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00.本当のエンタメを求めて

会社を辞めた話、事の顛末の文章化。そして今。

1.はじまり


いつまでも引きずりたくはないので事の顛末を文章にして全て消化する(した)ことにする。
読む人には事を荒らげる様な意味ではないことを了承頂きたい。
2022年夏から冬の話、私は新卒入社した会社を約2年で辞めてしまった。

東京のアニメなどエンタメ関係の会社に入って、グッズ企画の部署で約1ヶ月、そこから新部署立ち上げの為引き抜かれメディアの立ち上げを数ヶ月、またそこから新規事業担当として数ヶ月……。
最終的には社長室、経営企画室に抜擢され新規事業の立ち上げを行っていた。
海外越境ビジネスや新規サービス要件定義作成、HPのリニューアルPM、新規事業の立ち上げ2,3件(その他人事担当業務、法務担当業務なども)を担当して入社1年目でKPI満点を達成した。

2.きっかけ


事の発端は新規xxx事業の立ち上げの時だった。
当時(2022年5月頃)、xxxコラボ事業とxxxブランド立ち上げをメインで行っていた際にxxx事業メンバーとして抜擢された。
それまでの経験としてチームで動く事が無かった私には上司(社長や取締役以外)ができ、一緒に動く同僚ができることは本当に嬉しいことだった。

5月頃はPJメンバーは社長と私と外部のコンサルの方数名のみで上司も同僚もいなかったが、6月頃に合流が決定。上司になった人は元アニメ制作会社の方でこだわりの強いタイプの人だった。
最初からよくは思っていなかった(理由はその前に他部署の私が仕事をお願いした際に酷い対応だった点)が時々スタバを奢ってくれるのでその程度に留めていた。
合流の時、PJ説明等を行う際に当時コロナにかかってリモートだったが、xxxやxxxについて説明した。異常なほど質問責めにされ、内心自分で調べろよと思った。PJの意義や収支予定などは私に聞かれても分からないし、直接社長に聞けばよろしい。
ややあって、チームとなった私達(上司と同僚1人と私)は一緒に仕事を始めた。上司の指示は一貫して口頭のみでその通りのアウトプットに対して、全く違う指示内容「こうしろと言っただろ」とか急に言うので同僚とはなんとか励まし合いながらやっていた。

3.不穏な気配


1ヶ月経たず、同僚は急に部署変更となった。「本当にごめんね」と「相談もせずにごめんね」と当時口では「大丈夫ですよ、何とかします!」と言っていた私も内心は腹を立てていた。
同僚は全く悪くないし、矛先は絶対にそちらではないのに。
兆候はその前からあった。上司はやたらと人を悪く言う。「○○君は本当に何もできないね」、「センスがない」、その言葉は私ではなく当時の同僚にやたらと強かった。
同僚が部署変更した後、その言葉の矛先が自分になるのかと内心ゾッとしたのを覚えている。

メンバーが減った後のリソース配分など考えられていない為、異常なほど忙しくなった。上司はxxxについて分からないからとりあえず任せておこうのスタンスで私の元にぶん投げなれる仕事は山のように増えた。(法務的な面での弁護士とのやりとりからクリエイティブ用資料作成、マーケ面での調整など)

その後、PJメンバーが補充される予定だったがその人は結局来なかった。深夜まで作業、土日も稼働は当たり前、なぜならリリースまでに間に合わないから……。
リリース日に関しては上司と社長で話をして勝手に巻きの予定で合意、私はその後始末といった状態。稼働状態と進捗に関しても上司に報告していた上での決定だった。
上司が社長に内情を話さない、社長はひたすら営業しまくる、先の予定が詰まりまくる、私はそれをなんとか間に合わせるように動く。
1人だと本当に心が折れそうになった。仲の良かった前の部署の同僚に「あなたはどういう理由があって、そこまで頑張れるんですか?」と聞かれ、答えが出せなかった。膝から崩れ落ちた。比喩ではない。何なら気絶も込みである。

4.希望の兆し


そんなこんなの状況に新しくマネージャー(当時の上司の上司)が入社することに決まった。その人は入社後すぐにコロナにかかりリモート上で状況を伝えた。
これでリソースが配分できると考えて喜んだが、そう簡単には進まなかった、むしろ悪い方向に進んでいった。

元大手企業のプロデューサーのその方は経歴だけ見てもすごい人なのは分かったし、熱血漢で人情味溢れる人だった。そして、現状を話すと「やっぱりそうだったろ?よし、少し待ってろ」と言い、その日中に私と上司は切り離されることが決定した。その後はそのマネージャーと私は付きっきりで仕事をした。優秀なその人はPJの内情を私の方が理解していると判断し、自分の側につけることを選んだ。私もこの人ならついていけると信じていた。というか信じるしかなかった。

現状について伝え終え、火の車であることを理解した上司からは驚くような提案が来た。「今日、会社の近くにホテルをとるからお前も来ないか?」、断れるはずもなく二つ返事で行きますと答えた。
ホテルの1室でひたすら朝まで仕事をこなす、
この頃から少しずつ分かってきた。
その人は自分のそばにこいつをおいた方が自分の為になるから上司と私を切り離したのだと。
その次の日も仕事が終わって家に帰り、リモートで朝方までmeet繋ぎっぱなしで仕事。この時点で丸二日程寝ていない。この異常な感覚に気づいていなかった。

5.リリース


リリースの日、会議室に集まった私達(社長とMG、上司、私)はdiscordとTwitter上で告知し、不具合などもなんとか対応し、一旦の目標を達成した。その時に社長から出た一言で全てが崩れてしまった。「やっぱりこれ(マーケの面)失敗だったよねー」と軽く社長が口に出した。

マネージャーの逆鱗に触れているのは目に見えて分かったし、帰路でその人は喫煙所で泣き出した。大の大人が辛くて泣くのを初めて見た。過労のせいで車の事故になりかけて家族を危険に晒したとこんな働き方はできないと。会社を辞めると……。
種を撒くだけばらまいて放り出すヤツがどこにいる。内心は「なんでおめェが泣いてんだよ、部下の前で泣いてんじゃねェ」と思いながら不味いタバコをひたすら吸った。この時点で自分の性格まで過激に変貌していることを当時は気づかなかった。

6.何も変わらない


次の日、その人(MG)は驚くことにその日付で辞めてしまった。1ヶ月も経たなかった。上司と切り離された私は仕事の仕方が突然分からなくなってしまった。あの人はいない。
そこから少しは耐えたが、朝急に立ち上がれなくなり仕事を休んだ。どこにも行ってないのにコロナになった。ろくに休んでないので体を壊すのも当然だと後で分かった。

そこからはリモート作業中に人事に電話し、会社を辞めたい旨を伝えた。ひたすら止められたし、2年経たずに辞めてこれからどうするんだと半ば脅し文句も言われた。結局は「よし分かった、全部任せろ」と言われて電話は終わった。

リモートからあけて出社すると私の部署異動は決定事項として伝えられたのだった。人事が心身に異常をきたすなら部署を変えるという判断をすることを知っていたから、その上で私は相談し、このプロジェクトを絶対に完遂したい旨も伝えていた。そこからは何か抜け殻のようになった私が仕事をした。元いた部署で仲の良い同僚ともっと仲良くなれた。楽しく仕事もできた。

7.終わり


辞める旨を再度人事に伝えた。2回目は早かった。「分かった、最終出社は取締役と決めるから後で連絡する」と人事は言った。
その後、約1週間で辞めることが伝えられた。取締役はそれを自分で決めただろうに他社員には「あいつは1週間で逃げるような常識のない人間だからあんな奴はこれから不幸になって当然だ」と伝えていたらしい。仲の良かった同僚が教えてくれた。
全てのシナリオは上で決まる、事実はなかったことになり上の言葉が本当の事として社内では本当になる。
ちなみに辞める際には競合他社に就職しない旨の誓約書を捺印させられた。(職業選択の自由を訴えて断ったが入社の際にサインしてもらってるので大丈夫ですとのこと……)

嫌がらせ紛いの上司に菓子折り渡して「本当にお世話になりました」と全社員の前でどでかい声で言った。本当に感謝してくれる人も沢山いたし、涙を流してくれる熱いヤツもいた。
約2年間で色々なことを経験できたし、本当に感謝している。

そして、私は新卒入社した会社を辞めた。
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ここまでが二年前の私の文章である。

そして、約2年の月日が経った。ひょんなことからまた関東に戻らないかと声を掛けてもらったのだ。
エンタメ系の会社である。
事業自体を丸ごと任せてもらえる。
誰が「不幸になって当然だ?」そんなことを社員に対して口に出すやつが良くもエンタメ系なんて名乗れたものである。

今の私なら胸を張って言えることがある。
「エンタメならみんなが楽しいって思えるものを作ろう」そこに至るまで大変かもしれないし、辛いことだってあるかもしれない。でも、あんな会社が蔓延るぐらいならなんだって乗り越えて超えてやる。
復讐なんかじゃない、いいものをいいって言えるようにしたいだけなんだ。

ここまで拙文読んで下さりありがとうございました。
二年前の若輩者から現在の若輩者に至るまでのお話でございました。

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