モルガン財閥の令嬢が語る、ニコラ・テスラの実像
『テスラ エジソンが恐れた天才』をオンライン試写しました。
電流戦争でエジソンに勝利した天才発明家ニコラ・テスラの伝記映画。エジソンは直流電流、白熱電球を発明し、テスラは交流電流、蛍光灯やネオンサインにつながる技術を発明し、ガス灯から電灯へとイノベーションをもたらしました。
見どころを簡単にまとめると
キャスティングがよい
テスラをイーサン・ホーク、エジソンをカイル・マクラクランが演じています。イーサン・ホークは『恋人までの距離』『ガタカ』などが印象深いです。
カイル・マクラクランは、『ツイン・ピークス』のクーパー捜査官など、デヴィッド・リンチ監督作品によく出ていました。『セックス・アンド・ザ・シティ』では、シャーロットの最初の夫の心臓外科医を演じていました。
ここからは、ネタバレを少々。
モルガン財閥の令嬢がストーリーテラーに
本作は、J.P.モルガンの三女アン・モルガンの視点から、テスラという人物を描いています。ニコラ・テスラは、モルガン財閥の創始者J.P.モルガンから支援を受けていました。アンは投資家、慈善家、女権拡張運動家として活動する、富裕で先進的な女性です。テスラに思いを寄せていた時期もあったと見られていますが、投資対象としてテスラを冷静に見ています。
ベル・エポックを象徴するサラ・ベルナール
デザイン史、服飾史では、アールヌーボーの時代。サラ・ベルナールは、ココット(高級娼婦)から、フランスを代表する舞台女優になり、ヨーロッパ各地はもとよりアメリカでも興行を行う国際的スターとなりました。
アン・モルガンとサラ・ベルナールを登場させたことで、当時の社交界の雰囲気は伝わってきました。
ただ、テスラにとって、サラ・ベルナールは高嶺の花だったと思わせる描写があったり、アン・モルガンがサラ・ベルナールを挑発する言葉を投げかけるシーンもあるのですが、史実なんでしょうか?フィクションなら、もう少し違うお話にして欲しかったです。
本作はインディーズ映画。随所に創意工夫が見られるのですが、潤沢な予算で作られた作品ではありません。
たとえば、エジソンとの電流戦争が決着したのは、1893年シカゴ万博。「光の塔」が電気科学を象徴するモニュメントととして知られています。シカゴ万博の場面は、2020年に公開された『エジソンズ・ゲーム』の方が、華やかに再現されています。
『エジソンズ・ゲーム』では、ベネディクト・カンバーバッチがエジソンを演じているので、見比べてみるのもよいでしょう。
■原題・英題
TESLA
■クレジット
監督・脚本・製作:マイケル・アルメレイダ
出演:イーサン・ホーク、カイル・マクラクラン
2020年/アメリカ/英語/103分/カラー/ビスタ/5.1ch/原題:TESLA/字幕翻訳:中沢志乃/字幕監修:松浦基晴
配給:ショウゲート
■コピーライト
(c) Nikola Productions, Inc. 2020
■公開日
2021年3月26日
■公開情報
ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次ロードショー
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