野良のハナ

無計画に日本を出て十数年、欧州4カ国で生息、スペインの島に漂着。集団や組織になじめずノ…

野良のハナ

無計画に日本を出て十数年、欧州4カ国で生息、スペインの島に漂着。集団や組織になじめずノラ犬のように生き、犬のケツばかり追っている人。強烈な認知の歪みの泥水の中ほふく前進中。要点を端的に話すことが壊滅的で、路上で全所持品を広げて裸で勝手に蚤の市状態の会話力で、人様を困らせています。

マガジン

  • 日本人だから知ってるでしょ?

    日本の外に住んでいて聞かれたこと、「日本人なら知ってるでしょう」と振られて冷や汗をかいた日本関連の話題についてまとめています。

  • お金を払って喜んで人生最多うんこ拾い

    スペイン南部、国内最大級の犬の保護施設で、犬のうんこを拾いまくった体験談。スペインではある特定の犬種が毎年何万頭も飼い主から捨てられる。

  • 混沌の街ベルリン

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ドアに刺さったままの鍵とファック・ユー

この10年間で10回以上引っ越しをしてきました。だいたい都市部や中心地に近い街のアパートに住み、近所付き合いというものは、あまりありませんでした。中には、出会うたびに立ち話をして、窓越しに手を振ったりするような隣のおじさんもいましたが、大体のところでは、すれ違えば挨拶はしても、それ以上何も言葉も交わさないし、隣人の素性は知らない、というのがほとんどでした。 これまでに最も長く住んだアパートはベルリンで、同じアパートに5年ほど。外国人が比較的多く、歩道にはいつもイスや靴や壊れ

    • 先生の美しいビーチと逆効果の話

      地元のおばさんとビーチについて話をしていました。会話といっても9割おばさんが話してくれて、私は必死になんとか聞き取ろうとするコミュニケーションなのだけど。 その女性は元教師で(何の先生だったのかは私の力不足で聞き取れなかったのですが)、今はボランティアやかわいい孫の世話をしているとニッコリ微笑みながら話す人です。こどもに関わることに全く縁遠い人間な私は、こどもに愛情を注ぎ教育に関わる人を反射的に全面的に崇めて手を合わせたくなる。 この元先生に私は現地語を教えてもらっていま

      • 日本人だから知ってるでしょう?何百万円もする果物

        日本の外で暮らしていると、急に日本関連情報や日本の話題で気になったことを人から尋ねられることがあります。これまでにも、知らんがな、 ということを様々聞かれてきました。 ↓こちらに今まで聞かれたことを収集しています。 あなたは会話の波乗りを楽しめるでしょうか?私はいつも溺れています。 目の前にその気になってたことの国から来た人がいるんだから、その人に疑問をぶつけるのは自然なおこないとして理解できます。 ただ、自然な反応に対して、私が充分な対応ができるかというと残念ながら

        • 私のネジを締めてくれませんか

          朝、鏡で自分の顔を見て、顔がさがってるなぁと思うことがあった。痩せこけてるとかではないのだけど、灰色で、傷んだ野菜みたいな感じ。 顔の筋肉がお婆さんのおっぱいみたいにシワっぽくぶら下がっている。 肩と背中がお婆さんを担いで山を越えたのかなというくらい痛い。 飲まず食わずで、お婆さんに脅されて辞書を最初のページから最後まで読んでいたくらい(そんなことしたことないけど)頭が重たい。 夢の中でお婆さん集団と綱引きでもしたのかなというくらい、指を動かすとメリメリする。就寝中に

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        記事

          老人とスチューピッドな洗濯物、3本足の犬

          ややこしい名前のベルギー人おじいさんと1週間一緒に過ごした。ボランティアとして同じ宿舎で寝泊まりして共同作業をした。そして私は少しばかり彼に困惑した。 背はあまり高くなく頭部に髪はない彼は80歳前後でリタイヤ生活を送っているのだろうと推測する。短パンにTシャツ、長靴姿。短パンの生地は、もうこれ以上は洗濯に耐えられません勘弁してください、と言わんばかりに破れてお尻が見えそう。 このおじいさんは込み入った名前で、私は何度聞き直しても覚えられなかった。 スペイン人スタッフは彼

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          人生の選択(朝の海辺と図書館について)

          人生の選択には人それぞれ色々ある。しごく当たり前のことなのだけど、自分以外の人々は自分と違う選択をしてきた人々で。 もし自分と同じ選択をした人がいたら、同じ家を賃貸して、同じタイミングでトイレに行って、同じパートナーを選んで、いろいろ困ったことが起こってしまう。 早朝の海沿いを歩くと、同じ時間に同じ歩くという行為を選択した人たちを見る。だけどまったく全てが同じ選択ではない。 タバコを吸いながらウォーキングする人。健康的なのかどうかはわからないけど、彼女は早起きをして運動

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          ちょんまげを貫いた店の流儀

          「この店なんなんだろうね?」という飲食店が時々通る細い道にあった。 飲食店なんだろうな、とは店の構えからわかるのだけど、カフェなのか、しっかりしたレストランなのか、タパスバーなのか、ワインバーなのか、よくわからない店なのである。 通りにガラス張りで、悪くなさそうなのだけど、いつも誰もいないので開店しているのか閉まっているのかもわからない。だから、それ以上気にとめたことがなかった。 場所は、小さなブティックホテルや飲食店もあるような住宅街の中で、我が家から徒歩圏内である。

          ちょんまげを貫いた店の流儀

          牛から遠かったチーズケーキ、絶滅ウェイター

          人間の記憶がいかにずさんか、発言がいかに正確性に欠くか、自らの思い違いで気づきました。 チーズケーキはお好きですか? 私は甘いものが得意ではないので積極的にはスイーツは食べないのですが、チーズケーキだけは出先で見つけると注文してしまいます。 私が住んでいる島で、個人的に一番おいしいと思っているチーズケーキがあります。 そのチーズケーキがおいしい秘密はいろいろあるのだと思うのですが、一つはチーズの新鮮さです。材料はシェフの親族から直接仕入れているのだと教えてもらいました

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          銭湯で知らないおばさんに婉曲的に言われたこと

          人は悪気がなくても失礼なことを言ってしまったり、人は相手が悪気はなかったのだろうと分かっているつもりでも古傷として残ることがあると思います。 実家の母と隣町のスーパー銭湯で湯に浸かっていた時、同じ湯船にいたおばさんが「お母さん、あんたは若い頃かわいかっただろう」と声をかけてきた。全く知らないおばさんである(正確にはおばあさんに近い)。 道を歩いていて知らない人に急にそんな声かけをする人はいないだろうけど、公衆浴場では、未知の人も、何か同じものを共有しているような一体感とい

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          ああ疲れてるんだな。疲労感という天罰

          ある日、歯磨きをしようと歯ブラシを手に取って口の近くに近づけたら、ブラシに乗っているペーストが洗顔クリームであることに気づいた。間一髪だった。 ああ、疲れてるんだな、と思った。 洗顔フォームのチューブを歯磨き粉のチューブだと思って手に取ったのだ。人間は見ているようで全く見ていないのだなとつくづく思った。きっと私はきゅうりとズッキーニの違いも気づかないし、ピスタチオと銀杏の違いも気がつかない。 以前も似たようなことがあった。 長距離フライトの飛行機の中で、トイレに行き歯

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          デフォルト岩顔のベルギー人、選ばれない色の犬

          初めて会ったベルギー人とイタリア人と一つ屋根の下で1週間寝泊まりしていました。 私は自慢ではないけど人付き合いが上手くない。社交の場は苦手だし、友達も多くない。それは日本でもそうだったし、日本の外でもそうで。 とはいえ、1週間誰かと一緒に作業しないといけないとなると、さすがの私でも、なんとか会話をしたり意思疎通しようと少しは試みる。 私はベルギー人がどんな人たちか全く知らないくらい、ベルギー人と喋ったことはなかったし、もちろんベルギーに行ったこともなかった。そして、この

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          あなたのコーヒーがあの人たちのコーヒーと同じとは限らない

          日本でよく見るコーヒーチェーン店のような形態をスペインで見ることがあまりありません。大きな駅や空港、観光地の中心地にはスターバックスを見ても、それ以外の場所で私はお目にかかったことはありません。 従って、これを言ったら、どこかから反感を買いそうですけど、小声で私の主観を言うと、スペインでスターバックスの立ち位置は、どこでも判で押したようにあるチェーン店、バーガーキングやマクドナルドなどと大差ないような、店内が汚くて特に美味しいわけでもないうえにやたら高い店(ひどい言いようで

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          物々交換とか、ライフ・ワーク・バランスとか、性善説とか

          近所に全ては店主のさじ加減というカフェがあります。 カフェの主であるおじさん、ここでは船長と呼ぶのですが、10時開店となっていても10時5分に鍵を開けていたり、土日は午後からしか開かなかったり、フレキシブル。船長をとがめる人は誰もいませんから、自由です。 私は船長の店で時々手伝いをしています。ボランティアというていで、お金はもらわず、コーヒーをタダで飲ませてもらったり、時々ランチをごちそうになったり、私の体と時間(労働力)と飲食の物々交換です。 一見あまり働かないのかと

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          思うようにいかないことが起こらないのは旅ではない

          旅に出ると大なり小なりトラブルはつきものだと思う。飛行機がちょっと遅延するくらいの小さなトラブルもあれば(小さくないか)、財布を盗まれてしまうという大きなトラブルもあるでしょう。 行ったことがないところへ行き、やったことがないことをやるんだから仕方がない。帰ったら「あー疲れた、やっと帰ってきた」とか言いながら、私たちはまたどこかへ出かけて行き、家にいたら出会えない人と喋り、楽しいことを味わう。そして、思うようにいかないことも味わう。 それが旅であり、思うようにいかないこと

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          日本人だから知ってるでしょ? クジラとイヌの扱い

          日本人だとわかると、話している相手から日本について聞きたかったことを私にぶつけられることがあります。 日本語での会話でさえ即答ができず、軽快な会話のキャッチボールを崩すことが得意な私にとって、外国語で「日本について」即答を求められると接続の悪いインターネットのように一瞬停止してしまいます。 あるベルギー人のおじいさんと話をしていたら、「君は日本人なのか。一つ質問していいかい。ここだけの話だから正直に答えていい。日本での犬の扱いってどうなんだい?」と質問されました。 日本

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          色々リセットしたかったらインド以外にもあるよ

          ただいま、塀の中で暮らしています。 と言っても、罪を犯したわけではなく、犬の保護施設に泊まり込みで1週間滞在しています。 車がないと移動できない、周りには工場も畑も何もない、原っぱだけが広がる中にポツンとある施設です。 道には誰も歩いておらず、道路脇にはプラスチックゴミが散乱しているような、心温まらない風景の地方です(悪口を言うつもりはないのですが本当に原っぱとゴミだけなので)。 インターネットやメディア、レストランやショップという娯楽から離れていると、「現実」とはな

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