冬に冷えると悪化する腰痛などに疎経活血湯(そけいかっけつとう)

 冬場はどうしても体が冷えやすくなります。冷えると関節や筋肉が痛み、腰痛や下肢痛を訴える方がおられます。そんな時に試してみたいのが疎経活血湯です。

 疎経活血湯は17種類の生薬から構成されています。血を補うとともにそのめぐりを良くし、痛みを抑え、水バランスを整え、胃腸をととのえてくれます。体を温める生薬が多く含まれますが、熱を冷ます生薬も含まれており炎症を抑えてくれます。

 疎経活血湯の疎経は、経絡を疎通する、つまり経絡の流れを良くするという意味で、活血は血の働きを良くするということを表しています。

 打撲や外傷による急性期の痛みに対しては、冷やすこともありますが、慢性の痛みは温めることが基本になります。温めれば、循環が良くなり、新陳代謝も活発になり、筋肉の緊張も和らぎます。まさに疎経活血湯はそのような働きをしてくれるわけです。生薬の内容で述べたように、冷やす生薬も含まれていますから、急性期から慢性期まで比較的広く使えるのもありがたいです。ぎっくり腰の時などは、疎経活血湯に芍薬甘草湯も一緒に服用すると、効果が上がります。

 漢方では、気や血のめぐりが悪くなると、痛みやしびれを引き起こすと考えます。冷えはこのめぐりを悪くする一因となるので、痛みなどを生ずるわけです。冷えによる痛みは、同じ場所が痛くなり、比較的強い痛みになりやすいとされ、お風呂などで温めてあげると楽になります。また、むくみやすい人などは、関節に水が溜まりやすいことも多く、そのような場合も痛みを生じます。疎経活血湯はこれらの痛みをまとめて良くすることを目指した処方となっています。

 疎経活血湯の紹介をしましたが、関節の痛みなどは関節への負担が強すぎて生じることが多いです。その一番の原因は肥満。体重が1Kg増えると膝への負担は2~3Kg増えるとも言われます。寿命が延びている現代、関節も長持ちさせなければいけません。肥えすぎている人は体重を落とすことが、健康寿命を延ばすことになります。また、高齢の方は骨塩量を一度測ってもらうのも良いと思います。骨がもろくなっているようなら、必要に応じてカルシウム不足を補ったり、骨粗しょう症の治療を受けたりすることをお勧めします。また、筋力を維持する意識をもって、日常の中でこまめに体を動かすようにしましょう。

 疎経活血湯の保険適応病名は、関節痛、神経痛、腰痛、筋肉痛となっています。特に腰から下の痛みに使うことが多く、足がよくつるという方にも効果があります。坐骨神経痛と言われた、などという方にもよく処方します。

 ここのところ、漢方の話題はもっぱらPodcastで配信しており、Noteの更新はサボっておりました。これまで110話をアップしていますので、よろしければ聞いてみてください。
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