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こんな時だからこそ「劇場版おっさんずラブ LOVE or DEAD」の話をしよう。


お久しぶりです。お久しぶりすぎたかもしれません。

なかなかに緊張感の高い日が続いております。
とにかく手洗い、十分な睡眠・食事、できることをするのみ。

そんななか、私がまたしてもこのnoteを開き、エモえもんも逃げ出すほどの砂吐きポエム文章を更新することになってしまったのは、お察しの通り「劇場版おっさんずラブLOVE or DEAD」のDVDせいです。

これをお読みいただく方には、大切な人を大切にする心構えと、その手段をお伝えできるかと思います。
私自身は未熟な身なので、ぜんぶおっさんずラブの受け売りだけどネ!

でもこんな時だからこそ、今回はそういった内容をお送りします。

桜舞い散るなかに忘れた記憶と、春田創一の声が戻ってくるこの季節。
全ての人に春よ、こい。と言う気持ちをこめて!

※「おっさんずラブ」映画・ドラマのネタバレ含みますのでご注意ください。






明日に持ち越さない男、ジャス。

「春田さん、大切な人に明日も会えるとは限りません。」

事故で家族を亡くした山田正義(ジャス)は泣きながら春田にこう伝えました。
何回見てもこのシーン、泣けます。

この映画、見ている側にとってジャスは「春田のことを恋愛対象として好きなのではないか?」という"匂わせ"シーンがいくつかあったんです。
でも、ここにきてジャスが春田のことを上司として、人として、そして兄のような存在として好きなんだということがハッキリと判明します。
「あ、恋愛対象じゃなかったのね~」と分かる。

すれちがいが続き、衝動的に牧と別れてしまった春田に対し、ジャスは「大切な人には自分の気持ちをはっきり伝えるべきだ」と、怒りの感情をあらわにしながら伝えるのです。春田のことが大切だからこそ。

ドラマ・映画ともに何度見ても思うのですが、春田と牧には圧倒的に言葉が足りていないんですよね。

春田よ、まずは嫉妬していることを自覚しろ。牧を失いたくないという気持ちをもう一度ちゃんと伝えろ。
牧は、その一言で、安心するんだ。

牧よ、お前は「我慢しない」と決めたのになぜ我慢している?辛いときは春田さんに甘えろ。
それを我慢するのが、いちばん、不誠実だ。

と思いませんでしたか?
えぇ、私は思いましたとも。幾度となく。


個人的にはもっとイチャコラして「まきまき大好き!」「春田さんだいすきです」とか言っている二人を拝見したかったのです。
残念ながら、私が望んでいるようなシーンは見られませんでした。
全日本腐女子連盟の皆さまも、さぞ悲しみに打ちひしがれていたことでしょう。心中お察しいたします。

しかし、ここは気を取り直して、学びたい。
なぜあの二人には言葉が足りなかったのか?

そう、冒頭のジャスの一言に尽きるのです。
「また、明日も会える」と思っているから。


荒井鉄平の"中の人"は「すれ違いコント」で有名ですが、あのコントでも分かるように、すれ違いというものは一度発生するとあっという間に深くなるものです。
そして深く遠くなってしまった距離は、元に戻すのが難しい。

「明日会えるから大丈夫」「今じゃなくていいや」「疲れたから明日にしよう」
と、モヤついた嫉妬や不安を先延ばしにした結果、二人は取り返しのつかないところまで来てしまいます。

やはり先延ばしは良くないネ。
好きなら好きだと言えばいいし、不安なら正直に話すべきなのです。その場で。

パートナーというものは、言ってしまえば「好き」という気持ちのみで繋がる関係。最初から親子のような強さはない。
だからこそ、両者が繋がりを深く刻んでいかなければ簡単に切れてしまうものだと、私は思います。というかこの二人から学んだ。

そこにプレッシャーは必要ない。
けれど、男だろうが女だろうが関係なく、両者がお互いへの敬意や感謝という愛情を積みかさねていく作業が必要なのです。
赤の他人から始まる関係なのだから、その「努力」を怠ってはいけない。
そして、そこで努力する覚悟がなければその先も上手くはいかない。

そりゃめんどくさいこともあるさ。
言いたくもないことを言わなきゃいけないことがあるかもしれない。
見たくないものを見てしまうかもしれない。
それでも根底に「好きだ」という気持ちがある限りは、そのめんどくささを乗り越えるための手間ひまをかけるべきなのだ、と。

ジャスの言葉を"超解釈"するとつまり、こういうことなのではないでしょうか?異論は認めます。

だから大切な人には「明日も会える」と思わず、
連絡を取るなり、「好きだよ」の一言を言うなり、いつもありがとうの感謝を述べるなりするのです。今ここで!



欲しい言葉をくれる男、春田。


春田と牧はすれ違いまくったけれど、決してバッドエンドで終わらないのが「おっさんずラブ」の非常に良いところでして...
劇場版も、最後の最後で今までのすれ違いを大清算することになります。

それが春田の生涯プロポーズ。
ジャスの教えを真剣に受け止めた春田の成長っぷりには滝の涙でしたね。

あのプロポーズには完全に参りました。
あれは、まさに、牧が欲しかった言葉のすべてだった。

そして、ここにも学びがあるのです。

大切な人に何かを伝えるとき、相手が欲しい言葉を言える人はどれだけいるでしょうか?
「結局いつも自分自分となってしまう私は、相手が本当に望んでいる言葉をかられているだろうか?」と大反省しました。

もちろんあのプロポーズは春田の本心ですが、牧の抱える不安や後悔みたいなものをかき消したうえで、牧のすべてを包み込むような愛情深い言葉をどストレートに伝えたんですよね。
もう、これだから春田創一は...。

劇中で、春田は何かにつけて「面と向かってストレートに伝える」とか「誠意をもって話し合えば...」と言っています。
だいたいは仕事に関するセリフなのですが、これこそが春田の生き方であり、牧はそういう「春田さん」に何度も救われてきたのだろうなと思いました。

「大事に想っているよ」と、誰かに言ってもらえるだけで「ああ生きててよかったな」と思えるものです。それが好きな人からだったら尚更。
春田はそれを本能的に分かっているのだと思います。
好きな人には、愛情を包み隠さず伝えることこそが相手にとって一番うれしいことで、同時にそれは紛れもなく自分のやりたいことである、と。

本当に大切にしたいものに気付いた春田の表情には、迷いがありませんでした。

だから私も、相手の愛情を待つのではなく、もったいぶらずに相手が望む言葉を自分からかけてあげられる人になろうと、涙を流しながら誓ったのであります。


この1~3か月の間で世界の状況が大きく変わりました。
行きたい場所に行き、会いたい人に会い、伝えたいことを伝えるだけで、そりゃもう相当に豊かで幸せなんだということが分かりました。

だから、ソーシャルディスタンスを保ち、心の底から、君が好きだと囁きたい。
できることなら、君が好きだと叫びたいが、飛沫に気を付けるためにもささやこう。明日ではなく今すぐこの場で!

というわけで私はこれからも、ラブ&セーフティーな日々が戻ってくることを願いながら、DVDを繰り返し見てゆきます。
みなさまも是非!