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座ったままの仕事がふえて、お尻の調子をくずしていませんか?

 テレワークができるような職種の方は、通勤もなくなり、座っている時間が長くなっているのではないでしょうか。そうなってくるとどうしてもお尻に負担がかかってきます。もともと痔主だった人は少し症状が強くなっているかもしれません。

 痔のうち内痔核(ないじかく)はイボ痔と呼ばれることが多いです。イボ痔と言いながら実際にはいぼができているわけではなくて、粘膜の下の細かい静脈がこぶのように腫れあがったものです。つまり静脈瘤ですね。座りっぱなしだと、この部分の静脈にも圧力がかかってしまいますから、静脈が腫れて痔の症状が悪化しやすくなるわけです。

 座業が長くなったら時々立ち上がって体動かすことをおすすめします。座っているとお尻に堪えるだけでなく体全体の血液の循環も悪くなるのか、血圧が高くなる傾向もあるとされています。座りっぱなしは避けましょうね。


 ところで痔の治療の選択肢にはどのようなものがあるかご存知ですか?思い浮かぶのは座薬と手術ではないでしょうか。座薬は、ピストルの弾状のものや軟膏の薬をお尻から入れるというやつですね。もう一つ思い浮かぶのは手術ですね。腫れたところを切り取ると言う手術になります。


 診察を受けるのは何となく嫌だし、手術となると痛そうだからなかなか診察を受けるふんぎりがつかないのかもしれません。しかし他の病気が隠れていないかどうか調べておいた方が良いですし、症状がひどくてもお薬の治療でかなり軽減して日常生活を送れるようになることもあります。ですからいちどは診察を受けることをお勧めします。

 痔と似たような症状を認める重大な病気には直腸癌や潰瘍性大腸炎、クローン病などがあります。またひどい出血を起こすようなもので憩室出血と言うのもあります。このようなものが隠れていないか検査をしておいた方が良いわけです。

 痔に対してお薬の治療をする場合、私は座薬と一緒に漢方薬をよく利用します。血の循環を良くし、腫れを抑え、便通を良くし、出血を抑えるなどの目的で漢方薬を選択するわけです。よく使うのは、乙字湯(おつじとう)と桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)です。出血が目立つ時は、芎帰膠艾湯(きゅうききょうがいとう)を止血目的で加えます。漢方薬を使うことで症状がグッと改善することもあります。

 手術の方法は基本的には、腫れている血管を必要最小限切除するとともに、根本のところで痔に入ってくる血管をくくってしまうというものです。可能な場合には、硬化療法と切除と組み合わせたりします。硬化療法と言うのは薬液(硬化剤)を痔に直接注入して固めてしまうと言うものです。固めるといってもそのまま硬くなっているわけではなくて1ヵ月から2ヶ月程度で吸収されて平らになり柔らかくなっていきます。この方法だと切除がないので術後の経過はグッド楽になります。

 痔と言うのは悪い病気ではありませんが、症状が強いときには生活にかなり影響を与えます。もし痔で悩んでいるようなことがあればいちどは診察を受けて、どのような治療が適切か相談してみてください。また医師によって選択する治療方法が変わってくるのでセカンドオピニオンなども受けるのも良いかもしれませんね。漢方薬もお勧めですよ。

では今日も一日元気にまいりましょう。

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