前向きじゃなくていい話

就活をしていると、やたらと周りが優秀に見えて自信を失うこともあるかもしれない。そんな中、「前向きにならないと!」と頑張りすぎているあなたへ。
無理に前向きにならなくてもいいって話です。

「もっと前向きに考えてよ」

これは、私の”言われるとイラッとくるランキング”に長年ランクインしている言葉だ。
いやいや、ただの応援メッセージじゃないか!イライラするとこなんてないでしょ?!と思った方、あなたはきっと素直で優しい人だと思う。
私もできることなら、そうなりたい。
でも一方で、この言葉に心がささくれる人もいるのだと、知って欲しい気持ちから記事を書いている。

私がこの言葉を言われることになった背景にあるのは、会社員にはあるあるの人事異動だ。

新しい部署の仕事は、いわゆる”1番えらい人”が、これをしてくれ!あれはどうなった?それはどうなんだ?って言うのに応える仕事。
大層な部署名がついていたので、昇進扱いでの異動だ。

確かに、その部署に声がかかるのは一部の人間だけ。一般社員には明かされない極秘情報も飛び交うので、ステータスを感じる人もいるかもしれない。
でも、極秘情報なんて知ったところで「へー」くらいのもんだし、逆に知らなくていい情報を聞かされるのは苦痛だったりもする。

なにより、その部署のお相手は”1番えらい人”なわけだから、いちいち気を使う。
そのうえ、”1番えらい人”はたいてい気まぐれだから(偏見だったらすみません)、いちいち振り回される。

今まで培ったスキル(実は専門職だった)が活かせるわけでも、新しいスキルが身につくわけでもなく(お世辞とスルースキルは向上したが)、ただただ要望に応える日々。
実際、この部署の実態を知る人間から、行きたい・入りたいなんて声は聞いたことがない。

ということで、辞退しますと言った時に言い返された言葉が「そんなこと言わないで。昇進なんだから、もっと前向きに考えてよ。」だ。

言ったのは当時の人事部長。
悪い人ではなかったし、どちらかと言えば仲良しだったのだが、この時ばかりは怒りを覚えた。
だって、この異動は私にとっては明らかなマイナスなのだ。(専門職はブランクがあると市場価値が下がる傾向がある)

それを、昇進だからいいじゃないと言ってるわけだ。期待されてるから頑張れと。
いやいや、期待されてるからって、全てに応える必要あります?
昇進だって手放しで喜べることばかりじゃないでしょ?

なにより、専門職を軽く見ている様子に腹が立った。人事からすれば「専門以外もできそうだと目をつけてやった」という感覚なんだろう。

「もっと他の仕事も経験した方が上に上がれる」「前向きに捉えればもっと能力が広がる」
などなど、色んな言葉を言われたが、上とか前とか、いったい誰が決めんたんだろうか。

色々あって、私はその異動を受けざるを得なかったが(会社員だから当然と言えば当然)、その選択には、今でも少し後悔している。
もちろん、異動があったことで学んだこともゼロではないし、だからこそ得られた縁もある。
でも、ふとした時に、あの時、もう少しだけ勇気があったら、選んだキャリアを貫く道も見つけられたかもな。なんて考えてしまうのだ。

「前向きにならないと!」と頑張りすぎているあなたへ。

その”前”は、誰が決めた”前”ですか?

自分じゃないなら、まず自分にとって大事な方を向こう。それが大切。
他人からどう見えようが、自分の大事な方向が”前”だ。そっちに向かっているのなら、そのままで十分前向きなのだ。

(ねねっち)

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