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[メンバー日誌]客席の後ろから見る風景が好きなんです 井上亮二

映画館や劇場で客席のどのあたりから観るのが好きでしょうか?

私は、客席の一番後ろ、なんなら照明や音響を操作するオペ席から観るのが好きです。大学の時から演劇を始めて基本的には演出とかスタッフとして携わっています。自分が関わっていたり、お手伝いしている公演だと真ん中や最前列みたいな「いい席」で観ることはなくて、最後列で観ることが多いです。

これが客席の真ん中とか前列から観るのと違ってまた独特の良さがあるんですね。

舞台のあちこちで起こっていることはもちろん、それを受けてお客さんがどんな反応をしているかまで見えるのが楽しいんです。

あそこらへんのお客さんはめちゃくちゃ集中してるな、とかちょっと飽きちゃってるなとか、顔は見えないけどなんかわかるんですよね。ひとりひとり違った反応なんだけど、それが大きなうねりみたいなものになって舞台上と一体化してそれがまた別の反応を引き起こして、みたいなことが見えるんですよね。

聞いた話ですけど一流の人なら舞台上で演じながら、劇場のあらゆるところから自分がどう見えるか全部把握して、お客さんのことも理解できる、らしいです。

演じる側ではない私は客席の後ろから、なんでしょうね、海の水面でも見るような気分で目の前で起こっていることを楽しんでいます。

舞台は生とよく言われますが、たぶんこういう観られている側と観ている側がお互いに影響しあうことで生まれるものがまた作品を別の次元に持って行ってくれるんだと思います。

一日でも早く、あの光景がまた観られることを願って。

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