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ショーケンKANPO ⑥ 「喉が痛いという30歳女性」

 症例検討会風に漢方に親しむ、ショーケンKANPOの第六回目です。今回は喉の痛みに対して、小柴胡湯加桔梗石膏(しょうさいことうかききょうせっこう)を使用した症例を紹介します。

【症例】女性 30歳

【主訴】発熱 咽頭痛

【現病歴】約1週間前から風邪気味だと感じていて3日前から発熱と喉の痛みが出現しました。喉が腫れているようで食べ物が飲み込みにくい状態となりました。口の中はなんとなく苦く、体もだるくなってきたということで来院されました。

【所見】身長164cm体重52kg、体温は38.2度、脈は1分間に102回と速くなっています。扁桃は赤く腫れており、表面に膿の付着を認めます。血液検査では白血球が増えるとともに炎症を示すCRPが上昇していました。腹壁の強さは中くらいで左右の肋骨ゆみの下あたりは押さえると苦しさと痛みを訴えました。おへその横を押さえるとやはり痛みを訴えました。

【経過】急性扁桃炎の診断で、抗生物質と共に小柴胡湯加桔梗石膏を処方しました。翌日には熱が下がり、喉の痛みも3日目には消失しました。5日間の服薬で終診としました。

小柴胡湯加桔梗石膏は、小柴胡湯に桔梗と石膏を加えた処方です。小柴胡湯自体に熱を冷ます清熱作用があり、さらに胃腸の働きを整え気力を回復させるといった作用があります。これに石膏を加えることによって熱を冷ます、つまり炎症を沈静化させる働きが加わり、桔梗が加わることによって去痰や膿を出す働きが強められます。保険適用病名は、「咽喉が腫れて痛む次の諸症:扁桃炎、扁桃周囲炎」となっています。喉の痛みに対してはこの処方をお湯で溶かした後冷やして、少しずつ喉に触れるようにあるいはうがいするようにして飲み込むと良い場合が多いです。

風邪をひいて喉が痛いと言うときには、葛根湯も良いと思いますが、この方の場合は風邪をひいて1週間近く経過しており風邪のひき始めに使う葛根湯の時期は過ぎていると思われます。また桔梗と石膏で構成された、桔梗石膏と言う処方もありますが、抗炎症作用と言う意味では小柴胡湯と一緒になった小柴胡湯加桔梗石膏の方が広く使えるように思います。風邪をひくと喉がやられると言う方は置き薬としてこの処方を常備薬として持っておくのも良いと思います。

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