誰も知らない(息子への手紙)
もうすぐ息子は二十歳になる。
息子は東京へ行く時私に手紙をくれたが、私は書いていない。息子の二十歳のお祝いには手紙が必要だ、と私の心が言っている。
下書きを書いている。書き出していると、あれやこれや思い出を書き始めてしまい量が膨大すぎてる。いや、違う。要点を明確にしなければいけない。
この手紙はヒットポイントがでかいはずだ。いやでかくなければいけない。
まずは初見。息子が初めて読んだ時には「母は自分のことをこんなに風に思ってくれてたのか…」とうるうるさせなければいけないし、
人生の道に迷った息子が再読した時に「ああ、母はなんて含蓄のある言葉を発しているんだ!」と進むべき道しるべにならなくてはならないし、
後に人生の壁にぶち当たった息子がまたまたこの手紙を読み返して「自分はこんなに愛されてるんだ」と生きる力を与えなければいけない。
そして私が死んだ後もまたまたまた息子はこの手紙を読んでうるうると眼を潤ませるのだ。
そのような手紙でなければならないと、私の心が言っている。
理想は高いが、実力が伴わなくて溺れそうだ。
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