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リミテッド大予想「神河:輝ける世界」#1 環境俯瞰編

 この記事は、フルスポイラーが公開された「神河:輝ける世界」(以下NEO)の全カードを眺め、リミテッド環境を予想するという、恒例のワクワク記事なんですが、解禁直前めちゃギリギリになって書き始めました。
 この記事#1では、まずは色の間のシナジーやアーキタイプの分析は後回しにして、環境の基本的な前提となる、コモン・アンコモンの、クリーチャーのパワーとタフネス、そして除去とコンバット・トリック(以下バットリ)の分布を確認していきたいと思います。今回の記事も、友人と一緒に分析した結果をもとに、主観でまとめて語っています。

更新履歴

2/9 黒の除去に、漏れていた「梅澤敏郎の生涯」を掲載。

前提

・ドラフトルールに関しては、特記がない限り、MTG ARENAにおける「プレミア・ドラフト」を想定しています。
・この記事は、パック配信・発売が開始する前に書かれた記事であり、実際の環境についてなんら保証するものではありません。ふんだんに妄想が含まれる可能性もあります。
・リミテッド環境に対する考察であるため、レア・神話レアのカードは出現率が低いものとみなし、考察の対象はコモン・アンコモンのカードが中心になります。
・本ページに記載されている画像はすべて、マジック・ザ・ギャザリング公式サイト(https://magic.wizards.com/)を出典としています。特に、以下のページからの引用を含みます。


パワー・タフネスの分布

 まずはマナ総量-パワーの表、およびバブルチャート。

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 続いてマナ総量-タフネスの表とバブルチャート。

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 マナ総量に対して、パワーよりもタフネスが高めに割り振られる傾向はいつもどおりですね。今回も、タフネス4に壁がある感じ(つまり、パワー4を用意するのが難しい割にタフネス4は比較的多い)です。タフ4あれば3マナは止まる。ただし今回は、オーラや換装等の強化メカニズムが多いので、どの程度信頼できるかといえば微妙そうです。しかし少なくとも、「武勇の歌い手」や「旅する聖職者」のような、タフ4ライン超えを継続的に容易にするカードは見えてない――気がする――のでご安心ください。
 一方で注意したいのが、タフネス1のクリーチャー。今回、他のエキスパンションと比べて突出して多いというわけではありませんが、除去の側に「タフネス1なら落とせる」カードがいくつかあり、それらのカードでオマケ的に落とされる可能性があります。

除去・バットリ・その他干渉

 これまで除去の定義を色々並べていたんですが、要するに「相手のクリーチャーを永続的に戦闘から除外しうるもの」ということでまとめられる気がしています。そしてバットリは「非公開領域から戦闘中に発動でき、戦闘の結果を変え得るもの(ただし除去を除く)」としました。それ以外に、「公開領域からの干渉」「ソーサリータイミングのPT修整」「クリーチャーのタップ」「打ち消し」等を「その他干渉」として一緒に抽出します。今回はその他干渉に解呪系能力も含めました、なぜなら解呪で対処できるクリーチャーが多いため。
 その上で、除去かバットリかでまとめるより、色ごとにまとめて傾向を見たほうが良いなと思い、今回は色でまとめた上で、3段に分けて表示します。今回は「魂力」の存在により、手札からの起動型能力で盤面に対処するカードが多々見られます。魂力が本体、魂力こそすべて。いい時代になったものだ……。
 今回除去を見る目線として、「機体は基本ソーサリー除去では対処できない」という意識を持ってみるのが大事だと思います。それでは見ていきましょう。

・ 白

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 除去はコモンにレンジストライク4点と3マナ平和な心。ソーサリーでタップのみですが確定追放「払拭の斬撃」もあります。ソーサリーではありますが、ファクトなら確定追放できるので、機体にも対処可能な点がGoodデース。特筆すべきは「精霊界との接触」で、払拭の光」でもあり、魂力でブリンク(一時的追放)にも使えるという超スグレモノ。
 バットリは1マナのコモンが2枚。修正値は1マナなら十分でしょう、それに「道照らし」はモード付き、「執政の権限」は+1/+1カウンターにもなりうるという点が良い。こういうものは「1マナで構えられる」のが大事であり、存在するだけで環境に一定の圧力を与えます。白1マナはバットリの予感。これから見ていきますが、今回はどの色も1マナで構えられるバットリや除去が多く、油断ができません。
 それ以外にも、飛行持ちタッパー(起動コストは重いですが)や「無私の救助犬」がいる感じです。
 コモンのレンジストライクや平和な心で重いところを対処しつつ、戦闘では2枚の1マナバットリで一方的有利を取る。確定除去も備えて、白は今回、除去やバットリの面ではなかなか愛されていると言えるでしょう。

・青

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「月罠の試作品」はコモンかつ魂力はやや重いですが、デッキへ戻すアド損の無い確定除去。「月罠の専門家」は肉のついたバウンスです。ムーンフォークの罠はハイテク&マジカルで実際隙がない。残りの一枚もムーンフォーク……Φ化……ともかく、能力を封じて永久フリーズというほぼ除去の疑似除去です。強いね。ギタクシアスなんてことしてくれる。
 バットリは、重いですが機体にも使えるガンダムで行く!カード。それと飛行を失わせるマイナス修整。後者は青にしては軽く直接的に永久の盤面干渉ができていいですね。
 その他、まずは打ち消しが4種。青の1マナで構えられる枠こと「呪文貫き」は、不確定カウンターで後半仕事にあぶれそうではありますが、機体の打ち消しもできることから序盤はそれなりに活躍しそうです。ただし換装装備品は対処不可。コモンのカニこと「鏡殻のカニ」は、3マナかつ不確定ですが、能力にも対処できる、しかもこれ自体が能力だから打ち消しを更に打ち消しし返されにくい。あとは終盤にはクソデカクリーチャーとして君臨する事も考えられるでしょう。便利ね。「撹乱プロトコル」は色が濃いですが、実質「対抗呪文」になりうるのでうまく使いたい。
 タッパー2体、ファクトクリーチャーのムーンフォークたちはこれまた強いです。前者「ネットワークの撹乱者」はアーキタイプのところでその真価について説明しますが、後者「サイバの侵入者」はシンプルに強い。4マナで2体フリーズは、いくら盤面の圧力に欠ける青でも、ダメージレースの差を広げてそのまま決めきることが狙えるでしょう。
 中段右、一風変わったPT修整オーラは、自分の強化にも使えるとはいえ、除去として使うには信頼度は低そう。ブリンクはETBと合わせたり、改善目的で採用したりですかね。下段、「忌話図」の英雄譚は、後半にゲームを伸ばすデッキなら、全体マイナス修整で時間稼ぎが捗りそうですね。
 今回、青はタッパーやパワーマイナス修整で、影響力は甚大ではないが確実に盤面に触る選択肢が増えている感じです。青は攻撃を通したいクリーチャーが多いので、そのサポート体制は十分に確保できそうですね。

・黒

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 テーレッテ―は黒の1マナ構え枠。ネタではなく、これの存在によって「忍術」アーキタイプの戦術と駆け引きにものすごく深みが出ます(後述予定)。キャントリップなのも見過ごせない。そしてマイナス修整2枚、今回は機体や乗り手の存在から、取れる対象の狭い代わりに軽い除去にはいつも以上に出番があるはず。「ねじれた抱擁」はコモンの4マナ確定除去、唱えるためにクリーチャーが必要と癖はあれど、唱えさえすれば装備先が居なくなってそのまま墓地に落ちる場合でも、戦場には出るので除去効果は誘発します。
 アンコ、「色墨」は4マナで軽減付きの確定除去と恐ろしい。全体マイナス修整は使い所に悩みそうですが、リアニデッキなど重めの戦略を取るなら一考の余地あり。「毒血勢団の口封じ」は忍術でクリーチャーを確定除去に変える恐ろしい子。こいつのアタックを継続的に通せたら戦線を壊滅できるでしょう(回避能力ないし、ちょっと自己矛盾してるかな?)。黒の「御神体」は、タフ1を毎ターン除去するクリーチャーとして見ると、機体デッキの小粒搭乗者には刺さりますが、それ以外では手持ち無沙汰になりそう。
 布告除去もいくつか。「墓照らし」はリミテで強い枠の3マナ2/2飛行、ただし単体で出すと最悪自壊するという、脳死でピックはできない性能です。布告インスタントは、「御神体」等とは逆に、小粒を並べない、でかいの1体で殴ってくるデッキに効きますが、リミテだと序盤には重すぎ、後半は無意味になりがちかしら。英雄譚「夜の長い陰」も、手札を枯らさないとサクらせできないので難しいですね。しかし一方で、後半に相手が手札をわざと切らしたら盤面に触れられるわけで、マナ・コスト的に唱えるタイミングには見合った働きをしそうです。「梅澤敏郎の生涯」も-1/-1修整、しかし味方のバフにも使えるので腐らないかな?
 除去以外には1枚バットリがありますが、

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 絆魂でライフレースをひっくり返しつつ自分のクリーチャーを守るのは便利です。しかし、「フェイン・デス」は1マナで構えられる事により価値が上がるので、これは一歩使いにくいかな。
 総じて、黒に期待される確定除去の水準かそれ以上を用意しつつ、軽いアクションでも十分に盤面影響力のある、強い色と見て良いでしょう。布告や小規模マイナス修整は信頼感には欠けますが、クリーチャーについている分には十分嬉しいおまけということで。

・赤

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 一回り枚数が少なく見えますが、優秀なものばかりです(その分取り合いになるかも?)。まずは除去。コモンには1マナ2点と2マナ3点、特に前者「電圧のうねり」は追加コストで「稲妻」超えの1マナ4点火力!これピックから赤参入は有力ラインでしょう。アンコモンもどれも優秀。「狙撃手」は火力になる、到達持ちクリーチャーでもある、クリーチャーとして出しても2点火力はついてくる、ととんでもない汎用性を兼ね備えたクリーチャー。フライヤーはパワー3以上がコモンに何体もいた気はしますが、それでも十分強い。マストピック級です。X火力の「炎の排出」は、柔軟に使える除去として序盤から終盤まで輝く1枚。「地震波」はおまけでタフ1クリーチャーを持っていく(しかも相手だけ)という恐ろしいカードですが、ファクトに刺さらない、2点火力では対象が限られるということで他の除去よりは優先度ひくいか。
 バットリもみなさん英才で。「猪」はトランプル付与の押し込むバットリ(しかもタフネス修整付き!)とも、終盤のフィニッシャーとも扱える優秀魂力。「火を付ける怒り」の1マナインスタント先制攻撃の有効性はみなさんも御存知の通り、一方的な焼殺をもたらします。全体パンプインスタント「野心的な突撃」は、使い所によってはゲームエンドでしょう。ただし、今回の赤(特に赤白侍アーキタイプ)とは相性が悪いかも。
 その他枠、ファクト除去は流石にサイド要員。オーガは4/1で流石に心もとなく見えますが、タップ能力は攻めにはまあ悪くなく、あと戦士シナジーによっては化けるかもしれません。
 総じて、1枚1枚が優秀で、特にアグロ戦術を支える序盤の火力が終盤でも腐らないというのがとても偉い。カードの種類が少なくて混みそう(他の人に取られそう)なのはちょっと怖いですが、各カードの柔軟性としては頭一つ抜けており、ちゃんと除去やバットリを揃えられた時の凶暴性は保証できそうです。

・緑

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 緑は以外にも純粋な格闘は無し。代わりに一方的格闘が2枚あります。「達人の咎め」は、おまけのメリットが無くなった代わりにPWにも噛み付ける「強行突破」。2マナインスタントとしては優秀でしょう。もう1枚のソーサリーは、なんと大量にマナを払えば大量に蹴りを入れることができます。X=1で4マナのソーサリー噛み付きは美味しくないので、ランプデッキで終盤、X=2や3で盤面を一掃する使い方が主になるでしょう。「竹林の射手」は2マナ3/3到達で序盤の飛行を抑え、終盤に引いたら巨大なフライヤーを確定除去できる、名射手です。
 バットリは1マナ枠、「タミヨウの保管」。呪禁と破壊不能を付けて完全防御態勢。PTは変わらないため受け身の利用が主になるでしょう。純粋にインスタントのバットリは他に2枚。なんかオーラっぽい「母聖樹の加護」は、終盤デカブツの立っている状況で小粒をフィニッシャーに変え得る、面白いバットリです。「物語編み」は+1/+1カウンターで便利ですが、改善を差し引いてもどれくらい有用かはわかりません。英雄譚クリーチャーの活躍次第?
 バットリは魂力にもたくさん。4マナ4/4換算の「樹海の保護者」、オーラとしても一時的な消耗品としても使える「樹海の好意」、どちらも緑ならぜひピックしたいです。他にも、魂力でクリーチャーを生み出して実質バットリ的に使えるカードも2枚。ただ、土地をクリーチャー化して討ち取られたら悲しいので、奥の手というか、あまり出番はなさそうですが…。「入念な栽培」も、ブロックよりはマナ加速に素直に使いたいですね。
 解呪は2枚。河童はタフネス偏重の接死持ちで、後ろ寄りの戦略なら素直に入る強い1枚です。
 今回の緑、軽い一方的格闘を擁しており、バットリも選択肢が豊富、特にバットリとしてもパーマネントとしても使えるカードはやはり偉い。魂力で差をつけろ。

・多色、無色

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「巨大な空亀」は青マナ魂力でバウンスをします。実質青の除去ですね。青黒の「達人」は、忍術で登場するロードとして、限定的ながらバットリ役を果たすでしょう。
 無色、「ホバーバイク」は3ターン目から殴れる2/2飛行でありながら、瞬速でタップまでついてくるという汎用便利カード。見たら取りたいですね。「忍者の苦無」は要するに3マナ3点火力です。分割払いできる点は長所で、火力が足りないときは、これに頼るのが良いでしょう。

総括

 総括です。(3つ星をその色の平均期待レベルとする)

白 ★★★★☆
・コモンの除去、バットリが共に軽くて便利。汎用性の高い確定除去も擁して、自分に有利な形勢を保てそう。破壊不能等の守りが薄いのがやや弱いか。
青 ★★★★☆
・打ち消しは色拘束が厳しい。しかし、タップやPT修整で盤面にいつもより干渉が可能で、青にしては戦略の幅が非常に広い。
黒 ★★★★★
・コモンとアンコモンにある確定除去、軽いマイナス修整にキャントリップ接死と、充実したラインナップ。確定除去の色拘束が強いので、土地の構成には注意。
赤 ★★★★☆
・種類は少ないがコモンから優秀なカード群。特に序盤と後半で使い分けられる1マナ火力があまりにも優秀。
緑 ★★★☆☆
・1枚だが一方的格闘は優秀。バットリで戦う局面が多くなるが、そのバットリが他の使いみちを許しておりデッキが組みやすい。1マナ呪禁・破壊不能付与で重要なクリーチャーを保護できるのも偉い。

 以上、環境の俯瞰でした。次はメカニズムと単体カード評価。本記事はここまで。第2回はこちらです。

https://note.com/hamiinimii/n/nec700f661e99

 あと今サイドストーリーのエヴァンゲリオン……ではなく新紀元機関-Epoch Engine-を読んでるんですが最高ですね。

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発進!(リミテ・スタンダードにはきません)


 なお、本記事における使用画像の結合には、以下のサイトをお借りしました。


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