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hanada
2019年7月30日 20:57
1 島崎光 大丈夫、大丈夫、大丈夫、大丈夫、大丈夫、大丈夫、大丈夫。大丈夫。大丈夫――大丈夫、大丈夫、大丈夫。大丈夫…… 黒髪の少年は屋上のふちに立っていた。 口の中の舌先の上で、転がすように何度も同じ言葉を繰り返しながら前を向いていた。 眼前には夜の東京が広がっていた。美しい夜景だ。窓のひとつひとつが整列し、まばらに集合体を作っている。なにかの地図のようでもあったが、結局はなんでもない