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逆上?(漢方の視点:気逆)

 元気があるとかないとか言いますね。この元気の気というのを漢方では大切にします。気は生命エネルギーともいえます。気が十分あって、私たちの体の中をスムーズに流れていっているときは調子が良いのですが、気が足りなくなったり流れに問題があったりすると体調を崩すとされます。

 基本的に気は体の中心から末梢へ、体の上の方から下の方へ流れると考えられています。気逆と言うのはその流れが逆になっていると言うことです。どこからどこへ気が逆流するかと言うことでいくつかの症状が想定されています。

 お腹から上に向かって逆流するときには、急な動悸、頭痛、気を失う、などと言う症状が現れます。

 胸から喉、さらには顔に向かって逆流するときには、喉が締め付けられる感じ、急に顔が赤くなる、ひどく咳き込むなどの症状が考えられます。

 胃のあたりから気が下がって行かずに逆流していく場合、急に胃の内容物や胃液を吐き出してしまうということが起こります。これは急に起こっててしまうもので、吐き気などを伴わないのが特徴とされます。

 手足の先から体の中心に向かって逆流してしまうと、手足の冷えが起こりさらにその冷えが中枢に向かっていくものとなります。

 気逆で起こる症状や所見をいくつかあげると
・足は冷えるが顔などは熱い(冷えのぼせ)
・急に同期を覚えることがある
・吐き気もなく急に嘔吐する
・顔が真っ赤になるほど咳き込む
・急にお腹が痛くなる
・ちょっとしたことで驚いてしまう
・焦りを急に感じることがある
・手足が冷えてしまう
などがあります。これらの症状を見ていると、急に、という言葉がよく使われています。気の逆流と言うのは突然起こるものと考えてもよさそうですね。

 気逆に対応する生薬として代表的なのは桂皮です。桂皮を含む漢方処方には何らかの意味で気逆を抑えると言う意図があると考えても良いでしょう。他にも呉茱萸、半夏、紫蘇葉、五味子、川芎、黄連などが挙げられます。

 漢方薬で気逆に対応するものとすれば、苓桂朮甘湯、桂枝加竜骨牡蠣湯、桂枝人参湯、黄連湯、桃核承気湯、加味逍遙散、呉茱萸湯などが挙げられます。気逆と思われる症状以外にもどのような症状があるか、またその人の体質を考慮に入れて、方剤を選択することになります。

 普段医者から、気のせいだろうといわれるとがっかりしたり頭に来たりしますよね。でも漢方医が気のせいと言ったらそれは大切な兆候とかんがえているわけですから、がっかりしないでください。病気という言葉はなかなか意味深いことばですね。

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