見出し画像

最後に愛は勝つ

夫の長期出張が終わり、ようやく夫婦らしい生活が送れると思っていた矢先に、夫は入院しました。
無事退院できて一週間ほど毎日二人で過ごしています。
入院前は「好きなことだけしたらいい」「できないことは俺がやるよ」ととても頼もしい夫でしたが、病気をしてガラッと生活が変わってしまいました。
今回はそのお話です。

夢の専業主婦生活

私はうつ病を患っており、病気療養も兼ねて、結婚を機に専業主婦になりました。
夫は私が動けないことにも理解があり、「無理をするくらいなら何もしないでほしい。寝ていてほしい」と、結婚前から常々言っている人でした。
4月の中旬頃から約半月ほど同居生活をしていましたが、当時は仕事帰りの夫が晩御飯とお風呂の準備をしてくれていました。
私はというと、お洗濯とお買い物くらいののんびりした生活を送っていて、趣味にも十分な時間を割けていました。
このままのんびりぼちぼち、二人で生きて行くんだろうなと思っていました。
元気になったらランチに出かけたいな~とか、土日は夫と大きめの商業施設にお買い物に行きたいな~とか思っていました。

夫が入院して

5月16日に夫が緊急入院しました。
GW中から調子が良くなかったのですが、次第に歩けなくなって、トイレに立つだけで息が上がるようになっていました。
彼の病気はもっと前からでき始めていたそうですが、入院ともなると今までの生活スタイルでは破綻してしまいます。
私の病状もあり、夫が入院してからは実家に身を寄せる生活が始まりました。

実家では母が主に家事をしてくれます。
私も多少お手伝いはしていましたが、結婚して3ヶ月で病に倒れた夫のことを考えると、不安で毎日涙が溢れてきて、夫が入院するまで2週間弱、一心不乱に家事と看病をしてきた疲れと相まって、精神的にも肉体的にも限界な状態でした。

夫が入院している間は、家族だけでなく、夫のお母さんや病院の方、夫の職場の事務員さん、私の主治医の先生など、いろんな方々が優しい言葉をかけてくれ、力を貸してくれました。
大人って、もっと無責任で冷たくて面倒事は適当に済ませてしまうものだと思っていましたが、助けてくれる人がたくさんいることを知りました。ひとえに夫の人望のおかげかも知れませんが……。

夫の入院中は、いろんな人の力を借り、泣いたり悩んだり、もう嫌だと弱音を吐いたりしながら、夫の荷物をせっせと運んだり病院とやり取りしたり、忙しない日々を過ごしていました。

予定より早く退院した夫を迎えて

病院から、絶対安静で動けない状態だった夫がトイレくらいは歩いてもOKな状態になりました、と連絡があった2日後、「明日退院します」と主治医の先生から電話がかかってきて、慌てふためきました。
まだ検査が残っていると聞いていたので、きっと夫がなにか言ったに違いない、と彼に質問してみると、「点滴が外れたからもうここ(病院)にいる意味はない」と返事が来て、ひっくり返ったのを強烈に覚えています。
正直、トイレに行けるレベルの人が帰ってきてもお世話できる自信がなかったので、夫が退院すると言うたびに「歩けるようになったらね」とか「しっかり治してから帰ってきてもらわないと困る」と言い続けてきたのに、私の負担は全く考えていないのかコイツは……。と怒りすら湧くほどでした。

退院の日、彼は足を引きずりながらムスッとして出てきました。
立っているのがやっとという感じで、駐車場までの数十メートルがとても大変そうでした。
自宅の階段を登りきると、大きなため息と愚痴が飛び出してきて、やはりまだ帰ってくるには無理があったのではないか……と思いました。

それから今日まで約1週間、夫はほとんど家事なんてできない状態で、どうにかスーパーまで買い物には連れて行ってくれますが、足が痛いそうで車からは下りてきません。
体重も肥満の範囲だったので、カロリーと塩分に厳しい制限ではないけれど、注意した食事を心がけるように言われました。

気が向いたとき、元気のいいときだけだった食事の準備を、夫が帰ってきてからは昼・夜と頑張っています。
野菜不足も指摘されたので、野菜多めで塩分控えめで、頻繁に買い出しにも行けないのでまとめ買いしながら頑張っています。
また、今まで担当していたお洗濯や食器の片付け、お風呂掃除なども継続して担当中です。
その他、お掃除なんかも頑張っているし、夫にお茶をついであげたりと、今まで夫に甘えてきたぶん、ほぼ全ての家事を突然やらざるを得ない状況になってしまいました。
自分の時間なんてほとんどありません。
夫は寂しがりやなので、一日中ギャルゲーに勤しんでいても、夜は私との時間が取れないと「寂しい。かまってくれない」と駄々をこねます。
私は家事をしているだけなのに。

そろそろご飯ができるから待っててね、と声をかけると、寝室でYou Tubeを見始めます。キッチン・ダイニングと寝室は引き戸でつながっているのに、わざわざ扉を閉め切ってしまいます。
呼んでも出てきません。
非常にムカつきます。

夫は、かまってほしいと言いながら、寝室に引きこもります。扉はもちろん閉め切って。
私がかまいに来るのを待っています。
行かないと駄々をこねます。
「かまってほしいなら私に近づいてくればいいのに」と言ったこともありますが、有耶無耶にされてしまいました。
非常にムカつきます。

恩師の言葉

幼い頃お世話になった先生が、私たちの結婚に際してお守りの言葉を贈ってくれました。

このように、いつまでも存続するものは、信仰と希望と愛と、この三つである。このうちで最も大いなるものは、愛である。

コリント人への第一の手紙 第13章 13

夫のお世話は大変ですし、ムカつくことだって少なくありません。
私が流石につかれた、以前ならこんなに頑張れなかった、無理も仕方ない、というと、夫は病んだ体で「もういい、俺が全部する」と怒ります。
健康で元気な体だったらすごく嬉しいのですが、今はそんなことさせられません。
幸い、私の体は元気です。多少疲れからの微熱が続いていますが、夫に家事を丸投げするほど疲れてはいません。

夫の子供っぽいワガママや駄々で困ることもたくさんありますが、それでも少し無理をしてでも支えてあげたい、減塩生活でも美味しいものを食べさせてあげたい、私がかまってあげることで寂しさや心細さが消えるのなら、と自分をないがしろにしてでも頑張る底力が出せるのは、やはり愛の力だと思っています。
夫もきっと、私に愛があるから家事を肩代わりしようとするんでしょう。

これからの展望

夫もいつまでも病人というわけではありません。
今はまだ不自由なことも多いですが、退院したからには少しずつ動いてもらおうと考えています。

また、私も例年6月7月は体調を崩しがちなので、そろそろ無理ができない季節に差し掛かります。
今まで、たくさん走ってきましたし、正直結構無理をしてきました。言ってられなかったので、元気なフリもたくさんしてきました。
今月、来月はご自愛月間として、私自身、体とこころの調整もやっていこうと考えています。

夫はまだ出社しないだろうし、二人でゆっくり過ごせる時間が増えたと思って。
初めてのダイエットが夫のお手伝いなのはすごく面白いですが、10kgくらい健康的に痩せてもらえるように。

思っていたよりずっと精神的にも肉体的にも余裕の少ない生活ですが、頑張っていこうな!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?