見出し画像

企業健診とは〜種類・対象者〜

企業や組織には、従業員の心身の健康を守る義務があります。
その一部となるのが”健康診断”であり、企業では従業員に対して健康管理を行う必要があります。
これは労働安全衛生法第66条に基づき、企業は従業員への健康診断の提供・従業員は健康診断を受けなければいけません。

そのため、従業員を抱えている企業には健康診断実施の義務があります。
今回は、実施するための必要知識をまとめました。

健康診断実施の対象となる従業員

健康診断の実施義務となる対象条件は以下です。

・常時使用する労働者
・契約期間が1年以上の労働者
・上記条件を満たした労働者で週の労働時間が正社員の4分の3以上
・上記条件を満たさない場合でも週の労働時間が正社員の2分の1以上

雇用形態に関係なく、条件を満たせば実施義務があるため注意が必要となります。そのため正社員だけではく、アルバイトやパートにおいても実施する義務が発生します。

健康診断の種類

健康診断は大きく分けて「一般健康診断」「特殊健康診断」
2種類があります。
どちらとも目的は同様ですが、実施する対象者や検査項目、実施時期が異なります。

一般健康診断

一般健康診断(定期健康診断とも言われています)とは、
職種に関係なく実施する健康診断であり、全ての企業・労働者が対象となります。
* 後述する、「特殊健康診断」に該当する労働者は対象外となります。

一般健康診断の中でさらに5つの種類に分けられます。

・雇入時の健康診断
・定期健康診断
・特定業務従事者の健康診断
・海外派遣労働者の健康診断
・給食従業員の健康診断

厚生労働省

○  雇入時の健康診断 
名の通り「雇入れ時に実施する健康診断」であり、
適正配置・入職後の健康管理の基礎資料にするために実施します。
労働安全衛生規制第43条に基づき労働安全衛生規則にて、企業が従業員に受けさせることが義務付けられている法定健康診断の一つです。

○  定期健康診断 
「1年以内毎に1回」定期に実施することが労働安全衛生規則にて定められています。
原則として1年間以上の間隔を空けることはできないため、会社においては実施時期を変更する際には注意が必要となります。

○  特定業務従事者の健康診断
労働衛生対策上特に有害であると言われている業務に従事する労働者を対象とします。(*労働安全衛生規則第13条第1項2号に掲げる業務)
定期診断と異なり「6ヶ月毎に1回」または「業務配置替え時」に実施する
必要があります。

○  海外派遣労働者の健康診断
6ヶ月以上海外に派遣しようとする場合に労働者に対して実施する義務があります。また6ヶ月以上海外勤務させた労働者を帰国させ、国内業務に就かせる際にも健康診断を行う必要があります。

  給食従業員の健康診断
事業場附属の食堂又は炊事場における給食の業務に従事する労働者に対して、「雇入れ時」又は「当該業務への配置替え」の際に、検便による健康診断を行う必要があります。尚、定期的に行う必要はありません。

特殊健康診断

特定健康診断は、
法定の労働安全衛生法第66条第2.3項に定められた「有害業務に従事する労働者」が対象となります。
労働衛生上特に有害といわれている業務に従事する従業員等が対象となり、対象業務は以下の通りです。

・高気圧業務
・放射線業務
・特定化学物質業務
・石綿業務
・鉛業務
・四アルキル鉛業務
・有機溶剤業務
さらに、じん肺法にじん肺健診が規定。

実施期間として、
原則「雇入れ時」と「配置変え時」及び「6ヶ月以内ごとに1回」実施義務があります。

正しく健康診断を実施して、健康経営への第1歩へ。

企業理念に基づき、従業員等への健康投資を行うことは、従業員の活力向上や生産性の向上等の組織への活性化をもたらします。
経済産業省では、健康経営に係する各種顕彰制度として、平成26年度から「健康経営銘柄」の選定を行なっており、
平成28年度には「健康経営優良法人認定制度」を創設しています。

健康経営に取り組む法人を「見える化」することで、求職者、関係企業さらには金融機関や投資家から
「従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に取り組んでいる企業」として社会的に評価を受けることができる環境を整備しています。
従業員が健康に働ける環境を会社が提供することが、重要となってきている時代です。

このように、健康を基盤においた労働環境が企業にとっては事業の持続可能性・個人にとっても労働における持続可能性の維持のために必要となってきます。
企業健診を実施するためには、企業担当者だけでなく健診実施機関などの
健診関係者も正しい知識を持ち指導・アドバイスをすることが必要となってきます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?