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悲しみと向き合うために。

こんにちは、動物看護学生です!

今回は「悲しみと向き合う」ことについてご紹介していこうと思います。動物看護師とは、いわゆる「ペットロス」になる飼い主様に寄り添うことも必要となります。そのためにはまず、ペットロスとは何かについて知ること、悲しみについて知ることが必要となります。今回私が授業を受けていてこれは是非多くの人に知っていただきたいと思いましたので、ご紹介いたします。

ペットロスとは

最近では聞きなれた言葉ではないでしょうか?多くの人はペットが亡くなってしまい悲しみに暮れている人にこの言葉を使いますよね。でも、ペットロスとはそれだけではないんです。

ペットロス=動物をなくすこと。

この「なくす」には亡くす以外のことも含まれています。例えばペットが逃げてしまいはぐれることなどです。要するに近くや目の前に動物の体がない状態のことですね。ですが、本当のペットロスとは「愛する動物を失った飼主家族の悲しみ(グリーフ)を表現した言葉」です。そしてこれは決して病気ではありません。本当の意味を知らないでこの言葉を使っている人は結構多くおられるのではないでしょうか?
例えば「この子が死んでペットロスにならないように準備してるんです」と言う人がおられました。それは愛するペットが亡くなっても悲しい気持ちにならないようにしてるんだと言っているのと同じです。そこまで人の心を捨てる必要はないですよね、悲しくなって当たり前なんです。それよりもその悲しみとどう向き合うかが大切です。そして、動物看護師は飼い主様が悲しみとちゃんと向き合えるようにサポートを行います。ですので、悲しみについて知ることがとても重要なんです。そして今回ご紹介する悲しみとの向き合い方はペットロス以外でも知っておくだけできっと救われることがあると思いましたので、ぜひ最後までご覧いただけるとありがたいです!!

グリーフ(悲しみ)の6段階

悲しみのことをグリーフと言いますが、このグリーフには6つの段階が存在します。

1、否認  
なにか悲しいことがあった時、すぐには信じられませんよね。いやいやそんなはずないと事実を否認しませんか?それはグリーフの第1段階であり、正常な防御メカニズムなんです。自分の心を守るために、それを受け入れることができるようになるまで否認をし、受け付けないようにすることが私たち人間の心はできるんですね、そうして自分を守ろうとします。そして動物看護師はこの状態の飼い主様には、「急でしたものね、信じられませんよね」とそばを離れず静かに見守ります。決して、でもこれが事実なんですよと言ってはいけません。この否認とは、悲しみが大きいほど否認も強くなります。それなのにさらに事実を押し付けてしまうとどんどん溝が深くなってしまいますよね、絶対にしてあげないでください。

2、怒り  
だんだんと考えているうちにイライラしてきたりしませんか?私はめちゃくちゃしてしまいます…。誰かに当たってしまったり、物に当たってしまったりってことありますよね。これはグリーフの第2段階です。「動物医療コミュニケーション」という教科でも怒りの裏には必ず悲しみがあると習いました。そんな怒りに反論をするのではなく、その怒りを受け入れてあげること、理解してあげることが大事なんですね。他人であれ自分自身であれ、共感してあげることが本当に大切です。この怒りに反論をしてしまうとさらにグリーフを生んでしまいます。ペットロスの飼い主様の怒りの矛先はやはり医療関係者になることも多いようです。他には家族、自分、動物にまで怒りが向いてしまうこともあります。そこで動物看護師が行うことはその怒りを受け入れることです。すみませんという言葉は謝るようなことをしたのかと誤解を生みかねないので禁句です。この人は今第2段階でとても悲しいんだなと思いながら受け入れてあげることが必要です。

3、すりかえ・取引  
どれだけ怒ってもこの子の命は帰ってこないんだと気づいたら次は奇跡を求めて取引を行うようになります。こういうと想像がつきにくいと思いますので例文を…。
「私が死ぬからその代わりにこの子を生き返らせて」
こんなふうに言う人がいます。気持ちはとても分かります。でもこれってすごい返答難しいと思いませんか?否定も肯定も危ない感じがしますよね…笑 
そしてだいたい周りの人というのはこの辺りで相手をするのに飽き飽きしてくる人が多いみたいで、もう新しい動物を迎えたら?と言ってしまうようです。ですが、これは絶対にしないでください。この状態で新しい動物を迎えても信頼関係を築くことができません。○○ちゃんは出来たのにこの子は出来ない、○○ちゃんはこうだったのにこの子はそうじゃない…こう考えてしまうんです。そんなのその動物にとっても安心出来ないし幸せじゃないですよね。中には同じカラーを付けさしたり同じ名前をつけたりする人もいるみたいです。グリーフをちゃんと消化出来ていないのに新しい子を迎えることだけは絶対にしないことが重要です。

4、沈うつ・悲嘆 
第4段階に至るまでにものすごいエネルギーを消費します。怒るのってめちゃくちゃ疲れませんか?叶わないことを考え続けるのってめちゃくちゃ疲れませんか?グリーフ第4段階ではエネルギーレベルが低下していきます。そんな状態の時に色んなことを提案されるのはとてもしんどいことです。提案されるのは余計疲れさせてしまうのでやめてあげてください。「こんなことで悲しんで弱いですよね」などという言葉を言う人がいましたら、それは当たり前のことなんだよと伝えてあげてください。そして普通、エネルギーレベルが一定になると自然と第5段階に移ることが出来ます。

5、解決・回復・容認・受け入れる  
受け入れるようになって来たらグリーフ第5段階です。ですが、第4段階で留まってしまう方も多いようです。それは第5段階で受け入れることでその子を忘れてしまうのではないか、それならその子がいた時間に自分もそのまま留まっていたい、という恐怖で次に進めないのです。ですがこれは物事の見方の違いで、この子がいたから今までの私、今の私、これからの私がいるんだと考えることが出来れば前に進めるようになると思います。動物看護師はそういった風に飼い主様をサポートしていきます。

6、再出発・自立  
第6段階まで来たら自立することができるようになっていますので新しい子を迎えることになんの心配もいりません。ここでようやく1つの悲しみを受け入れることが出来たということになります。

1〜6までのことをグリーフワークといい、それを支えて見守ることを「グリーフケア」といいます。ペットロスに限らず、大切な人や自分のグリーフケアができるようになれば回復までの時間が早くなり、より楽しい時間が増えると思います。ちなみに大人より子供、男性より女性の方が回復が早いそうです。男性は気持ちを表に出しにくいので、気持ちに気づいてあげれるように特に気をつけて見てあげてください!

上手に受け入れるためにすべきこと

ペットロスに限らず、悲しみと上手に向き合い受け入れることができたらいいですよね。そのためにできることが3つあります。

1、堂々と悲しむ
周囲の反応、場所、時間、タイミングなどに気を配り堂々とその人を悲しませてあげてください。一人アウェイな中だと悲しむに悲しめませんよね。暖かい環境で、なるべく時間をいっぱい使ってください。

2、楽しかった日々を思い出す
これは無理にする必要はありませんが、思い出というのは美化されますので楽しかったことを思い出して受け入れるのもいいかもしれません。その方法として、アルバムを作る、動画を作る、羊毛フェルトでペットのマスコットを作るなど様々です。自分の得意な分野で試してみてください!

3、理解者の助けを求める
同じことを経験した人からお話を聞いてみましょう。ペットを亡くしたばかりはずっとこんな感じで笑えないのかなと不安になることもあると思います。そんな時に経験者から3ヶ月くらいはかかったなぁと聞くだけでもずっとは続かないんだなと思えるみたいで安心感を与えることができます。一般の方は犬が死んだくらいで…と思う方も一定数いると思います。だからこその理解者なのです。

まとめ

悲しみとは決して恥ずかしい感情ではありません。そしてペットロスとは病気ではありません。そうなって当たり前のことなんです。グリーフ(悲しみ)を理解し共感してあげることでより早く悲しみを受け入れることができるようになり、成長できます。
そして動物病院とは悲しい場面の連続です。そこで働く人たちはみんな冷ややかな目で見たりしません。ですのでペットロスでしんどいという方は病院に足を運んでいただき、看護師さんにお話を聞いてもらうのもいいかと思います。決してひとりではないということを忘れないで、ちゃんと自分の悲しみに向き合ってほしいと思います。
余談ですが、この授業を受けていて先日見た「幸せのレシピ」という映画が頭に浮かびました。グリーフワークは全く関係ないのですが、登場する女の子の様子がこれにそっくりだったのでよければご覧ください…。素敵な映画でしたよ(^^)♪ 

最後にここまでご覧いただきありがとうございました!



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