誰も知らない(英語の松村先生)

文章を書くのが嫌いで、何で嫌いなんだっけ?と考えていたら、中学の国語の担任を相当嫌っていたのを思い出した。

中学校に入学して最初の担任は英語の先生だった。
中高と私を受け持ってくれた英語の担当の先生は皆、ちょっと反体制で、自由で、朗らかで、威張らない人だったので総じて好きだったが、中学の時のその担任は、休み時間はいつも音楽の教材室の丸いテーブルでコーヒーを飲むダンディーな先生だった。
ある日、クラスの男子5人位が悪さをした。弱々しい感じの男子の胸ぐらを掴んで押し付けたとか何とか。5人は度々職員室に呼ばれることになったので、問題になっているのは薄々感じていた。数日後、突然、担任が男子5人を黒板の前に並ばせて、1人づつ頬をひっぱたいた。結構な力だったと思う。一番体の大きな男子が吹っ飛んでいた。

クラス皆が息を飲んだ。
人が頬をひっぱたかれる衝撃と、ひっぱたいたのが優しく尊敬する先生だったから。

そして季節が変わり、その事件を忘れた頃、担任が代わった。他所から赴任してきた国語の先生だった。校長先生並みのお年のその先生は、聞きもしないのに、自分がなぜ一般の教員なのか、それは子供二人が大学院に行っていてお金がかかるので単身赴任が出来ず、教頭先生になるために必要な僻地での勤務ができないからだ、との説明を勝手に何度もしていた。これだけでも、子供ながら「なんだか信用できないヤツだ」と思っていたが、極めつけは国語のテストの前の日に、テストの答えを全部予習させたからた。次の日の本番でまるまるまんまで出たので、私達のクラスは他のクラスに比べて、飛び抜けて高得点となった。そして、それを生徒の前で自慢した。「いやーうちのクラスはスゴいなー」。いや、信用できなさすぎる。そんなこんなで、国語が嫌いになった。

なぜ文章を書くのが嫌いなのかは、まだ不明。

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