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ハムスタ(王冠)の小説風エッセイ、始まります。#1ハムスタの夢

拠点をニコニコからYouTubeへ移すことを決めたのが、去年6月くらいのことでした。

7月に報告動画を出し、YouTubeを拠点にしようと宣言したということは、当然その道で食っていこうという覚悟をしたということでもあります。

これまでいろんな試行錯誤をしてきました。もちろんそれは今も継続中です。

最初は気持ち新たにスピード感を持って、これからガンガン動画を上げていくぞと自分でもワクワクしながら作っていたんですが…

いかんせん、1本の動画に時間がかかりすぎる。これはちょっとどうかと思い始めたのです。

せっかく会社を辞めて打ち込むことにしたのに、このペースではまた、会社員に戻って創作の時間が少なくなってしまう…

前の報告の時点では“会社員をしながら”と書いていますね。そう、あれから私、会社を辞めたのです。

まだそんなに経っていないけど、いろんなことがありました。たくさんの変化がぼんやりと形になっていくのを日々、感じています。

そんな私の変化を、noteで書くことにした…ということもまた試行錯誤の一つで、自分の作品とは趣の違うここは、普段投稿しているものとは違うことを出せるとても良い場所だと思いました。

全て自分が体験してきたことを思い返し、客観的に捉えて紡ぐと小説みたいで。だけど、事実だからジャンルはエッセイかな。というわけで今回から小説風エッセイ、始めてみたいと思います。




#1 ハムスタの夢


自宅から歩いて行ける距離に、海が見える場所がある。最近の散歩コースの定番となっていたそこで、ただひたすら海を見ながら、私はこれまでのことを思い返していた。


なんでこんなに落ち込んでいるんだっけ…


考えられる要因はいくつもあった。

まず家の隣からの騒音問題に始まり、相当に悩んで、やっと引越した矢先に勤務先からのリストラにあった。(これについては、やめようとしてて後押しになったから結局良かったんだけど)

更には、引越し先でまた別の騒音問題発生。

そして何よりもこの夏の、頭が茹で上がりそうな蒸し暑さ。

心身共に疲労が蓄積した状態で、今まで漠然としか考えていなかった将来のことまで具体的に考えだしたものだから、とうとう参ってしまったのだ。


ああそうだった、短期間に色々あったなぁ…


こう改めて考えるとなかなかの重なりっぷりに、ふふっと自虐的な笑みが浮かんだ。

追い詰められすぎて自力で這い出すのはもはや不可能と判断した私は、一旦病院にお世話になることにした。

精神科に通うことには最初はものすごい抵抗があった。けれど、実際にお世話になってみて、処方された薬を飲んで気持ちが少し落ち着くと、なにも悪いことないじゃないかと思うようになった。人の目が気になるのも、心が疲れているせいなのだ。


陽射しが反射してキラキラ、ゆらゆらと揺れる水面を見つめていたら、なんとなくまたモヤモヤした思いが押し寄せてきて、無意識にスマホを手に取った。

りんすさんに電話しよう。



りんすさんとは、まめに連絡を取り合う、数少ない友人の1人のあだ名である。

なぜりんすなのかというと、小学校の頃にリンスのボトルのキャラクター(?)が彼のキャラになったとかで、そこからあだ名がリンスに定着したらしい。

表記は途中から謎にひらがなになったそうだが、とにかく謎が多い。しかし、今はもう私もすっかりりんすに馴染んでいた。

そんな彼との出会いは、私が大学院を出て新卒採用された会社でのこと。同期入社で、歳が近かった私達は自然と仲良くなった……

というのは嘘で、私からグイグイ近づいた。

きっかけは新入社員皆がお互いを知るために書かされた自己紹介シートだ。

このシートには、名前や出身大学、この会社を選んだ理由などを書くいくつかの小さな欄と、これからの意気込みや他の社員にむけてのひと言などを自由に書くための大きな欄があった。


私を含めた他の新入社員達は「これから営業マンとして一生懸命頑張りますので、よろしくお願いします」とか「学生時代に培ったITの知識と経験を活かしていきたいです」とか、大抵は当たり障りのないようなことを書いていた。

しかしりんすさんは違った。

彼のシートの自由欄には、彼が昔から大好きだという妖怪の絵だけが、真ん中にでっかく描かれていたのだ。一際異彩を放つ妖怪の絵に目を奪われた後少し視線をずらすと、出身大学の欄には超難関大学の名が……。


こいつ、絶対変なやつだ!

私はそう確信し、友達になろうと決めた。


妖怪を見つつ、視線で彼を探す。…いたぞ!見た目は普通に見えるけどな。


素早く近寄り、話しかけてみた。

思いの外、感じが良かった。

本人曰く、私がグイグイし過ぎて、最初は警戒していたらしいけど(失礼な。まあわからんでもないが)それを一切感じさせない人当たりの良さで、どんどん話は弾んだ。

もちろん狙い通り(?)変なやつではあったので、無事仲良くなれて嬉しかった。


それからは勤務地が離れても、頻繁に連絡を取り合うようになった。

りんすさんは大変温厚な性格で聞き上手でもあったので、悩みを吐露するのに幾度となく世話になった。彼の辞書に否定の文字はなく、基本的に全て肯定してくれた。

相手の話を聞き続けて全肯定し続けるって、文字にすると簡単だけど、実はかなり難しい。それをさらりとやってのけるりんすさんには尊敬と、そして感謝しかない。

同じ会社にいたのは三年くらいで、辞めた後も連絡の頻度は落ちることなく今に至る。


ちなみに私がこの会社を辞めた理由は、作品づくりに火がついてそれに専念するためであって、嫌だった訳ではない。職場の環境は良くそれなりに楽しかったし、何よりりんすさんに出会えたしね。

辞める前あたりから、りんすさんに絵を依頼して、作品に使わせてもらうようになって、今の体制が出来たんだ。

りんすさんはまだこの会社にいるんだけど、近いうちに私は引き抜きたいと思ってる。

優秀な人材を引き抜くので、会社には多少罪悪感があるな。


私は会社を辞めて作品づくりに専念したものの、一旦資金が底を尽きかけたから、派遣会社に登録した。

紹介された良さげな会社でしばらく働いて、空いた時間にまた創作して、お金がある程度貯まってきたら辞めて、再度創作に専念しようと思っていた。

ところが仕事内容との兼ね合いもあって、しばしタイミングを測りかねてうじうじしてたら、なんとも絶妙なタイミングでコロナ禍による派遣切りにあったという訳だ。

この間の電話でリストラの件はりんすさんに話したな。病院の件も。

引越し完了の報告はまだだったか。それと合わせていまのモヤモヤを少し話して、気持ちを整理させてもらおう。



海の近くをウロウロと歩き回って話し(散歩も兼ねてるし、歩きながらの方がなんとなく話しやすいんだ)

電話を切ってから一旦、日陰に避難した。

ちょうど良い場所にあった石垣に腰をかけ、汗を拭って一息つく。

りんすさんは今日も私が話すひとつひとつに肯定の言葉をかけつつ、ひたすら気持ちを聞いてくれた。

おかげで、モヤモヤがだいぶ落ち着いた。

毛羽立ちを滑らかにしてくれるあたり、名は体を表すとはあだ名にも有効なのかな、なんて思う。


だとすると自分は?と考えたら、ハムスタか……。

一瞬、回し車でひたすら走り続けて疲弊する自分の絵面が浮かび、違う違う!と頭を振った。マイナス思考で脳を使うとろくでもないな。やめよう。

大体、ハムスタって適当に付けた名前だし。(じゃありんすは真面目な命名なのかって話で、多分違うけどそれはそれとして)

学生の頃ニコニコ動画に作品投稿し始めた時に(仮)くらいの気持ちでつけたのに気づいたらそのままきてしまい、今更変えるタイミングを失ってしまった。

ハムスタ「ー」の伸ばし棒がないのは、本物のハムスターとは違うって言いたいから(?)で、そのあとの王冠は…他と区別するためにつけたんだけど…

王冠は、王様の象徴。私は、王様になりたかった。だから王冠にしたんだ。

"楽しさの王様"

それが私の夢。すごく曖昧だと思うけど、私にはこの表現がとてもしっくりきた。

自分で掲げた夢なのに、なんだかここ最近、ぼやけていたような気がする。


小学生低学年の頃から「笑点」を楽しみに家に帰るような子供で、もちろんゴールデンタイムのお笑い番組もずっと見てきたし、落語なんかも聞いていた。

お笑いの、やりとりの妙とか、巧みな言葉の掛け合いとか、そういうのがとても好きだ。自分が笑うのも楽しいけど、人を笑わせるのはもっと楽しい。いつか、自分もたくさんの人を笑わせられるものを作りたいと思っていた。

初めて形にしてみたのは学生時代だったけど、これだと納得できるものはできず、これでやっていくという道筋も見えなかった。だからずっと試行錯誤してきた。

社会人になっても、働いてない時間を目一杯使って作り続けて、やっとこれだという手応えのような兆しが見えた。

嬉しくて、もっともっと頑張りたくて、会社を辞めて専念してみたものの、上手く軌道にのらなくてまた、働きに出て。

悔しいとか辛いとかは今まで何度思ったかわからないし、今回みたいに色んなことが重なって心が萎れても。それでもやっぱり、諦めるって選択肢は出てこなかった。

どんなに心身が疲れても、不思議なことに、作品のネタは浮かぶし、作る手は止まらないんだ。

やりたいことはたくさんあって、時間はいくらあっても足りない。もしかしたら、こういうのを天職というのかもしれない。


…落ち込んでばかりいられないな。


夢を再度自覚して、外気とは違う熱さを感じた気がした。

だって"楽しさの王様"は、ちょっとやそっとじゃへこたれないし、たくさんの人達を楽しませるのと同時に、自分が1番楽しんでなきゃいけないのだから。



(#2に続く。)




自分のことを出していく、ということは私にとって、そこまで最初から使いたい手段ではなかったというのが正直なところでした。

しかし今はもう作品だけじゃなく、自分自身のことももう、エンタメとして使っていこうじゃないか。と振り切るようになりました。

元々表に出ていく気持ちはあったけども、こういう形で世に出す流れになるとは。自分でもなんだか不思議な感じですが、人生どうなるか分からない部分があるから面白いですね。

続きは2月中に出しますので、良かったら待っててくださいませ。

noteのアカウント持ってる方はフォローしてくれたらアイコンのハムスタ(王冠)がにっこりと微笑みます。すでに微笑んでるけど。

お話に出てくる「りんすさん」はこちら。
塵塚りんす▼
https://twitter.com/lins_of_fortune/

noteは不定期ですが、作品は常時出してます。
livedoorブログ(作品用)▼
https://hamsta-crowned.com/

Twitterは4500名様突破しまして、YouTubeも1000名様にもうすぐ届きそう!良ければこちらも遊びに来てください。
ハムスタ(王冠)Twitter▼
https://twitter.com/hamsta_crowned

ハムスタ(王冠)YouTube▼
https://www.youtube.com/channel/UCXsMaVYDCeDU2emeAsPmFGw


それではまた次回2月中に。

かにたま!

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