【読書感想文】小説「殺戮にいたる病」
ネタバレなしの感想文です。
叙述トリックが駆使されたミステリー&サスペンス小説で、とても面白かったです。読み始めると止まらなくなり、他のことが手につかなくなるほど夢中で読み進めました。私はミステリー小説が大好きです。この本も、物語の最後がどうなるのか気になって仕方がありませんでした。
物語は3人の登場人物の視点から描かれています。
1. 蒲生稔
主人公で犯人。(ネタバレではありません!)冒頭で連続殺人犯であることが明かされ、逮捕されます。6人もの犠牲者を出し、死刑判決も下されています。サイコパスであり、彼の犯行動機やその背景には、普通の人間には理解しがたい深い闇が隠されています。
2. 蒲生雅子
息子が犯人ではないかと疑う母親。彼女もまた独特で息子に対する行動が異常です。
3. 樋口武雄
定年退職した元刑事。被害者と接点があり、事件に巻き込まれます。
それぞれの視点や心境、行動が時系列で交錯し、物語が進んでいきます。ラストでは視点が怒涛の勢いで移り変わり、展開が驚くほど激しかったです。
「叙述トリック」とは、読者の先入観を巧みに利用して、最後の最後で意外な事実が明かされる構成です。作中のキャラクターの言動や状況が微妙に操作されており、最後に真実が明かされて衝撃を受ける展開になります。
そのため、「騙されないぞ」と思いながら、伏線がどこに隠されているのか注意深く読み進めました。怪しい部分はたくさんありましたが、謎が解けません。ラストでは一瞬何が起こったのか理解できませんでした。「え??どういうこと?」となりましたが、意味がわかると驚愕しました。全く予想できない展開で叙述トリックの醍醐味を存分に味わえました。
謎解きしようとしながら読むのも楽しいですが、素直に物語に身を任せる方がより楽しめるかもしれません。しかし、この謎を解くのはかなり難しい思います。読み終わった後は、必ず二度読みしたくなります。至る所に仕掛けがあるのに見逃していました。見事に誘導され騙されていました。
興味がある方は、ぜひこの驚愕体験をしてみてください。
作中にはグロテスクな描写があり、想像しながら読むと気持ち悪くなることもあります。苦手な方には少し辛いかもしれません。読む際はご注意ください。
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