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VコンテンツにおけるSNSマーケティングについて考えてみる

これはなにか

Vtuber,Vliver事務所の立ち上げを行なっている筆者が、SNSを中心としたマーケティング手法を検討するにあたっての思考を、整理して記述したものである。

『獲得』に関して記載した内容であって、
すでにファンになった人へのコンテンツを検討する記事ではありません。


私はだれか

縹(はなだ)※禁煙中

27歳一般通過社会人。
直近2年ほどライブ配信事務所でライバー(リアル、V問わず)のマネージャーや、マネージャーチームのKPI管理設計をしていました。

配信者のマネージャーのときは、
配信者が病んでると一緒に病んじゃったり、
ランキング入賞した時は一緒に喜んで仕事中に数時間電話でワーワー話ちゃうタイプ。

現在はITスタートアップでCSOps業務。
CS系業務をトータル6年程度経験。

コミケ出展してるようなサブカルオタク。C99も出展してます~。


既存のマーケティング手法とVオタクとしての直感が交錯する点を探してみる

Vコンテンツにおいて、親和性の高そうな消費者行動モデルを探す。

Vコンテンツに限らず、リアルのYoutuberや、ライバーでも、ファンの多くは無課金のユーザーであり、課金者(グッズや有料のファンクラブに入ってくれる層)は一部だけになるのが普通。

リアルライバーのマネジメント経験的には、投げ銭をしてくれるファンは大体全体の2割弱。

ただ無課金のユーザーでも、【購買する(金銭を使う)】ではなく、【2次コンテンツ(登場キャラクターのイラスト)を作る】という方向性に熱量が高い層が厚ければ、それだけ盛り上がっているコンテンツだと認識されます。

配信や、ソーシャルゲーム含め継続してサービスを提供し続けるコンテンツにおいて、”盛り上がっている”と認識されることは、”すぐにはサービス終了はない”という認識にもなり、安心してそのコンテンツに熱量を投下できる(グッズを買う、ファンクラブに入る、イラストを描く等)ことにも繋がります。

とどのつまり、戦略としてはソーシャルゲームと同様のコンテンツの広げ方が最適だと考えます。この段階ではひとまず購入単価を上げていくことよりも、無課金でも良いのでコンテンツに熱中してくれるファンを増やすことに集中する。

また、これらはSNSでの広がりを前提としたコンテンツであるため、比較的に新しく、SNSを前提とした後述の消費者行動モデルに則って検討してみる。

※「消費者行動モデル」という概念の記述は割愛します。調べるとめっちゃ出てきます。


SIPS

厳密に言うと消費者行動モデルとは別軸で、購買ではなく、拡散を目的としたモデル。

下記の順番でPDCAが回るイメージ。

S(sympaathize):共感

I(Identify):確認

P(Participate):参加

S(Shere & Spread):拡散


簡単に日本語の文章に直すと……

【S】SNSで目に入った情報(コンテンツ)に共感し(いいな、と感じるくらいだと認識してます)、

【I】その後、そのコンテンツが質の良いものかを確認し、(ガセではないか、一貫性のあるコンテンツか、クチコミは良いか、流行っているか等)、

【P】コンテンツに参加する。(いいねを押してくれるだけのライト層~自分でイラストを描いて発信してくれる層まで階層はいろいろ)

【S】コンテンツに参加してくれた人の中で、深い層(自分でそのコンテンツを発信してくれるような層)が身近な人や、その人のフォロワーへと共有拡散してくれる状態。

さらに、最後の【S】で拡散された2次コンテンツを受けて共感してくれた人が新たに【SIPS】のループに入ってくる。


SIPS→SIPS→SIPS→……

こんな感じ。

これをVコンテンツに当てはめる。

【S】共感

  • 共感を得るための、SNS発信(要するにいいねやRTをクリックしたくなるようなコンテンツ発信)

    • だれが

      • 配信者本人

      • マネージャー

      • ファン

    • 何を

      • 目に留まるコンテンツ

        • 共感を呼ぶ文章

          • あるあるネタ

          • 夢や目標を掲げる

          • etc……

        • イラストや楽曲などぱっと見の情報量が多いコンテンツ

          • ワンコーラス動画

          • イラスト

          • etc……

とにかくファーストインプレッションでスクロールを止めてもらうことができるコンテンツであるべき。

TikTokでも、Youtube Shortsでも、YoutubeでもTwitterでも……
情報があふれてる現代でまずは『見てもらう(聞いてもらう)』が最優先。

入りが遅くて、イヤホンをして集中して聞いてもらう必要のあるASMRよりも(流行ってるけど)、イラストや、サビからのワンフレーズとかの方が絶対良い。

伸びてないVtuberを見るとだいたいこれ。
動画が全部配信アーカイブとか……。知らん人の2時間の動画見ないです……。


【I】確認

  • すぐにサービス終了(配信休止)しなさそうかどうか

    • 流行っているか(流行りそうか)

      • 本人が頻度高く活動しているか(tweet件数、動画投稿本数等)

      • ファンがSNSで発信しているか(テキストでもイラストでも)

        • だれがファンになっているか

  • コンテンツの質は高いか

    • イラストの美麗さ

    • モデルの稼働の滑らかさ

    • 丁寧な編集(テロップ量、SE、BGM等)

    • (配信なら)通信環境が途切れない

    • 歌がうまい、声が良い、etc……(Vの個性部分)

  • 方向性がブレブレではないか

  • etc……

『ちょっといいかな?』と目に留まったくらいの場合、次のアクションは
そのコンテンツに興味を持てるか、有益な情報かどうか確認する段階です。

ピンポイントで趣味嗜好にぶっ刺さった場合以外は上記のような項目で無意識に判別しています。

『こんなにいいねついてる』『毎日投稿してるな』『○○(有名絵師等)がフォローしてる』『○○(有名絵師等)がファンアート描いてるじゃん』等


【P】参加

大きく四階層に分かれています。

  • エヴァンジェリスト(伝道者)

    • 共感する箱やクリエイターに関する応援サイトやyoutubeチャンネル等を開設する

    • 競合と比較したうえで、競合を批判する or 自社コンテンツを推す書き込みをする

    • 二次創作コンテンツを作る(イラスト等)

  • ロイヤルカスタマー(支援者)

    • 運営に改善要望等意見を言ってくる

    • 炎上した時に擁護するコメントをする

  • ファン(応援者)

    • SNS投稿をリツイートする

    • 無料のコミュニティに参加(ファンクラブの無料プラン等)

  • パーティシパント(ゆるい参加)

    • SNS投稿にいいねを押す

    • SNSアカウントをフォローする

    • SNSアカウントのプロフィール閲覧

基本的に一番下の『パーティシパント(ゆるい参加)』からスタートします。
フォローもしてないけどファンアート描くような人はいないはず。

ただ、【I】の判断次第では、初見から『パーティシパント(ゆるい参加)』⇒『ファン(応援者)』に一気に進むことはあります。


イメージは【P】の参加者をとにかく増やしていくこと。
『参加者が増える』『階層の高い参加者が増える』ということは【I】での『流行っているか』に関係してきます。

参加者の階層を上に上げていくために必要なコンテンツは【S※共感】で必要なコンテンツとは別であることを意識してほしい。

ここまで来て初めて、尺の長いコンテンツを見てもらうことができるようになる。

要するにあなたに対して時間をかけてくれるようになる。

階層を上げる≒熱量を上げるためのコンテンツは人それぞれ。

歌、シチュエーションボイス、雑談、ゲーム配信……
質の高いコンテンツを頻度高く投稿するしかない。


【S】共有&拡散

ここの説明は簡単。

【P】の階層が高い人たちが身の回りの人(フォロワー等)に共有、
コンテンツをSNS等で拡散してくれるというフェーズ。

いいねやRT、ファンアート等の投稿がまた新たな人の目に触れ、
それに興味を持ってくれた人が【I】に進んでいく。


まとめ

収益を目的とするコンテンツ設計。
拡散を目的とするコンテンツ設計。

拡散を目的とするコンテンツと、
熱量を上げる(【P】の階層を上げる)コンテンツを
勘違いしないで戦略的にコンテンツを展開しよう。という話。

以上。


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