ハムスターでもわかる民法 総則①

0.民法の一般原則と基本概念
(1)信義則
相手の信頼を裏切らないようにすること
⇒これは極めて重要な概念。とりあえずそんなものがあると覚える!

(2)権利の濫用
自分に権利があるからと言って無茶を言わないこと
⇒温泉パイプが私有地をわずかにかすめたことを理由に温泉運営会社に土地を法外な値段で買い取らせるのは権利の濫用(宇奈月温泉事件

(3)公序良俗
モラル(道徳)に違反しないようにすること
⇒殺人契約や愛人契約は無効となる

(4)自然人と法人
自然人:人間
法人:権利能力のある団体
権利能力なき社団:権利能力ないから団体としては法律行為できない


(5)不動産と動産
不動産:土地と建物
動産:不動産以外の物(ブツと読みます)

1.権利の主体
(1)権利能力:法律行為の客体になれる能力
ハムスターに権利能力はないので遺産を相続させることはできない。
胎児は①相続遺贈不法行為の損害賠償請求
をするときは生まれたものとみなす⇒停止条件説

POINT
相続:法律で決められた人に財産が譲渡される
遺贈:遺言(いごん)で財産を譲渡
死因贈与:生前に死んだら財産をあげるという契約を締結


(2)意思能力:自分の行為を理解できる能力
⇒認知症・泥酔者など何が何だかわからない人は意思能力がない。
意思能力がないときにやった行為は無効である

(3)行為能力:自分一人で有効な法律行為をする能力
⇒高校生(制限行為能力者)が親に内緒でハムスターを買って来たら親は取消すことができる

POINT
幼児がした法律行為は
意思能力ないから無効行為能力ないから取消可能の両方に該当する

2.制限行為能力者
文字通り行為能力が制限された4類型の人
⇒保護者の助けを得て完全に有効な法律行為を行う

(1)制限行為能力者4類型
ア 未成年者 
18歳未満の者
保護者:法定代理人⇒親権者・未成年後見人

未成年者ができる法律行為⇒取り消せない行為
①単に権利を得る、義務を免れる行為⇒無料で何かをもらってくること
②処分を許された財産⇒お小遣いは自由に使っていい
③許可された営業⇒未成年もアイドルで稼げる
④同意を得た行為⇒お使いとしてフェラーリ買って来て(笑)

法定代理人ができること
上記以外の場合の
①上記以外の法律行為をやっていいと同意する
②すべての法律行為を代理する⇒利益相反行為は特別代理人が必要
③同意を得ずされた行為を取消す

POINT
法定代理人=親なので当然に(審判なし)上記ができる
⇒以下3類型は家庭裁判所の審判がないと制限能力者として認められない

イ 成年被後見人 
事理弁識能力を欠く者⇒100%認知症の人
保護者:成年後見人

成年被後見人ができる法律行為
日常生活にかかわる法律行為のみ⇒完全にボケているから他の法律行為✕

成年後見人ができること
①日常生活にかかわる法律行為以外の取消し
②成年被後見人の代わりに代理で法律行為をすることができる
※後見人に同意権はない⇒重度の認知症の人に
「これやっていい、これはやってはダメ!」
と言っても無意味だから

ウ 被保佐人
事理弁識能力が著しく不十分な者⇒50%くらい認知症の人
保護者:保佐人
被保佐人ができる法律行為
①基本的に何でも自由にできる
13条1項にある10種類の行為をするときは保佐人の同意が必要
※13条1項の行為は全部覚えるのではなく、基本的に、被保佐人に不利になりそうなことは該当すると考える⇒暗記ではなく応用力を身に付けよう

保佐人ができること
①同意を得ず行われた13条1項の行為を取消す
②家庭裁判所の審判を得て任意の法律行為を代理



エ 被補助人 
事理弁識能力が不十分な者⇒たまにボケてる人
保護者:補助人

被補助人ができる法律行為
基本的何でも自由にできる

補助人ができること
①家庭裁判所の審判を得て13条1項の行為から同意権を付与
②家庭裁判所の審判を得て任意の法律行為に代理権を付与
⇒被補助人はほとんど正常な人だけど、やらかしそうな法律行為に対してカスタマイズして同意権または代理権を家裁の審判によって付与し、その行為は取消し可能⇒どちらかは必ず付与しなければいけない


制限行為能力者は意思能力が不安定な人たちの保護を民法が規定している制度です。制限行為能力者となるためには本人や親族または検察官より家庭裁判所に審判を請求しなければいけない⇒勝手に制限行為能力者と名乗れない!

POINT
審判を受けていない認知症の人がした契約は意思能力の欠如による無効を主張できます



(2)相手方ができること
制限行為能力者と取引した相手方はいつまでも取消しをされるリスクを負うから、相手方は1か月以上の期間を決めて追認OR取消しを確定するように催告できる


ア 催告する相手
①行為能力者となった本人
未成年が18歳になった後に催告⇒期間内に返事しなければ追認とみなす

②制限行為能力者である本人
未成年・成年被後見人には催告できない
被保佐人・被補助人に催告⇒期間内に返事しなければ取消しとみなす

③保護者
保護者に催告⇒期間内に返事しなければ追認とみなす

イ 制限行為能力者の詐術
制限行為能力者が相手方に自分に行為能力があると積極的に思わせる事
未成年であることをただ黙ってるだけでは詐術ではない、たばこを飲みながら契約したら詐術に当たる⇒飲酒できるのは20歳だから、相手は成人=行為能力があると思ってしまいます



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