吸血鬼と書庫にて。
夜誰もいない学校に行きたい
空を飛びたい
非日常に出会いたい
異世界に行ってみたい
そんな起こりえないような妄想を膨らませたことは誰だってあるはずだ。
そしてそれは、
ふと思い出したように考え始める。
私は今まさにそんなことを考えていた。
学園にこんな場所があったのか。
私は図書室である本を探していた。
そこで見慣れない通路を見つけた。
不思議に思ってその通路に入ると、
そこに不思議な隠し扉があった。
隠し扉と聞くと、妙にワクワクする。
なにがあるのだろうか。
この扉を開けてみたい。
私の好奇心が止まらない。
そしてその裏腹に危険かもしれないと不安もこみ上げてくる。
しかし私は気づいたらドアノブを握ってひねっていた。
見つけてしまったからだ。
好奇心には抗えない。
危険だったら戻ってこよう。
私はそう決めて
ドアノブを捻ろうと力を入れた瞬間、
ドアノブはバキッと音を立てて壊れてしまった。
私は思わず折れたドアノブを落とし、後ずさりした。
ど、どうしよう。
これが先生に見つかったら怒られるかな。
ドアノブはもうサビていていつ壊れてもおかしくなかったので、自然に壊れたと言えば見逃してもらえるだろう。
そもそもここの隠し扉に気づいている人なんていないから特定のしようがないだろう。
そう考えてるとすこし安心した。
ドアノブは壊れたが、古びた木のドアが開いた。
ドアの先は薄暗いがなにか道があるのが確認できた。
なにがあるのだろう。
また好奇心と不安が止まらない。
危なかったらすぐに戻ろう。
また自分に言い聞かせて私はドアへ入った。
ドアの先は、真っ暗かと思った。
しかし扉に入った瞬間、視界が急に明るくなり、私はまぶしくて思わず目をつぶった。
太陽の光を直視したようで、
目は開けられなかった。
目が慣れてきて周りを見渡すと、
真っ白な空間でなにもなかった。
ただ立っている感覚しか存在せず、
なにかものを掴むこともできない。
ここにずっといると、
平衡感覚もなくなりそうだ。
私は流石にここは危険だと感じ、
戻ろうと振り替えるがもう遅かった。
まわりの景色が真っ白で私がどこからやってきたのか、今私はどこにいるのかすらわからなかった。
その事実に、
私は見知らぬ場所に迷い込んでしまったと確信して、震えた。
とりあえず、出口を探そう。
しばらく歩いてみると、なにか色のついたドアを見つけた。
それに向かって私は歩き、そのドアの前につく。
一歩踏み出すと、こつん、こつんと足音が響いた。
ここはどこ…?
私はあたりを見まわした。
見渡す限り本棚。
見上げて見ても本棚。
ここは書庫なのだろうか。
天井が見えないほど本が敷き詰められていた。
本棚にそって螺旋階段があったのでその階段を登るとかつんと金属の音がした。
この静けさに私は恐怖すら感じた。
本棚を見つめ、本の背を見つめていると気になる本を見つけた。
その本はラテン語で書かれ、どこか不思議な雰囲気の背文字に心を奪われたのだ。
しかし、それ以上に触れてはいけないような雰囲気が漂っていた。
でも、好奇心には勝てない。私はこの本を読んでみたいとその本に手を伸ばした。
手が本の背に触れたそのとき。
私の体は大きな突風が吹いたように力がかかり、思わず目を閉じてしました。
私はなにか大きな力に吹き飛ばされそうになったが、なんとかこらえ、階段の手すりをぎゅっと握る。
しばらくして周りが明るくなったかと思い、目を開いた。
そこにはさっきと同じ書庫の景色が広がっていた。
そう、景色は同じだった。
私が上を見上げるとそこには明らかに異質な雰囲気を放つ少女がいた。
白い肌に腰まで伸ばした銀髪。
現実とかけ離れたその容姿に私はこの目を疑った。目で見ていながら信じられない。
我に返っても私はそれを受け入れることができず、しばらく呆然と立ち尽くしていた。
長いまつ毛を伏せ、本を読む姿はまるでファンタジー小説のワンシーンだった。
ふとその少女は顔を上げ、不思議そうにこちらを見た。
「あら、お客さん?珍しいわね」
透き通った声が響いた。
血を連想させるような真っ赤な目を向ける。
そしてその少女から本能的に恐怖を感じてしまった。
さらに驚いたのは、あの高く細い螺旋階段の手すりに座っていたことだ。
私が、いや、人間があそこに座ったら間違いなく落下する。
私が瞬きすると、
少女は真っ赤な羽のようなものを広げ、私の目の前にやって来た。
一瞬だった。
私は確信した。あの少女は人間ではない。
そう思うとさらに恐怖を覚えた。
少女は、なにも言えない私を珍しそうにジロジロ見つめていた。
?
「それも人間がここに迷い込むなんて。人間がこの書庫に入ったのは何年振りかしら」
私
「にん…げん…?」
彼女が人間でないと確信していながら
恐る恐る聞いた。
?
「えぇ。ここは。危険だから早く人間界に帰ったほうがいいわよ。」
すごいわかる、危険なのは身をもってわかってる。今すぐにでも帰りたい。
そう思い、私がどうやってここまで来たか思い出してみた。
あの本を読もうとしたら…突風みたいなものに襲われて…気づいたらここに…
帰り方がわからない。
彼女に聞けばなにかわかるかもしれない。
私
「あ、あの…つかぬことをお聞きしますが…どのようにして帰れば良いのでしょうか…?」
私の言葉を聞いた途端、彼女は蒼白い顔をもっと蒼くした。
?
「…え、分からないの…?」
そしてすこし考え込んでからため息をついた。
?
「たまにこの世界に迷い込んでくる人間がいるとは聞いていたけど、まさか私が遭遇するとは思ってもいなかったわ。」
そして持っていた本を閉じた。
りら
「私は竪琴りら。あなたの名前は?」
日葵
「あ、えと…鈴城日葵です、」
すこし慌てて言った。
人間の世界ではないなら一体ここはどこなのだろうか。
日葵
「あの、りらさんここはどこですか、?」
恐る恐る聞いてみた。
りら
「ここは吸血鬼の住む魔界の書庫。」
日葵
「魔界…」
そんなものが本当に存在するの…?
私は疑問に思ったが、彼女がさっき一瞬で私の目の前にきたことを思い出すと納得できてしまう。
日葵
「書庫…」
だからこんなに本があるのか。
りら
「ついこの前おじさんから譲り受けたのだけど、私には広すぎて持て余してしまうの。」
日葵
「そうなんだ…おじさんから…」
りら
「この書庫には私が知らない不思議な力がたくさん隠されているらしいの。だからあなたはその力でここに飛ばされたのかしら?」
ヴァンパイアの世界なら魔法とかもありえる。たしかにそれで飛ばされたのかも、
日葵
「元の場所に戻る魔法とかないんですか?」
りら
「魔法はそんな便利なものじゃないわ。しかも私もここに来たのはつい最近だし、帰り方もわからない。」
そしてすこしため息をついた。
りら
「おじさんなら知ってるかもしれないけど」
日葵
「それじゃあそのおじさんに会うしか方法はない…?」
りら
「今、おじさんは遠くの町へ任務に出かけているからしばらくは帰って来ないわ…」
日葵
「そっか…じゃあどうしよう…」
りらさんは少し口角を上げて言った。
りら
「まあ、会えないとは言ってないけど」
日葵
「え、?どういうこと…?」
私の頭ははてなでいっぱい。
りら
「私も一緒に着いて行ってあげる。」
日葵
「え、ほんと!?ありがとう!」
一気に気が楽になった。
りらさんがいてくれたら絶対に人間界に帰れる!
りら
「…その代わり、私のおねがいを聞いてほしいの。今じゃなくていいけどね…?」
おねがい…?なんだろう…
日葵
「…わかった…私にできることならやります。
だからおねがいします。一緒に人間界に帰る方法を見つけてください。」
りら
「ええ、わかったわ。私も人間と会話してみたかったし、ちょうど良いわ。」
日葵
「…そして、帰るにはどうすれば…?」
りら
「今からおじさんに会いに行けば良いのよ。遠いから大変かもしれないけど、行けない距離でもないわ。」
日葵
「え、!?今から?」
私が思わずつっこむと、りらさんはちょっと不服な顔をした。
りら
「帰りたくないの?これしか方法がないんだから仕方ないじゃない…」
日葵
「まあ…そうだけど…」
りら
「ただ私も無策ではないわよ。ある程度楽に行けるように考えてはいるわ。」
日葵
「そうなの…?」
私がそういうと、りらさんは本をぱたんと閉じた。
りら
「ええ、それじゃあ早速出発しましょ。あなたも早く人間界に帰りたいだろうし。」
日葵
「は、はい!」
突然魔界の書庫に迷い込んだ日葵。
りらと共に人間界に戻る方法を探る。
日葵は無事に人間界に戻ることができるのか!?
あとがき
吸血鬼と書庫にて。
第一話を見てくださりありがとうございます!
新しい小説でファンタジーは初めてだと思うんですがどうでしょうか…!?
じつは私、ヴァンパイアものが大好きで…!
よくヴァンパイアもの見てました…!
だから私もヴァンパイアものを書きたいと思いまして…!
これからヴァンパイア要素をどんどん盛り込んでいきたいと思いますのでよろしくお願いします!
(まあ完結するかわからんけど…)
ちなみに冒頭の外国語は翻訳かけてみたら何かわかるのではないでしょうか…?
気になったらやってみてください!
NS学園は…もうちょっとまっててください…ごめんなさい…!
あ、でもクオリティは期待して大丈夫です!!
そこそこ自信がある…
と言うことで今月中に多分出すので…()
楽しみにしていてください!
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書いてくれるとモチベが上がります!
新しい小説がすぐに見れるようにフォローもしてくれるとうれしいです…!
それではまた次の小説で!
またね~!
最後まで、見てくれてありがとうございます! 皆さんのスキやコメントはハナの原動力になってます! 是非コメント、スキお願いします!(*´▽`*)