公塾 行政法確認テスト

行政書士試験において最も配点が高い科目である行政法は択一19問、記述1問、多肢選択2問出題され、配点は❶点であり全体の37%を占める。したがって、行政書士試験に合格するためには行政法をマスターすることは必須である。

いわゆる行政法というのは行政機関と国民の関係を規律した法律の総称の事であり無数に存在するが、行政書士試験で出題される法律は限られている。
例年択一19問中17問は出題単元が決まっており、2問は年ごとに変わる。
以下各単元の対策方法と重要論点を確認する。

行政法総論(3問出題)
行政法の一般原則、行政組織法、行政作用5類型、行政上の強制措置から出題される。
行政作用の5類型、特に行政行為(処分)をしっかり理解することが重要である。行政庁は裁量によって処分を行うことができ、「いかなる基準で公務員を懲戒処分をするか?」という要件裁量の問題と、「どのような処罰をするか?」という❷の問題は総じて行政裁量と呼ばれる。

❸法(3問出題)
処分・行政指導・届出・命令等の制定の4つのルールを規定している法律である。最も重要な論点は「申請に対する処分」と「❹」の違いである。
また、聴聞の手続きは行審法の審査請求の手続きと似ているため、両手続きの相違点をしっかり意識して勉強する必要がある。
地方公共団体では法令に基づく処分と❺のみが行手法の対象となっており、例規(条例&規則)に基づく行政活動はすべて対象外である。そのため各地方公共団体は❸条例を制定して運用している。

行政不服審査法(3問出題)
行政機関とのトラブルに対する不服申立ての際のルールを規定した法律。国民は原則、行政機関に審査請求をしてもよいし、裁判所で行政訴訟を提起してもよい⇒このことを❻と呼ぶ。
また例外的に法律に規定があれば❼や再審査請求を行う事もできる。
審査請求の手続きは行訴法に共通する部分があり、特に執行停止と教示の違いは非常に混乱しやすため注意が必要である。

行政事件訴訟法(3問出題)
行訴法は記述問題の出題率が高く重点的に対策する必要がある。
行訴法では4種類の訴訟類型が用意されており、その中では特に抗告訴訟が重要である。
抗告訴訟は6類型の具体的な訴訟類型が規定されており、それ以外は❽と呼ばれる⇒6類型以外も訴訟提起可能である事に注意!
抗告訴訟である取消訴訟の訴訟要件は7つありその中でも特に大切なものは処分性・❾・狭義の訴えの利益の3つである⇒訴えの利益=❾+狭義の訴えの利益
行政庁の「処分」に対しては取消訴訟を始め抗告訴訟を提起することができるが処分性が認められない行政指導や通達などは義務不存在確認訴訟など❿訴訟を提起する必要がある⇒(最判平24.2.9)を参照。

※行訴法の訴訟類型は4種類ある→さらに、そのうちの抗告訴訟には6類型ある→抗告訴訟のメインである取消訴訟には7つの要件が必要→それ以外の抗告訴訟はどの要件を準用しているか?
という論点をしっかり理解する!

国家賠償法・損失補償(2問出題)
一般的に行審法・行訴法・国賠法を合わせて⓫と呼ぶ。国賠法は1条で公務員による賠償責任、2条で公の営造物による賠償責任が規定されているが、これはあくまでも違法な行政作用によって国民が損害を受けた場合の損害賠償請求の規定である。適法な行政作用によって「特別の犠牲」が発生した場合は損失補償の問題であり、⓬を根拠に損失補償請求を行う。
戦後まもなくは財政基盤が弱く、農地買収の際は相当な補償で足りるという判例があるが、現在の土地収用はすべて完全補償説を採用している。

地方自治法(3問出題)
条文数が多く試験上非常にコスパが悪いので最低限の勉強でよい。令和3年度のいわゆる「孔子廟の違憲判決」は⓭訴訟という訴訟類型によるものであるため、そのあたりの理解はしっかりしておくようにする⇒この訴訟類型は住民監査請求した者だけが提起できる監査請求前置主義を採用している。

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