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ものづくり探訪 #3 【泥より出でて泥に染まらず】夏の風物詩、蓮を愛でる

7月~8月中旬にかけて見頃を迎える蓮。
晩夏の季語で、いけばなでは伝統的な花材として、花・葉ともに切花使われています。

そんな蓮はどのように育てられているのか?
レンコンの名産地 愛知県愛西市の 森川花はす田 からお届けします。

食べて、見て、やっぱり食べて。蓮の種類

蓮の花=レンコンの花ではありますが、実際は用途で分けると3種類。

1.レンコン(蓮根)用品種
レンコンを食用の目的で栽培する品種

2.花蓮
花を観賞の目的で栽培する品種

3.実蓮
実を食用の目的で栽培する品種

花蓮は、観賞用だけあって、色や咲き方も品種改良によって種類豊富。
今回は、花はす畑を見てきました。

蓮の生長物語

蓮は通常、レンコンを株分けして増やしていくそうですが、種からも栽培できます。
初めは水面に小さな「浮き葉」が出てきます。
浮き葉が水面を被うと、浮き葉の後に水面から立ち上がるように「巻き葉」が出てきます。

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藻がかぶっていますが、浮き葉が見えます。

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スッと立ち上がった巻き葉。こちらも、花材として出回っています。

葉の背丈が伸び、花のつぼみをつけ、いよいよ開花が始まります。
1輪のハスの花の開花期間は一般に4日間といわれており、基本的に花が開くのは午前中だけ。
午後に咲いているものがあったら、散り際の花といえるそうです。

とはいえ、気温や温度にも多少左右されるのでは?と感じました。
訪問した日はちょうど曇りの昼下がり。
閉じかけ(開きかけ?)のものや開花具合もいろいろ見ることができました。

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切花で見かける花蓮がほとんどピンクなので、蓮にも様々な品種があることをすっかり忘れていました。

こちらは舞妃蓮(マイヒレン)。
アメリカの黄花ハス「王子蓮」と日本の「大賀蓮」を交配させて生まれた淡い黄色~紅色の品種です。

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ピンクの早尾紅蓮は、八重咲きで色も華やか。

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花の見頃が終わりに近づくと、葉の高さと大きさも最大に。

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大人の身長をゆうに越える高さの葉と花。

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葉の直径は80cm近いものも。

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散った花びらは手のひらほどの大きさ。

蓮の花が散ったあとは、実の入った花托(かたく)が約3週間くらいで大きくなり、実が熟します。

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蓮の実が成熟していく様子は、人によって苦手かもしれません。
ご覧になる際は、ご注意を!

蓮の実は中国、東南アジアで食用にされています。
私も台湾で、蓮の実の砂糖漬けをお茶請けとして食べた記憶があります。

蓮の葉も、ご飯を包んで蒸すのに使われたり、刻んだ葉そのものをご飯に混ぜ込んで食べる地域もあるのだとか。

葉については「ロータス効果」とよばれる、水をはじく様子が時折話題になります。
葉の表面の構造と特性によって、葉の表面に水がついても浸透することなく、表面張力で水銀のように丸まって水滴となり、泥などの異物を絡め取りながら転がっていくそうです。

この構造は、身近なものではヨーグルトのアルミ蓋の裏側に採用されています。

言われてみれば、ぬかるんだ土地で育つ蓮の葉は、湿ったり汚れたりすることなく綺麗なまま。その様子から派生して、今回のタイトルにある「蓮は泥より出でて泥に染まらず」という、ことわざがあります。

切花はまだ手に入ります!

蓮の切花はお盆にかけて出荷のピークを迎えます。
残念ながら、切花の蓮が開花するかどうかは・・・咲かない可能性のほうが高いといわざるを得ません。

それでも、つぼみの姿も美しい蓮。
見かけたら是非、ご自宅に迎え入れてあげてください。

最後までご覧いただきありがとうございました。


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