見出し画像

特別支援学校中等部に入学したよ。多様性ってどう理解したもんかな⑨

小学校6年生の夏休み前から、支援学校への入学に向けて準備をすすめてきました。そしてついに、入学式の日がやってきました。

私が求めていたことはただ一つ。
「入学後に1からの引継ぎになることは避けたい」

今まで何度も聞いてきた「きちんと引継ぎしますので」という言葉。おそらく、私が想像している「引継ぎ」と実際の「引継ぎ」が違うのでしょう。だからこそ、そのすれ違いを避けるために、入学後の段取りを丁寧に進めたかったのです。

小学校での支援は、もともと支援学校から指導を受けていたこと。このことが理解されていれば、十分だと考えていました。


さあ、入学式に行こう!

地域の学校では、通常午前中に入学式が行われる場合、開式はたいてい9時です。しかし、支援学校の場合は10時でした。それでも、集合時間は9時半までにとのこと。早っ。

当日はあいにくの雨。そのうえ、強風でものすごく寒かったです。
実は、娘の小学校の卒業式も悪天候でした。なんと、季節外れの吹雪。ちょっと前まで半袖を着ていた小学生もいたのに、卒業式にまさかの雪。

記憶に残る、卒業式と入学式になりました。

開式までは控室で

学校に到着すると、石油ファンヒーターがガンガンにかかっていました。いやー、ありがたい。

今まで経験してきた入学式では、学校に到着すると子供は教室へ、保護者は体育館へ移動していました。でも、支援学校は違いました。

控室に保護者と生徒が一緒に待機します。そこに、担任らしき先生がきて、話しながら待ちました。

そして、先生と自己紹介的な話をした後、先生からの質問を受けました。
そして、恐れていたことが起こりました・・・。

「お聞きしたいことがあります」と言われて聞いていたのですが、どう考えても、体験入学の時に「大丈夫です」って言われていたことで。
さらに、小学校での具体的な行動については「私は付き添い登校していないのでわかりません。具体的なことは小学校の先生に直接聞いてください。」って言ってたのですが、まさに具体的なことを質問されて。

まさに【引継ぎってありました?】状態。

私だってこの質問が、春休み中だったらそこまで驚きません。入学式の当日で、しかも翌日からスクールバスで登校で、給食も食べてくる予定だったので「え、今更!?」となったのです。

色々不安だったことが、的中した形になりました。
だから、早めからって言ってたのに・・・。
早めにしたから駄目だったのかな・・・。

入学式スタート

最初はちょっとした不安がよぎりましたが、中学部は開式前に保護者のみ体育館へ移動します。色々な不安はまだ残っていますが入学式スタートです。

ここでの入学式は小学部、中等部、高等部が一緒に行われます。
小学部は親と一緒に入場し、全員が入場した後、一人ずつ名前を呼ばれて立ち上がり、在校生側に向かって礼をします。

その後、中学部の生徒が入場します。娘は先生にバギーをおしてもらって入場しました。中学部の生徒も同様に名前が呼ばれ、在校生側に向かって礼をします。高等部も同じです。

20数人の入学式なので、こうしたことができたのかもしれませんね。

入学式で感じたこと

入学式で私が一番気になったことは「多様性って何?」ということでした。
校長先生が式辞で「多様性社会で活躍できる場が増えるでしょう」と言われていたのですが、具体的にどういうことかわかりませんでした。多様性社会で活躍できるって具体的にどういうこと?活躍って何を指す?

式の間、児童・生徒の中には椅子に座っていられない子もいました。それをみて「そういう子もいるんだな」「先生、上手に対応されているな」と思いました。

でも、ふとした瞬間に、体が大きくて力が強く、動きが速い生徒が急に立ち会がり、椅子を押しのけているのを見て、すごく怖かったです。その恐怖が先に立って「そういう子もいるんだな」という思いを上回りました。

「いろんな人がいて、尊重する」とはどういうことでしょうか?
自己責任や個々の違いを尊重するとは、「自由にしてね」ということなのでしょうか?
しかし、ただ無関心になるわけにはいかないし、関わっていくとなると、これまでの自分の当たり前が揺らぐかもしれません。自分にその揺らぎを許容できる余裕があるのか・・・。そして、その中で恐怖とどのように向き合えばいいのか。

まだ多様性社会で「活躍の場」が増えていく具体的なイメージがつかめません。去年までは娘が地域の小学校に通っていたので、多数派の子どもたちや先生と、どう共存していくかを考え、実践する機会がありました。

しかし、特別支援学校に入学したので、そのような日常生活での実践の場がなくなりました。どう共存していくのか、どう他者と関わるのか、を考えていくことが難しくなりそうです。

入学式が終わって

無事に入学式が終わってホッとしました。
式の後、教室に入って自己紹介をし、親はPTAの話を聞きました。地域の学校とは違って、PTAは和気あいあいとしているそうです。そうはいっても、支援学校の中で少数派になりそうな我が家にとっては、難しいことがたくさんありそうだなと感じました。

地域の学校との違いも強く感じました。
私は障害児の施設によく出入りしているので、支援学校の子たちをよく見ています。だから、そこまで驚くことはないかなと思っていました。でも、実際は違いに驚きました。

「知らない」ってこういうことなんだなあと思いました。
多数派の人たちは、支援学校や障害児の施設にあまり出入りしないと思います。だから、日常生活の中で急に障害児・障害者が現れたときに驚くのでしょう。

自分の日常が脅かされるかもしれないと思うから、「ここではないどこか」に行ってほしいと思うのかもしれません。でも、みんなにそう思われたら、行く場所がなくなっちゃうんですね。

さいごに

ただ、私が入学式で恐怖を感じたことも事実です。
でも、全く恐怖を感じずに日常生活を送っているわけでもありません。障害児や障害者でなくても、恐怖を感じることはあります。

多様性って何かな。健常者でも障害者でも、いい人もいれば怖い人もいます。今、私が言葉にできるのは、こういうことなのかなと思います。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?