救ってくれた人がいる
人生の中で、この人に出会えてよかった、と思える人がいる。
といっても、直接出会ったわけではない。
詳しく説明するのも野暮なので、とある芸術家、とでもしておこう。
その作品に、一瞬で魅了された。まさしく一目惚れ。
今風に「推し」という言い方をしても、もちろんいいのだけど、
少しこそばゆい気もするので、やはり「救ってくれた人」という表現にしておこう。
何の取柄もない、だけど平和な日々を送っていた人生に、目標のようなものをくれた人。
頑張って、何者かになろうと思える人生にしてくれた人。
結局、その頃に熱くなっていた目標は叶わなかったけど、
少なくとも「クリエイティブな日々を送りたい」という思いだけは残してもらった。
ここ数年、災難に見舞われているように見えたその人を心配していたのは、私だけではないはずだ。
日本中にその人から「何か」を受け取った人達がいて、
そのほとんどの人達が泣いていた。そして怒っていた。
そして、憂いていた。
ただただ、その人の幸せを願い、情熱の灯が消えない事を祈った。
そしてついこないだ、その人はこれまでと変わらない作品を見せてくれた。
もうそれだけで、感無量。
そして、初めてその作品に触れた時と同様に、
その人の色と匂いを感じる作品に触れると想いが募る。
「ああ、まだ私を燃やしてくれるのか。激しくはないが、決して消えない火をくべ続けてくれるのか」
と。
だから今日も、私は私でいながら息ができる。
ありがとうございます。いつまでも、あなたがあなたでいられますように。
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