誰も知らない(母の願い)

 珍しく夢を見た。というより、いつも何かしらの夢を見ている気はしている。けれども、だけれども、ちっとも覚えていない派である。が、珍しく夢を覚えていた。
 コーンスープを、生のトウモロコシから手作りしたのを頂こうとしている夢であった。
 母は健康オタクであったが、料理の腕はいまいちであったので、とてもヘルシーな材料でいまいちの料理を毎日心を込めて作っていた。しかし、いくら心が込もっていても、味がいまいちなので娘は、ご飯とタラコとかばかり食べていて、いつも母とケンカしていた。因みに母は絶対的に、塩加減と食感という感覚に劣っていたと思う。大体が硬すぎるし、薄味か濃いかだし、微妙に酸っぱい豆腐なんてしょっちゅう出てた。これは、母が山の中の貧乏暮らしで育ったことも原因の1つだとは思い気の毒でもあるが、娘としては甚だ残念だ。
 で、そのコーンスープは母の作っていた、トウモロコシが細かく刻んであり、牛乳ベースのスープといまいちなマッチング感を醸し出した作品であることは間違いなかった。
 母は無類のトウモロコシ好きだった。近所の農家さんから沢山戴くと「困った困った」と言いながら、ホクホク顔で大量のトウモロコシを茹でていた。(そして、その塩加減でさえ微妙であった。)
 即ち、この夢は「トウキビが食べたい」という母の願いだ。
 ということでトウモロコシを茹でてお供えした。

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