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聖NS学園24話


この物語を初めて見てくださる人へ


登場人物の設定はこちらから

過去の話はこちらから

総集編はこちらから

これまでのあらすじ(これまでの話を簡単に要約しました。)

超名門校の聖NS学園に通う中学1年生の星南羽菜 せいなんはな
生徒会長に憧れ、後期の生徒会に立候補する。

1学期では、羽菜は生徒会のメンバーではないものの、生徒会にやたらと遊びに来たり、生徒会の会議に出席するなど数々の問題行為をしていた。

しかしそれはただの迷惑行為ではなく、行事を成功させるために無理をしている生徒会のメンバーへの気遣いだということが分かった。

後期生徒会選挙では堂々としたスピーチで生徒の心を掴み、
見事当選。

ついに始まった体育祭!
生徒会メンバーは体育祭を成功させるべく当日の運営を頑張っていた。
一方、姫はひそかにあの子の行方を探していて…?

生徒会のメンバー紹介

生徒会長
星葉 姫 ほしば ひめ
陽太の彼女。明るくてフレンドリー。
お人好しで、羽菜の行動によく振り回される。
ゲームが好きで、よく陽太と遊ぶ。
実は、ある秘密を持っていて…?

副会長
八雲 蒼生やくも あお
突っ走る会長や庶務のストッパー役。
重めのショートボブがチャームポイント。
見た目とは裏腹に甘いものが好き。
じつはスイーツを食べすぎてよく金欠になる。

書記
白銀 黒 しろがね くろ
音楽全般が得意。生徒会のまとめ役だが、最近は自由すぎるメンバーに苦労している。
本当は女だが、学園の生徒たちからは男認識をされている。黒本人は気にしていない。

会計
熊野 陽太 くまの ひなた
姫の彼氏。
会計の名は伊達じゃなく、成績トップの秀才。
蒼生とは気が会う男友達。
よく恋愛相談をするらしい。

庶務
星南 羽菜せいなん はな
場を盛り上げるためには何でもするが、
それ故に問題行動もしばしば起こす。
記憶力が良く、瞬時にものを覚えることができる。


NS学園第24話

よーし!今日は待ちに待った運動会だぞー!

全校生徒が半分に分かれて、勝負するんだよ!

私と姫先輩と黒先輩は白組!

陽太先輩と蒼生先輩は赤組。

でも組み分けの時に姫先輩はちょっと残念そうだった。

陽太先輩と違う組だったもんね。

私は普段の登校時間よりもはやく登校して、昨日立てたテントに向かった。

生徒会は前日のテント立てと、
本部のテントの椅子や机を用意する仕事がある。

生徒会は本部のテントで他の学年の出し物を見たりする。

私は先輩達がこのテントにやってくるまで、
折りたたみの椅子を出したり、
長机を出したりした。

生徒用のテントもあるけど、
生徒は1人1つ自分の椅子を自分で運ぶ。

それにしても先輩達遅いなぁ…

このままだと私が全部生徒会の仕事をやることになっちゃうけど。

それはなんかやだなぁ…

私がそう考えながら自分で用意した椅子に座った。

しばらくすると、蒼生先輩と黒先輩が放送用の機材をもってやってきた。

蒼生
「…なにしてるの?」

椅子に座る私を見て言った。

羽菜
「疲れたから、ちょっと休憩してるんです!」

黒先輩は姫先輩と陽太先輩がいないことに気づいてため息をついた。


「あー。またあの2人は生徒会の仕事サボってイチャイチャしてるのかなー?w」

蒼生
「なら僕達が仕事やっておかないとなーww」

蒼生先輩がからかうように言い、持っていた機材を長椅子に置いた。

羽菜
「そうですねぇ…w」

と私は椅子から立って、準備を再開した。

蒼生
「まだカラーコーン置いてないから手伝ってくれる?」

黒&羽菜
「はーい」


「2人とも、体調は大丈夫?」

と黒先輩が聞いてきた。

羽菜
「はい!準備万全ですっ!」

蒼生
「まあ、足引っ張らない程度かな」

そう言って蒼生先輩はカラーコーンを渡す。

羽菜
「あ、ありがとうございます!」

私はカラーコーンを受け取ってトラックの端にぱこんと置いた。


「じゃあ僕はあっちのほうにコーン置いてくね〜」

と黒先輩は走っていった。

蒼生
「黒も羽菜も朝から元気だなぁ…」

と蒼生先輩は眠そうに目をこする。

羽菜
「あ、そうだ先輩!私達のソーラン節是非見てほしいです!」

私は蒼生先輩に言った。

蒼生
「あ、そういえば1年生はソーラン節だったよね」

羽菜
「そうなんです!是非見てくださいっ!」

蒼生
「わかった。じゃあ姫達も呼んでみんなでみようかな。」

羽菜
「やった!ありがとございます!私も騎馬戦とか組体操とか全力で応援しますね!」

蒼生
「うん、ありがとう!」

しばらくしてから、陽太先輩がやってきた。

陽太
「ごめん、遅れた〜」

蒼生
「また姫といちゃついてたのか〜?w」

とすぐに蒼生先輩は聞く。

陽太
「あっ…いや違くて…」

と小声で言った。

えっ…?なにかあったのかな?


「ん?そうなんだ。じゃあ姫は?」

とカラーコーンを置いて戻ってきた黒先輩は陽太先輩に聞いた。

陽太
「姫は遅れるってさ。やることがあるみたいで。」

陽太先輩が小さく呟いた。

羽菜
「えっ…?やること…?」

すると陽太先輩は慌てた様子で言った。

陽太
「あ、姫は大丈夫だって!だから作業先にやっててだって!」

羽菜
「…?ちょっと心配だけどっ…分かりました!」

すると陽太先輩は放送機材の前に座った。

陽太
「とりあえずまずは放送のチェックするかな。」

羽菜
「あ、じゃあ私も手伝います!」

陽太
「じゃあ音が聞こえてるか校庭の端に行って確認してほしいな。」

と、校庭の端を指差す。

羽菜
「了解です!」

私は校庭の端までダッシュで向かう。

陽太
『放送のチェックするよー』

陽太
『あーあーマイクテストー』

少し小さいけど聞こえた。

羽菜
「もうちょっと音量上げてくださーーーい!!」

と大声で叫ぶ。

すると立ち入り禁止の看板を置くために
近くにいた黒先輩と蒼生先輩はびっくりしていた。


「うるさっw」

蒼生
「急に叫んだからびっくりしたよw」

羽菜
「あ、ごめんなさいっw」

陽太
『これでどうですかー?』

蒼生&黒&羽菜
「聞こえまーす!」

こうして作業を続けると、姫先輩がやってきた。


「みんな〜遅くなってごめん!」

姫先輩は本部テントの方へ駆け寄ってきた。

羽菜
「あ〜!!姫先輩〜!大丈夫ですか〜!?」

と私も姫先輩の方へ駆け寄った。


「作業やってくれてありがとね。まだ終わってなかったら手伝うよ?」

羽菜
「あ、作業のほうは大丈夫です!それこそ姫先輩も、やること終わったんですか?」

私がそう言うと、姫先輩は顔を歪めた。


「う〜ん…結構行き詰まってね…」

と腕を組んだ。

羽菜
「あ…そうなんですね…なにしてたんですか?」


「……う〜ん…簡単に言えば人探しかな…」

とむずかしい顔をする。

羽菜
「人探し…?どんな人なんですか?」


「それがわからないの…昔の友達だから…だから諦めてきたの…」

え…?顔も分からない人を探してるの…?

羽菜
「顔分からないのに人探ししてるんですか!?」


「う〜ん…顔見れば分かると思うんだけどなぁ…」

と頭を抱える。

羽菜
「私だったら一回会ったことある人ならほとんど覚えてるんだけどなぁ…」

と姫先輩を見つめる。


「そっか…羽菜記憶力良いもんね…なんでも便利そう…」

姫先輩がぽつりと呟く。

その言葉にギュッと心が苦しくなったような気がした。

羽菜
「え…?便利…?」


「…?」

しばらく沈黙が続く。

蒼生
「おーい羽菜〜応援団呼ばれてるよ〜」

蒼生先輩の声が聞こえた。

羽菜
「あ、はーい」

蒼生
「運動会の準備も終わったし、ホームルームが始まるから僕たちは教室に戻ろうか。」


「そうだね、羽菜は応援団か…いってらっしゃい〜」


「また本番でねー」

羽菜
「はーい」

私は応援団の方へ向かった。

羽菜
「………便利…か…」

ふと足を止めて言う。

私は記憶力がいいけど、
どうしても思い出せない記憶が1つだけある。

それがちょうど受験生だったときの記憶。

私の今の記憶では、気づいたら受験を受けていて、合格していた。

思い出そうとすると、頭が痛くなって
思い出すのを拒否している。

今の私にとっては人生の中で1番重要な記憶だ。

それなのに便利って…ちょっと酷いな…

でもそう言っても誰も私のこと気持ちを理解してくれないだろうから…

この感情を心の内に収めている。

思い出したい記憶が思い出せないことが
どれだけ辛いか、みんなはわからないだろうなぁ…

私は失った記憶をいち早く取り戻したい。

いや…そんなことを今考えてもしょうがないかぁ…

とりあえず今はこの運動会を楽しむだけ!

私は自分の頬を両手でぱしっと叩いて、
気合いを入れ直した。

羽菜
「よーし!がんばるぞ〜っ!」


姫視点

朝のホームルームが終わり、運動会が始まる。

全校生徒がラジオ体操をした。

開会式が終わったので、
私は蒼生と陽太と競技を見ることにした。

黒は仕事があるらしい。

これから一年生の徒競走が始まる。

羽菜が「絶対、ぜーったい見てくださいねっ!」

と言っていたので、1番前の席を取った。

蒼生
「そろそろ徒競走始まるよ。」

陽太
「しっかり見ないとな。」

しばらくすると、放送が流れた。

かすみ
「実況は私、白崎霞と」


「白銀黒でお送りいたします。」

へー。黒が放送担当なんだ。


「まずは一年生の徒競走です。どんな走りを見せてくれるのでしょうか!」

かすみ
「一年生が入場します。」

すると一年生が入場門から元気よく走ってきた。

そして綺麗に整列する。


「羽菜ー!がんばれー!」

羽菜の場所はわからなかったけど応援をした。

「位置について、よーいドン!」

ピストルの音が鳴り響く。


「羽菜は何番目って言ってた?」

私は蒼生に、順番を聞いた。

蒼生
「2レース目だって。しっかり見ないと怒られるよw」

陽太
「羽菜って走るの早いのかな?」

蒼生
「リレーのアンカーらしいからそこそこ早いんじゃない?」

そして1レース目がゴールすると羽菜がレーンにやってきた。

ファン
「きゃー!羽菜ちゃん頑張って〜っ!」

羽菜が登場すると歓声に包まれた。

羽菜
「みんなー!応援ありがとー!」

ファン
「きゃーーっ!ファンサ神ー!」

みんなに応援されるようになってる…
この前の努力が実ったんだな…(21話参照)

「位置について、よーいドン!」

パーン!

そんなことを考えていると、ピストルの音が鳴り響く。


「羽菜〜!いけーっ!」

私は大きな声で応援した。


「さあ、始まりました。おっと、先頭は白組!圧倒的な速さで紅組を圧倒しています!さあこのまま逃げ切れるのか…はたまた紅組が逆転するのか…!」

羽菜は周りの人を一瞬で抜かし、
一位に躍り出た。

蒼生
「はっや…」

陽太
「そこそこどころじゃないぞ…これ…」

蒼生も敵チームながら思わず呟いていた。

そして羽菜はそのままゴール。


「白組ゴール!」

羽菜
「やった〜っ!一位だっ!」

と羽菜は息切れもせず、言った。

陽太
「さすがリレーアンカーだな…」

そして生徒待機席には飾り付けがされたうちわを持っている生徒が多くいた。

ファン
「キャーーっ!」

ファン
「羽菜ちゃんさすが〜っ!」

ライブみたいだなw

ファン
「羽菜ちゃーん!ファンサして〜!」

羽菜
「みんな応援ありがと〜!」

と羽菜はファンの生徒に向けてピースした。

ファン
「きゃあああっ!」

そしてファンに写真を大量に撮られていた。

てか、羽菜、いつからめちゃくちゃ人気になってファンクラブもできるようになったんだ…?
(21話以降からです)

羽菜
「せんぱーーーいっ!」

と聞き覚えのある高い声が聞こえたかと思うと、後ろから抱きつかれた。


「おお!おかえりっ。」

羽菜
「どうでしたかっ!私速かったでしょ!」

目をキラキラさせて聞いてきた。

陽太
「めっちゃ速かったね!びっくりしたよ。」

羽菜
「本当ですかーっ!?やった〜っ!」

陽太がそういうと羽菜は無邪気に喜んでいた。

羽菜
「ソーラン節も絶対見てください!頑張って踊るので!」


「うん、楽しみにしてるよ!」

私がそう言うと、羽菜はにこにこした顔で言った。

羽菜
「あ、先輩達の徒競走もしっかり目に焼き付けますね!」

と羽菜は嵐のように去っていった。

本当に元気だなぁ…

実行委員
「3年生の皆さん徒競走の準備をお願いします!」

すると、実行委員の人の声が聞こえた。

蒼生
「あ、つぎは俺らか。」

と蒼生と陽太が椅子から立ち上がる。

陽太
「味方チームだけど、蒼生負けないからな!」

と拳を蒼生に突きつけた。

蒼生
「おう!」

と蒼生も拳をぶつけた。

それを見て、私も立ち上がった。


「2人とも、それじゃあ行こう!」


羽菜視点

私はゴールの目の前に場所を取って、先輩応援グッズを用意した。

羽菜
「姫先輩〜っ!!頑張れ〜!」

よぉーし!発声練習はバッチリ!

愛桜
「プログラムNo.2。3年生による徒競走です」

「3年生が入場します」

と三年生が走って入場して来た。

羽菜
「きゃ~~っ!!姫先輩っ!!」

と周りのファンクラブの人の応援を
かき消すぐらいの歓声を上げた。

はちまきを巻いた姫先輩かわいいっ!

体育着の姫先輩かわいい!

走ってる姫先輩まじかわいいっ!!

かわいいの三要素揃ってる!!!

姫先輩推せる!

歓声を浴びたのは姫先輩だけではなく、

蒼生先輩や黒先輩、陽太先輩も
同じくらいの歓声を浴びていた。

さすが生徒会だなぁ…

姫先輩は割と前の方に並んでいた。

羽菜
「姫先輩っ!がんばれ〜っ!!」

この歓声の中、私は負けじと声を挙げた。

愛桜
「それでは、3年生による徒競走スタートです!」

その合図と同時にピストルの音が鳴った。

1番前の列の先輩が走り出す。

3年生の徒競走はやっぱり迫力があるなぁっ…

姫先輩は4レース目だ。

姫先輩はなんだか元気が無さそうだった。

緊張してるのかな…?

3レーン目の人が走り切った。

走り切って、会場が少し静まった。

今がチャンスっ!

羽菜
「ひめせんぱぁぁいっ!がんばれぇええ!」

大声で応援した。

周りの人がみんなびっくりしていた。

さすがに姫先輩にも聞こえたのか、

姫先輩は私に向かって微笑んだ。

ファン
「きゃぁぁっ!姫様私にもファンサして〜っ!」

それを見た姫先輩のファンは大声で応援し始めた。

審判
「位置について、よーい!」

私は姫先輩に釘付けになった。

パーンっ!

羽菜
「がんばれ〜〜っ!」

姫先輩はゴールに向かって全走力で走った。

そしてコーナーを曲がり、私の目の前を通った。

羽菜
「姫先輩いけ〜っ!」

私も精一杯の応援をかけた。

姫先輩が目の前を駆け抜けたと思うと、姫先輩はもうゴール付近にいた。

羽菜
(姫先輩…はやっ…!)

姫先輩が全走力で走っているところは私も見たことがなかったけど、

姫先輩ってこんなに足が早かったんだ…っ

姫先輩はぶっちぎりでの優勝。

会場は歓声に包まれた。

羽菜
「姫先輩〜っ!!かっこよかったです!!」

私も声をあげるが、姫先輩はレース前のように笑いかけてはくれなかった。

羽菜
「…!姫先輩っ…?」

姫先輩は少し屈んで俯いていた。

もしかして何かあった…っ!?

私は周りの人達をかき分けて、姫先輩の元に向かった。

羽菜
「…っひめ先輩っ!」


「…っ羽菜…?どうしたの…?」

姫先輩は足を押さえて苦しそうな顔をして言った。

羽菜
「それはこっちのセリフです!」

徒競走で足ひねっちゃったのかな…

羽菜
「とりあえず、保健室に行きましょう!」


「大丈夫…もう痛いのは治ったから…」

と姫先輩は立った。

羽菜
「本当に大丈夫なんですか…?」

この前も足ひねってたよね…?(23話参照)


「うん、大丈夫!心配かけてごめん!」

と姫先輩は笑った。

なんだか、姫先輩に嘘をつかれているような気がした。

きっと心配かけたくないって思ってるんだろう。

羽菜
「姫先輩…何かあったら遠慮なく教えてくださいね…?」

私はそう言った。


「……羽菜急にどうしたの?w私は大丈夫だよ!」

羽菜
「それならいいんだけど…」


「ほら、羽菜も競技あるでしょ?テント戻った方がいいよ?」

姫先輩は急かすように言う。

羽菜
「…わかりました…」



「それでは只今より、お昼休憩になります。」

私はその放送がなった瞬間、全力で姫先輩のところに走っていった。

羽菜
「姫先輩いいいい~!」


「あ、羽菜。そんなに急いでどうしたの?w」

羽菜
「はあ、はあっ…」

全力で走ったせいか、息切れが止まらないっ!


「すごい息切れw」

そういって姫先輩はバックからペットボトルを取り出す。


「はい。これ飲みなよ。」

そして私に手渡してくれた。

羽菜
「はあっ…あ、ありがと…ございますっ…」

私はペットボトルの水を一気に飲み干した。


「飲むの早いなwで、どうしたの?」

羽菜
「あっ、そうだった…目的忘れることだった…っ」

私はペットボトルのキャップを閉めて、
真剣な眼差しで姫先輩を見つめた。

羽菜
「姫先輩っ…!一緒にご飯食べたいです!」

姫先輩はポカンとしていた。


「え、そんなことのために全力で走ってきたの?」

これには私もポカンとしていた。

羽菜
「そうですよ!!」

すると姫先輩は笑い出した。


「あははっ…wそんな一生懸命にならなくていいのにっww」

私は笑われてちょっとむっとした。

羽菜
「そりゃ、一生懸命ですよ!」

私はそう言い返すと姫先輩は笑顔で言った。


「私はどこかに行ったりなんてしないよっ?」

羽菜
「……え?」

反射的にそう言ってしまった。


「えっ…?」

と姫先輩も驚いたように小さく呟く。

羽菜
「はっ…たしかにそうですね!」

私の言葉を聞くと、姫先輩はにこっと微笑んだ。


「せっかくだし、生徒会のみんなで食べない?」

羽菜
「え!?いいんですか!?」

私は目をキラキラさせて姫先輩を見つめた。


「うん。最初からそのつもりだったし」

私は胸にじーんときた。

羽菜
「先輩っ…やさしっ…」

私が感激していると、突然姫先輩のスマホが鳴った。

私はびくっとなってしまった。


「もしもし〜?」


「うん、え、本当?」


「流石蒼生じゃんw」


「わかった。あ、羽菜もここにいるから一緒に行くね!」

と話したあとに電話を切った。


「蒼生がお弁当食べるのにいいスポット見つけたから一緒に食べよだって!」

羽菜
「本当ですか!?もちろん行きます!」

姫先輩はにこっと笑った。


「よし、じゃあ行こっか。」

羽菜
「はい!」


私達がしばらく歩くと、ひとけの少ない場所に木が立っていて、そこに先輩達がいた。


「お〜〜い!」

羽菜
「せんぱーい!」

私達は大きく手を振った。


「姫と羽菜が来た!おーい!こっちだよー!」

と黒先輩は手を振りかえしてくる。

私は走って先輩のところまでやってきた。

羽菜
「よーしとうちゃーく!」

姫先輩はまだ歩いている。

羽菜
「姫先輩〜!早く来ないと先に食べちゃいますよ〜!」

と姫先輩を急かした。


「ちょっと待って〜」

陽太
「羽菜、姫は朝から仕事して疲れてるんだから意地悪しないの。」

と陽太先輩に怒られた。

陽太
「姫〜無理しなくていいからなぁ〜」

と陽太先輩は立ち上がって姫先輩のところまで駆けて行った。

そして姫先輩の近くまで来ると、少しびっくりした様子で言った。

陽太
「…姫、足大丈夫か…?」

蒼生、黒、羽菜
「……!?」

姫先輩の足をよく見ると、少し足を引きずっているように見えた。

もしかしてまた…

羽菜
「また…姫先輩大丈夫ですか!?」


「大丈夫!ちょっとひねっちゃっただけだから…!しかも午後はもう出場しないし!」

そう言いつつ、陽太先輩の肩を借りながらレジャーシートまでついた。

陽太
「やっぱりか…」

陽太先輩が小声でそう呟いた。

羽菜
「…?陽太先輩?どうしたんですか?」

陽太
「…いや、なんでもない…姫、とにかく無理はするなよ?」


「うん、大丈夫。」

全員がレジャーシートに座った。

羽菜
「じゃあ気を取り直して、ごはん食べましょ!!」

と私はお弁当を広げた。


「わあ。羽菜のお弁当かわい~!」

と私のお弁当を覗き込んで姫先輩は言った。

羽菜
「ふっ、ふ…wこれ、私が作ったんです!」

と自慢げに言った。

パンダのおにぎり、作るのすごく大変だったんだよね~!

蒼生
「へえ~…羽菜料理できるんだ!」


「玉子焼きとか焦がしてるイメージあったw」

陽太
「たしかにww」

と3人は言った。

羽菜
「失礼ですねっ…!?w料理くらい私でもできますよっ…!」

本当はめっちゃ失敗したんだけどねっ…!!!

陽太
「あ、でも見た目はいいけど味がダメとかじゃね?w」


「wwありえそうw」

羽菜
「ぐぬぬ…そんなに気になるなら食べて確かめて下さいよ...っ!」

と弁当箱を先輩に差し出した。

すると陽太先輩は無言で玉子焼きを一つ取った。


「お。じゃあ僕も遠慮なくいただきま~すw」

蒼生
「じゃあ僕もいただきま~す」


「いただきま~す」

と先輩たちも次々にとっていく。

すると、玉子焼きを食べた先輩達は顔をゆがませる。

陽太
「…!?」

蒼生
「…」


「う…」

羽菜
「先輩…?どうしたんですか?」

陽太
「羽菜…絶対味付け失敗したでしょ…」

羽菜
「えー!?そんなことないですよ〜っ!」

と私も卵焼きをほおばる。

うぐっ…!

羽菜
「まっず…!!」

中が生のままだっ…!

べちゃってしててめっちゃ気持ち悪いっ…!

卵焼き失敗したっ…!


「ソーセージは美味しかったけど…?」

蒼生
「ミニナポリタンも美味しかったし…」

それ冷凍食品のやつ…!


「もしかして羽菜、料理下手…?」

姫先輩が笑いながら言った。

羽菜
「むぅ…そうですよぉーっだ!私はどーせ料理下手だもん!」

蒼生
「あ、開き直ったw」

羽菜
「そういう姫先輩はどうなんですかっ!?どうせお母さんに作ってもらってるんでしょ!?」


「いや?自分で作ってるけど。」

羽菜
「じゃあ見せてくださいっ……!!」

と閉じていたお弁当箱を開けた。

どうせ姫先輩も下手なんでしょ…

羽菜
「…わあっ…」

姫先輩のお弁当は見た目も綺麗で美味しそうだった。

ハンバーグに野菜のバターソテーとご飯。

栄養バランスも考えられている。


「親が共働きだからいつも自炊してる。」

羽菜
「…あっ…傷ついちゃうようなこと言ってごめんなさいっ…」


「大丈夫だよ。てか羽菜も自分で作ってるってことは親居なかったりするの?」

羽菜
「ん〜…まあお母さんは研究でアメリカだし、お父さんは宇宙センターで仕事してる」

とハンバーグをほうばる。


「大変なんだね…」

羽菜
「まあ1人の方が気楽ですしね〜」

と姫先輩がお弁当を食べようと箸を取り出した。


「…あれ?こんな容器弁当にあったっけ?」

それを取り出すと、ジャーマンポテトが入っていた。


「ジャーマンポテト…」

と姫先輩は陽太先輩を見つめた。

そして陽太先輩はにやって笑った。


「これ、陽太が作ったの?w」

陽太
「うん、サプライズで入れといた。」

姫先輩は満面の笑みで陽太先輩に抱きついた。


「陽太ありがとっ!」


「あれ、陽太、まだ弁当バックに食べ物入ってるよ〜」

と黒先輩が陽太先輩の弁当箱を漁って言う。


「あ、そうだ!私もサプライズで陽太に作ったの!」

と姫先輩が黒先輩に割り込んで、陽太先輩のバックから容器を取り出した。


「はい!グレープゼリー!」

陽太先輩は嬉しそうに受け取った。

陽太
「ありがと。」

と陽太先輩は姫先輩の頭を撫でた。

姫先輩はとても嬉しそうにしていた。


「じゃあ、いただきます。」

とジャーマンポテトをほおばると、とても美味しそうに笑った。


「おいしい…」

羽菜
「姫先輩っ!私にもくださいっ!」

私は姫先輩にお願いした。


「だーめっ」

と姫先輩はジャーマンポテトを私から遠ざけた。

むー…いじわる…


「うそうそ。ほら、あげる。」

と姫先輩はジャーマンポテトを私の弁当箱に入れた。

羽菜
「わーいっいただきまーす!」

ん!おいしいーっ!

羽菜
「おいひいです!」


「ほら!口の中に食べ物あるときは喋らないの!」

姫先輩に怒られてしまった。

羽菜
「ごめんなさーい…」

そんなこんなで、トラブルもあったが、
とても楽しい昼食の時間になった。

『まもなく、午後の競技が始まります。生徒の皆さんは自分のテントに戻りましょう。』

と放送が流れた。


「次はいよいよ応援合戦だね。」

黒先輩がはちまきを巻き直しながら言う。

羽菜
「ですね!絶対紅組よりも良い応援合戦にします!」

と私は緩くなった鉢巻をぎゅっと閉めた。


「だね!声の大きさでは絶対負けない!」

姫先輩も意気込んでいる。

蒼生
「いや、勝つのは紅組だね、このまま逃げ切る。」

陽太
「姫が相手だって油断しないからな?」

紅組も、ものすごい気合いだ…!

実際、今は紅組にかなりの差をつけられている。

台風の目、玉入れ、綱引き、
騎馬戦、そしてリレー。

午後は得点が高い競技ばかりだ。

まだ頑張れば巻き返せる!

羽菜
「よーし、どっちのチームも、全力で戦おう!」

全員
「うん!」

と全員自分達のテントまで駆けて行った。


あとがき

みなさん、大変お待たせ致しました!NS学園24話です!
約半年ぶりですね…
お待たせして申し訳ございません!!
最近は更新頻度が死ぬほど遅いけど内容がそこそこ多いからこれでバランス取れたらいいなと思います()

次回かその次がたぶんクライマックスなので、
是非見届けてもらえると嬉しいです!
そして来週の火曜日に小説リレー出すので(多分きっとめいびー)
ぜひそちらも見てくださると嬉しいです!!

がんばって書いたので、
コメントで感想くれると私の更新頻度が上がるかもしれないです()
この話が良いと思ったらぜひスキ、コメントください!!
読んでくださりありがとうございました!
また次回の小説もお楽しみに~!






最後まで、見てくれてありがとうございます! 皆さんのスキやコメントはハナの原動力になってます! 是非コメント、スキお願いします!(*´▽`*)