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女性の体調を整えるのに使われる桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)

 漢方処方の生薬構成を見る、漢方薬の中身の第二回は、桂枝茯苓丸についてです。

 桂枝茯苓丸の目指すところは、滞った血の流れをもとに戻して血の巡りを良くすると言うことです。

 桂枝茯苓丸の生薬構成は、桂皮、芍薬、桃仁、茯苓、牡丹皮の5種類からなっています。桃仁、牡丹皮、芍薬が血液の循環を良くし、滞った血液を流してくれます。このうち牡丹皮と芍薬は、体の熱をさまして、出血傾向を改善してくれます。さらに芍薬は筋肉の痙攣を抑えて痛みを抑えて軽減してくれます。茯苓は水のバランスを整えるとともに気持ちを鎮め安定させてくれます。桂皮は気の巡りを調え体を温めてくれます。

 漢方用語を使えば、桂枝茯苓丸は瘀血(おけつ)を改善させるということです。瘀血というのは血の循環が滞っている状態、あるいは滞っている血を指します。現代医学用語を使えば微小循環障害ということを意味します。この瘀血を改善するのが駆瘀血剤と言われるもので、桂枝茯苓丸がその代表的処方です。

 桂枝茯苓丸の医療用エキス製剤は25番。保険適用は「体格はしっかりしていて赤ら顔が多く、腹部は大体充実、下腹部に抵抗のあるものを次の諸症:,子宮並びにその付属器の炎症、子宮内膜炎、月経不順、月経困難、帯下、更年期障害(頭痛、めまい、のぼせ、肩こりなど)、冷え性、腹膜炎、打撲症、痔疾患、睾丸炎」となっています。

 対象となる人は、体力中等度でのぼせ傾向がある人で瘀血を目標に使用します。血のの循環が悪くて肩が凝っているような人に使います。のぼせや頭痛、めまいなどの改善にも使えます。月経困難症や子宮筋腫、子宮内膜炎などによってお腹が痛むような方にも使いますし、打撲傷や痔といったっ血の循環が悪い状態にも使えます。

 桂枝茯苓丸は、血の循環が滞っているところを改善することによって、様々な症状を軽くする処方といえます。青ジミができやすいと言う人、打撲の後アザができてなかなか腫れが引かないといった時にも使えます。また、痛みなどがなかなか引かないといった場合や、一定の症状が長く続いているといった場合には、瘀血が関与している場合があります。そのような時に桂枝茯苓丸を加えることによって症状がすっと軽くなるようなこともあります。瘀血の関与が疑われるときには診断と治療を兼ねて桂枝茯苓丸を使用してみるというのもよいと思います。

 血液は、体の隅々に酸素と栄養を行き渡らせるもので、そのながれがスムースであることが体調維持にとても大切です。微小循環などという概念など無く、心臓とか血管といった解剖も知らない時代に、瘀血という概念を想定し、その滞りを改善することによって症状を治療するという発想に至る過程には、多くの試行錯誤があったのでしょうね。そんななかで積み上げられた知見をもとに生まれてきた漢方処方をうまく利用しないのはもったいないですね。

Youtube 桂枝茯苓丸

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