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君の歌と日記帳。3

7月28日 木曜日。

残り1ヶ月と3日。

私は今日もいつもの通りに学校に行った。

教室に入ってすぐに目についたのは
クラスの王女様的存在感を発揮する雪乃だった。
その周りには雪乃グループの人達がいた。

雪乃の彼氏 悠里と、しおり、そしてしおりの幼なじみの春人だった。

今日は音楽のテストだ。
みんなの前で歌を歌う。
私の得意分野だ。

私の番は雪乃の後だった。
もしかしたらこのクラスになってから私の歌を披露したことがないかもしれない。

私は歌い始めた。
周りから「わあ、うまいね」と歓声が飛ぶ。

私の歌が終わった。
大きな拍手が止まらない。

汐音
「ありがとうございます…!」

うれしい…

その後すぐに雪乃が椅子から立ち上がり、
歌がはじまった。
「雪乃の歌、汐音ちゃんのより全然下手だよね…」「歌ならやっぱり汐音ちゃんだよ。」

そんな声が飛び交う。

雪乃ちゃんも上手なのに…

雪乃は顔を真っ赤にしていた。

拍手も私の時とは全然違った。

雪乃は私を睨んで席に座る。

なにかしてくるかと思っていたが、その時は何もしてこなかった。

お昼休みのことだ。

雪乃
「汐音さーん?今日カラオケ行かない?」

唐突に雪乃が聞いてきた。

汐音
「え、カラオケ?」
奏音と秘密基地で歌いたいのに…

汐音
「ごめん…私、用事があって…」

雪乃
「悠里もいくわよね?」

悠里
「もちろん!いくよ?ね、しおり?」

しおり
「私も予定ないから、行けるよー」

春人
「汐音ちゃんとカラオケかー!お菓子買わないとな!」

私をよっぽどカラオケに連れていきたいのか。

雪乃の鋭い目がこちらを睨む。

雪乃
「もう5人で予約しちゃったから
キャンセル量発生しちゃうのよ〜15分でいいからさ、行こうよ!」


行くなら4人で行けばいいのに。
どうゆう風の吹き回し?

汐音
「ごめん!私は急ぎの予定があるの!雪乃ちゃんは友達多いから、私の代わりも見つかると思うよ!」

私はそう答えた。

雪乃は私を睨む。

雪乃
「じゃあ1週間後とかどう?」

雪乃が代わりの日にちを聞いてくる。

これは…かわすのは無理かな…

私は根負けした。

汐音
「あ…うん、多分大丈夫だとは思うよ。でも、行けなかったらごめんね、」

雪乃
「じゃあ1週間後ね!」

と満足したのか雪乃は他の人の所へ行ってしまった。

1週間後…空いてるかな…

でも、どうしても行きたくない。

行きたくもない人と無理矢理遊ぶなんて絶対無理。

どうしよう…

奏音
「なるほどね…」

私はすぐに秘密基地に行って奏音に話した。

汐音
「どうすればいいと思う…?」

奏音
「その雪乃ちゃんは汐音の歌を馬鹿にしたくてカラオケに誘ったんじゃないかな?」

汐音
「た、たぶん…」

奏音
「うーん…」

しばらくの間、沈黙が続く。

奏音
「行って来なよ!」

汐音
「え…?」

彼女は少し考えていたが、笑顔で答えた。

奏音
「汐音の歌、聴かせてあげなよ!バカにできないくらい上手に歌って拍手させようよ!」

汐音
「拍手…させる?」

奏音
「私は汐音の歌、大好きだよ!透明感があって、想像を膨らませるような声、自信持って!」

汐音
「自信…?」

自信と言う言葉が心に響く。

奏音
「雪乃ちゃんは汐音の歌が上手くて嫉妬してるんだよ。汐音の歌はちゃんと評価されてる。馬鹿にされたぐらいで汐音は負けないでしょ?」

私の歌…認められて…

汐音
「わかった!私、負けない!来週、頑張ってみる!」

奏音
「それでこそ汐音だよ!」


汐音
「奏音…!ありかとう!」

奏音のお陰で少し元気出たかも。

汐音
「奏音!大好きだよ!ずっと友達でいようね!」

気づいた時にはそう言っていた。

奏音はいつものように微笑んでいった。

奏音
「うん…!」

奏音の目には涙が出ていた。

汐音
「えー!?奏音、泣いてるの?!」

私はびっくりして慌ててしまった。

奏音
「う、嬉しくて…、私、友達がいなくて…大好きって言ってもらえて嬉しい…の!」

私達は2人で笑いあった。











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