見出し画像

小青竜湯(しょうせいりゅうとう)のはなし

 マスクをしていると花粉を吸い込む頻度や量が減るのか、Covid19が問題になって以来、アレルギー性鼻炎の話題が大きく取り上げられることは少なくなったような気がします。昨シーズンはインフルエンザの患者さんもほとんど診なかったので、呼吸器感染症や花粉症などにも、マスク着用は予防効果が大きいのだと思います。

 そうは言っても、花粉症の方はちょくちょく来られます。外科受診のついでに普段使っている抗アレルギー薬の処方を頼まれることもあります。そんな時は、漢方薬の利用をお勧めしたりします。

 アレルギー性鼻炎に対する漢方薬として有名なのが、小青竜湯(しょうせいりゅうとう)です。

 小青竜湯に含まれる麻黄という生薬は、青みがかった色をしていることからか、中国伝統の神獣である四神の中の青竜の名をとって小青竜湯と名付けられたということです。

  保険適応病名は、「1)下記疾患における水様の痰、水様鼻汁、鼻閉、くしゃみ、喘鳴、咳嗽、流涙。気管支喘息、鼻炎、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、感冒。2)気管支炎。」となっています。

 小青竜湯が適応となる人のイメージは、体力中等度で、水のような鼻水、咳、すい分の多い痰、くしゃみなどを認める人となります。発熱やゼーゼーと喘息症状を認める場合もあります。

 対応が可能と思われる病気は、鼻炎、アレルギー性鼻炎、花粉症、血管運動性鼻炎、上気道炎、気管支炎、気管支喘息、かぜ症候群、気管支拡張症、小児気管支喘息などが挙げられます。

 風邪の引き始めで、たらたら水気の多い鼻水が出るような時に使います。また、体を温める効果が高いので寒気がする時にも良いです。アレルギー症状と思われる記載は昔からあるそうですが、現在使われているアレルギーという言葉が提唱されたのが1900年代初頭ですから、小青竜湯が生まれた1800年以上昔には、アレルギー性鼻炎という概念は存在していませんよね。アレルギー性鼻炎に対する漢方薬として有名になった小青竜湯ですが、水様鼻汁に良いことからアレルギー性鼻炎の患者に使ってみたら効いたということです。

 風邪気味で鼻水がダラダラ出ると言う症状のある知人に小青竜湯を勧めたことがあります。服用してみて、すぐに効果が現れたことに驚いていました。

 私自身も以前アレルギー性鼻炎で苦労していたことがあります。しかし小青竜湯を利用し始めて症状が改善し、現在では少し鼻炎かなぁと言う時に服用していれば、いわゆる抗アレルギー剤などは使用しなくても大丈夫なことが多くなりました。

 アレルギー性鼻炎を訴える方の、6割程度の方には効果があるようですから一度は試してみて良いと思います。ただし麻黄が含まれているので狭心症、緑内障、前立腺肥大その他注意が必要な場合も多いです。小青竜湯以外でアレルギー性鼻炎鼻炎に使用する、麻黄附子細辛湯、越婢加朮湯などにも麻黄が含まれていますから同様に注意が必要です。麻黄が使えない方には苓甘姜味辛夏仁湯を利用したりします。また、通常の抗アレルギー薬、ステロイド剤などによる治療との併用も行えます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?