誰も知らない(猫)
そーーっと目を開けると、猫と目が合った。
その時、猫の手は空中にあり、今まさに私のおでこに手を当てようとしていたところだったが、私と目があったとたん、猫はピタッと空中で手を止め、そ知らぬふりで目を反らしながら、そそーーっと手を床に戻した。
猫は朝、おでこに肉球をそっと当ててきた。
冷たさで目が覚めた。
春になると、肉球は暖かくなり、私が起きないとわかると、すこーしづつ爪を出してきた。
痛くて目が覚めた。
初めは遠慮がちであった爪出しも、猫が家に馴れてくるのに伴い、出してくる度合いが大きくなった。即起きた。超痛いわ。
猫は寝ている私の顔の真ん前にちょこんと座り、私が起きるまで、この手を置くのと離すのを交互に繰り返すのだが、ふと、どんな顔でこんなことをしているのか見たくなって、猫の手が離れているタイミングで、目を開けてみたんだったな。
可愛くて笑った。
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