半夏厚朴湯のはなし 喉の違和感などに
半減厚朴湯は私が漢方好きになる大きなきっかけを与えてくれた処方です。田舎の病院に赴任していた時、消化器内科医がいなかったので内視鏡検査などは外科で行っていました。
喉の違和感があると言うことで受診された中年女性。まずは上部消化管内視鏡検査を行ったが明らかな異常は無い。血液検査等にも異常は無い。造影検査で流れを見てみたが引っかかるようなところもない。通常なら、明らかな異常はありませんので様子をみましょうとするところ。しかしたまたま参加した漢方の勉強会で、異常がないのに喉に違和感や詰まった感じや閉塞感を覚えるような人は気の巡りが悪い。そういうときには半夏厚朴湯が良い。と言うことを聞いたばかりだった。
早速その方に処方してみた。あまり期待はしていなかったのだが、処方して2日目位にその方が急に外来に顔を出し、あんなに強い薬を飲んでも大丈夫か心配になって聞きに行きましたとのこと。話を聞くと、1、2回服用しただけで喉の引っかかりがすーっと良くなってしまったと言うのだ。強いわけではなくあなたに合っているのだと思うから、処方した分だけ飲んでいただき、飲まなくなっても症状が再燃しないのであればそのまま中止で良いと言うことにしました。漢方薬も即効性があるのだということを実感した出来事でした。その後私の好きな処方の1つになっています。
喉がいがらっぽくて咳払いをしてしまう。風邪は治っているのに咳が出る。喋ってるとすぐに喉が疲れてしゃべる声がかすれてしまう。これらの症状を見かけたらまずは処方してみています。一般的に少し鬱傾向で、不安や不眠を訴える方が多いようです。
構成生薬は、半夏、茯苓、厚朴、蘇葉、生姜です。全体としたら水のバランスを整えた上で気の巡りを良くしてくれると言うイメージだと思います。気の巡りを良くするような処方を理気剤と言いますが、半夏厚朴湯はその代表的処方です。
人前で少し長くお話をしないといけないようなときには.お話をする前にこれを一服飲んでおくと途中で喉が枯れて咳払いをしたりと言うようなことが起こりにくくなります。そういえば、歌っているとすぐ喉がかれると言っていた患者さんが、これを服用して喉の調子が良くなり、カラオケを再開したということもありました。
検査をしても異常がないけど、のどの違和感を訴えるとき、病院では気のせいだと言われることが多いと思います。西洋医学しか知らない医師からすれば、異常がないからどうしようもないと言っているわけですが、漢方の視点からすればまさに気のせい、気の問題です。これは漢方薬の出番ですね。
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