新撰組『桜襲〜さくらがさね〜』

新撰組『桜襲〜さくらがさね〜』作 すがの公

<あらすじ>幕末。新撰組副長土方歳三は局長近藤勇と対立する芹沢鴨の粛清を、沖田らに命ずる。その少し前。さくらとお梅と新撰組の新人楠木小十郎は、今日も川で羽織の洗濯をしていた。川の上流にある領事館からは、グンゼのパンツ、ビジネスホテルのアメニティなど異国の品が流れてくる。今日流れ着いたのはナイキシューズ。小十郎はこれにより、スーパー剣士へ変身するのであった。

<登場人物>

芹沢鴨
野口健司
平間重助珍
平山五郎
お梅
さくら
近藤勇
土方歳三
沖田総司
原田左之介
永倉新八
藤堂平助
楠木小十郎
桂小五郎・ハト・越後三郎
山南圭吾


■第1場「芹沢暗殺1」

演出注。
『池田屋の堤灯の火』
『芹沢暗殺の雨』
二つの印象をきっかけに物語は前後する。

群唱:一つ、士道に背くまじこと。
一つ、局を脱するを許さず。
一つ、金策を致すべからず。
一つ、訴訟を取り扱うべからず。
一つ、己の闘争を許さず。
、、、、、、、、
右に背く者には切腹を申し付ける
、、、、、、、、
1862年文久3年9月16日

明。夜、強い雨。
SEザアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア
沖田総司、原田左之介、舞台上にいる。

沖田:、、、、。
原田:やけに降ってきやがった。
まぁ、暗殺するには都合がいいか。

山南啓助

山南:確認した。母屋に平山、平間。そして芹沢鴨。
沖田:野口はまたの機会に。今日は3人だ。
原田:酔っ払いの寝込みを襲うなんていい気しねぇな。
沖田:近藤先生の命です。

沖田、原田。母屋へ向かう。

山南:芹沢の女もいたぞ。
沖田:、、、、
山南:沖田くん。
沖田:、、、。
原田:どうする、総司ぃ。
沖田:騒ぐようなら殺してください。
山南:、、しかし、沖田くん
沖田:今我々は誰でもない。
名前を呼ぶのは避けていただきたい。
山南:、、、
沖田:行きましょう。

一人向かう沖田

原田:一つ、己の闘争を許さず。
沖田:、、、
原田:俺、原田左之介として確認したい。
沖田:、、、。
原田:総司。これ、なんのためだ。
沖田:、、、、、、、

沖田、力任せに刀を振り降ろす

沖田:我々は今、新撰組ではない。
原田:土方さんは?
沖田:、、すぐ来る。抜刀

無言で母屋へ向かう、原田。続く山南。
雷の光り、沖田を照らす。
雷鳴。ゴロゴロゴロゴロゴロ
沖田、見上げる。喀血。

沖田:ゲホ、、ゲホォ、、、、、土方さん

SEザアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア
雨の中、

■第2場「池田屋1」

SE太鼓、
ドン!舞台中央に堤灯の明りがつく。堤灯に誠の文字。
それを中心に、舞台全体に浮かび上がるたくさんの堤灯。
ドンッ!ドンッ!ドンッドンッドンッドンッドンッドンッ!
ドドン!

永倉新八、池田屋店主、近藤の声。

永倉:明けて1864年元治元年!池田屋!
店主:お二階の方!新鮮組です!
永倉:新撰組、最初で最後の晴れ舞台!
近藤:御用あらためでああああああああああああああある!!!!!!

激しい曲、眩い照明舞台全体を照らす。
SE接近戦の音近づいてくる。
キィンズバァキンズザザァキィイインズバアアア

3人の長州勢(敵)登場。

敵1:無事か?
敵2:突然襲いかかってきよった!
敵1:あかん!刃が立たへん!奴ら一体何もんや!?
敵3:間違いあらへん。
敵1:しっとんのかい?!
敵2:浅黄色、だんだら模様の羽織、背中にしょった誠の一文字ぃ!
敵3:間違いあらへん!壬生の狼、人斬り浪士!
全員:新撰組やぁあ!

舞台奥に文字『誠』

そこに裸の男。サラシ。

近藤:御用改めでああああああああああああある!
敵3:野人?!
敵2:お二階の方!新鮮組です!?
敵1:どこがやねえええん!

斬りかかる。近藤と立ち回り。
キィン、キイィン、ズバアア!

敵1:に!2刀流!
近藤:剣豪。厳流島に降り立つ!
敵2:宮本武蔵!
近藤:ただファンなだけさぁ!!

ズバ!ズバアアアアア!

近藤:新撰組局長!近藤〜〜ぉです!

ズバアアアアア!

敵3:羽織はどおしたああ!!!

斬りかかる。沖田、制止。
キィイイイン!

沖田:近藤先生!
近藤:遅い!遅いぞ小次郎。えい燕返し。ちょっと寒くないか岩流島。
沖田:池田屋です!新撰組の晴れ舞台なんですから。ちゃんとしてください!
近藤:バカボンドの宮本武蔵が大好き!!
沖田:言ってる事むちゃくちゃだ。
近藤:援軍まだ?このままだと俺、風邪を引くの巻。
敵2:服着ろぉおおーーー!

斬りかかる。沖田と立ち回り。
キィン、キイィン、ズバアア!

敵2:きさまわぁ?
沖田:新撰組一番隊組長!沖田総司!
敵3:そのほっそい目ぇで、ぬけぬけとおおぉ!
沖田:シャープって言ええ!

ズバアアアアアア!
ズバアアアアアア!

敵1:そして!
敵23:そしてそしてぇ!
近藤:死なねぇなぁ
沖田:服着てください

接近戦の音、近づいてくる。
キインズバァキィンズバァズババァ
舞台奥から、気迫に負けて押されてくる敵456他

敵1:あの!舞台奥からめたくた人斬りながら現われるんのんわぁ!
敵23:あらわれるんのんわああ!
近藤:あれ関西弁?
沖田:たぶん。
敵全員:新撰組副長!!

SEカーーーーーーーーーーーーーン!
女土方キメ。照明、土方に集中。桜襲色の羽織。
舞台全面をなめるように見回す。

女:しれば迷い、しらねば迷わぬ恋の道。

一瞬の静けさ。女、刀を持ち変える。
SEチャキーーン。

女:土方歳三、女バージョン。
近藤:土方ちゃん!
敵全員:女ぁあああああ!!!!

曲上がり、立ち回り開始。
敵123人を食い止める近藤、沖田。
女土方、美しく一回転。敵456を瞬殺。
近藤沖田、敵123を払い
女土方VS敵123。
キィンキィンズッバッバヴァァ!
見とれる沖田、近藤

近藤:すばらしいね彼女は。
沖田:本物じゃありませんよ

ズバア、ズバアアアアアアアアア!
沖田、やつあたりのようにぶったぎる。

敵全員:新鮮組ぃ!
3人:はああああい!

曲上がり、立ち回り開始。
土方VS敵123、土方退場。
近藤VS敵123、近藤退場。
沖田VS敵456(斬りふせられその場に死体)
曲下がり。

沖田:ちょっと押され気味です。
近藤:他の連中は?(羽織を着ながら)

原田左之助、後ろ向きに飛んで着地、そしてゴリラ。

原田:ウホ。
沖田:ゴリラ音!
原田:どこどーーんどこどーん!(ドラミング)
近藤:花の都でドラミング!
原田:新撰組十番隊組長!原田左之助ぇえ!

永倉新八、藤堂平助、

藤堂:同じく八番隊組長藤堂平助!
永倉:2番隊組長永倉新八!
近藤:脇役も揃った!
藤堂永倉原田:言うな!

敵456生き返る

敵4:敵4!
敵5:敵5!
敵6:敵6!
近藤:斬られ役も揃った!
敵456:ぃよいしょおおおお!!!!

曲上がり、立ち回り開始。
永倉、藤堂押され、原田、力わざでやっつける。
曲下がり。

永倉:強いな、シルバーバック。
藤堂:19世紀末に発見されるまで、架空の生き物だったとは思えん。
原田:ゴリラじゃねぇ!
沖田:あ!大物発見!
近藤:だれ?
原田:長州藩士、桂小五郎。

桂、逃げようとしてる。

桂:にげちゃえ。
近藤:やろう!また逃げるぞ!
沖田:つかまえろ!
藤堂永倉原田:うほい!

藤堂、永倉、原田、沖田、退場。

近藤:長州藩士桂小五郎!観念しろ!囲まれてるぞ!
桂:やー。大勢で卑怯。
永倉:京の都に火を放つなどという不届きな企て。
藤堂:神妙にお縄をちょうだいしろい!
桂:やー。暑苦しいし。
近藤:だまれ!やさ男が!
桂:やー。あ、なんか来た。

女土方。

女:まてまてーまてまてまてー!
近藤:歳ぃい!!一人で行くな!

近藤退場。

女:んちゃ!
桂:アラレちゃんだ♥
女:構えぇえ!

女土方、構える。目つきが変わる。

桂:ほう。
女:梅の花、一輪咲いても梅は梅。
春ははる、きのうの雪も今日はとけ。
梅の花、咲ける日だけに咲いて散り。
桂:美しいよ、土方。

段下に敵、多勢にかこまれる女。

桂:おかしな新撰組だ。
女:ダーリン、誠のためだっちゃ。
桂:ラムちゃん、あんたの影に死人が見えるよ。
女:誠のために死んだのだもの。

芹沢鴨、楠木小十郎

芹沢:雪霜に色よく花の魁て散りても後に匂う梅が香
楠木:局長、ろまんちっくだ。
桂:小十
女:いいかしら
楠木:いいですよ
桂:美しいよ。君ら。
芹沢:チェストオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!

3人構える。

女:我、この柵にありてぇ!
引くものは切り捨てる!

楠木女土方芹沢:新鮮組どおおおおあああ!!!

腰をゆっくりと落とす3人
曲上がり、暗。

■3場「京都壬生新撰組屯所裏の小川」

曲消え。
★永倉拍子木カーン
舞台上手前。永倉新八、扇子をもって口上。

永倉:黒船到来、日米修好通商条約、安政の大獄そして、桜田門外の変。
時代は幕末。
幕府を倒し、新しい世を開こうとするうねりの中。
いじらしくもその忠義を貫き、
誠の一文字を胸に散っていった男たちがありました。

★永倉拍子木カーン

永倉:こんにちは、明治時代まで生きちゃった、新撰組生き残り、永倉新八です。
今のが1864年元治元年6月の、世に名高い新撰組池田屋事変。
この功績から新撰組の名は京の都に知れ渡り、一時(とき)の栄華を誇るわけです。

★永倉拍子木カーン

永倉:劇団SKグループが送る新撰組幕末青春愛憎(あいぞう)浪漫譚(ろまんたん)『桜襲』。
物語は、池田屋事変の少し前に戻ります。
その頃。
新撰組はトップが二人いる異常な組織でありました。
近藤局長率いる試衛館派。そして芹沢局長率いる水戸派。
1863年文久3年9月、京都壬生、新撰組屯所。
ここに、派閥争いの終止符が打たれようとしています。

★永倉拍子木カーン

永倉:新撰組に、赤い色した雨が降る!

効果音カン!カン!カン、カン、カン、カン、カンカカン、カカン!

剣術指南中の師範、新撰組をひきつれて登場。

師範:みぎ!ひだり!うーしろ!、けーのけーのび!ハイ!
新撰組:みぎ!ひだり!うーしろ!、けーのけーのび!ハイ!
師範:斬って突いてたーんたーん、けーのけーのび!ハイ!
新撰組:斬って突いてたーんたーん、けーのけーのび!
師範:元気にー!当日せーいさん、たーいりょう放出、
新撰組:チケット売れねぇ、名前も売れねぇ、
全員:いつでも座席はガーラガラ!ヘイ!
師範:みーぎちょーんひだーりちょーん、がっとバットだああん!ヘイ!
新撰組:みーぎちょーんひだーりちょーん、がっとバットだああん!ヘイ!
師範:フェードアウトぉ!東京来たのに大あっかじー
新撰組:東京きったのーが大間違い

隊士の声

新1:なぁ、お前どっちに着く?
新2:近藤派?芹沢派?
新3:近藤一派は沖田さん以外屯所から出てこねーし
新4:芹沢一派は毎日穴ボコ探しに忙しいし
新3:やっぱどう考えても近藤さんだろー。
新1:穴ボコ探しってなに?
新2:動く穴ならなんでもいんだと。
師範:ほら後ろぉ!罰としてツーステップ!
新撰組:ええええええええ
師範:京都一周ううう!
新撰組:ツーすってっぷツーすてっぷけーのけーのび!
永倉:けのけのびってなんだ
新撰組:けーのけーのけーのけーのけーのけーのび!
師範:フェードアウトぉ!
新撰組:けーのけーのけーのけーの、、

★永倉拍子木カーン

永倉:新撰組屯所裏。洗濯河原に新撰組専属洗濯女がおりました。

小川のせせらぎの音。
舞台前に両袖から引かれる「川のつもりのシャラシャラ」
隊士に混じっていた、お梅、楠木、女、羽織を脱ぎ、洗濯女になる

お梅:まいる。毎日毎日洗濯。mile。
楠木:わかりましたから
女:お仕事お仕事っ。これも、新撰組の、大事なお仕事。
お梅:男の汚れを落とすのがあたしの人生ってわけ。
楠木:いってませんよ。
お梅:少しは痩せたら?ころころして。
楠木:いわれたくないわ!
女:小十郎さん。剣の稽古サボってていんですか?
楠木:こっちの仕事の方が向いてるもんで。

お梅。楠木の刀を持ち、構えてみせる。

お梅:桜ちゃんも男だったらなぁって思わない?
女:あたし?
お梅:スカっとすると思うんだけどな。刀でさ。ズバアア!
女:まさか!刀なんておっかなくて。
楠木:あ、それ、同感。
お梅:小十郎ってさぁ、女の子みたいだよねぇ。
楠木:ぼ、ぼくがぁ?ま、まさかぁ。い、いやだなぁ。よ、よしてくださいー。

★永倉拍子木カーン

永倉:あからさまにドギマギしてるのは、
最近入ったばかりの平隊士、楠木小十郎。

お梅:小十郎。ちゃんと食べてる?
楠木:え?まぁ、食べてます。
お梅:もうやめな。
楠木:どういう意味ですか!
お梅:うわっははっはは
楠木:ちくしょー完全におちょくられてんなぁ
女:ねぇねぇ青白さん来た?ねぇねぇ。
お梅:だれ?
女:青白さん♥
二人:、、青白さん?
女:「なんでこの人が新撰組なんだろう第2号」
楠木:1号は誰ですか
お梅:あんたよ。
女:会ってない?
お梅:誰だっけそれ?
楠木:青白さん?

照明変わる。後ろに土方登場。ただ歩いてくる。

女:日の光り、浴びてない感じ。
お梅:不健康って事?
楠木:青白さん。
女:今年の春。その人がね、ふらってここにやって来て、

思い出。

土方:こんちぁ。
女:あ、こんにちはー。
土方:天気いいですねぇ。
女:そうですねぇ。
お梅:つまんねぇ会話。
楠木:おいい!
土方:あのー、いいですか?
女:は?
土方:ちょっと、いいですか?
女:はい?なにを?
土方:ちょっと、ちょっとだけ。
女:はぁ。

一旦そでに戻る。

お梅:不審者。
女:違います!
楠木:まぁまぁまぁ

再び、俳句書けそうな札と筆を持って登場。

土方:うめのはなぁ〜いちりんさいてもうめはうめぇえ、、♪
どうですか?
女:あのぅ、、
お梅:頭いっちゃってんの?
楠木:お梅さん!
女:違います!ちょっと、、ちょっとあの、、ちょっと変なだけです!
楠木:フォローになってない。
土方:、、変かぁ
女:あ!変じゃないです!
土方:あ、じゃ、あのー、もちょっといいですか?
女:お願いします。

一旦そでに戻る

お梅:準備わるいよ準備ー。最初から持って出てきなさいよー。
楠木:お梅さんストレスありませんか。

再び、俳句書けそうな札と筆を持って登場。

土方:春のくさぁ、ごしょくぅまではぁおぼえけりぃ〜〜♪
どうですか?
お梅:字足らず!ごしょくぅとか駄目。
そんなん俳句とは呼ばない!
女:私、、、、、好きです。
土方:ほんと?
女:素朴で、私好きです。
土方:、、、、よかった。

土方、ホっとして帰ろうとする。

女:あの、お名前。
土方:あ、えっと、、内藤。内藤隼人。君は?
女:桜。
土方:さくら、、桜か、、。

土方ニコニコしながら退場。見送る女。

お梅:(乙女)わかるわぁぁぁ、、

照明戻る

楠木:えええええ
お梅:わかる。それ、わかる。
楠木:散々茶化してたじゃないですか!
お梅:あんたにはわかんないのよ女心なんて!
楠木:失礼ですね!わかりますよ!
お梅:なんであんたにわかるの。
楠木:そそそそれはぁ
お梅:なんであんたにわかるの。
楠木:こわいぃい
女:あれから2度くらい来たんだけど。
最近見てないなぁ、青白君。
楠木:その呼び方どうにかなりませんか。
女:母性をくすぐるってゆーの?
お梅:わかる。
女:あ!これ近藤勇の!これ沖田総司の!これ土方歳三!あたし土方!(他ぶんなげる)
お梅:あたし沖田!(近藤のぶんなげる)
楠木:(ぶつかる)うえええ、近藤〜?
女:いやなの?いやなの近藤?土方?土方は駄目!土方はあたし!
楠木:うえええ。
お梅:あんたも好きだねぇ。会った事も無いのに。
女:あこがれあこがれ。あこがれの人っていて欲しいじゃーん。乙女心って奴?
お梅:あー、自分でいっちゃった。
楠木:青白君どうなったんですか。
女:青白君はそういうんじゃないから
いざって時に頼りにならないと。
お梅:「鬼の土方」そりゃ頼れるわ。
女:決断力あってさぁ行動力あってさぁ。強くてさぁ。でも根は優しくて力もち。
楠木:最後の方、金太郎みたいですね。
女:うわさじゃスラっと8尺はあるんだって。
楠木:8尺?!
お梅:8尺って言ったら。

3人、永倉の方を見る。
永倉菓子パン食ってた。

永倉:え?あ、245センチ。

楠木:パン食ってた?
女:『ナイススティック』
お梅:何言ってんのあんた。
楠木:ヤマザキ。
女:何言ってんのあんた。
楠木:てか245センチって!
女:長身〜♥
お梅:化けモノか!
お梅:桜ちゃん、絶対だまされてるよ。8尺ったらもう人間じゃないよ。巨人だよ。
女:いいのいいの。理想は高く。
お梅:ほんとはどんな人?
楠木:え?
お梅:見た事あるでしょ?小十郎、平隊士だもん。
楠木:会った事ないです。
二人:、、え?
楠木:人前に出ないんです。土方さん。
女:そっか、謎多き方だわねぇ。
ますます会ってみたいなぁ。

永倉:平隊士の数が異様にふくれあがったこの頃、
土方歳三は人前に出る事を避けておりました。
顔を知っているのは、
ごくごく上層部の人間だけでした。

★永倉『ナイススティック』ボフッ

永倉:あ。

★永倉拍子木カーン

女:間違えたよ。『ナイススティック』と。
お梅:食うなよパン
楠木:食うな。
女:お洗濯・お仕事お仕事・お洗濯。あらまただ・たいして汚れちゃ・いないのに
楠木:大切な・新撰組の・羽織だの・もしものために・奇麗にしとけと
お梅:ほんとうは・あざやか浅黄の色なのに・洗濯しすぎて・いまは真っ白
女:あら大変・誠の文字も・かすれてく
楠木:うまい事いいますね。
女:あらら。こっちはかすれない。

三人、ふんどしを出す。ふんどしに誠の文字。

お梅楠木:かすれないねぇ
女:ふんどしの誠の文字、誰に見せるわけですか。
お梅:そりゃぁ、
楠木:ねぇ。
女:いやんだ!(背中ばん!)
楠木:ものすげえいてー。

SE川のせせらぎの音。

お梅:あ、また。
女:あ、またですか?

永倉:この川の上流にはアメリカだかエゲレスだかの領事館があるらしく、
たまに異国の品が流れついてきますのです。

下手から流れてくるグンゼのパンツ
ぷか、ぷか、ぷか、ぷか。

お梅:なにかしら。
楠木:なんでしょう。
女:グンゼ(日変わりでもよい)
楠木お梅:え?
女:駄目読めない・なんてかかれて・いるんでせう
楠木:今読みましたよ
女:またなんか流れてきた。

「川のつもりのシャラシャラ」一瞬くたりとなり、
流れてきたもの表現係(イモジャージ)をチラリと見せる。

楠木:今なんか居た!イモジャー!
女:まさか。
楠木:いましたって!
女:小川のせせらぎの中に一体何がいるっていうの
係:か、かぁかぁ。
女:ほら、川にいるのはカラス。
楠木:川にカラスはいません。
係:*********
女:?えっと、なに?
楠木:*******
お梅女:ほんと?
係:*********
お梅:ほんとだ。
女:あ、靴下。
楠木:靴下?
女:使い捨て歯ブラシ、ミニ歯磨き粉、使い捨て髭剃り、
ビジネスホテルクラスのアメニティかしら
楠木:アメニティ
女:わからないけど。
楠木:ですよね。

川のせせらぎの音。
くたりと地面に落ちる「川のつもりのシャラシャラ」

楠木:あ!

係の人ちょっと見切れる。走る!やっぱ泳ぐ。

女:欽ちゃんの仮装大賞か。
楠木お梅:はい?
女:ねぇ見て見て!靴見て!
楠木:無理やり話題変えましたね。
女:これ。流れて来たもの履いてみた!
お梅:お!似合ってる似合ってる。
女:もいっこあるよ?履く?(もう一つ出す)
お梅:ニケ。
女:ナイキ!!
楠木:なんですか?
お梅:レア?レア?それレア?エアジョーダン?
楠木:お梅さん!
女:あー。無理ある!時代劇!
楠木:桜さん!

芹沢登場。

芹沢:もともこもねぇ事言うなあ!
3人:だって!だってナイキがとか英語が!とかなんとか口々に言う!
芹沢:口々に言え!!わかったから!続けろ、時代劇。
お梅:芹沢様!
芹沢:ん。お梅。
お梅:芹沢様♥
芹沢:ん♥お梅♥
芹沢:お梅、すまんがこのすりへらんばかりのふんどしも頼めるか?
お梅:はいな♥

走って止まる芹沢

芹沢:お梅えぇ!あいらびゅーん♥

芹沢退場。

お梅:んもう♥
女:だれ?
楠木:新撰組もう一人の局長、芹沢鴨。
お梅:んもう♥
女:どんな関係?
お梅:ンモウ。
女:あいらびゅーん?
お梅:エゲレス語。
女:どういう意味?
お梅:子供は知らなくていいの。
楠木女:お。お。お。大人発言。
お梅:あ、そうだ。ちょっとごめん。鴨ちゃん!鴨ちゃん!

お梅退場。

楠木女:鴨ちゃん、、
女:なになに?なにあれ?どういう事?そういう事?
楠木:はい。
女:うわ。芹沢ふんどし。
楠木:つままないでください。リアルだから
女:あ、誠の文字。
楠木:かすれてるねぇ。
女:その心は。
楠木:よく使ってる。
女:いやんだ♥(背中バン)
楠木:ものすげぇいてぇ、、
女:へぇ〜やるもんだお梅ちゃん。新撰組局長もう一人の局長といつの間に。
楠木:でもよく平気だなぁ。お梅さん
女:?
楠木:芹沢さん、動く穴ならなんでもいいんです。
女:は?


別の場所、芹沢一派
============
五郎、重助、野口は落日前まで楽珍トリオ
楽日は、重助:原田左之介役、五郎:永倉新八役、野口:藤堂平助役
============

芹沢:ほれぇ!ほれぇ!重助!ほれほれぇ!ほれぇええ!
うわっはははっはあ!
重助:やめてくだされ!やめてくだされ!ごむたいな!
芹沢:いやよいやよと口では言うても体が反応してるではないか
重助:ああ!あああ!ああ!ああ!!
芹沢:ほれぇほれほれぇ!
五郎:やめなさい!!
芹沢:ほれぇ!ほれほれぇ!ほれぇえ!
五郎:あ!ああ!いや!ああ!やめて!やめろお!
芹沢:人が可愛がってやろうと言うに。
のりみたいな頭しやがって。なぁ?
重助:はい。
五郎:のりではありません!髪の毛です。
芹沢:平山、おめーはどーも生真面目でよくねぇ。
五郎:重助!おまえは新撰組隊士として恥ずかしくないのか?
重助:はん♥
五郎:こらぁ!近藤局長や土方副長の監視も厳しくなってます。
もしかしたら、「局中法度」の名のもとに切腹って事にもなりかねません
芹沢:は?極上スイート?
五郎:局中法度!知らないんですか?局長でしょ?
芹沢:いんだよ二人もいるんだから。
五郎:大変な事ですよ?罰則がひどいんです。
重助:「背く者には切腹を申し付ける」
芹沢:は?
重助:はん♥
芹沢:切腹?
五郎:そうです。
芹沢:ちょっとやりすぎじゃねぇのか?
重助:はん♥
五郎:ですから!あまりはしたない行動が過ぎますと!士道に背いたとして、切腹です。
芹沢:平山ああああ!!
五郎:!は、はい、、。

芹沢、格好よく大鉄扇を抜く。緊張する五郎。

芹沢:はしたねぇとはどういう了見だ?
五郎:、、あ、あの。
芹沢:おめーの目玉はびーだまか?ここ(大鉄扇)になんて書いてある?
五郎:じ、尽忠報国の士、、芹沢鴨
芹沢:どういう意味だかわかるか。
五郎:忠義に尽くし、国に報いる、、。
芹沢:神道無念流免許皆伝の芹沢鴨だ。
その俺が士道に背いたかどで切腹させられると抜かしたか?
五郎:、、いや、僕は、ただ、、
芹沢:扇の形した鉄の固まりがてめぇのドタマかちわるぞ?
小僧。よく見てから物いいな?
俺の!どこが!はしたないんだよぉ!

芹沢、重助はしたない行為。

芹沢:ちょっと変わった形した!
重助:あんたの肉の固まりが!
芹沢:てめぇの穴ボコ貫くぜ!
重助:ああ!ちょっと変わってる!
五郎:やめろお!!
重助:ちょっと変わった形してる!
芹沢:せいや!
重助:あいや!
芹沢:せいや!
重助:あいや!
五郎:やりすぎだ!はしたないどころか、汚い!汚らしい!
芹沢:よし!おまえも参加歓迎!
五郎:気持ち悪い!
芹沢:気持ちわるいとはなんだ!!気持ちいいんだよ!
五郎:そういう意味じゃない!
芹沢:動く穴ならなんだっていいんだ!!
重助:はん!
五郎:変態!

=====================楽日のみ
永倉、いそいそと戻る。
=========================

★永倉拍子木カーン

永倉:左から、平間重助、平山五郎、そして新撰組局長、芹沢鴨。
そして新見錦と野口健司が加わり、芹沢一派。
ゆすりたかりに強姦、放火。近藤派と対立する、乱暴者グループ。
彼等は新撰組の評判を落としまくっておりました。

楠木:ね。なんでもいいんです。芹沢さん。
女:よく平気だねお梅ちゃん。あんなのと。
楠木:意味変わってませんか。

野口健司

野口:大変!大変!
五郎:どした野口。
野口:こりゃあ、どえらい事になりました!
芹沢:どした?
野口:新見さんが、近藤一派に、
芹沢:なああにぃいい!?
野口:まだいってません。
五郎:どしたって?!
野口:芹沢一派ナンバー2新見さんが近藤一派に
芹沢:皆まで言うなああ!!(なぐる)
野口:あん!
芹沢:(抜く)
重助:はん♥
五郎:しかし!
芹沢:しかたねぇ、こうなりゃ芹沢一派VS近藤一派の全面戦争だ。
おめえらの実力、みしたれぇ!
野口:はい!ショートコント『*****』

★祝SKG初舞台、楽珍トリオショートコント、音楽
===楽日は、原田、永倉、藤堂。場合により芹沢=====

野口:俺らの実力、思い知ったかぃ?
芹沢:そっちの実力か〜〜〜い。
野口:♪でれんででんれん
重助:でれんででんれん♪
五郎:♪でれんででんでんでん
芹沢:WOW♪
4人:きーのうたーべた食パンのーいーちばんしーたがカービだらけー♪
野口:1枚
重助:2枚
五郎:3枚
芹沢:やー。
4人:****************♪

4人歌いながら退場

女:で、何してる人たち?
楠木:だから新撰組です。

★永倉拍子木カーン!

永倉:新撰組十番隊長原田左之介

原田左之介登場

==================楽日のみ==
女:今出てたのに。
楠木:役者不足なんです。
========================

原田:小十郎!おまえまたこんな所で稽古さぼる!
楠木:あ。やべ。
原田:そんなんだからお前いつまでも弱えんだよ。
楠木:今終わりますから。稽古ですね。稽古。
原田:おい。芹沢参謀新見錦。切腹だ。局中法度の名のもとに、だとさ。
楠木:、、え
女:切腹?!
原田:どおう!(むちゃくちゃ飛ぶ)なにやつ!
楠木:にぶい!
原田:なにやつ!俺を原田左之助と知っての事か!
酒の席で切腹の作法も知らぬ奴とバカにされ「それならば」とその場で切腹してみせた。
死に損ねの左之助、腹のキズでも見せてやろうか!
女:何を言ってますかあの人は。
楠木:すみません。この人、いろんな事が、余計なんです。
原田:簡単に俺の後ろをとるとは、おぬし、出来るな?
女:ただの洗濯女です。
原田:ん。そうか。毎日ごくろうさま。
女:コケますね
楠木:コケるんです。この人といると。
原田:お前も身のふり決めた方がいい。俺は断然近藤派だ。
お前もこっちにつけ。
楠木:、、、。
原田:小十郎。お前は見込みがある。
俺と一緒に来い。
新撰組使って天下をとるんだ。
これから新撰組は内乱に入る。
小十郎、俺と一緒に生き残れ。
生き残りゃ新しい時代が見られるぜぇ!
ぬううん!気合いはいっってきた!どんどこどーん!(ドラミング)
チェストおおおおおおおおおおお!!!!

余計に走りさる原田

女:余計に走りさりましたね。
楠木:うん。
女:間者ってなに?
楠木:、、密偵です。

永倉:当時の警察機関新撰組は、国である幕府を倒そうとする長州藩にとって天敵。
長州藩よりスパイとして送り込まれる平隊士も多かった。

女:なんてゆーか、いい人そうですね。原田さん。
楠木:バカなんですよ。バカ。ゴリラ。
女:?
楠木:うるさいんですあの人。何かにつけて余計だし。がさつで。
女:小十郎さん。
楠木:え?
女:ほんとに女の子に見えてくる。
楠木:ぼ、ぼくがぁ?ま、まさかぁ。い、いやだなぁ。よ、よしてくださいー。
女:ヘタクソ。
楠木:は?
女:別に〜。あ、これあげます。
楠木:あ、ナイキ。
女:似合いますよきっと
楠木:、、どうも。

女:うーーん(伸び)なんか可愛い動物を可愛がりたい気分。
楠木:なんですかその気分。
女:あ、ハトだ。
楠木:まさかそんな都合よく。

かわいくない目ギョロリとしたハト登場。

ハト:ホロッホウ。
楠木:ハトだ!
ハト:ホロッホウ、ホロッホウ
女:わー。
ハト:ホロッホウ。ホロッホウ。
女:かわいー。
楠木:かわいいですか?!
恐くないですか?目しんでるようで!
ハト:ホロウ
女:あ、足になんかついてる。
楠木:ああ!あれはあきらかに伝書バト!
女:おいで。
ハト:ホロッホウ
楠木:いけない!
女:え?
楠木:えっと、ここは私にまかせてお逃げなさい!
女:は?
楠木:最近ハトの病がはやってるようです!
その病におかされると、毎週土曜日夜9時に製薬会社の屋上を飛ぶようです!
女:なんですかそれ?
楠木:ドリフの後!クイズダービーの前!僕もよくわかりません!さあお逃げなさい!
女:ロート?
楠木:あうああ!桜さん!そういえば!あとで屯所にでも来るようにって!
女:え?だれが?
楠木:えっとえっと、じゃあ、土方さんじゃないですか?!
女:土方さん!?
楠木:とかなんとか!
女:ほんとに!?行ってきます!
ハト:ホロッホウ。
女:のけ!
ハト:ホロッ!
女:ゆーめをみってるとーいっつーでもなんどーでもー♪

女唄い、退場。

楠木:、、、。乙女心を、利用してしまったのだわ。、、
ハト:ホロッホウ。
楠木:、、、、。
ハト:ホロッホウ。
楠木:、、、おまえと二人、どうしろっっていうんだ。
ハト:ホロッホロ!ホロッッホロオ!ホロ!
楠木:長州藩、伝書バトか。
ハト:ホロッホロ!ホロッッホロオ!ホロ!
楠木:わかったって!

楠木、ハトの足にくくりつけられた密書を解く。

楠木:自分でとってよ。おっきいんだから。
ハト:手、ホロロ。
楠木:わかったわかった。手がないんだな。だれから?
ハト:ハルラホロロウ
楠木:え?
ハト:ハルラホロロウ(桂小五郎)
楠木:もういいよ。(密書をみる)
ハト:ハルラホロロウ(桂小五郎)
楠木:もういいから。
ハト:ホロッホロ!ホロッッホロオ!ホロ!
楠木:よってくるな!
ハト:ハルラホロロウ(桂小五郎)
楠木:桂小五郎!(でかい字で桂小五郎と書いてある)
ハト:ふっふっふっふ。
楠木:?
ハト:はっはっはっは!
楠木:この声は。
ハト:ふっっはっはっはは!
楠木:まさか!まさかまさか!
ハト:べりべりべりべり。

ハトの羽と帽子を脱ぐ。

ハト:明智くん。
楠木:古い!
ハト:小十郎。私だ。
楠木:まさか。
ハト:ハトは世を忍ぶ仮の姿。私は。
楠木:長州藩士、逃げの小五郎
ハト:桂小五郎どぁ!!
楠木:先生!
ハト:まさか、ハトが桂小五郎とはおてんと様でもわかるめぇて!
楠木:あっぱれです!先生!
ハト:こういってやるんだ!
「残念でしたぁハットでしたっ!」
こう言ってやるんだよお!
楠木:わかりました先生!ここは敵陣です!あまりお騒ぎになると

新撰組登場。

新1:!桂だ!追ええ!
新鮮組:おおおおおーー
楠木:先生!
ハト:やばい。

ハトをつける。
うじゃうじゃ出てくる新撰組、色々な場所を探す。

新撰組:どっちだ!どっちに行った!
新1:こいつは?
楠木:ハトです。
新1:桂は?
楠木:あっちかな。
新1:あっちだああ!

新撰組退場。
ハトをとる。

ハト:ほんとは桂でした!桂小五郎でしたぁ!わはっはは!
楠木:先生。みにくい子供のようです。笑顔が。
ハト:やー。びっくりすんね。新撰組。
俺この前入隊しちゃったよ。名前、越後三郎。
すげくねぇ?桂小五郎は越後ハト三郎であると!は(爆笑)!
原田:おいきさま!

原田左之介登場。

ハト:あ、
原田:きさま、、(構え)
ハト:、、ホロッホウ。
原田:なんだ、ハトか。
楠木:、、(がっくし)原田さん。
原田:小十郎、気をつけた方がいいぜ。長州の桂が紛れ込んでいるんだぜ。そうだぜ。
楠木:はい。
ハト:ホロッホウ
原田:でかいハトだ。

原田左之助退場

ハト:にぶい男で良かった。
あれが天下の腹斬り浪人、原田左之助か。
小十!あいつの腹のキズは見たのか♥ヒヒヒっ♥
楠木:見てません!
ハト:、、、、そう強く否定するな。
楠木:、、、、。
ハト:気にいらん。

桂、楠木を抱く。

ハト:小十。河原乞食のお前を拾い、名を与え、女にしてやった恩を忘れたわけではあるまい?
楠木:、、、、。
ハト:女に戻りたいか?小十。

楠木、離れる

楠木:いえ。
ハト:幕府は誰がどう見ても終わりだ。
なのにこいつらと来たら、どんどん時代を逆行する。
単なるバカなのか、それとも、、、。
新撰組のアキレスを探れ。
誰かをたらしこんでも構わん。
楠木:、、
ハト:小十。俺の頭の中の計画を教えてやろうか。

曲しずかに聞こえ始める。照明変わる。

ハト:われらの手により、京はいずれ、炎につつまれる。
楠木:、、え
ハト:例えば、そうだな、100人とか。ゆっくり時間かけて京都に長州藩士を住まわせるんだ。

舞台後方シルエットに長州藩士潜入の様子

ハト:風の強い日を選んでさ、各地で同時に火を放つんだ。

シルエットの長州藩士、火をつけるマイム。炎、赤々と燃え始める。

ハト:かけつける守護職やらのじゃまものを殺しちゃう

かけつけるシルエットを斬る、長州藩士

ハト:風を待つためにはそうだな、みんなで旅籠(はたご)に泊まろう。
旅籠はどこにしよっかなぁ。あそこはサービスがいい。
四国屋丹虎か池田屋。
お前にも火、つけさせてやるぞ?
楠木:そんな、それではこの京都の人間は、、
ハト:大義を前に多少の犠牲はつきものだ。
楠木:、、、
ハト:ふははは!さすがにおまえも震えるか!
だのにこの新撰組ときたら!
俺の壮大な計画を微塵も知らずに派閥争いだ!
サル山のサルども!
くやしかったら少しは進化してみろ!!くやしかったらここまでこい!!
新1:桂だ!
ハト:ホロッホウ

新撰組

新撰組:ウキャキャッウキャアウキャ!ウキャア!
ハト:わああああ!

逃げるハト。追う新撰組

楠木:わ、こっち来た。
新撰組:ウキャキャッウキャアウキャ!ウキャア!
ハト楠木:わああああ!

楠木、ながされるが下手ギリで逃れ。

楠木:サル山のサル、、、。
新撰組の、アキレス健。

■第4場「秘密」

場転、舞台奥から女。屯所内。

女:喜々として・屯所へ来たのは・いいけれど
どこの部屋だか・まるでわからん

土方登場、手に刀。慣れない風に持っている。

土方:土方自分の刀どーしたんだろ。武士のくせに。
前は自慢してたくせに、和泉守、かね、なんとか。
女:ん?
土方:虎鉄、ってこれかな。あ、ああ、そうだ。書いてる。
結構重たいんだなぁー、刀。
女:あ!
土方:、、?
女:あ、青白君。
土方:青白君?
女:あ、いえ、えっと、えと、内藤!内藤隼人さん!
土方:えっとー。桜さん。
女:おひさしぶりです。こんなところで会えるなんて。
内勤の方なんですか?
土方:ないきん?
女:事務とか。あ、新撰組の経理とか?
土方:あー、あー、はいはい。
そんなよーな、はい。
女:あの、あたし、土方副長に呼ばれたんですけど。
ちょっとお部屋がわからなくて。
土方:土方?
女:はい。
土方:、、へー。
女:どちらに行けば?
土方:ちょっと待っててココで。
女:あ、すみません。
土方:土方ー。

上手に退場する土方。

女:呼び捨て、、。結構偉い人だったんだ。
どこか寂しい感じする人だな。内藤さん。

下手から登場する近藤。裸。

近藤:なにしてんの
女:え?はだか!?
近藤:なにしてんの
女:え、あの、
近藤:ああ、服?便所便所。なにしてんの
女:あの、ちょっと土方さんに呼ばれまして。
近藤:マジで?
女:はい。
近藤:いつ?
女:さっき。
近藤:へー。
女:あの、内藤さんが連れて来てくださるそうです。
近藤:内藤?
女:はい。
近藤:誰だそりゃ。ま、いっか。

戻ろうとする近藤。

女:、、あのー、失礼ですが、、
近藤:こんどーいさみー

下手に退場。

女:ふーん。、、、、局長じゃんっ!
なんでトイレで裸なんだ。あの人。

上手から声

沖田(声:なにしてんだぁ!
女:?
沖田(声:土方さん!落ち着いてください!
女:なに?ひじかた?!
沖田(声:駄目です!それは駄目です!
ああああああああ!!!

SEボキ!

女:なに?!なに!?

沖田折れた刀を持って登場。

沖田:近藤先生!近藤先生!
女:え?

近藤走ってくる。

近藤:どした総司!!
女:そうじ?
沖田:虎鉄!土方さんが!
近藤:ああああ!
お、お、おれの!俺の愛刀!虎鉄がぁ!
なんで尖ったもんが周りにあるんだよぉ!
沖田:ちょっと目を離したスキに!持ってっちゃったみたいで!
近藤:ばかやろう!ポッキリとまぁ、、のやろお!歳ぃ!!

近藤退場。

沖田:あ、近藤さん!今はまずい!あれ?
女:、、どうも。
沖田:誰の許しでこんなところにいるんですか。
女:あの、内藤さん。
沖田:内藤?
女:内藤隼人さんです。
沖田:、、、まさか、、。
近藤(声:あぶねぇ!

SEガシャーーーーーーン!

女沖田:!!

近藤登場

近藤:最近おとなしくしてたのによぉ!いってぇ、、
沖田:近藤先生!
近藤:あのやろう手当たりしだいに物投げてきやがる!
幕府から賜わった大切な大皿まで、割りやがった
沖田:土方さんは!?
近藤:尖ったカケラ拾い集めてるよ!
こうなったら勝手にしろってんだ。
沖田:僕が行きます!
近藤:歳はもう駄目だ!狂ってる!
女:え
沖田:近藤先生!めったな事を言わんでください!
近藤:えらい狂暴なんだよ!
なんか刺激したのか!心当たりは?!
沖田:心当たりなんて、、、、、!!

沖田、女を見る

女:、、、?
沖田:、、、、。

SEガシャーーーーーーーーン!!

近藤:歳!落ち着けぇ!!ちくしょ!

再び抑えに行く近藤

沖田:、、、刺激か。

沖田、鞘に手をかけ、女に向き直る。

女:あ、、あの、、お取り込み中申し訳ありませんでしたっ出直しますっ

沖田、抜刀。

女:!、、、え
沖田:ずーっと俺、土方さんのそばに居たからだいたいわかるんです。
女:、、あの
沖田:もう子供と同じですよ。
ああやって手がつけられなくなるほど暴れる時は欲しいモノがある時です。
女:、、子供?
沖田:だだをこねるって言うんですか。
女:、、、あ、あの、はい。それじゃ。

女、切っ先から逃れようとする。
が、沖田、ピタリと照準をあわせる。

沖田:土方さんは心の病です。
女:、、え。
沖田:新撰組を束ねる鬼の副長、土方歳三の気がふれたなんてバレたらどうなると思います?
女:あの、、あの、、あたしはあの、、ただ、、
沖田:規律を作った本人の頭がおかしいなんて知れたら。
新撰組はもとの烏合の衆になりさがる。
女:、、あの、よくわかりません、。
沖田:これ新撰組の秘密なんです。
女:失礼します!すみません!お取り込み中!

沖田、立ちはだかる。

沖田:長州はこの情報の裏を必死に取ろうと間者を送りこんできます。
新見さん、この事を外に流そうとしました。
だから、切腹なんです。次は、芹沢局長です。
あの人は感づいてる。

耳をふさぐ女

女:もうなにもおっしゃらないでください!
私はもうなにも知りたくありません!
私は!土方様とは会った事も、、見た事も!
沖田:内藤隼人。
女:え
沖田:僕の前にしか現われないとおもってたのに。内藤くん。
女:あの、、
沖田:下の名前、隼人っていうんですね。
女:(助け)内藤さん、、
沖田:僕には教えてくれなかった。
なんだか、妬けるなぁ。

沖田、刀を降り上げる

女:内藤さん!内藤さん!

女、内藤に助けをもとめ、下手へ。

SEバキン!!

と、下手から転がってくる、近藤

女:!!!
沖田:近藤さんっ
近藤:う、ありゃあ、、狂人だ。
女:、、、、。
(はっとして)!内藤さん!
、、、、!!!!

上半身裸の上に、血まみれの土方登場

女:、、、、、、あ、、
土方:ん?
女:、、ないとう、、さん?
土方:だれだそれぇぇぇ。
女:、、、、え(土方)
沖田:この人の中にいる。
女:え(沖田)
土方:だれだおまえぇぇ。
女:、、え?(土方)
沖田:自傷癖があるんです。これ終わったら、消毒しますからね。土方さん。
女:!!
土方:ん?

口元を拭う。血が顔につく。

女:、、いやだ、、、
沖田:御免!
女:!!

沖田刀を振り降ろす、が、かわしてしまう女

沖田:、、、、え

女:、、あれ
近藤:沖田総司の太刀を、、
沖田:かわした、、?
女:、、
土方:んなああああああああああ!!!!!
3人:!!!

土方、狂気の叫び。近藤、沖田を殴りつける

曲!

土方を見つめる女。
土方に集中する明り
客席に向かいどなりあげる。

土方:局中法度おおおお!!!!!
俺の道にそわねぇやつは粛清えええ!
俺のために働かねぇ奴は粛清ええええ!
俺の文句を言う奴は粛清えええ!
俺のために戦わねぇやつは粛清えええ!
俺を一人にするやつは粛清ええええ!
俺に背く者には切腹を申しつけえええる!

どなり声のなか、
舞台奥上段に新見錦、介錯人のシルエット
切腹。介錯。曲上がる。

曲上がりの中、
土方、ゆっくりと気を失う。

女:あ。
沖田:あぶない!

沖田よりも一瞬早く、女、土方を抱きとめる。

沖田:!!
女:、、、、、。

明り、ゆっくりと立ち上がっている永倉新八へ。曲下がり台詞。

永倉:9年前。黒船が浦河に現われた。
今まで信じていた事が一気にくずれた。
原田:チェストーーーーーーー!!!!

原田左之助、木刀を振り回して登場

新撰組の声:ツーすってっぷツーすてっぷけーのけーのび!
永倉:黒船の大砲の前に大人たちは強がってみせる事に精一杯で。
原田:チェストーーーーーーー!!!!
永倉:結局、全ての未来を僕らに託した。

楠木小十郎

楠木:チェストーーーーーーー!!!!
永倉:僕らは皆、何か確かなものを探すのに必死だった。
楠木原田:チェストーーーーーーーー!!!!
永倉:難しい事はどーでも良かった。
新撰組の声:ツーすってっぷツーすてっぷけーのけーのび!
師範:新撰組副長、新見錦くーーん。せっぷーーーく!
永倉:これは正気の沙汰じゃない。
誰もがそう思った。思ったけど、
楠木原田:チェストーーーーーーーー!!!!
永倉:それでも僕らの誠は、正しくなくちゃいけなかった。
新撰組の声:ツーすってっぷツーすてっぷけーのけーのび!

舞台奥に女、こしかけている土方。
女キズだらけの土方の血を、ぬぐっている。

土方:、、、、、、、、。

虚空を見つめる土方。

女:、、、、、。

その目を見つめる女。

新撰組の声:ツーすってっぷツーすてっぷけーのけーのび!

永倉:それでも僕らの新撰組は、正しくなくちゃいけなかった。

曲あがっていく。暗

新撰組の声:ツーすってっぷツーすてっぷけーのけーのび!


■6場「楠木小十郎」

SE小川の音。新撰組屯所裏、小川。「小川のシャラシャラ」

楠木、一人でふんどしを洗っている。
立ち上がり、のび。足をトントンする。ナイキのシューズ

原田斬りかかる。

原田:チェストーーーーーーーーーーーーー!!
楠木:あ。よっと。
原田:チェスト!チェスト!チェスト!
楠木:あ、よっと!ほい!こらしょ!よっこら!
原田:はーはー、ぜーぜー。
楠木:いま、ふんどし洗い終わったとこですから。

ふんどしをもつ。

原田:ちくしょう!なんで突然身軽になりやがった!
楠木:そんな事ないですって。
原田:チェストオ!!

ふんどし、新体操のリボンのようにくるくると回る。
(都合よく、棒がついているふんどしもある)

楠木:くるくるくるくる。ピタ。はい、勝負あり。
原田:くううう!!!
楠木:すみません、なんか。

原田、大の字に寝そべる。

原田:参った!おれの馬鹿力もあたらなけりゃ勝ち目がねぇ。
やっぱ足元か?!足元のせいなのか!?そのナイスだか言う!
楠木:ナイキ!
原田:異国の品かぁ、くそ面白くもねぇ。
なんでも劣ってるってわけか。この国は。あー疲れた。
楠木:だからこれあげますよ。
原田:いらねぇよ。
楠木:強情だなぁ。
原田:ちくしょう。みてろよこのやろう。
楠木:何度やっても同じですって。
原田:うるせぇ
楠木:原田さん。

正座

原田:なに?急にかしこまって。
楠木:あの。質問があるんですけど。
原田:なんだ相談事か?
楠木:実は、、その
原田:ちんちんに毛が生えたのか。一本だけ。それは普通の事だ。
楠木:違います!
原田:なんだよ。
楠木:、、あの、、

ハト、舞台後方に、照明変わる。

楠木:、、、
ハト:風の日をえらび、えらび、、らび、らび、び、び、
原田:なんだ?
ハト:京都市中にしちゅうに、しちゅうに、ちゅうに、うに、に、に、
原田:どうした?
楠木:、、、、あの、
ハト:火を放つ、なつ、なつ、つ、つ
原田:遠慮せず言ってみろ
ハト:多少の犠牲はつきもの、つきもの
楠木:新撰組の、
ハト:アキレスけん、スけんスケン、ケン
楠木:土方副長って、
ハト:ハルラホロロウ、ハルラホロロウ
楠木:そこはいらない!

ハト退場、照明戻る。

原田:土方さんがどおしたってんだ、てんだてんだてんだ
楠木:あんたまで!

原田:言ってみろ。
楠木:、、いえ。なんでもないです。
原田:なに?気になるだろが!
楠木:いんです。
原田:いえよ!いえよぉお!いえよぉお!
俺上司として尊敬されてないみたいじゃぁあん!
いってよぉお!いってよお!やだやだやだ
楠木:子供か!
原田:うんうん、で、なになに。
楠木:うー、じゃあ、好きな女性のタイプ。
原田:タイプ?うーん、、どうだろう。
楠木:顔とか。
原田:別に。
楠木:性格。
原田:あれば。
楠木:あるでしょう!誰でもいんですか?
原田:だれでもはだめだ。ううううん。
楠木:もういいですから。
原田:あ。俺よりも強い女。
楠木:え?
原田:うん。
楠木:強いって?
原田:俺がかなわんくらい強いのがいいな。
あ!おまえが女だったらいいな。
楠木:、、、、、、、、え
原田:今俺より強い。あ、でもだめだ。
お前の力じゃねぇし。ナイキの力だ。ナイキ。
楠木:。。。。。
強いんだからいいじゃないですか。
原田:だめだめ。それずるい。
楠木:だからこれあげますって。
原田:いや、俺は俺の力で勝つ。いらない。
楠木:わからずや!サル!
原田:なにを?!
楠木:外国に刀では歯が立たないとしたらどうするんですか?
原田:俺?
楠木:どうするんですか?
原田:やっぱ刀かな。
楠木:え?
原田:うん、刀だろ。うん。
楠木:いや、歯が立たないんですって。
原田:いや、がんばる。
楠木:もういいです。あまり脳味噌の無いサルに聞くべきじゃなかった。
原田:それが男ってもんだろぉ。
楠木:そういう事じゃない!
原田:そういう事だろお。
がんばるよ。な?一緒にがんばろう。
楠木:、、現に。何度もかかってきてるけど、
ひとつも当たらないじゃないですか。
原田:いやいや、いつか当てるよ。俺は。
楠木:さっき、参ったって。
原田:さっきはもう完璧に参った!
楠木:だったら、あきらめて履物手にいれた方いいじゃないですか。
ちょっとは進化したらどうなんですか!
原田:いやいや、ちがう。
楠木:どうちがうんですか!
原田:俺は、俺で、勝ちたい。
楠木:、、、もういいです。洗濯物置いてきます。
原田:あ、そう?


楠木、退場しかけて一人事のように台詞。

楠木:、、強い女なんて、いるわけが無い

楠木退場。

原田:うーん。何を怒ってんだあいつは。
しかし、小十郎の言う事も一理ある。
長州が黒船に打った大砲は、届かなかったらしい。
で、長州、桂小五郎はその事実を早く受け入れて
異国と国交を深めてると。
で、そのかわり外国の武器揃えて幕府を倒そうと。
逃げの小五郎、変わり身の早さも半端じゃないな。
、、進化ねぇ。

越後ハト三郎(桂)登場

越後:こんちわ隊長。
原田:おう。えーと。おまえ確か、最近入った平隊士の、、えーと。
越後:越後ハト三郎。
原田:だっけ?ハトサブレみてえだな。
越後:越後三郎です。
原田:ああ、そうそう。どした?
越後:原田さんって、彼女とかいるんですか?
原田:いないよ。
越後:あ、女の人に興味ないんですか?
原田:今日はやけにそういう事聞かれる日だな。いや、あるよ。それなりに。たぶん。
越後:どうして作らないんですか?彼女。
原田:別に作らないとかそういうんじゃねぇけど。なんだ?モテ期到来か俺。
越後:まわりにいないとか
原田:いや、そういうんじゃねぇんだけど。
越後:童貞ですか。
原田:もちろん。
越後:わぁ、びっくりの答えだ。
原田:女いないって事は、童貞って事じゃんか。
越後:へー、純情なんですねぇ。
原田:そんなこと聞いてどうすんの?ハトサブレ
越後:気になるんですよ。サルの考え方が。
原田:え?
越後:この人にだったら童貞ささげていいって人、いますか?
原田:あーーーーーー。
越後:いました?
原田:でもだめだ。
越後:いたんですね?
原田:ありゃ男だ。
越後:、、、、、、、気にいらねぇーー。
原田:え
越後:アッチッチかぁ
原田:なんだって?
越後:あまずっぺーー。
原田:ん?なにが?
越後:おサルゆえに。
原田:え?
越後:あ!原田左之介さん!あっちからなんか流れてきますよ。
原田:なに?
越後:ほら。
原田:どこ?おまえ目いい?
越後:ほら。

小川から、突然、銃。

原田:わぁ。突然だな。
越後:銃ですよ原田左之介さん。
原田:、、銃?
越後:刀よりも強いってもっぱらのうわさですよ。

越後ササササササササと退場。

原田:刀より、強いっておまえ、、、
、、、、あれ?いねぇし。
、、、、、、
、、、、、、、、、、、

原田、手に取る。
照明、そでの桂。

越後:使い方わかるかな?お猿さん。

小川の音上がり、場転。小川、撤去。


新撰組上層部会議室
舞台奥に寝っ転がりに来た近藤、折れた刀「虎鉄」を持っている。

近藤:あーあ。ポッキリ折れちまったよ、俺の愛刀、虎鉄ぅ、、

沖田。

沖田:土方さんの看病なら、俺がやります。
近藤:ちょっと休めよ総司〜。
歳がおかしくなってからずーとお前にまかせきりだったんだから。
沖田:、あの女、斬りましょう。
近藤:、、ひとーつ。己の闘争をゆるさーず。
沖田:違います。これは新撰組のためです!
土方さんの秘密を知られた以上、このままってわけにはいけません!
近藤:またよけられちゃうよ。
沖田:、、、。
近藤:くやしかったのわぁ、わかるんだがね。

沖田:悔しくなんて、、

照明変わり、
舞台奥に女、新体操のリボンをくるくるしながら登場

女:うふふふふふあはははははうふふふうふふ

沖田:悔しい!!

土方登場、木のぼっこで猫のようにリボンに戯れる。

土方:とぉおおう
女:あははははうふふふふあはははははうふふうふふふ
土方:もぉおおおおお。
女:うふふふふふあはははははうふふふうふふ
土方:まてまてーーー
女:あははははうふふふふふ
土方:にゃあああー

二人退場

沖田:なにがにゃああだ!なにがもぉおだあああ!!!
近藤:女ごときにぃ、またよけられちゃうよ?
沖田:、、。
近藤:いいじゃんー、歳、久しぶりに楽しそうで。
沖田:あれでは、他の隊士に示しがつきません!
近藤:あーあ。ポッキリ折れちゃってまぁ。大事に手入れしてたのに俺の虎鉄。
沖田:話をすり替えないでください。
近藤:ド田舎の貧乏道場で食うに困りながらも剣の稽古してた頃よ。
歳、あんなだったか?

近藤:もっと笑ってたろー?
イモ侍が京の都来てさ、新撰組なんて名前、幕府からもらっちゃってさ。
平隊士なんだかなんなんだか、浪人どもが勝手に増えちゃってさ。
しかも勝手な事いいやがる。今や身の丈8尺、鬼の副長土方歳三だとよ。
そのあたりからあいつ、おかしくなったんだろがよ。
沖田:、、。
近藤:これと一緒だっつってんの。刀ってのは、手入れしすぎるのもよくねぇ。
歳の心がポッキリ折れて、二つになっちまったってわけだ。
見てみろよあいつ、もう、真っ白だ。顔。
沖田:それはもとからです!
近藤:そこで怒るなよ〜!俺のウィットに富んだジョークだろーがよ〜。
沖田:我々は夷敵を打ち払い、幕府を立て直すためにいるんじゃないですか。
近藤:今はキープオンタイムだよ。
沖田:エゲレス語だかなんだか知らないが、あまりに多用するのはどうかと思います。
近藤:機嫌なおせよぉ〜!
あ、おい!あれやろうあれ一緒にやろう!(耳打ち)
沖田:ちっちゃいキリスト
近藤:ジーザス!
沖田:くだらない!
近藤:じゃ次!あれやろうあれ一緒にやろう!
「発見!つるん!肩なしクライシス!神様ぁ!ちっちゃいキリストっジーザス!」
一人でやっちゃったよロングバージョン!
沖田:ふん。

沖田、下手へ。

近藤:ひとーりにするーなよぉ〜〜〜う。
沖田:新撰組局長のあなたがそんなことでは、
芹沢一派は新撰組の名を落とすばかりです。

芹沢の声:ふざけんじゃねぇばかやろお!!

照明変わり、芹沢一派。
芹沢、平山、平間、野口。

五郎:抑えて!抑えて!
芹沢:スープはのみもんだろおお!!!!
五郎:はい!はい!
芹沢:スープは、のみもんだろおお!!!重助!
重助:スープは、のみもんだろお!
五郎:こら!すんません!
芹沢:五郎!どうなんだ五郎!
五郎:確かに、そういう見方もできます。液体ですから。
芹沢:だろお!
野口:そうかなぁ。
芹沢:野口ぃいい!!!!!
スープはぁ!のみもんだろお!

退場。

沖田:奴らの横暴は、目に余ります。
近藤:ごめん、今のなに?
沖田:外国料理店に出向いた時の乱暴狼藉です。
近藤:スープは?
沖田:飲み物だと。
近藤:、、、なんて奴らだ。
沖田:ついこの間も。

五郎:糸問屋大和屋は新撰組に金は貸せぬとそう申すか。
店の主人:申し訳ございません。
野口:この方を、京都市中取締り役、新撰組局長芹沢鴨と知っての事か。
店の主人:それはもう、存じておりますが
芹沢:まぁまぁ良いではないか。
店の主人:(ホッ)手前どもに持ち合わせがある場合は、必ず
芹沢:おい、帰るぞ。
3人:は。

芹沢一派上手に退場。

近藤:あれ?おとなしいじゃん。
沖田:この後です。

上手より芹沢登場

芹沢:おい、主人!主人!

下手より店の主人

店の主人:は、あ、これはこれは芹沢さま。
芹沢:ちょっと火を貸してくれんか?
店の主人:あ、火でございましたらいかほどでも。こちら、舶来のマッチにございます。

マッチを差し出す。

芹沢:さんっきゅー。おーい。
店の主人:?いったい何を?

SEキュラキュラキュラキュラ

下手から大砲を押してくる平山、平間。野口マッチ受け取りにくる。

芹沢:これ、火、借りた。
店の主人:いったい何を!?え?大砲?!
野口:火を借りたぞう
平山平間:おーう
芹沢:かまえー

SEキュラキュラキュラキュラ

店の主人:一体何をおおお!!!??
芹沢:逆恨み
近藤・店の主人:ええええええ!
芹沢:打てぇ。

SE爆音。ドカーーーーン!

店の主人:ああああああああああ
芹沢:もいっちょぉ

SE爆音。ドカーーーーン!

店の主人:あああ私の店が!
芹沢:おい、借りたマッチで火をつけろ
3人:おーう
店の主人:おやめくださいまし!
芹沢:おい、まわりの民家に燃え移らないように、先に打ちこわせ。
3人:ひゅー♪やーさしぃーーい♪

3人。でかいハンマー

店の主人:壬生の浪人!新撰組は、ただの人斬り集団だぁ!
だれか!だれかぁ!

店の主人退場
町方3人、堤灯をかざして登場

町方3人:御用!御用だ!御用!御用!

SEメラメラメラメラ
真っ赤に染まっていく舞台。

芹沢:じゃまするやつらは町方だろうが容赦するな!抜刀!!!

3人抜刀。

3人:新撰組だあぁああああ!!!!

SEメラメラメラメラ

町方に刀を向け、3人退場。

芹沢:わっはっはっっははっはは

炎の音、上がって行く。芹沢退場。

照明戻り、新撰組上層部会議室。

近藤:、、、、、。
沖田:入れ。
近藤:ん?

原田、山南

原田:原田左之介入ります。
近藤:お、どうした。お、藤堂平助まで。
山南:山南啓助入ります。
近藤:え?
山南:山南啓助入ります。
近藤:藤堂平助じゃなかった?さっき。
山南:違います。もみあげが違います。もみあげがサラっとしてます。
近藤:だって。
沖田:近藤さん、くんでください。
山南:2役です。
近藤:そりゃわかりにくいな。
沖田:いんです。二役ともそんなに台詞ありません。
山南:たいした役じゃありません、なにをおお!?

原田:はい台詞!(パン)

不穏な曲、照明変わる

山南:話は沖田くんから聞きました。
芹沢一派参謀・新見錦の切腹がなされた今こそ、奴らを粛清すべきです。
試衛館近藤一派として、山南啓助粛清執行部隊に、どうか。
原田:右に同じ。原田左之介。
沖田:ぐずぐずしていると奴らが動き出します。
山南:新見錦の切腹に奴ら相当頭に来てるはずです。
近藤:、、、これ。

近藤、ふところから手紙。

近藤:幕府からのご通達だ。芹沢一派の処置を急げとよ。
原田:つまり?
近藤:幕府公認の暗殺命令だ。
沖田:では。
近藤:わかった。、、、俺もやるよ。
山南:いや。局長に出て貰うと困ります。
沖田:近藤先生が暗殺に荷担したとされてはのちのち不具合がある。
近藤:しかし、向こうは何人だ。
山南:芹沢、平山、平間、野口。

======================以下、楽日のみ=====
近藤:、、ん、平間?野口?

曲消え、光り戻る

近藤:新たな問題が浮上してないか?千秋楽にして。
3人:はい。
近藤:大丈夫なのか?
沖田:、、、うまくやります。
近藤:殺す役と殺される役だぞ?
3人:うまくやります

曲、光、不穏

山南:向こうの手勢は、芹沢、平山、平間、野口。
==================================

沖田:こちらは、沖田、山南、原田。
近藤:それでは分が悪いだろう。
原田:あ、土方さんは?
近藤:歳か。歳はなぁ、ちょっと
沖田:土方副長には隊の統率に専念していただきます。
近藤:、、、(タメイキ)
原田:ま、4対3でもだろ。敵は芹沢と平山だ。
山南:近藤先生。
沖田:ご決断を。

近藤:んー、、、だめだ。
山南:近藤先生!
近藤:おめえら芹沢鴨の太刀筋見た事あるか?
山南:ありませんが、たかが知れてます。
原田:太刀筋どころか稽古すらサボり放題だ。
近藤:隠してんだよ。

近藤:あの男をなめねぇ方がいい。
昔は水戸天狗党員200名を率いた芹沢鴨だ。
沖田:しかし!
近藤:俺だってなぁ!(手紙をみせる)
上からのお達しとおめえら下からの突き上げで参ってんだよ!
日取りだって決めてある。
歳がいれば決行するが、新撰組の未来がかかってんだ。
こっちの死体がひとつでもあっちゃあ、
暗殺した事になんねぇの。失敗はゆるされねぇんだよ。
沖田:、、、、、、
近藤:今回はあきらめろ
沖田:土方さんが認める人間であれば、いいいですよね。
近藤:、、総司。どしちゃったんだよおまえ。
沖田:日取りはいつです。
近藤:、、、9月16日。
沖田:わかりました。では。

3人、下手へ退場しかける。

近藤:寝込みを襲え。
沖田:え
近藤:4人を酒の席に招き泥酔させた上で寝込みを襲え。
新撰組内部的には横死、表向きには病死と発表する。
執行部隊のおまえらは新撰組でも、なにもんでもねぇ。
山南:それは、、あまりにも卑怯です!
近藤:、、、だからやりたくねぇんだよ

近藤、舞台中央奥へ退場。

山南:どーする。
沖田:、、、、、やるよ。
原田:りょーかいー。ほら、さんなんさん。
山南:、、、

原田、山南下手へ退場。
沖田、退場しかけ、膝をつく。口に手を当てて、咳。

沖田:ゲホっ、、、

手を見る、血。にぎりつぶす。

沖田:、、土方さん。

SE雨の音
ザアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア
暗のなか、永倉新八、台詞。

永倉:文久3年9月16日、その日は朝から雨だった

再び激しくなる雨音

■第7場「雨」

SE小雨の音
サァアアーーーーーーーーーーーーーーーーッ

明。雨の中、傘をさして歩いている土方と女。

土方:ひとの世のものとは見えずさくらのはな。
どうですか、さくらさん。
女:字余り。無理しなくていいですって。戻して戻して。
土方:ひとの世のものとは見えず梅のはな。
そうですかぁ、やっぱりここは梅ですかぁ。残念。
女:お気遣い、どうも。
土方:ははは
女:桜よりも梅の方がお好きなんでしょ?
だって内藤さんの俳句って梅の句ばっかり
土方:、、好きってわけじゃないんですが。
桜は咲いたとか散ったとか。
皆に騒がれるんですが、
梅は知らぬうちに咲いて、知らぬうちに散るので。
女:優しいんですね。
土方:あ、このさきずっと行ったあたりは梅の並木です。今年は見損ねたけど。
女:、、、。
土方:あ、土方は?
女:え
土方:土方はどこにいますか。
女:あ、えっと、ちょっとなにやら用事があるそうで。
土方:そう。相変わらず、忙しい男だなぁ。
最近は新撰組という集団の参謀をやってるらしく。
偉い男です。
ぼくがもっと強ければ、手伝ってやれるんですが。
女:土方さんとは、いつから
土方:どれくらいだろう。もうずいぶん知ってます。
昔はいつも一緒にいたもんですが。
イテテ。あ、血
女:あ、

女、包帯で土方の手首を巻きなおす。

土方:すみません。どうも最近生キズが絶えなくて。なぜか。
女:キズ口が開いたみたい。あたし、屯所で包帯貰ってきます。

女、いそいそと屯所へ向かう。

土方:、、、桜襲。
女:え
土方:昔の着物の重ね方です。
赤と白、ほら、遠くから見たら。
女:、、、、、、、、、、、、さくら。
土方:、、、、うまいこというもんだ。
女:、、(土方、、)、、、内藤さん。
土方:、、、、土方にあったら言ってください
女:、、、、なんて
土方:、、おまえは一人じゃないって。
女:、、、
土方:、、、おれがついてるからって。

女、なにも言えず屯所へ向かう。
いつの間にか優しい曲、雨を消している。

一人残る、土方。
舞台後方へ腰掛け、まだ遠くの梅の並木を見る。

土方:、、、、、、

遠くを見やる、土方。

芹沢:お梅ぇ!よし、ここで花見だ。

別の場所、芹沢とお梅。

お梅:まだ9月でしょ?来年までまとーよぉ。
芹沢:ばかやろういずれ花咲く前祝いだ!
お梅:あ、鴨ちゃん、これ梅の木
芹沢:あたりめぇだ馬鹿やろう。
お梅:鴨ちゃん♥それ、あたしがお梅だから?
芹沢:雪霜に色よく花の魁て散りても後に匂う梅が香とくらぁ。
お梅:鴨ちゃん♥ロマンチックだ。

お梅、芹沢に抱きつく

芹沢:どしっとくんなおめぇはぁ
お梅:鴨ちゃん♥
芹沢:俺はもっとのしあがって、この梅の並木をおめえにくれてやる。
そのためだったらなんでもするぞぉ。
おれぁ桜が嫌いだ。桜なんてゲスなもん。やっぱ花は梅だ。
お梅、人知れず咲いて人知れず散るなんてなんともけなげな話じゃねぇか。
お梅:鴨ちゃん♥
芹沢:花見だお梅!いずれ花咲く前祝いだ!
お梅:はいな♥

二人、酒を飲み始める。

平山五郎

五郎:あーいたいたっ。芹沢さん!
芹沢:おおじゃまくせぇのが来た。
五郎:近藤さんらが今日、酒ごちそうしてくれるらしくて。
芹沢:近藤が?どういう風のふきまわしだ?
五郎:新見さんの死をしのんで今日は無礼講でどんちゃんやろうってなもんで。
重助と野口、先に行ってます。
芹沢:後から行く。俺はもすこしこいつといる。
お梅:鴨ちゃーん♥
芹沢:(ほとんど下敷き)どしっとくるっての。
五郎:重助が妬きますよ?いっひひひ。

平山退場

芹沢:奇妙に笑いやがる。
ばかやろう穴は穴でもウツワが違うんだっていっとけー!
お梅:鴨ちゃーん♥
芹沢:どおぅ!

照明舞台奥の土方を照らす
土方、傘を放る。

土方:、、がんばれよー、土方ー。
もしかして、、なにもなくなってー
もしかして、、だれもいなくなってー
もしかして、、なんにもならなくてー
きっと、、、いつか、散るんだぁ。
でも、がんばれよー、土方ー。

曲あがる。段下。
土方をよそにぞくぞくと集まってくる新撰組隊士。
沖田、永倉、原田、楠木、藤堂、近藤、平山、平間、野口、越後三郎
じゃれあう、芹沢とお梅。宴。皆、酒をくみ交す。
甲斐甲斐しくつぎ回るもの。笑うもの。寝始めるもの。

壇上の土方、和泉守兼定を抜く。

曲、下がる。沖田、ふいに立ち上がる。

沖田に注目する隊士。一輪の梅をみる芹沢、お梅。静止する、人々。

沖田:土方さん。
芹沢:お梅、この季節に、一輪だけ咲いてやがる。

壇上の土方。

土方:、、、和泉守兼定。おまえの刀。

首筋に刀を据える土方。

土方:おまえの句。梅は梅、一輪咲いても、梅は梅。

土方、震えながら、ゆっくりと刀をずらしていく。
曲、上がっていく。

沖田:土方さん、、

土方の後ろに、女。叱る。

女:一人じゃない!
土方:、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、。
女:おまえは一人じゃない。
、、おれが、、、ついてるから。

女、刀の刃を素手でゆっくりと、
つかむ。
舞台全面、梅色に染まる。

土方:、、、、、、、ひじかたぁ、、
、、おそぃよぉお。
おれ、おまえいないと、無理だよぉ、、

刀を離し、泣き出す土方。
刀を持ちかえ、にぎりしめる女。
さらに上がっていく曲。
曲の中、新撰組隊士たち立ち上がり、退場。

楠木、越後に酒をつぎにくる。

越後:ああ、いいいい、手酌で手酌で!
今日はほら、無礼講だって言うからさ。
楠木:桂先生。
越後:小十、「先生」は今日よそうよぉ。
無礼講って言ってんじゃんー。
楠木:、、はい。
越後:よっぱらっちゃったよ久しぶりに♥
俺、あんま酒飲まないって言ってんのにさ♥
あんまり進めるもんだからついな♪
サルのくせにあいつら言葉結構話せるのな♪
あいつら馬鹿だよっ、なんだか熱く語っちゃってさ。
なんやかんや言って、みんな言ってる事同じなんだよ。
ほらおまえも飲めよ、小十。
楠木:、、はい
越後:なぁ、小十。、、、、、酒のせいかな?
サルも近くで見ると可愛いのな。
サルにも誠はあるんだなぁ
楠木:、、。
越後:土佐の坂本って男がさ、最近俺んとこやってくるんだ。
「手と手とりあってらんらんらんでええじゃないかぜよ」っつって。
なんか夢みたいな事いっちゃってる土佐弁丸だしのテンパ。
楠木:、、、あの。
越後:小十、、似合ってるか?
楠木:え
越後:、、この羽織。
楠木:、、
越後:俺、ちょっと考え方変えてみちゃおうかな、、。
そしたら、お前もさ。俺の事毛嫌いする事なくなったりして♥

楠木、土下座。

越後:、、、、小十?
楠木:女に、戻りとうございます。
越後:、、、、
楠木:私は私の、誠のために生きとうございます。

楠木:、、、。
越後:、、今女に戻ったら、、おまえ。
楠木:、、、、、、、、私は、

舞台奥、原田、小十郎を探しにくる。

原田:小十郎!俺の洗濯もん知らんか?あれ?どーこいった?
小十郎〜。おい、どこだぁ?

原田、退場。

越後:。。。。。。。。
楠木:、、、、、
越後:せいぜい、サルの誠に生きろ。
越後:、、
楠木:、、、ありがとうございます
越後:ただし。、、必ず一緒になれよ。
楠木:、、

楠木一礼、退場する。

桂:なれるもんなら。

羽織を脱ぐ

桂:なにが、、誠だ。

桂、羽織を乱暴にたたきつける。
曲、消える。

桂伝令!!!!!!
長州藩全志士に告げ!
総勢100!250!京の都に潜入せよ!
桜の散る頃!決起は池田屋!
京の都を焼き尽くせええええええ!!!!
、、、、、、
サルの誠など、、俺が、踏みにじってくれるわ。

照明、雷。暗。
雷鳴。ゴロゴロゴロゴロゴロ

■第8場「芹沢暗殺2」

冒頭に戻る。

明。夜、強い雨。
SEザアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア
沖田総司、原田左之介、山南舞台上にいる。

一人向かう沖田

原田:一つ、己の闘争を許さず。
沖田:、、、
原田:俺、原田左之介として確認したい。
沖田:、、、。
原田:総司。これ、なんのためだ。
沖田:、、、、、、、

沖田、力任せに刀を振り降ろす

沖田:我々は今、新撰組ではない。
原田:、、土方さんは?
沖田:、、すぐ来る。抜刀

無言で母屋へ向かう、原田。続く山南。
雷の光り、沖田を照らす。
雷鳴。ゴロゴロゴロゴロゴロ
沖田、見上げる。喀血。

沖田:ゲホ、、ゲホォ、、、、、土方さん

舞台奥、壇上、桜襲の服を着て、女。

女:ほとんどかすれちゃってたから。
きれいでしょ。
誠の文字。

女、ゆっくりと後ろを向く。
背中に血の「誠」の文字

沖田:洗濯女にしょえんのか。
女:いい色でしょ?
あの人の血で染めたの。
沖田:、どっちの血だよ。
女:、、たぶん、、、両方。
沖田:、、両方?
女:たぶん。
沖田:、、適当な事いってんじゃねぇ、、、
おまえは片方しか見てねぇだろ。
女:わかるんだもの。
沖田:、、おまえに何がわかる、、
、、女のお前に何がわかる!!
途中から出てきて、でしゃばってんじゃねぇ!
女がムキになってんじゃねぇ!
土方さんは俺の!ゲホッ!

喀血。沖田、血を見る。

沖田:、、、、くそっ、、
女:沖田さんって女みたい。嫉妬して。
沖田:だまれっ
女:あなたがいなければこんなにムキにならないと思う
沖田:、、、、、。
女:わかるもの。
どさくさに紛れて斬る気でしょ。
沖田:!
女:ずるいもの。
沖田:俺は、そんな卑怯な真似は、ゲホッ、、くそぉ!

女、沖田のそばへ。
体を寄せずに、背中をさする。
沖田の咳、ひどくなる。

女:ひどい血。
沖田:ゲホォ!ゲホ!ゲホオオ!ゲホ!
どおしてこんなに血が出るんだ!ゲホォ!ちくしょお!
女:、、、女だったら良かったのに。沖田さん。
沖田:、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、
女:ほんとにひどい血。
沖田:、、、、
あの人の敵斬ってる時だけ、俺、生きてんだ。
俺があの人の敵を斬りまくる。
その先なんかどうだっていい。
この体が持つうちは、あの人と生きる
あんたの言う通りだ。
女だったどんだけいいか。
女:、、、、
沖田:(自嘲)おかしな話し。
土方さんの事考えると、決まって血ヘドを吐く。
おまえら、男のために血を出すんだろ。
その先のために血が止まるんだろ。
俺には、その先が無い。
女:、、、そっか。
沖田:あの人の誠は、俺が守る。
俺たちの誠は、正しくなくちゃいけないんだ。
そのために、どさくさに紛れてあんたを斬るかも。
、、引き返すなら今だ。

女、歩いていく。
羽織をみせて、くるりと回る。

沖田:、、、、?
女:桜襲。、、桜色に見える?
沖田:え?
女:近くだったら、赤と白。
遠くからじゃないと奇麗な桜色に見えないの。
でも、あの人、梅の句しか詠まないの。
沖田:、、。
女:ばかだねぇ。
せめて、こうして咲かないと、見て貰えないの
沖田:、、、
女:、、、ばかだねぇ。
散るってのに咲くの。
あーあ。あたしも男だったらなぁ。
おれが、ずっとついててやるからって。
あーあ。生きたいなぁ。
あたしも一緒に生きたいなー。

沖田:、、、そっか。

目に涙。雨音、強くなる。
二人、ゆっくりと見栄を切る。

沖田:、、土方っ
女:これより、闇に紛れ、粛清。

雨音、さらに強くなる。一気に暗。
ザアアアアアアアアアアアアアアアアアアア

永倉:その日、泥酔した芹沢は平山、平間とともに
八木源之丞の母屋で高いびきをかいて眠っていた。
土方・沖田は庭のある北側から、
山南・原田は玄関のある南側から侵入。
平山五郎は原田の刀を喉元にズブリと受け、即死。
平間重助は別室で山南と乱闘の末逃走、喉にキズを負ったまま行方知れずに。
土方と沖田は枕もとの屏風を芹沢の布団にかぶせ、
菊一文字、和泉守兼定をそれぞれズブリ、ズブリと突き立てた。
刀を抜き、屏風と布団をはがし、芹沢の死を確認する2人。
縁側から差し込む月明り。

暗の中、女の声

女:、、、うそ。、、、、、、

ゆっくりと縁側から差し込む月明りの明。
舞台奥に横たわっているのは、お梅。
呆然と立ち尽くす、沖田、女土方。

沖田:、、、しくじった、、。

芹沢、小便から戻ってくる。

沖田原田:!!

芹沢、ふとんへ潜り込む。

芹沢:あー、冷えた冷えたっ。酒くらいすぎると小便が近くていけねぇや。
なぁお梅?なんだもぉ寝てんのか。
なんだよせっかくおまえともうひと穴と思ったのによぉ。
また布団とっちらかしやがっておめえは寝相が悪いな。
ほらお梅、体が冷えきってやがんじゃねぇか。
なんだ?布団がぐっしょり濡れてやがる。寝小便でもしやがったか?
それにしてもくせぇ寝小便だ、血の匂いがしやがる。
原田:、、、、、。
芹沢:そうかわかった女のアレか?まったくだらしのねぇ女だな。
毎月毎月くるんだからよぉ。女の準備はねぇのかお前は。
沖田:芹沢さん。
芹沢:それにしたっておかしいよなぁ?だっておめぇいってたもんなぁ?
ここんとこ月のもんがこねぇんだっていってたもんなぁ?
それに何食ってんだか知らねぇけどよ。
ことあるごとにゲェゲェゲェゲェ吐きやがって。
口くせえからそばにくんなっつってんのに鴨ちゃん鴨ちゃんすりよってきやがってよ。
女:、やだ、、
芹沢:でもおかしなもんだよな。
てめえのくせぇ匂いになれちまって。
俺もうおまえがいねぇとねつけねんだ。
おいこら起きろ。
新撰組局長芹沢鴨の命令だ。
お梅。
3人で。一緒に見るんだろ梅の花。
あいらびゅーんって言ってくれよ。
、、、、、、、、、、。
お梅、、、
、、、、、、、。
どうするおまえら、、、、、、死んだぞ

女:うわああああああ!!!

女へたりこむ

芹沢、立ち上がる
手に大鉄線、大刀。

芹沢:近藤に伝えろ。
お前らの誠、偽もんだったら承知しねぇ

沖田かかっていく。

沖田:うあああああああああ!!!!!!!!

曲。

芹沢VS沖田
キイン!キィイン!カシン!キイイイイン!カシンーーーン!

沖田:ゲホ!

ヒュン!沖田額をわられる。

沖田:くそ!土方!

芹沢、ゆっくりと迫る

沖田:背負えねぇなら最初から背負うなあ!
女:、、わかんない
沖田:おいいい!!
女:あたし、、
沖田:土方あああ!
女:あたしにはどっちが正しいのかわかりません!!!
芹沢:どっちでもいんだよ。
女:え
芹沢:でも両方は駄〜目!

振り降ろす
キイイイイイイイン
血まみれの、きちがい土方受ける。
ふっとぶ芹沢。

沖田:、、、土方さん
芹沢:気違いか
土方:粛清えええええええええ!!!!!!!

芹沢VS土方
キイイン!キン!カシイイン!キィイン!
芹沢VS土方・沖田
キイイン!キン!カシイイン!キィイン!
土方蹴られる。

沖田:土方さん!ゲホ
土方:ん。
沖田:まずい。
土方:あ、、、血まみれ。
女:内藤さん
土方:、、さくらさん、、、桜襲。
沖田:土方さ、、、ゲホォ!
芹沢:あー、終わりだ。

原田横っ飛び後ろ向き登場。

原田:平山殺した。平間はさんなんさんに任した。ウホ。
芹沢:ゴリラ

原田VS芹沢。
キイイン!キン!カシイイン!キィイン!ガン!

女:、、、、。

芹沢蹴り、原田ふっとび。

原田:めっちゃつええし♥

芹沢、原田に迫る。

原田:よーし。

芹沢、振りあげる。

原田:動くなああああああ!!

原田、銃

全員:!!
原田:、、終わりだ。大ざる。
土方:、、、、、、
沖田:、、、銃
芹沢:それでいいのか。ゴリラ
原田:進化ってゆーんだよ。
楠木:チェストォオおおおおおおおお!
芹沢:!

女の着物を着た、楠木、刀を振り上げかけこんでくる。
芹沢、大鉄扇をあわせる。

芹沢:女?
女:!、、小十郎さん!
原田:、、え
芹沢:見た顔だが。
原田:どけろ!おまえじゃかなわねぇ!

芹沢、降り払う。

原田:、、小十郎!
楠木:名前はありません。
あたしは!桂の女です!
芹沢:長州の間者か。
原田:、、え、、、、
土方:、きっと、散るんだ。

土方、立ち上がる。

沖田:ゲホッ!土方さん、危ないっ、、
土方:なにもなくなってー!
だれもいなくなってー!
なんにもならなくてー!
きっといつか散るんだ!でも!
芹沢:新撰組だあああああ!!
楠木:チェストォオオ!
沖田:土方さん!
女:!

曲、上がる
原田、銃に力をこめる。
芹沢、土方を狙い、走る
楠木、芹沢を狙い、走る。
女、舞台前へ走っていく
3人交差する瞬間、銃声。バン!

ゆっくりと下がっていく曲。

芹沢、ゆっくりとふとんのお梅を見る。

芹沢:お梅ぇ、女に斬られた、、、

ドサッと倒れ込む芹沢。

女:、、、、

刀を降ろす、女
土方、女をみる。

土方:桜襲。
女:、、、じゃあ、
沖田:銃は、、
原田:、、、、、、、。

小十郎、ゆっくりと倒れる。

原田:、、小十郎!

抱える原田

楠木:あー。当たったじゃん。
原田:よけろよぉお!!
楠木:よけれないってば。
原田:!

はだしの、楠木。

原田:履物は!履物、どうしたんだよ
楠木:着物には、似合わないから。
原田:どうなってんの?俺、頭わるくてわからねぇ。
なんでお前、女の格好してんの?
楠木:似合う?
原田:なにが、
楠木:着物。
原田:、、え?まじで?そーなの?
楠木:にぶい
原田:いえよおおお!!
楠木:言ったら、やめなきゃいけないし。
原田:なにを!
楠木:新撰組。
原田:いいよやめたってそんなの!女なんだろ?!
楠木:ちがうってば。女だから、やめたくなかったんですって。
原田:なにいってっかわかんねぇよ!
楠木:似合う?
原田:似合うから!
楠木:、、よかった
原田:良くねぇよ!
楠木:、、
原田:おい、がんばれ!一緒にがんばるんだろって!
おい!おいい!おいいいいい!!!!

原田、楠木を抱く

曲あがる

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たくさん台本を書いてきましたが、そろそろ色々と人生のあれこれに、それこれされていくのを感じています。サポートいただけると作家としての延命措置となる可能性もございます。 ご奇特な方がいらっしゃいましたら、よろしくお願いいたします。