋が深まると赤く色づいてとっても可愛らしいんですよ。

生け花の形の特徴でもあるアシンメトリーですが、そこが魅力でもありますね。非対称に形を作ると、緊張と緩和が生まれ印象的にいけられると思っています。

竜胆の生け花、水辺の雰囲気出ているでしょうか?
いつも「こんな景色があったらいいな」をいけているので、気に入っていただけたら嬉しいです。

creator
新井 麻友 @mayuarai_flower
いけばな作家

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パリスタイルの生花店にて青山、六本木等のウェディング会場装飾、ディレクションを担当。
フリーランスとしてウェディングロケーションフォトのフラワー装飾に携わる。
その後いけばな小原流入門。
​現在は静岡のアトリエを拠点に教室開催、単発ワークショップ、出張レッスンも随時開催している。

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