3人芝居『パンゲアロック』

3人芝居『パンゲアロック』
作・すがの公 
(途中のコント・彦素由幸、大原慧、天野ジロ)

<あらすじ>つぶれそうな漫画研究会の部室。小石川清彦は今日もコツコツ少年漫画を書いている。ある日、桜島聖子が転校してきて、清彦の親友のラガーメン&御曹司葉月京太郎にホレる。なんと聖子の尊敬する最年少ジャンプ連載漫画家・水谷ジョン次郎は、京太郎と清彦のタッグだった。

<舞台>
漫画研究会の部室。
ペン先、ペン軸、インク壷、墨汁、トーン、カッター、ケント紙
消しゴム、描きかけの漫画原稿用紙、ティッシュ、定規、などなど。
卓上電気。

■プロローグ。

音楽(清志郎&2・3s"手紙のうた")
照明の中、あの娘のため、もくもくと漫画を描く男

男:おい!そこまでだ!とぉ!お、おまえは!
ふっふっふ。ここで会ったが百年目、くらえ必殺、
エクストリームショックウェイブ!スリー、&ウィーー!
なぁあああ!やめろ!仲間同志でキズつけあうのはよせ!
ちくしょう!ちくしょう、、、
ボ、ボンダイブルー!フラワーパワー!
お、おまえたち!来てくれたのか!来てくれたのか、、

現実に戻る。部室を見まわす。独り。圧倒的に独り。

男:ようし。

振り切るように漫画を描きはじめる男。

■「はじめまして」

暗の中、曲消え、台詞。

女:はじめまして!今日から漫画研究会にお世話んなります、
新入部員の桜島です!よろしくお願いします!

男、カリカリと漫画を描いている。

男:、、、、、
女:あのぅ

男、なまら細かい仕事を震えるかのように。

男:くく、くくく
女:大丈夫ですか
男:くく、くくく
女:ほとんど震えてますけど先輩。手伝いますか?
男:いー。
女:あ、なにか飲みます?お茶入れます?(以下マイム)
お茶っぱお茶っぱ。カラカラ、あ、こつんガタン!さらららら
ああ!緑茶が!せん茶に!
男:いいから!
女:すみません。
男:ちょっとしずかにしてくんない、集中したいから。
女:はい!はい!

男、女の格好に気付く(あどちゃんプラス手塚おさむプラスマント)

男:なんて格好してんだ君!
女:え、あ、変ですか?!せめて形からと思って。
男:古いよ!漫画家っていうイメージが古いよ!
ベレー帽はわかるけど、マントとか!戦時中みたいになってるよ。
女:水本あどと、手塚治と「はいからさんが通る」を全部足して割らないでみたんですけど
男:わかんないけど割った方がいいよたぶん。3人分だもの。
女:すみません、あたしに構わず、漫画、続けてください。
だまってますから。すみっこで。
男:、、。

女すみっこに行く。

女:、、、、
男:、、、、
女:、、、
男:気になるよやっぱ!
女:ええええ!なんでだろう!

男:もー駄目、集中切れた。
女:すみません。
男:頼むよ。しめきり近いんだから。
女:すみません。

男退場。

女:すみませんでしたー!
、、、。

原稿用紙を覗き見る

女:!!!やっぱり、、!

週間少年ジャンプをでかいかばんから出す。

女:激烈ギャグ漫画!
『ニュー戦体、アクロぶちコメンテイター』!水谷ジョン次郎!
間違い無い!
あの人、、、
高校在学中にデビューを果たしたとホマレ高い、
最年少ギャグ漫画家水谷ジョン次郎先生だ!
感激!私は今、モーレツに感激している!
私、ジョン次郎先生と同じ漫画研究会にいるんだ。
これからずっと!この先もずっと!

女:、、、、、先生の、、生原稿や。
さわったで、わし、生原稿さわったで。
(キョロキョロ)写メとったろ。
ラ:危ない!
女:え?
ラ:どけろォおォおォオォおォオォォ

棒についたラグビーボール飛んでくる。黒子

女:突然の出来事でした。
突然のラグビーボールでした。
部室の窓のたった30センチのスキマを縫って、
突然のラグビーボールは飛び込んで来たのでした。

ラガーマン登場。

ラ:あぶなーァアァアアアア
女:突然の出来事でした。
突然のラガーメンでした。
部室の窓のたった30センチのスキマを縫って、
突然のラガーメンは追って来たのでした。
黒子:ガシャア、タンっターーーン、さらららら〜
女:突然のラグビーボールは、レモンよろしく、
その跳ねは漫けんの部室を棒弱無人にアタックします。
私はその跳ねを前になすすべもなく、
あんぐりと口を開けて見守るばかりです。あガアアア。
ラ:見えた!
女:え!
ラ:ちぇすとぉぉおおおおおお
黒子:読まれてる〜〜〜〜〜!!!

ラ、キャッチ、転がる。

ラ:おじょうさん、ケガはなかったかい?
女:ドキュ〜〜〜〜ン!
ラ:これはこれは今朝転校してきたばかりの桜島聖子さんじゃないか
女:覚えられてる〜〜!
ラ:「♪強いチ・カ・ラだハヅキターン!」
女:え?!
ラ:のCMでおなじみ、葉月グループ御曹司、葉月京太郎だ。
女:大金持ちだし〜〜〜!!
ラ:立てるかい(つかむ)
女:(ぴょん立ち上がる)たくましーーー!!
ラ:じゃ、俺、ゲームの最中だから!(指ピッ)

ラガーメンストップ。

女:(観客を思い切り見て)
ホレたぁああああああああ!
最後の指ピッとか相当マイナスポイントやけど
それにありあまる点稼ぎよった!
葉月京太郎!名前ゴっつかっこええし!
ラガーメンやし!
あちし!こん学校ば転校してけて!良かったぁ!
ラ:アデュー。あ。
黒子:あ、ポロっっっ

ラガーメン、最後の最後で
ボールを落とし、墨汁をかきかけの漫画にぶちまける。

ラ女黒子:ああああああああ!!!!!!!!
女:何したぁああああああ!
黒子:ティッシュティッシュ!ティッシュ!
女:わわわ!わわわあ!

後処理する女

黒子:そこ、そこも残ってる。
女:どこ
黒子:そこ
女:あ。
ラ:あららららら
黒子:裏もいったな。裏。めくって。
女:うん
ラ:あららららら
黒子:ピンチ、こっちピンチ
女:、、、、
ラ:だめだこりゃ
女:手伝ってくださいよ。
ラ:わりぃ!ゲームの途中だから!

逃げるラガーメン

女:逃げんな!!、、(黒子見る)
黒子:、、俺、黒子だし。
女:行け!

黒子逃げる。

女:ああ、まっくろだ、、どうしよう。これ。
か、かき直すか、?

思考錯誤

女:、、、、、、、、、、、、いや、無理だ。
そもそも、葉月京太郎のせいだし!
むかつく!逃げやがった!最悪のボンボンだな。
ちょっとスポーツマンで金持ちでたくましーからって調子にのって。
せやけど、、、最悪から始まる恋って、、あるんよ。
あちし、漫画の読みすぎかもわからへん

男:あああああああ!!
女:あ、
男:何してくれてんだよこれぇ!?
女:あ、いや、すみません!
男:まっくろじゃん!
女:あの、これには深いわけが
男:ああ、ああああ。ちょっっと!
女:あの、あたしじゃないんです!
男:じゃ誰だよ!
女:ラグビーボール。
男:ラグビーボール?
女:はい。突然のラグビーボールに突然のラガーメンが
男:どこに!どこにいるんだよそんな奴!
女:あの、30センチのスキマからするりと。
男:嘘つくんじゃねぇよ!
女:ほんとです!信じてください!
男:ああ、これかき直しだよ。全部。
しめきり今日だよ?間に合わねぇよ。
女:え!今日なんですか?
男:そうだよ。もう印刷待って貰ってるくらいだよ。
女:ど、どないしまひょ?!
男:何で関西弁まじってんだよ!ふざけてんの?
女:大阪で生まれた女やさかい!
男:どうでもいいよ!
女:せやから、わしちゃうでぇ!わしちゃうでぇ!?
男:だからどこにラガーメンがいるんだよ!
女:おったんや!ごっつスローモーで入ってきたんや!
男:わかったわかった
女:信じたって!?信じたってんか?!
男:信じる信じるよ。
女:、、お、おおきに。

頭を抱える男。

男:、、、君も漫画研究会入ってきたなら
、この原稿用紙一枚あげんの、
どんくらい大変かわかるでしょ?
女:、、手伝います!
男:え
女:手伝います!
男:、、でも。
女:わて、先生のお役に立ちとうて、
転校してきたようなもんやさかい!
わいは、期待の新人桜島聖子や!おんがーく!

音楽かかる。(清志郎&2・3s"プライベート")

男:なぜ曲が!

照明も変わる。
お手伝いの準備。

女:先生!うちが来たからにはもう安心せいや!ぞなもし!
男:関西弁がめちゃくちゃだ。
女:そうでっしゃろ先生!?
男:先生?
女:そうでっしゃろ?
在学中にデビューを果たしたとホマレ高い、
最年少ギャグ漫画家水谷ジョン次郎先生!
男:え?
女:描くで!ギャグ漫画を描くでえええ!
男:あの、俺、、

曲あがり、ラガーメン、登場。

ラ:人物紹介!
私!
「♪強いチ・カ・ラだハヅキターン!」
のCMでおなじみの葉月グループ御曹司、
謎のラガーメン!ボンボン葉月京太郎!

女:私!
「♪どっからみーても楕円形ばーん!」
のテーマソングでおなじみ、
男:知らないよ!
女:この漫画研究会に突然やってきた転校生!
形から入る方、桜島聖子!
ラ:はい君!
男:え、あ、えっと私!
「♪袋とじ〜を覗き見る〜金はないけど夢がある」で有名!
ラ:知らん!
男:夢は超大型新人!
週間少年ジャンプ!手塚赤塚賞受賞!
最年少大賞受賞!小石川清彦!
女ラ:(拍手)よぉお!
男:舞台は私立高校漫画研究会、狭っ苦しい部室!
ラ:劇団SKグループ内ちびユニットskc!『パンゲアロック』!
女:この物語はGペンにかけた青春の読み切り31ページである!

曲、一旦盛り上がり、普通ボリュームへ

ラ:いやぁ!最高にいいゲームだった。
あ、どうなった?原稿?
女:犯人!犯人!
ラ:おお、ひでぇなこれ。どうすっか?
男:描き直すよ。
ラ:えーまじでー、間にあわなくね?
男:うん。
女:?
ラ:あ、もしもし。あ、すんません。ジョン次郎でーす。
女:え?
ラ:さっきの奴、描き直すとしたらどんぐらいであがる?
男:さっきの?えっと。2時間あれば、、どうにか。
ラ:じゃ、30分で。はい。
男:ええ!
ラ:すんませーん。じゃ、校門とこでわたしまーす。はーい。
男:無理だよ30分じゃ。
ラ:だいじょうぶだって、自分を信じろ。
こういうのはコロンブスの卵的発想だから!
男:でも、どう考えたって1ページ30分なんて無理だよ。
ラ:清彦。いいか?読者は笑いをもとめてるわけよ。
笑えればとりあえずなんでも良いわけよ。
男:でも
ラ:あ!こういうのどうだ!さっきの出して墨汁まみれの奴。
女:あ、はい。
ラ:これ、このまま載せるってのはどうだ!斬新だろう!
男:斬新すぎるよ!
ラ:あのさ、ちょっとそこに字書いて。
女:はぁ
ラ:うーんとね。「こぼした」って書いて。
女:え、ここに?
ラ:そのへん。
女:はい。

書く。

ラ:清彦ほら、これでさ、ページめくるだろ?
ちょうど右っかわのページだからさ。
そしたらさ、右っ側のページまっくろなの。
わらえんべ?!な!?
男:無理やりすぎるって!
ラ:まぁまぁいいのいいの。他のページは?出来てんだろ?
男:出来てるけど。
ラ:うかねぇ顔すんなって!
笑いって何?まずはびっくりするって事なわけよ?
わかる?予想と違う事を言われるからつい、わらっちゃうってわけ。な。
ほら、封筒くれ、清彦。
男:、、うん。

封筒を渡す。

ラ:じゃ、行ってくるわ。
あ、もしもーし?予定より早くあがりましたー。はーい。
いいです?あ、近くいます?じゃ、僕そこ行きますわ。
男:、、、、
女:、、、、あの、、先生。
男:俺じゃねーよ。
女:え?
男:先生はあっち。
女:え?

曲おさまる。
男、ちゃくちゃくと漫画を描く準備。

男:さ、ちゃっちゃとやろー。
女:え?
男:下書きまで出来てるから。
ネームにしてFAXして、
それでオッケー出たらキャラクター描きこんで
そっからペンいれ。
一週間なんてボヤボヤしてたらあっという間だ。
手伝ってくれるんでしょ?入ったんでしょ?まんけん。
女:え。あの。
男:あ、その前に次の扉絵まだだから
トーンやってくれる?
女:トーン?
男:スクリーントーン。
女:あの、あたし。
男:そのあと、この男の髪。ベタして白入れて。
ここ放射線入れて、最後ていねいにゴムかけて。
女:トーン、男、白、ベタ、ゴム。放射。
男:うん。わかる?
女:いやらしい意味ですか
男:なにいってんの?!
女:すみません私、実はズブの素人で!
男:は?
女:こういうの、触った事もないです。
男:あー、そうなのか。
てっきりジョン次郎アシになりたい人かと思っちゃった。
女:すみません!こころ意気はそうなんですけど、、。
男:じゃ、消しゴムかける係になって。
女:、、あ、はい!

男、ネームにとりかかる。

女:あの、すっごい初歩の初歩の質問、いいですか?
男:うん
女:あの人が最年少ジャンプ連載漫画家水谷ジョン次郎さんなんですよね。
男:そーだよ。
女:どうして、あの、えっと、お名前
男:小石川清彦。
女:どうして小石川さんが描いてるんですか?
男:アイディアはあいつだから。
あいつのいう事いう事全部当たるんだよ。
天才っていうんだよ、あーいうの。
女:ゴーストライターって事ですか?
男:つーか、あいつ、別にまんが描きたい人じゃないし。
女:え?

照明変わる。

曲(T.Rex"20th Century Boy")

前奏の間、ストップモーション、女にサス

女:こうしてあちしは
高校在学中にデビューを果たしたとホマレ高い、
現役高校生ギャグ漫画家水谷ジョン次郎先生本人
と出会えたちゅうわけやけども!
わけやけども!おどろきもものきさんしょのきや!
なんと、水谷ジョン次郎先生は小石川清彦ちゅう同級生に
漫画かかしてるちゅう事や!
全国の少年漫画ファンの諸君!
えらい事やでこれはああ!

ラ登場、ラグビーをしながら。

ラ:高校生漫画家水谷ジョン次郎最新作、
『ニュー戦体、アクロぶちコメンテイター』!
男:はっきり言って、
飛ぶように売れている!
ラ:だから、ジャンプ編集局からは文句が出ない!
男:はっきり言って、
好き放題やり放題だ!
ラ:印税がガンガン入ってきて、
今いくら稼いでいるかすら不明だ!
男:でも葉月グループの御曹司なもんで、
お金の事はどうでも良いらしい!
ラ:強いチカラだ葉月ターン!エン、ターン!
男:彼の目下の目標は、高校在学中に強い体を鍛えておくこと
ラ:ラグビー、柔道、バレー、水泳、バスケ
全ての花形スポーツを網羅中!
男:勉強は、
ラ:たいしてしなくても
もともと頭がいい。
女:なにぃ?!
男:まるで、本宮ひろしの漫画に出てくるような完璧な男の中の男だ!
女:男子は羨望のまなざし!
男:女子にモテないわけがない。
ラ:しかし、今一番愛しているのはラグビーだ!
女:漫画は?!
ラ:別に。
女:えらいことやでこれはぁああああ!!
男:ちくしょう〜〜〜!
女:この物語はGペンにかけた青春の読み切り31ページやのに!
男:こん!ちくしょう〜〜〜〜!
女:えらいことやでこれはぁああああ!!
ラ:ペーーーイ

なんとなくラグビーボールパス合戦。

曲あがり、暗。

■まんがの案を考えよう1

準備が出来次第、突然の曲切れ

ラ:はい!えーとそれではね。みんなね。
ギャグ漫画の案を考えてきてくれたと思うからね。
えー順にね、発表して貰いましょうね。
男:なにキャラ?
ラ:それじゃ我こそわって者、挙手。
女:はい。
ラ:お、じゃ、お願いします。
みんなに再度忠告するね!
これは、ギャグ漫画の案だからね!
女:まかせんしゃい!
男:不安だ。

つなぎの曲、流れ、切れる★ブリッジ照明

■桜島漫画

父:チュンチュンチュン

息子:どうしたの、こんな朝早くから2人して?
父: まぁ、いいからすわりなさい、ひろし。
 
 座ってから

息子:俺たくやだよ、
父: 実はな、父さんこれに出ようと思うんだ。
   じゃ___ん!
  (劇の祭典2008!家族で)
息子:何これ!?
父 :劇の祭典!今度、演劇の大会があるんだよー
息子:演劇の大会?父さんでるの!??
父: いやいや、父さんだけじゃないぞ、母さんも、松男も
   家族みんなで、出ようと思ってる。
息子:え!?俺もでるの。いいよ、俺は嫌だよ劇なんて。
   …あと、俺、たくやだよ、
父: 出てくれないと困るんだよー規定人数があるんだよー
息子:知らないよ、そんなのぉ、父さん1人でやってよー
父: ひろし!何でわかってくれないんだ!
   父さんだってな、いつまでも『ケーキバイキング』に
   行ってるわけにはいかないんだよ!
     
   ……………間

息子:どうゆうこと?
母: ひろし…
息子:…たくやだよ…     (めがねかけたらお前みたい)
父: あのなー挑戦しないもの、めがねかけるべからずだ!って言ってたぞ!
息子:誰が?なんだそれ!(的で)
父: わからないけど、とにかく、な!

 たくや、しぶしぶ用紙をみる

息子:あ!これ規定人数4人だ!うち、家族合わせても3人だから、
   これ無理じゃん。なんだーむりじゃん、あーそっかー無理だったかー
   なあんだー残念だね〜
   (安心)
父: 大丈夫!安心しなさいひろし!
息子:え
父: 本番には、父さんと母さんとお前と父さんの4人で、(ボケ)
息子:それ、3人だよ!

 父、笑顔とかダブルピースとか

息子:(突っ込み適当に自由に)

父: 大丈夫、大丈夫、鈴木さんに出てもらうから。
息子:鈴木さんて?
父: そのとうーり!
息子:え
父: いやーそうなのだよ、鈴木って書いて、スズキってわけじゃないのよ
   ススキ スズシ ススヘキ スヅキとかって読むわけよ!
   レパートリーマジあんのねスズキってちょーうけるんですけどー
息子:だから鈴木さんって。。
父: だから!鈴木って日本で1番多い名字なわけだよ!ってことはたくさんいるわけよー
   応募用紙には、名前をもう書いておいて、さ、本番までにそのたくさんいる
   鈴木さんの中からみつけたらいいでしょ! (応募用紙書き始める)
息子:…父さん、うち、田中でしょ。
父: …なー今のところなー
息子:ずっとだよずっと!
父: (顔ぷー)
息子: 無理だよ。
父: 無理じゃない
息子:諦めなよ。
父: 嫌だ!あきらめない !    
   
息子:そもそも、何で、(劇の祭典)出ようとしてるの?
父: 父さんだって、新しい事に挑戦っというか、人生の生き甲斐と言うか
   っというか、今まで家族で何かした!っていうことが無かったじゃない。
   だから、これで、みんなでいっち団結して家族で一つの事に向かって…***
息子:わぁ!!?これテレビで放送されるの!
父: そうなんだよー!
息子:余計やめなよー恥じさらすだけだよ、**
父: 楽しみじゃない、燃えるじゃないか、ぶち当たる壁が高い方が、
   ハードルをどんどん上げて、どんどん上げて
   家族みんなでその下をくぐろう!!
息子:飛ばないと(的な)
父: よーし!とにかく練習ーれんしゅー♪
  
父退場

息子:ちょっ!

息子:ちょ!母さん、
母: ……
息子:何でさっきから何にも言わないで黙ってるの!
  父さん、言ってる事おかしいよね、むちゃくちゃじゃん。
  俺は無理だよ、知ってるでしょ、
  俺、その日大学の試験だもん
母:(殴りかかる)
息子:(リアクション)
   
父登場

父: じゃーじゃん、じゃーじゃん!じゃじゃじゃ**
  **********
  ちょびへげー家族がやってきたー!!!

  あ!間違えた。

息子:嫌だよおれー
   なんなのあれー 
母: …
息子:母さんも本当は嫌なんでしょ、そうでしょ? 
   ねぇ!
母: (また身体的なもの、しゃべらない)
息子:(リアクション)

 父、卵かけごはん、食べながら登場

父: こら!真面目にちゃんと練習しないと、本番ドキドキしちゃうぞ!
息子:なんでご飯食べてるの!こんな短い時間に。
父: だってもぎもぎおMごおごごっご
   (食べてるから何を言っているかわからない)
息子:何いってるかわからないよ
父: あ!(時計をみる)
 (みんなも見て慌て始め、ミにつけていたものを交換とか)

★天野、エプロンになり、卵もってくる
★大原、新聞を読みだす、チョビひげもらう
★彦素 学ランキル

SEチュンチュンチュンチュン

息子:行ってきまーす!
母: 行ってらっしゃーい、気をつけてねー
父: 早めに帰ってこいよー
_________________________
つなぎの音楽

男:なんだこれは。
女:ギャグ漫画の案です。
男:わかるけど。
女:**説明**、、、
ラ:ボツ!次!
女:え?!

一気に暗。つなぎの音楽。
曲切れ

■部室への想い。

キーンコーンカーンコーンキーンコーンカーンコーン

明。
女、部室に入ってくる。

女:早いもので、一ヵ月が経ちましたか。
えーと、(時計みる)、、、まだ来てないか。
よし。今日も元気にベタ塗りをしよう。
ベタ塗りとは、漫画家先生の指示のある場所を黒く塗りつぶす事である。
よし、完璧。あ、その前にざっと掃除をするか。
ん?気になるオーラを出してるジャポニカ学習帳、無地、発見。

ジャポニカ学習帳
ぱららとめくる。

女:、、、、あ、、下書きっ!
これ、、単行本でもってる奴やん!
ショッキングやったでぇ。
何週かに渡って、ギャグ漫画家が突然ストーリー漫画はじめよったんや。
ほんでそのストーリーがまた本気やねん。なんでやねん。
かーちゃんと一緒に「なんでやねん」「なんでやでん」てよんだちゅーに。

昔、読んだ事のある漫画。
男、ふとんで寝ている。

女:なんだかんだ言ってもすごいな。葉月さん。
こんな素敵な話もかけるんだから。
無理くりここに転校さして貰って良かった。

そっと机の上にジャポニカを置く

男:うお!
女:うお!また寝てる!
男:やべ、今何時間目?
女:今?今、6時間目終わりました。
男:うう。またやっちまった。
また怠惰な生活をしてしまった。
女:サボったの?清彦くん。
男:しかも、ちゃんとした時間に学校に来て、
1時間目から6時間目まできちんと寝過ごすという
最悪のパターンだ。
女:6時間睡眠ですね。
男:やだー。夕方におき出すような大人になるのだけはやだー。
毎日、一日をつい諦めてしまうような大人になるのだけはやだー。
女:心配しすぎよ。
男:やっぱり就職しようかなぁ。
女:おきがけに突然。将来の悩み?
男:なんかね、こういう事の繰り返しで人生がくるってくんじゃないかと想うんだ。
女:おおげさでしょー。
男:俺なんて、あいつみたく才能ないからさ。
早く漫画家なんて目指すのやめて、
堅実に生きていく事を考えなくちゃいけない気がすんだ。
かと言って、大学に行く学力もなし。
気付けばあと半年で卒業だよ?
となると就職じゃない。
就職できなかったら、フリーターでしょ?
フリーターしながら漫画家結局目指すじゃない?
すぐ中年だよ
女:そんな事考えながら寝てたの?
男:夢みたんだよ。漫画売れなくて離婚されるんだ。
別れた奥さんに物置片付けろって怒られるんだ。
娘に手伝って貰うんだけど俺、物捨てられないんだ!
女:へー。変な夢。
男:ありそうでしょ、俺。
女:清彦くんならありえるかもね。
男:あ、掃除してくれてた?
女:うん。あ!そうだ!この前からずっと捨てたいものあったんだけど。
男:なに?
女:これ

磁石で楽々キャッチ

男:だめだよ!
女:え
男:だめだよ!それなかったら困るって!
女:なにに使うのこれ?
男:えええ!知らないの?!
女:知らない。
男:例えば、漫画家の命、ペン軸のペン先が落ちたとする。

実演。

男:な。
女:手で拾えばいいじゃん!
男:そんな事に漫画家の指先が使えるか!
女:いるのね。
男:いるよ。
女:んー。
男:あ。来週分。やらなきゃ。
女:清彦くんってさー。
学校に来てんだが漫画書きに来てんだかわかんないね。
男:俺、これしかないから。

男、まんがの準備。

女:気になってたんだけどー、この部室って泊まっていいの?
男:うん。俺、用務員さんと仲いいから学校にだまっててくれてんだ。
もともとグラウンドの物置だし、セコムもクソもないから。
俺と京ちゃんで改造した。
女:へー。
男:俺がどうしても漫画研究会つくりたくて。
興味ないっていってる京ちゃん無理くりひっぱりこんで。
最初のうち面白がってさ、飽き性で凝り性だから。
あれとあれ、京ちゃんつくった。
金持ちのボンボンのくせに日曜大工すげーんだ。意味わからんよね。
女:なんでも出来るなぁ。葉月君。
男:昔っから。ちいさい時からなにかにつけ1等賞だから。
女:幼馴染みなんだ。
男:うん。家となり同志。あいつんち(でかい)おれんち(ちいさい)
女:でかいね。
男:強いちからだ葉月ターン♪だからね。
女:すごいんだね。
男:この前どれくらいでかいの?って聞いたら、
「え?住友なみ」って軽く言ってた。
女:すげーべさ。
男:金持ちで成績優秀、スポーツ万能
しかもジャンプに連載もってんだから、
あいつにはなんも勝てた事ない。
あ、一個だけ勝った事あるな。
女:なに?
男:いや、ずいぶん前だし。
女:いつ?
男:中学ん時、一回だけ、すげえ悔しがってた。
女:なになに?
男:いや、いいよ。

SE犬の遠吠え

女:ジャンプに連載もつって大変なの?
男:え?
女:どのくらい大変?
男:すげえ大変だよたぶん。
女:そうなの?
男:そうだよ。
女:どのくらい?
男:え、えっと。編集社に持ち込みとかして、
手塚赤塚賞とかで大賞とかとって、
誰かの有名漫画家のアシスタントになって、
そんで、何年か下積みして、
そのあいだに自分のカラーとっか出して、とか、かな。
女:葉月君もそんな事したの?
男:いや。
女:そうなんだ。
男:あいつの場合一発。
女:え
男:ちょっとこういうの描けよ
っていわれるままに描いたら、大賞とっちゃって。
センスにほれられて、そのまま連載。はや2年だ。
女:すごいんだー。
男:、、うん。すごい。
女:本人興味ないのに。
男:むかつくよね。

男:ねぇ。
女:ん?
男:聖子ちゃんってさ、
なんでここ来たの?
女:感動しちゃって。
男:え?
女:ジョン次郎漫画に感動。
男:ギャグ漫画だよ?
女:そうじゃない回があったじゃない。一年くらい前。
男:、、え
女:これ。

ジャポニカ学習帳

女:さっき偶然みつけたんだ。
男:あ、それ、、。
女:偶然じゃないのかもね。
男:え?
女:なんか、見つけてくれオーラ出てたっし。
男:、、そうかもね。
女:本気のストーリー漫画の中でも
偶然なんか!って主人公が叫ぶの。
男:よく覚えてるね。
女:単行本もってるもん。その巻だけ3冊!
男:なんで
女:観賞用、保存用、貸出用。
男:ふーん。、、、実はさ、その回描いたのって。

ピロロロロ、ピロロロロ

男:あ。携帯。
女:あ、あたしだ!ごめん。

つい机に投げられる、ジャポニカ。
それを見てしまう男。

男:あ。
女:もしもし?え?今部室。
部室って言ったじゃん。え?先行ったの?
男:、、
女:いや意味わからないんですけど!
「**流行の映画のタイトル**」前?
え?ちょっとまだ入らないでね?今行くから!
(切る)どういう脳味噌をしてんだか。あ。
男:デート?
女:あの、隠してたわけじゃ、なかったんだけど。
男:いやいや、おかまいなく。
ほら、あいつ勝手人間だから急いだ方いいよ。
女:ねー。じゃ、お先!
男:タクシー使いな。印税あっから。
女:うん!じゃねー。
男:おつかれー。

女退場、男、ひとり。

男:ま、いつもの事、いつもの事。
あいつがモテないわけがない。

ジャポニカ、まんがの出だし

男:、、、パンゲア大陸とは、
太古の地球に大陸が一つだった頃の超大陸の名前である。
これは、離れ離れになってしまう仲間たちの切ない想いの物語である。

曲聞こえてくる(清志郎&2・3s"手紙のうた")

男:よし。

男、まんがを描き出す。

■余談1

女:知らないうちに、誰かを傷つけている時がある。
その時はもう夢中で、その事しか見えてなくて
後から冷静に考えれば、
すごくあたりまえな事に気付かない。
少し目を凝らして見る余裕さえあれば、
簡単にそのほつれを見つけられたのに。
人生をふと振り返れば、
そんなほつれが等間隔に並んでいるのを確認できる。
そういうものだから仕方がないと
飲みこむには、もう少し時間が必要だ。

■まんがの案を考えよう2

準備が出来次第、突然の曲切れ

ラ:はい!えーとそれではね。みんなね。
ギャグ漫画の案ね。じゃんじゃんね。発表して貰いましょうね。
男:だからなにキャラ?
ラ:それじゃ我こそわって者、挙手。
女:はい。
ラ:あ、君終了ね。じゃ君ね。
男:はい。
ラ;みんなに再度忠告するね!
これは、ギャグ漫画の案だからね!
女:ふぁい!
男:不安だ。

つなぎの曲、流れ、切れる★ブリッジ照明

■清彦漫画

スーパーの事務室

店:はい。じゃあレジ通してないもの出して。
2人:???
店:とぼけてもダメ。ちゃんとこの目で見たんだから。
2人:???
店:あのねぇ。ちゃんと証拠はあるんだよ。
女:私達何もしてません!ねぇ!
男:うん。
店:防犯カメラにも映ってんの。これみなさい。

店員、テレビをつける。男・女見てない。

店:お菓子売り場。ここで2人が近づく。
周りに見られないように商品をカバンに入れる。
ほら。ってみてな〜い!ちょっと!

女:あ、はい。
店:ちゃんと見て!
女:見てました。
店:見てないでしょ!おい!

店員、寝てる男を起こす。

男:あ、はい。
店:お前も見ろ!
男:見てました。
店:寝てたろ!
男:違います。僕、目がここにあるんです。
店:ウソ付け!
男:ぎゃ〜!目がぁ!
女:あの、そろそろ帰らせてくれませんか?
店:何言ってんの?
女:子供を幼稚園まで迎えに行かないといけないんで。
店:あんたら子供いるの?
男:はい。
女:3年目なんです。
男:ちょっときいてくださいよ〜!こいつ、オレのことめっちゃ好きなんですよ〜!
女:ちょっとやめてよ〜!
男:いいだろちょっとくらい〜。
女:あ、じゃああたしも〜!この人〜、あたしのこと宇宙一好きなんですよ〜!
男:やめろよ〜!恥ずかしいだろ〜!

2人求愛ダンスしながら帰ろうとする。

店:待て待て待て!座れ!

2人しぶしぶ座る。

店:カバンの中見せなさい。
男:嫌です。
店:見せなさい。
男:プライバシーの侵害です。
店:警察呼ぶよ。

男、カバンを開けて中身を出す。うまい棒いっぱい。

店:明太子、明太子、明太子、たらこ。こんなに盗ったの?
女:盗ってません。
店:じゃあなんなの!
女:隠したんです!
店:同じだよ!
女:他の人に万引きされないように隠したんです!
店:なんだそれ!
男:すいません!帰っていいですか?これ全部返すので。
店:そういう問題じゃないでしょ!今から警察呼ぶから。
女:ちょっと待って下さい!
店:だめだめ。今呼ぶから。
女:うっ!!!
男:どうした!
女:つわりがぁ〜!
男:大丈夫か!?あの!救急車呼んでください!
店:あ。わかった!

救急車呼んでる間に逃げようとする男・女。

店:今救急車呼んだから・・・おい!!!
男:あ。
女:い、今蹴ったわ!
男:ホントか!?
女:蹴ったわ!元気に蹴ったわ!左足で。
男:お〜!将来はサッカー選手だな!
女:何言ってんの。K-1選手がいいわ。
店:・・・。

とかなんとか言いながら席に戻る2人。

店:わかった・・・。奥さんがそんな状態なら仕方ないから、
とりあえず始末書だけ書いて。警察呼ばないから。
男:本当ですか!?
店:そこに住所と名前書いて。
男:はい!・・・住所。地球、日本・・・。
店:ふざけない!
男:はい・・・。名前、マイケル・J・フォックス。
店:ふざけない!!!
男:かっこいいと思って・・・。
店:まじめに書いて。
男:はい・・・。盗ったもの。うまい棒2008本。
店:そんなに盗ったの!?
男:あとは・・・。お前の心。
女:まぁ!嬉しい!

2人求愛ダンス。

店:ちょっと!さっきから何なのそれ!?
男:求愛ダンスです。
女:お互いの愛を表現してるんです。

2人より激しくダンス。

店:やめなさい!あんたらもういいから。帰んなさい。
男:え?いいんですか?ありがとうございました!
女:ご迷惑おかけしました。

2人帰る。男戻ってくる。

男:あの。最後にちょっといいですか?
店:何?

男、求愛ダンス。

店:えぇ!求愛ダンス!?
___________________________
つなぎの曲

ラ:なんだこれは。
男:**説明**、、、
ラ女:あー(理解)
男:え?なにその反応

暗、曲あがり、

■聖子の転校の理由

チュンチュンチュン、チュンチュンチュン

ラ:スズメが低空飛行すると、雨なんだって。
女:へー。先生、なんでも知ってる。
ラ:その先生ってやめまいか?
女:どうしてですか。先生は先生じゃないですか。
ラ:つきあい始めてもかれこれ、1ヵ月なのだから、
少しは距離をちぢめてみたいというか。
女:あー、そんなになるかー。
ラ:どうだろう、そろそろ、キスやらペッティングくらい。
女:あ、駄目です。
ラ:だめかー。

女、ベタをぬっている。

ラ:いいよそんなもんで。
女:ほんとに興味ないんですねぇ。
ラ:なに?
女:漫画
ラ:あー、ない。
俺はねぇ、もっとこう破天荒なスケールの男になりたいわけだから、うん。

座り直す。

女:その説は、どうもありがとうございました。
ラ:は?
女:あたし、実は、ジョン次郎先生の漫画に生きる希望を貰ったんです。
ラ:え?うそ!
女:たくさんファンレターとか貰ってらっしゃるでしょうから、
覚えてないと思うけど。あたし、超感動したんです。
ラ:感動?しかも超?
女:はい
ラ:爆笑しましたとか、新しいですとか、
天才ですねとかはよく貰うけどな。感動?
女:泣きました。
ラ:笑い泣きじゃなく?
だって、『ニュー戦体、アクロぶちコメンテイター』という不条理ギャグ漫画だよ?

ジャポニカ。

女:これです。
ラ:え?
女:バラバラになった仲間たちが、って奴。
もとは一緒だったのにって奴。
ラ:あ、あー。
女:これどうしてラスト描かないんですか?
感動したんや!あちし、感動したんやでえ!!
ラ:どうして興奮すると関西弁がまじるわけ?
女:大阪で生まれた女やさかい!
うち、あんさんの漫画に生きる希望をもろたんや!
これは偶然なんかやない!
わて、ほんまにそう感じたんや!
感じたんやでぇ!えらいことやでしかし!
ラ:しかも
女:続き、いつ描いてくれはるん!?
バラバラんなった仲間たちは、どうなるん!
こたえてんか!いや、描いてんか!?
ラ:ああ、まぁ、今度ね。
女;楽しみやわぁ。

ラ:あのさ。
女:はい。
ラ:俺のどこがこういい感じ?
女:えっと、頭いいし、スポーツマンだし、なんでもできるし、
爆笑まんがかけるし。えっと。あとはー。
ラ:、、、、他には?
女:え
ラ:俺、金持ちじゃん、スポーツマンじゃん、頭いいじゃん、
葉月グループ御曹司じゃん。高校生にして漫画家じゃん。
他になんか無い?
女:他にって?
ラ:特徴、みたいな。
女:特徴?、、あ!
ラ:なに?
女:やっぱり、あんな素敵なストーリーが描けるところ。
ラ:え?
女:あたしぶっちゃけ、あのストーリー漫画読むまでは、
せんせいの事、普通の漫画家だって思ってたんです。
でも、あれ読んで。ガラっとイメージ変わったくらい。
ラ:あ、そう?
やっぱギャグ漫画枠の中で、何週かに渡ってストーリー漫画を展開するという
壮大なギャグが新時代を切り開いたっていうかな。
女:いえ!私が感動したのは、そのストーリーそのものです。
ラ:あそう?あまり、そっちに対する評価ってなかったんだけど。
女:そんな事ないと思います。
最高です。誰がなんて言おうと最高です。
ラ:そう?
女:あたしんち、その頃蒸発した父親の作った借金とかで超苦労してて、
おかーちゃんともう死ぬかみたいな事結構本気で考えてて、
でも、あの漫画読んでたら、元気が出たんです。
あたしもおかーちゃんも!
ラ:あ、それはその境遇が評価を高くしたっていうか
女:って私も思ったんですけど!
後から読んでもやっぱり感動、面白い!
あたし、その巻だけ3冊もってます!
他の巻、とびとびですけど。あ、すみません。
ラ:あ、、いや。
女:ぜひ描いてください!続き!
おかーちゃんこのあたりの人と再婚するんです。
あちしお礼がいいたくて、お役に立ちたくて
こりゃチャンスだと思って、
無理やりこの学校に転校したんですから!

女、手を取ってる

ラ:あ、、そーなんだ、、

男、登場。

男:あーまたイチャイチャしてる。
神聖な部室を汚すのやめてくれませんかー?
女:あ、ごめん!
男:冗談
女:お。珍しい。清彦くん冗談ゆったよ。
男:ねー、京ちゃん。どやったら勉強できるようになんの?
ラ:え?
男:おれやばいよ。卒業があやぶまれてますよ。
女:まじっすか!
男:赤点まみれ。助けて京ちゃん。
ラ:それはお前、えーと、勉強しろよ。
男:してんだよ俺?
精一杯してんだよ?でも駄目なんだよ。
もー美術以外やべぇ。
女:清彦くん、天才のやり方とか真似しない方いいよ。凡人は。
男:なにそれ。ひでぇ、俺凡人?
女:凡人以下。
男:あ、ひでぇ、でも否定できない。へへへ
女:笑ってる場合?
男:いえ。へへへへ
女:笑ってるよ。?
ラ:、、、、、
女:どしたんですか?先生?
ラ:あ、いや。どら!みせろ!
俺が最悪金の力を使ってでもおまえを卒業さしてやる!
男:ああ!仏さま!
ラ:一生しもべだぞ。
男:それでもいい。
女:いいの?
ラ:音がーく!

■楽しい3人。

ラ:じゃーね、とりあえず、休憩ってことでね。
男:だから何キャラだ!
ラ:真打ち登場!俺!
女:ストーリーにはまったく関係がありません。
ラ:タイトルは「家庭事情が複雑なヒーロー」だ!

つなぎの曲あがり、★ブリッジ照明
曲切れ。明

■京太郎漫画:家庭事情が複雑なヒーロー

父(本郷豪士):彦素
美沙子(メタボジャガー):天野
息子(本郷拓也):大原

 喫茶店。
 父と美沙子がいちゃつきながら、拓也の到着を待っている。
 父には、付けヒゲと赤スカーフ。
 
父:おー、こっちこっち!
子:あ、美沙子さん。父がいつもお世話になってます(社交辞令)。
美:こんにちは。
父:まぁまぁ、座って。
  
  座る。メニュー。

父:なににしようか。拓也はどうする?
子:俺コーヒー。
父:じゃ、父さんも。美沙子さんどうする?
美:じゃ、私コーヒー牛乳。ミルク抜きで。(ポーズ)
子:え。(ビックリする様子をちゃんとみせる)
父:いいねー、美沙子さん。じゃ、そうしよっか。すみませーん!(キョロキョロとヒーローっぽく)
  
  ウエイトレスは気付かないようだ。

子:で、話したいことってなに?
父:あ、あぁ・・(モジモジ)
美:きゃぁー、緊張するね。(小さい声でモジモジ)

  一通り、モジモジ、イチャイチャする。

子:いや、あのさ、いいから話してくれない。
父:あのぉ、拓也はさ、言わなくても気付いてたと思うんだけど。
  2年前から、お父さんと美沙子さんは、男女のお付き合いをしていたんだよ。
美:(モジモジ)
子:・・まぁ、そうだとは思ってたけど。
父:美沙子さんは天使のように優しい人でな、父さんのことをよく理解してくれているんだよ。
子:うん。
父:・・・・父さんな、美沙子さんと結婚しようと思う。
子:・・・・
美:豪士さん・・・(泣き始める)。
父:早くに母さんを亡くしてから、お前には、辛い思いをさせてきた。
これから、美沙子さんがお前のお母さんだから。甘えたい時があれば、いつでも甘えなさい(涙)。
子:いやいやいや、急に新しいお母さんって言わ・・
美:ゲボゲボゲボ (泣き声から、急に嗚咽になる、じょじょに緑のものを出す。)
子:うぁ! なに! え!
父:大丈夫だから、大丈夫だから、美沙子さーん(拭き取る、背中さする)。
子:なんか緑のものでとる!
美:あらやだ!ごめんなさい。私、涙もろくて。
父:うんうん。
子:いやいや!
父:美沙子さんは、こういった涙もろいところがあるんだよ。
拓也も少しづつ新しいお母さんの事をしっていってくれ。
子:いや、勝手に話すすめるなよ!
  別にそっちが勝手に結婚するのはかまわねぇけどさぁ・・・
美:やだー!うれしー!!ウフフフ!!
子:いや、マダ全部はなして・・

  美沙子、電池が切れたように急に止まる。

子:(ビビッて 立っちゃう)
父:美沙子さーん、美沙子さーん。(耳元で)
子:なんなんだよ。
美:あらやだ!ごめんなさい。私、嬉しくって。
父:うんうん。
子:おかしーだろ。
父:おかしくない!美沙子さんは、タイ人と日本人のハーフなんだ。
  タイでは、嬉しいことがあると、みんな息をとめるんだよ。
  なー、美沙子さん。
美:コマンタレブ。***********?
子:え?
父:歳はいくつなんですかって。
子:や、18ですけど。
美:あー、そうなんですか。大人っぽいのね。(カタコト)
父:カタコトだねー。
子:美沙子さんは、何歳なんですか?
父:拓也!!!(立つ)
  レディにむかって、失礼なこと言うんじゃない。
美:いいのよ。ありがとう、豪士さん。(ぐりぐりヘッド)
父:やめろよ~
美:パー
父:ポポー
子:やめろやめろやめろ!きもちわるいから!
美:ドント タッチミー!!
父:私にさわるな。(同時通訳)
美:サイレントナイト
父:静かな夜。
子:ごめんごめん。わかったわかった。
勝手にしてくれ。
美:じゃぁじゃぁ、私のことお母さんて呼んでみてくれない?
子:え。
美:夢だったの、私、お母さんって呼ばれるのが。
子:いいかげんにしろよ!!!!!
父:拓也。
子:あのさ、あんたらが勝手に結婚するのは別に良いけど!
  俺を巻き込むのは、やめてくれよ。
父:どういうことだ。(シリアス)
子:だってよ、俺の母さんは、あの母さんだから。
  正直母さん死んでから、まだ3年しかたってないじゃん、
それで結婚するとかいうのもよくわかんねぇしさ・・・・・・
美:パァ(渾身のギャグを一つ)
子:なんなんだよ今の!馬鹿にしてんだろ!
父:落ち着きなさい!ここは、喫茶店だよ!
子:そうだけどよ!
父:今のは、タイの挨拶だよ。お前だってこんにちは、
って言うだろう。それと同じだろうが。
子:なんで今のタイミングで挨拶なんだよ!
父:それは、文化によって違うだろう!
美:ごめんなさい(泣き)。私、ちょっとトイレ行ってきますね。
父:うん。気をつけてね。

  美沙子トイレに行く。

父:拓也、美沙子さんを傷つけるな。
何がそんなに気に食わないんだ。
子:何がって、おかしいだろあの人。
父:おかしくない!(立つ)
結婚すれば、家事もしてくれるし、お前にだってプラスになることばかりだよ。すいませーん。
子:それにさ、父さんの仕事のことちゃんと言ってあるの?
父:いや、それはさぁ。すいませーん。
子:たぶん別れると思うよ三ツ矢ライダーだなんて聞いたら。
父:いずれ言うつもりでいるよそれは・・・・
  すいませーん。
子:来ないな。店員。
父:さっきから、客がいなくないか。
子:いねーな。

 ドアを開けにいく、開かない。照明変化。

父:ま・・・まさか!!
声:キョーッキョーッキョッキョー!!
父:この声は!!
声:不覚をとったな、三ツ矢ライダー!
子:え、なに!
父:貴様!!リボンシトロ軍か!!
声:この喫茶店から、生きて出られると思うなよぉ!
  キョーッキョーッキョッキョー!!
父:くそぉぉ!
  隠れてないでさっさと、姿を現せ!!!

  美沙子ひょっこり、現れる。

父:美沙子さん!大丈夫ですか!!

  急に動き出して、息子を人質にとる。

子:え!!
父:美沙子さん!?
美:キョーッキョーッキョッキョー!!
  すっかり騙されたわね、三ツ矢ライダー!
  私は、リボンシトロ軍から送られた、最後の刺客。
  お前の隙を伺うために、色目を使って近づいたのさ!!!
父:なんだとぉぉぉぉぉぉ
美:さぁ、息子の命が欲しければ、降伏しなさい!!
父:くそぉぉぉ。
美:さぁ、はやく降伏しなさい!
あなたの愛した女なんて、もうここにはいないわ!
父:うぅぅぅ
美:キョーッキョーッキョッキョー!!
  まったく哀れなものよね!
  自分の敵とは知らずに、結婚しようなんて言っちゃうんだから。(なんだかかんだか)
  
   美沙子がそっぽを向いてセリフを言っている間に、吹き矢を用意する父。

父:ふっ!!
美:グサ!!
  ギヤーーー!!

  倒れる、美沙子。

父:拓也!大丈夫か!!表に逃げろ!!

  拓也、はけ。

美:やっぱり私じゃ、拓也くんのお母さんになれないのね・・・・
父:美沙子さん!
美:ごめんね。豪士さん・・・・ごめんね。拓也く・・ん・・・。
父:ミサコさーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん!!!!!
美:パァ

■楽しい思いで→雷

コントの途中から、
再び音楽。

勉強を教えてやる2人。
仕事の電話がくるとか、
ラグビーボールを回すとか。

最後、女と男が
まんがをたのしそうに描いてる。
それを遠巻きに観ているラ。

突然の曲切れ

ザアアアアアアアアアアアアアアアア
ゴロロオロロオッッロロオオオオオオオオ
ザアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア
ザアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア

雷鳴、雨音の中、
葉月に手を無理やりひっぱられてやってくる、桜島
ベッドに押される。
嵐に明滅する照明。
暗、SE消える。

男:あれ、何してんだよ。ここで。
ラ:仕返しっていっただろ。

■おまえにゆずるぜ。

女:2時間前。

サアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア

明、考えてる二人。
ラ、突然あきらめ。

ラ:いいや。お前考えて。
男:え?ちょっと、どこ行くの?
ラ:なに?俺これからラガーメンなんだけど。
本日雨により室内トレーニング。アイワナビーア、ラガメーん、アズスーンアズパッシボー
男:困るよ。さ来週の案、今日明日でださないと。
ラ:じゃぁいいよ。この前のおまえの案で。
男:だめだって、全然つながってないもん前回と。
ラ:最後のコマに「あ、夢か」ってかけばいんじゃね?
あ!そうだ!白紙!白紙!ページ開いたらさ、白紙なの。
どう?そんで、真ん中に「牛乳」て書いてあるの。
うわ!新しい!俺天才!あとはうまくやってくれ。な?
男:天才かもしんないけどさ!
ラ:、、あれ?おこってる?
男:おこってないよ。
ラ:え、絶対おこってっし。
男:京ちゃん。さすがに最近まずいって。
ラ:なんで。
男:適当すぎるもん。
ラ:うん。
男:うんって。
ラ:だって、適当だもん。
男:いや、だからさ。
ラ:あ、ひさしぶりに描けば。
男:え
ラ:もう1年くらい描いてねぇだろ。自分のまんが。
実は今、こっそりなんか描いてんじゃないの?あの続き!
それのっけようぜ来週。
男:いいよ。
ラ:あれウケたじゃん!
男:いいって。
ラ:なんで。
男:、、だって、、ストーリー褒めてくれた手紙なんて一通しかなかったし。
ラ:、、、
男:だから、いいよ。
ラ:あ!こうしよう。
てーてーててーてーてててててんてんてーん。(表彰)
あなたに、高校生漫画家、水谷ジョン次郎の名前を与えます。
男:、、、なに言ってんだよ。
ラ:なにって。いいじゃん。おまえ描けよ。この先。
つーかお前描いてんだから。な。
もういいだろ?新しい部員も増えた事だし。な。部長!
男:え?やめるってこと?
ラ:まーそういうことになるか。
男:何言ってんだよ。
ラ:名前だけおいとくわ。じゃ!
あ、これ、水谷ジョン次郎携帯。進呈。
男:え?
ラ:ついでに桜島聖子ちゃんもあげるか?
男:なに言ってんの。
ラ:じょうだんじょうだん
男:ちょっと待てって!!

男、ラのえりくび

ラ:え、なにこれ?
男:え
ラ:なにこれ?おれと喧嘩しようっての?
男:あ、いや、そうじゃないけど
ラ:じゃ放せば?
男:うん、でも放したら行くじゃん
ラ:行くけど。
男:おまえのギャグ漫画、ワンピース並みに人気あんだぞ?
ラ:知ってるよ。でもすっげぇテキトーだもん。
男:テキトーでもなんでもいいから描けよ。
ラ:いや、描いてんの俺じゃねぇし。
ちょっと放して、
もやしっこ小石川清彦がエリート葉月京太郎にかなうと思ってんの
男:思ってないけど
ラ:はなせ。
男:、、、
ラ:はなせ
男:、、、、、
ラ:!!

ラ、殴るのように、投げる。
ザアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア

ラ:おまえが、忠告を無視した。おまえが。じゃな。
男:、、、描いてんのおまえだろ。
ラ:いや、おまえだろ。
男:俺あんなん思いつかないって
ラ:俺だってあんなん思いつかねぇよ。
男:え?
ラ:なんで描かねぇの自分の。
男:そりゃおまえ、忙しいから
ラ:嘘だね。
男:嘘じゃねぇよ。
ラ:人のせいにすんのやめてくんない?
ファンレター一通しかこねぇからいじけてんだろ。
男:、、うるさい
ラ:描くのおっかなくなったんだろ?
男:黙れって
ラ:誰もホメてくんねぇから。
かけねぇならいいよ、お前俺のゴースト。
漫画家になりてぇのおまえだろ?
良かったじゃん。よっ!小石川ジョン次郎!おもしろいよ!
男:うるさい!
ラ:あ、怒った怒った。
男:テキトーに漫画描きやがって。
ラ:しかたねぇだろ。才能なんだよ才能。
テキトーに考えた事が面白いんだってよ。
その俺がホメてやってんだから描けよ。
今ストーリー漫画に転向したって
あいつら文句言ってこねぇって!
かけよ。パンゲアなんとか!
男:簡単にいうなよ!
ラ:気持ち悪いんだよおまえ。

ジャポニカ

ラ:お前誰もいねぇ時にチラチラこれ見てるだろ!?
微妙に位置変わってんだよ毎回!
男:どうせ気持ちわるいよ!
ラ:描きたいんだろ?じゃあ描けよ!
男:お前と違うんだって!俺にはそんなに簡単じゃないんだって!
ラ:じゃ凡人なりに苦労して描けよ!
描きたいんだからよ!
男:ラストどうしても思いつかないんだ。
ラ:思いつけよ
男:むちゃいうなよ!
なんでもそろってるおまえに何がわかる。
金ないし、もてないし、力ないし、頭わるいし、
俺、唯一漫画しか出来ないくせに、
漫画描きたいくせに、描けないんだ。
ラ:卑屈。
男:ああそうだよ。
俺は卑屈で気持ちわるいんだよ。
おまえのカバンもちくらいしかつとまんないよ。
ラ:うわー。
男:だから頼むよ。
考えてくれよ。
俺うまく描くからさ。
自分で考えて描けないくらいなら
おまえに言われてかけてた方いいんだ。
じゃないと俺、
じゃないと俺、毎日なにもする事ないんだ。
がっこ来たって授業ぜんぜんついてけてねーし。
女の子なんてマンケンだから見向きもされねぇし。
家帰っても漫画読んでるしかねぇし。
そのくせ面白い漫画読んだらムカつくし。
プライドだけ高い卑屈なゴーストライターで、
おまえの陰でもかまわないんだ。
ラ:おまえ、それ以上言うと、仕返しするぞ?
男:え
ラ:仕返しすっぞ?いいのか?
男:頼むよ。この原稿落としたらさすがに
編集の人も切れるってお前言ってたじゃん。
考えてくれよ。俺うまくやるよ。
そのうち、そのうち自分のもちゃんと描くからさ。
ラ:おまえがそこまでどうしようもないとは思わなかった。
決定、おまえ、仕返し。
男:仕返しって、何のだよ!
ラ:2時間後、部室集合。各自一旦帰宅のこと。
男:おい!

ラ、退場。

ザアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア

■余談2

照明、ラに集中する。

ラ:あの時、ああしていればとか、
あの時、こうしていればとか、
少しづつ年を重ねるうちに、
今思えばなんであんなバカな事をしたんだ?
というような思い出だらけになる。
でも僕らはその時、
その時の最高の決断をしていると信じて疑わない。
その失敗の記憶の連続、
それを若気のいたりとか、
遠き日の過ちとか、
そのありふれた言葉で説明をつけるには
記憶がまだ新しすぎて、
やりなおしたい後悔の想いでいっぱいになる。
僕らはその想いにおしつぶされる可能性を常に抱え、
もうすこし時間が経ってくれと、
こっそり心のかたすみで念じるのだ。

ゆっくりと
桜島、ベッドへ。
そして男、入り口付近へ。
葉月、台詞終わりで、ベッドへ。

■セックス疑惑

男:、、やめろ!

ザアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア

男:あれ、何してんだよ。ここで。

ふとんに入っている女
ふとんから出て、ズボンをはいているラガーメン

ラ:仕返しって言っただろ。
男:なにしてたんだよ。
ラ:なにって君、ヤボな事を聞くもんじゃないよ。

おまえくるの早いよ。まだ1時45分しか経ってないじゃないか。
ラ:、、、
男:だからなんの仕返しだよ!
ラ:つーか、まだなんもしてねーし。
男:なんでここですんだよ。
ラ:、、ここでしたかったんだもん。ずっと。
男:他でしろよ!
ラ:やだ。
男:おまえなんでもあるだろ!
おまえんちでやれよ!
金あるだろ!
ラブホテルいけよ!
わざわざここでやるなよ!
ラ:ここがいんだよ。
男:よくねえよ!
、、、おまえなんでもあるくせに、なんでそんな事するんだよ。
ラ:、、、ここ大事だろ。
男:あたりまえだろ。
ラ:だからだよ。
昔っからそうなんだよ!
自分はたくさんの物もってるくせに、
人が大事にしてるもんほしがるんだ、俺
、、うらやましんだ、おまえんこと。
俺やりたいことなんてねぇもん。
俺これしかないなんてことねぇもん。
欲しいもんなんてねぇもん。

ジャポニカ。

ラ:桜島さん。これあいつの。
女:え
ラ:おれは、こんなの描けない。
俺は、他の事全部勝てるけど。
これだけはどう逆立ちしても勝てない。

ザアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア

ラ:清彦、桜島さんは俺がだましてつれてきただけだから。
コレの続き描くってウソついて。
男:、、、京ちゃん。
ラ:うん。
男:あやまれよ
ラ:、、うん
男:これじゃ扱いがひどすぎるじゃないか。
ラ:うん。
女:あやまんなくてもいいよ。
男:え。
女:別に。あたしなんか。
2人:?
女:少年誌、たまたま新しいパパが買ってきたの。
高校生が描いてるってのに驚いた。
父親が借金作って蒸発した理由は
母親が浮気するせい。
転校する理由があたしの場合、
母親の新しい交際相手の住む街だったりするわけで。
そうなると
女子社会は男子社会よりも厳しいもんだから。
あたしはそれなりの扱いうけるわけ。
現に、この学校でなじんでる場所なんて、
ここくらいのもんだもん。
あたしは、
水谷ジョン次郎の漫画みて、
超感動したんだー。
こんな嘘みたいな世界があったらいいなぁーと。
でも心の底から思ってるよ。
そんな世界があるわけねぇ!
男:、、、、
女:また転校することになった。
また、ほとんど夜逃げ。

ザアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア

ラから、ジャポニカを取る男

男:おれ描くわ。
ラ:、、、
男:描く。
、、俺、かかなきゃ。

暗。ザアアアアアアアアア

雨音とクロスフェードする音楽(手紙のうた)

照明の中、あの娘のため、もくもくと漫画を描く男
狭いはずの部室。
すでに圧倒的に独りである。

男:おい!そこまでだ!とぉ!お、おまえは!
ふっふっふ。ここで会ったが百年目、くらえ必殺、
エクストリームショックウェイブ!スリー、&ウィーー!
なぁあああ!やめろ!仲間同志でキズつけあうのはよせ!
ちくしょう!ちくしょう、、、
ボ、ボンダイブルー!フラワーパワー!
お、おまえたち!来てくれたのか!来てくれたのか、、

現実に戻る。部室を見まわす。
やはり独り。圧倒的に独り。

男:ようし。

振り切るように漫画を描きはじめる男。

男:その日は朝までかかった。
あの日の事が今も頭に残って離れない。
結局、全部は出来なくて。
間に合わなかったとわかったその瞬間、
まず、葉月京太郎が「じゃあ」と最初に席を立った。
その瞬間に桜島聖子が泣き出して、
僕はなんの声をかけられるわけでもなく
そのまま30分虚空を見つめながら涙がおさまるのを待った。
そして「ごめんなさい」と一言残し、しずかに部室を出ていった。
最後に残った僕は困り果て、
ただ原稿用紙を見つめながら、
僕は誰になにを言えばいいのだろうかという事だけを考えてた。
連載は打ち切り、漫画家水谷ジョン次郎の仕事はそこで跡絶えた。
最後の原稿をどうやってしあげたのか、その後の記憶がまるでない。

長い間の放心

一人づつ、増えて行く。
いつの間にか曲、聞こえてくる

まんがを描き進める3人

じょじょに暗
曲じょじょにあがる。

男:その日を境に
僕らは部室に顔を出さなくなった。
僕の作った漫画研究会は
僕の代で終わった。
僕は、、


■大団円

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たくさん台本を書いてきましたが、そろそろ色々と人生のあれこれに、それこれされていくのを感じています。サポートいただけると作家としての延命措置となる可能性もございます。 ご奇特な方がいらっしゃいましたら、よろしくお願いいたします。