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聖NS学園23話

この物語を初めて見てくださる人へ


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これまでのあらすじ(これまでの話を簡単に要約しました。)

超名門校の聖NS学園に通う中学1年生の星南羽菜 せいなんはな
生徒会長に憧れ、後期の生徒会に立候補する。

1学期では、羽菜は生徒会のメンバーではないものの、生徒会にやたらと遊びに来たり、生徒会の会議に出席するなど数々の問題行為をしていた。

しかしそれはただの迷惑行為ではなく、行事を成功させるために無理をしている生徒会のメンバーへの気遣いだということが分かった。

後期生徒会選挙では堂々としたスピーチで生徒の心を掴み、
見事当選。

生徒会は運動会の運営として携わることになった。
これまで以上に忙しくなる生徒会、そして姫の異変…?

大分物語が進んでいるので1話から読むことをおすすめします…!
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生徒会のメンバー紹介

生徒会長
星葉 姫 ほしば ひめ
陽太の彼女。明るくてフレンドリー。
お人好しで、羽菜の行動によく振り回される。
ゲームが好きで、よく陽太と遊ぶ。

副会長
八雲 蒼生やくも あお
突っ走る会長や庶務のストッパー役。
重めのショートボブがチャームポイント。
見た目とは裏腹に甘いものが好き。
じつはスイーツを食べすぎてよく金欠になる。

書記
白銀 黒 しろがね くろ
音楽全般が得意。生徒会のまとめ役だが、最近は自由すぎるメンバーに苦労している。
本当は女だが、学園の生徒たちからは男認識をされている。黒本人は気にしていない。

会計
熊野 陽太 くまの ひなた
姫の彼氏。
会計の名は伊達じゃなく、成績トップの秀才。
蒼生とは気が会う男友達。
よく恋愛相談をするらしい。

庶務
星南 羽菜せいなん はな
場を盛り上げるためには何でもするが、
それ故に問題行動もしばしば起こす。
記憶力が良く、瞬時にものを覚えることができる。



聖NS学園23話

_姫視点_

急に足が動かなくなって私は階段から転落してしまった。

久しぶりに足が動かなくなって、私はかなり焦った。

足が動かない理由は知っている。

でも久しぶりにこの症状がおきた。

最近症状が出てなかったから油断してたなぁ…

みんなの前で転落しちゃったから、みんなに迷惑をかけちゃったかな…

そのあと、陽太に連れられて、保健室に向かった。

ベットに安静にするよう指示されて

私はベットで横になっていた。

ふと、昔のことを思い出す。

そういえば、あの子元気かなあ…

と昔の友人を思い浮かべた。


「あの子は運動会、見にきてくれるかな…」

陽太
「あの子って?」


「わっ!?陽太!?聞こえてたの!?」

心の声が聞こえていたみたいだ。

陽太
「普通に聞こえてたけど…考えごとしてたから声かけずらかったんだよ。」

と陽太は寝ている私に近寄る。


「そうなんだ…!ごめんね!」

と私は陽太に謝り、体をベットから起こした。

陽太
「あの子ってなんだよ。」

そう言う陽太の目は少し怖かった。

どうして怒ってるの…?


「え、えっと…」

陽太
「もしかして男子か?俺の知らないところで付き合ってたりしてんのか!?」


「え!?なんでそうなるの!??違うよ!あの子は女の子だし!」

陽太
「そ、そうか…それなら良かった…」

陽太はすこしほっとした様子だった。

陽太は嫉妬してたのか!

安心した様子の陽太がかわいいなって思った。


「あの子って人は、昔の友人。運動会、来てほしいな…って思っただけ。」

陽太
「あの子って姫は言ってるけど…名前はなんて言うんだ?」


「…分からないの。あの子は名前を教えてくれなかった。私も教えてない。」

陽太
「不思議な人なんだな。どう言う関係の友達?小学校の友達?」


「うーん、まあ知り合ったのは小学生の時。丁度私が受験生だった時かな。」

陽太
「え、受験生の時?」

と陽太は少し思いつめた顔をした。

そう、私が受験生のときは色々あって、友達がいなかった。


「うん、私の数少ない友達のなかでも大切な人。」

と動きにくい足でベットから起き上がり、ベットに座った。

隣に陽太が座る。


「少し、私の昔話に付き合ってほしいな…」

陽太
「…ああ」

そして私は自分の足を少し撫でて、ゆっくりと陽太に語った。








私は生まれつき、手足が不自由だった。
今は何度もの手術のお陰でだいぶ良くなっているが、
昔は鉛筆もまともに持てず、歩くのも困難だった。

陽太は、このことは知っているけど、羽菜達にはまだ打ち明けていない。

打ち明けられない。

嫌われたらどうしようというのが頭をよぎる。

私が受験生のときはある程度直ってはいたが、
何時間も勉強をすることはできない。

それでもみんなに少しでも追いつきたかったから必死に勉強して、
工夫した。

そのおかげで普通の中学には入ることができる学力はあったが、

まだまだ足りない。塾の中ではいつも最下位だ。

でも必死にもがいた。

私は、私の限界を知りたい。

今、不自由でもあした、明後日は絶対に良くなると信じて生活をしていた。

手足が良くなった時に、私の出来なかったことを思いっきりできるようにしたい、その一心で頑張っていた。

そのせいだったのか、
ある日突然、勉強のしすぎだったのか、
テスト中に鉛筆が持てなかった。

そのテストは白紙で提出。
塾の先生は私を呼び出して問い詰めた。
塾の先生には事情を説明していたはず。
だけど問い詰めた先生は新人の先生。
私の事情なんて知らなかった。

先生
「君さぁ…言い訳するぐらいならやる気なかったって言いなよ。センスないから受験やめたら?」

私が事情を話すと先生にはそう冷たく言われた。

先生には言い訳だと決めつけられ、全く相手にされなかった。

毎回テストは最下位。
このままだとどこも合格しない。
そんな私は塾にはいらないのだろう。

塾にも学校にも友達はおらず、
学校ではバイキン扱いをされ、
避けられていた。

私はどこにも居場所がない。
もう全てやめてしまおう。そう思った。

私はあの後、家には帰らず、
公園で1人泣いていた。
悔しくて、見返してやりたくて、公園のブランコに座って、教科書を広げていた。

でもどうしても分からない問題があった。
教科書に書いてある正答率は小学6年生で1%。
何としても、
時間をかけてもこの問題は解きたかった。
何度も解答も見て、もう一度解き直す。
それでも答えは合わない。

もう、やめようかな…
やっぱり私には才能は無いのかな。

するとその時、

あの子
「101.428」


「!?」

あの子が口にしたのはこの問題の答えだった。

びっくりして、思わずテキストを地面に落としてしまった。

そして何よりもびっくりしたことは、

彼女が明らかに私よりも年下だと言うこと。

小学6年生ですら正答率は1%だった。

そんな問題を解答も見ずに暗算で解いた。

…彼女は何者?

彼女は少し大きめのパーカーを着ていた。

ポケットに手を突っ込んでおり、
失礼だけど勉強ができそうには思えない。


「なんで分かったの…?君、私より…」

と私は言うと、彼女は視線を急に逸らす。

あ…

彼女の目線の先には、
私がいつも使っている杖。

また、障害者だって除け者にされるのか…


「お姉さん、どうしたの」

と無表情で聞く。

話しかけてもらえるのは意外だった。


「わ、私?…なんでもないよ。ちょっと勉強でつまずいちゃって落ち込んでただけだから。」

彼女はすこし考えてからこう言った。


「じゃあ教えてあげる」

え?


「ところで他にわからない問題とかある?」


「え?」

私には衝撃的な言葉だった。

今まで障害者だからって除け者にされて、友達も陽太以外にいなくって…

だけど、あの子は除け者にしたりなんてしなかった。


「これ、〇〇塾のテキストだよね」

といつの間にか落としていたテキストを渡してくれた。

私はぺこりと会釈してそれを受け取った。


「え、あ、うん。でもなんで知ってるの…?」

私は彼女にそう尋ねた。


「…その塾、通ってた」


「通ってた?過去形?」

と疑問に思い、思わず質問が飛び出る。


「…色々あって。」

とパーカーの紐を引っ張る。

彼女は少し懐かしそうな、そして悲しそうな目をしていた。

まるで「深掘りしないで」…と言うように。

私はそれを見て、話題を変えないと…と思った。

なので、一番気になっていたことを聞いてみた。


「あ、あの、君、この足、気にならないの?」

私は思わずそう聞いてしまった。


「…え…?なにが?」

とあの子は言った。


「私、障害者だよ?歩けないし、物だって持てないんだよ?」


「…それで?」

興味がなさそうに答える。


「なんで障害者の私なんかに話しかけたの?」

私はそう身を乗り出す。


「私はそういうのに興味ない。
話しかけたいから話した。それだけ」


Г... ! 」

平然とそう言うあの子はどこか悲しそうな目をしていた。


「それよりさ、私の質問に答えて。分からない
問題、まだあるの?」


「あ、うん、一応あるけど・・」


それから、私がいつものように
公園に行くと、
いつもあの子はブランコに座っていた。

私が声をかけると、
無表情ではあるけど、薄らと笑みを浮かべた。


「またきたの…?」


「えっとね…分からない問題かあって…」


あの子は本当に不思議な子だった。

感情も分かりにくかったし、
なによりも天才だった。

話を聞くとあの子は塾でも主席だったらしい。
なのに、塾を辞めたらしい。

私はあの子が羨ましかった。

才能がない私には到底届かない道。

鉛筆ですら持てない私とは大違い。

できるかもしれないと夢を見ても、現実を突きつけられる。

圧倒的な差。

埋まらない。

あの子は私にとっての星だった。

手を伸ばしても足掻いても無理なんだ。

だけど、私はあの子みたいに優しく手を差し伸べられるような人になりたい。

私はあの子を夢見て、
あの子の姿に勇気づけられて、

必死になって勉強をした。

今までも必死だった。

でも、これじゃあ足りない。

あの子を見てそう感じた。



私は本格的に受験勉強をすることを決意した。

もう公園には来ない。

それくらい本気で。

でも、あの子には言えなかった。

私が公園にやってくると無表情のあの子は薄っすら笑みを浮かべるから。

少しでも嬉しそうにするから。

そのことを話す勇気がなかった。

そのまま時間だけが過ぎて、
とうとう私はあの子に話せなかった。

だからせめて別れの挨拶だけはって思って手紙を書いた。

名前の知らない君へ

あの日からは合格するために必死に勉強した。だけどそれだと公園にいく余裕はないからこれからは来れない。
急でごめんね。
でも絶対に合格するから…
聖NS学園で再会しようね

お揃いのキーホルダーを入れてあるからそれを目印に探そうね


NS学園に合格した今、

私はあの子にNS学園に受かったって伝えたい。

だけどあの子は名前を教えてくれなくて、
手がかりがない。

キーホルダーを頼りに私はあの子を探している。

でも私はこの前キーホルダーを
どこかで無くしてしまった。

だから、もうあの子に会うことは難しいかもしれない。

だからせめてあの子と交わした約束だけは守りたい。

NS学園で再会する…

そして、学校を楽しい所にする…!!

私は運動会であの子再会できるのを願って…


「って話。」

陽太
「…そうか…そんな話があったのか…」

と陽太は私を抱きしめた。


「…!?」

陽太
「あの時、姫がそんな辛い思いしてたの知らなくてごめん…」


「いいや…べつにいいよ…私はNS学園に合格できたし…話さなかった私も悪いし…」

そう言うと、陽太はベットから立ち上がり、
言った。

陽太
「…じゃあ、せめて姫の探してるあの子を体育祭で探すの、手伝うよ、あの子は中1なんだろ?探せば見つかるって…!」

…でも…あの子がNS学園にいるって確証はない…
そして私のことを覚えているかすらも分からない…


「きっと見つからないよ…見つかる可能性は…」

陽太
「じゃあ羽菜達にも協力してもらえば…特に羽菜ならあの子と知り合いかも知れないだろ…?」

…!それはっ…


「…羽菜達には話したくない…余計な心配はかけたくない…」

しばらく沈黙が続く。

羽菜
「姫先輩っ!」

とその時、羽菜達が保健室へ駆けてきた。

羽菜
「先輩大丈夫ですかっ!?」

すぐに羽菜は私の近くまで寄って、心配してくれた。

この様子だと、話は聞かれてないようだ。


「…うん、大丈夫だよ…ちょっと足を捻っちゃったみたい…」

と私は羽菜に嘘をついた。

やっぱり羽菜達には余計な心配はかけられない…

蒼生
「姫が急に倒れたからすごく心配した。」


「姫、やっぱり疲れてるんじゃない?」

と2人も心配してくれた。

…違う…そうじゃないの…

羽菜
「はい、先輩!先輩が好きだって言ってた緑茶です。」

と羽菜は私に緑茶を渡してくれた。

私、緑茶好きだって羽菜に言ったっけ…?

羽菜はやっぱり記憶力がいいなぁ…


「あ、ありがとう…よく覚えてるね…」

羽菜
「とーぜんですよっ!姫先輩のことはなんでも知ってるんですからっ!」

と羽菜は純粋な眼差しを向けた。

私は羽菜に隠してることがあるのに…

私は取り繕うように笑った。


「そうだね…っ」

陽太もなんとも言えないような顔をしていた。

羽菜
「……先輩…?」

羽菜は不思議そうな顔をして私を見つめた。


「姫も、あんまり無理はしちゃだめだよ…?また倒れちゃうかもだから…」

黒が私に話しかける。


「うん…ちゃんと管理するから…」


陽太
「そろそろ最終下校時刻だ。姫、立てる?」

陽太にそう言われて私はベットから立ち上がった。

陽太はすこしホッとした顔をした。

羽菜
「あ、そうだっ!円陣組みません?気合い入れ直すために!」

と羽菜が急に言った。

蒼生
「円陣…っ?急に?まあいいか…w」


「保健室で円陣組むのはどうかと思うけどw」

すこし緊張した雰囲気をすぐ消し飛ばしたのはやっぱり羽菜だった。

私と陽太も円陣に加わった。

羽菜
「体育祭までのこり1週間!無理は絶対せず、必ず成功させましょ!」

蒼生
「そうだね!絶対成功させよう!」


「これからもっと忙しくなるけどラストスパートだよ!頑張ろう!」

陽太
「体調管理も勉強も気をつけて成功させよう!」

各々が言葉をかけていく。

私もこう言った。


「みんな、さっきは心配かけてごめん。でも最後の体育祭、絶対成功させてみせる!だからみんな、あと1週間よろしくね!」

そして羽菜がこう言った。

羽菜
「体育祭、絶対成功させるぞ〜っ!!」

生徒会
「お〜〜〜っ!」


あとがき
最後まで、見てくださりありがとうございます!
どうでしたかっ!
姫先輩があんな秘密を抱えてたなんて絶対みんな予想出来なかったよねっ!
これ、姫先輩のキャラ設定を考えてくれた
ひめたんが提案してれた裏設定です!!
素晴らしい設定!
ひめたん、協力ほんとありがとう!

たぶん設定がだんだんごちゃごちゃになるから
解説編とか作ろうかなって思ってる!
作者本人は理解してるけど読者さんが理解してないところ
っていうのを書きたいから質問どんどん頂戴!


ちょっとずつ、物語らしくなってきたNS学園、
次回はいよいよ体育祭です!
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是非次回も見てね!















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