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枯らさない観葉植物のモノサシ

初めまして、ガーデンデザイナーの松 葉緑です。30年以上、植物を生業にしております。
植物と暮らすために今まで語られて来なかった、目から鱗な管理のコツをお知らせします。


植物を枯らしてしまいます…何故

「いつも植物を枯らします…」
長年園芸店を営んでいると、この相談を頂くことが多くあります。
購入したり、プレゼントされたりても、数ヶ月でダメにしてしまう…
だから部屋に植物を飾るのはちょっとと。
でもね、一度存在感のある観葉植物を部屋に飾った景色を想って下さい。
高価な絵画や家具を飾るのと同等、いやそれ以上の感動や潤いを感じると思うのですが、いかがでしょう?
呼吸する生命としての植物の造形美はナニモノにも代えることのできないと思います。
しかも大半は絵画程高価ではなく、容易に手にはいります。
そんな植物との付き合い方のモノサシをこれから説明させて頂きます。


室内観葉と外木の違い

最初に室内の観葉植物と屋外の植木とは決定的に異なることをご理解下さい。
太陽光を浴び、雨風に晒された植物は四季の寒暖の差に適した環境下にあります。方や室内にある観葉植物は限られた彩光と風通しの中、雨にあたることは許されず、エアコンや床暖など人の環境に合わせさせれている訳です。
つまり人が軒天で吹きっ晒しで暮らすのが辛いのと同様に、植物が人間の快適な環境下で暮らすことはそれなりにシンドイことであることに気付いて下さい。
ペットとは異なる性質に気付けば、植物が疲れていくことも合点が行くのではないでしょうか…
それではやはり植物との同棲生活は無理なんじゃないのか…
いやいや、人間と植物が共通して気持ちよく暮らせる環境となる管理を行えば、幸せな同棲生活が送れます。


植物の世話は水やりのみ?

植物の管理として我々が出来ることは、ほぼ水をやることだけと言っても過言ではありません。
しかし、そこにあまりにも語られて来なかった、大きな落とし穴があるのです。
植物を購入した際についてくる札によく書いてあるのは、
「土が乾いたらたっぷりと水をやって下さい」
これです。これだけが実現出来れば、植物は相当長持ちする筈です。
でも現実にはなかなかこれが出来ません。というのも水やり(灌水)の目的は水以外にもあることを意識する方は殆ど居ないからです。
それでは水以外の重要な事とは何か……

それは酸素です。
葉の光合成と同時に習いましたよね、葉の呼吸…覚えておられますか?
それと同じく土中の根も呼吸しているのです。よって鉢植えの植物の根に新しい酸素を届ける唯一の方法は水やりと同時に行う「酸素やり」しかありません。
ではどうしたら酸素をやる事が出来るのでしょうか…
それが「たっぷり」になります。
灌水の際に鉢の下穴から余った水が流れだすまでが、たっぷりの水やりです。
下穴から水が流れ出す勢いにより土中の古い二酸化炭素を鉢底から押し出しながら、鉢の表土の気圧を下げ、土の表面から土の深部へ向けて新鮮な酸素が流れ込みます。これが「酸素やり」です。
簡単に移動出来る小さめの植物なら、キッチンに持って行って、蛇口から直接灌水を行い、鉢底から勢いよく水を流して、元の飾ってあった位置に戻せば理想的なたっぷりの灌水と酸素供給が行えるのでお勧めです。


しかし、キッチンに移動が困難な尺鉢サイズ(直径30cm)等の大型の植物はどうしたら良いのか…ここから成否のコツが必要になります。

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