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英読書会-夏目漱石「坑夫」

夏目漱石「坑夫」(1908)読書会の記録(2019/1/28)
参加者:英、SHさん、MTさん

・前半、銅山に着くまでがとても長い(笑)。銅山についてからは展開が早く読み進められる。
・小説じゃない、という言い訳が所々入る(笑)
・ポン引き(坑夫のスカウトマン)の長蔵さんの印象が強い。(好きなキャラクターなのかも)
・出てきた登場人物が結局消えて回収されない…
・足尾銅山が舞台と言われているらしい。明治期には、学校に行くような裕福な人と、坑夫のような職業につく学校にも行っていないような人は住む世界が違っただろう。当時の小説を読むような層は、主人公の目線で鉱山の実態を知ったのかもしれない。
・主人公、人の顔などについて言い方がけっこうひどい。周りの人のことをこんなに見える人はしんどいかも。
・優越感と劣等感で揺れ動く主人公。心理描写がいちいち精密。
・展開としては、「坊ちゃん」と似ている。でも、主人公が悶々としてて頭でっかち気味だからか、切なさは無い。
・向いてない、と言われるほどやろうとしてしまう若さ、分からなくはない。
・近代小説って自分の「だめさ」をひけらかしがち。ちょっと言い訳がましい。読んでると痛みがある。
・出納係になると態度を変える坑夫達。
・最後の尻切れ感。これまでさんざん坑内の心理描写が細かかったのに。ここからの心の動きこそ小説になりそうじゃないか?見てみたい気がする。
・ネットで見たところ、朝日新聞に島崎藤村が「春」を連載予定だったが執筆が進まないので穴を埋める為3ヶ月くらい書かれたらしい。もしかしたら島崎藤村が書けたから打ち切られたのかも。藤村の執筆合わせで調節したから、前半長めで後半尻切れなんじゃないか疑惑。

「坑夫」
https://www.shinchosha.co.jp/book/101017/

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