葬送のフリーレン1話のつづき(授業メモ)

18分53秒で、勇者ヒンメルと仲間たちの冒険は終わる。
フリーレンは旅をはじめ、一陣の風が草を舞い上げて。
この描写も見事で、ただ道を歩いていくだけではなく風が草を揺らす音が入っている。
邪魔にならないように「冒険の終わり」と暗転した画面下に出るのも良い。

枯れた大木が映し出され、勇者ヒンメルの死から20年たったことがわかる。
冒険者が迷う森の中に似つかわしくないほど少女に声をかけられるフリーレン。
キャラクターの7つパターンのヘラルド(使者)にヘラルドを被せることで、フリーレンと視聴者に物語をわかりやすく示す。

少女の名前はフェルン。フェルンはフリーレンの目的地ハイターの家へと案内する。
そこで、フェルンはハイターが引き取った戦災孤児だったことを知る。

「進んで人助けするたちではない」
とフリーレンは言うが、
「ヒンメル(勇者)ならそうした」
とハイターは返す。

この言葉は、この作品のテーマでもある。
誰かが誰かに影響を受ける。指針になる。

では、ヒンメルの言葉がなかったらハイターはフェルンを引き取らなかったのだろうか。
それは否なのだ。
ハイター自身は情の深い人間。そうでなければヒンメルと一緒に冒険はしない。
心の中の理由の一つに過ぎない。
ここはフリーレンが「ヒンメルも含めて仲間のことを本質的に理解していない」ということがわかる描写なのだ。
ハイターが自分の死後のことを考えて、フェルンを弟子にすることを頼むがフリーレンは断る。
魔法使いの弟子の死亡率は高く、友人から預かった子供を危険に晒せないという理由だ。
フリーレンが情の薄いわけではなく、彼女なりに考えて行動している。
しかし、長命種のエルフの感覚では言葉の重さが違うのだ。
感情の露出の仕方が人間とは違う。
フリーレンにとって、新しい課題の提示が為されている。
ハイターは、そういうことも織り込み済みで5年もかかる魔導書の翻訳をフリーレンに頼む。
フリーレンにとっての5年はまばたきのようなもの。
その間にフェルンは成長し、ハイターの寿命は尽きようとしていた。
人間の時間とエルフの時間を巧みに使った作劇だ。
フリーレンの口から「なるべく人間に関わろうとしている(ヒンメルの死の影響)」という言葉の意味も大きい5年である。
フェルンのガーディアン(門番)でありヘラルド(使者)である大岩が提示され、1話が終わる。
授業メモなんで、ちょっと雑だけどこれを元に授業やろう。

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