足関節ねんざに治打撲一方
歩いていて少し足首をねじったりすると、じん帯を損傷していわゆる捻挫という状態になります。これを経験したことのある方は多いのではないでしょうか。腫れがひどいときや、痛みがなかなかおさまらないときなどには、剥離骨折も含めて骨の損傷を引き起きしていることがあるので、整形外科を受診する必要があります。ギプスによる固定や手術が必要となる場合もあります。
基本的治療方針は、保護、安静、冷却、圧迫、挙上などですが、急性期を過ぎれば早期に運動負荷を行うとともに温める方が良い場合もあります。症状軽減には、鎮痛剤や湿布を利用することも良いと思います。
そして症状の改善を早めるために、漢方薬を利用することもお勧めです。
第一選択は、治打撲一方(じだぼくいっぽう)です。名前の通り、打撲を治す処方と言うことです。保険適応は、「打撲による腫れおよび痛み」となっています。急性期の症状にも効果がありますが、古傷が痛むといった場合にも効果をがあります。
七種類の生薬から構成されています。気のめぐりを良くします。局所のうっ血を取り除き、腫れの消退を早めます。熱や痛みを取ります。日本生まれの処方で、生薬の中の樸樕(ぼくそく)は日本でのみ生薬として使われており、クヌギなどの樹皮を用いたものです。多量のタンニンやフラボノイドが含まれているそうで、抗菌作用などが認められています。
症状が強い場合には、血の巡りを良くする働きを強めるために、桂枝茯苓丸などの血流改善漢方薬を併用します。便秘傾向があるなら、通導散や桃核承気湯を選択する場合もあります。
受傷からしばらくたっても取れない痛みなどの場合は、少し温めてあげたほうが良いので、治打撲一方に附子を加えることもあります。いわゆる鎮痛剤を使ってもよいですが、鎮痛剤は冷やすので、温めたい時には逆に働いてしまうということは知っておいた方が良いですね。
中学生のころ、私はバスケットボールと高跳びをしていたので、時々打撲や捻挫をしていました。大学時代はスキーで激しく転倒して、膝がしばらく腫れたこともありました。そのころ漢方のことを知っていたら、少し早く症状が軽くなっていたのになぁと思います。
医療の基本は西洋医学と考えていますが、患者さんをみていると漢方薬を利用するのがベターと思われる方がかなりおられます。気になる体調変化があるのなら、漢方薬は利用できないかな?と思い浮かべてください。そして薬剤師や漢方医に相談してみてください。いいことがあると思いますよ。
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