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直径なんと6.6㎜!世界最細万年筆 セイラーのシャレーナ

万年筆は廃盤ものには手を出さないって決めたのに、誘惑が!多すぎる。
気に入った物を少しだけの精神だったのに…入手してしまいました。
世界一細い万年筆セーラーのシャレーナを。

事の発端はセーラー公式からのお知らせより

呉の新工場はいつ頃できるのかしら、完成の暁には工場見学はできるのかしらと、セーラーの公式ページをなんとなく眺めていたら、気になるお知らせを見つけてしまった。

「万年筆用スリムインク」、「スリム用インク吸入器コンバーター」の生産終了のご案内平素は、セーラー万年筆製品への格別のご愛顧を賜り、厚く御礼申し上げます。さて、この度 これまで製造・販売を行って参りました万年筆用の消耗品、関連製品の一部につきまして、該当製品の対象となる万年筆本体(シャレーナ、グラシール、DAKSスリム等)の生産・販売終了から10年以上が経過した2022年をもちまして、生産・販売を終了とさせていただくこととなりましたので、ご案内申し上げます。

セーラーの大切なお知らせより

ふむふむ…コンバーター生産終了のお知らせか。製造終了後はだいたい10年間、企業が修理用パーツを保管所有することになっている。
今回はそれに倣っての告知だ。

「万年筆用スリムインク」、「スリム用インク吸入器コンバーター」とは一体なんのこと?

セイラーにはスリムを称したプロフェッショナルギアスリム万年筆がある。
直径φ17×124mm(クリップ部含む)。

これを手帳に挟んで携帯しやすいサイズにしたのがプロフェッショナルギア スリムミニ。直径17×109.5mm(クリップ部含む) 筆記時の長さは132mm。スリムのうえにミニなのである。

だが、これとは違うようである。ミニサイズ万年筆用のコンバーターは最近発売されたばかりなのだ。

ではこの謎の「万年筆用スリムインク」、「スリム用インク吸入器コンバーター」を使用するシャレーナってどんな万年筆なのかしら?
で検索したのが運の尽き……まさかこんなわたし好みストライクの万年筆だったとは。

シャレーナってどんな万年筆?

シャレーナは1979年(昭和54年)にセーラーが当時世界で最も細身の軸をキャッチコピーに売り出した万年筆です。軸の直径なんと 6.5㎜!
プロフェッショナルギアスリムを半分にしてもまだ細い。

以下はセーラー公式サイト社史からの転載です。



https://en.sailor.co.jp/company/our-history/
より

In the late 70’s the trend of fountain pens had started declining.
In order to overcome this situation the Sailor Pen Company introduced “Candy“ series for the youger generations in 1976. This was a big hit worldwide and the Company sold more than four million pirces during four years.“Chalana“ the slimmest fountain pen in the world was also sold in large volumes around the world at the same time.

70年代後半になると、万年筆の傾向は衰え始めました。この状況を克服するために、セーラーペン社は1976年に若い世代向けに「キャンディ」シリーズを発表しました。これは世界中で大ヒットし、同社は4年間で400万個以上のパイスを販売しました。世界で最も細い万年筆「シャレーナ」も同時に世界中で大量に販売されました。(Google翻訳)

https://en.sailor.co.jp/company/our-history/より
https://sailor.co.jp/book_2021-2022/  セイラー 商品カタログ 会社概要


英語版セーラーの社史に載るほどの名品だったとは!知りませんでした。日本の製造技術力の高さを世界にアピールしたのでしょうね。
世界最小 6.5㎜の軸に、専用のカートリッジでインクを通すとは。

手にしたらどれくらいの細さに感じるのか想像できません。

使いにくいことこの上無さそうだけど、大量生産されたということはミニチュア大好き日本人の心にも刺さったんでしょうか。

そして名前が…シャレーナってまさか『お洒落な』から来てる?
そんな馬鹿な。いや、折れないシャーペンで有名な『オレンズネロ』、くるっと廻って尖る『クルトガ』の例があるぞ。

希少性があり、現在でも海外では高額で取引されています。

このお店は良心的。500ドルで販売サイトありました。

シャレーナはニブ14Kの旧型と18Kの後期型に別れているようです。
外観の相違点は、ニブの根元、首軸に金属環があるのが旧型、プラスチックが後期リニューアル型だそうな。

軸の素材、模様違いで当時の販売価格は以下の通りでした。

ストライプ金仕上げ(黒、マルン) 8,000円
ストライプ銀仕上げ(黒、マルン)8,000円
小波金仕上げ(黒、マルン)7,000円
小波銀仕上げ(黒、マルン)7,000円
赤漆調 5,000円
茶漆調 5,000円
ラッカー塗装(赤、白、黒)5,000円
クロム仕上げ(黒、赤、青)3,000円

リニューアルタイプには
8角ボディ金仕上げ金閣、銀仕上げの銀閣のスペシャル版があるようです。


気になりすぎて、入手してしまいました。
だってもう廃盤品なんですもの。新品に巡り会ったらそれはもう運命じゃないですか。

81年製造のシャレーナ シルバーストライプ 黒軸


緑青など目立つ軸の痛みはなし。これが…製造から40年以上経ってるとは。   

私好みのシルバーボディ!ステンレス軸にクロムメッキではなく真鍮軸にロジウムメッキだそうです。豪華ですね。

流石に付属の81年製造のインクカートリッジを使う勇気は無かったので、別途入手したスリム用インク吸入器コンバーターをセット。

書き味は…なんとびっくり柔らかい!私を万年筆の虜にしたキャップレスデシモと良い勝負のペン先のしなりです。
ニブが小さいからでしょうか?
インクフローは良く、掠れることなく書くことが出来ました。

ただ、横に倒しておくとインクが溢れているかもしれない。
キャップを外す度に、ニブが汚れているのが気になります。
スリムのコンバーターはインク容量がみるからに少ないので、インク切れも早いです。

これを持ち歩きの手帳用で作ったのか。毎日万年筆のお世話が出来るタイプの方なら良いのかな。

ん?シャレーナだけの写真では大きさのイメージがしにくい?
ではこちらの比較写真をどうぞ

セーラープロフェッショナルギアとの比較。驚異の細さ。1号サイズだそうな。

ニブが小さいペリカンM300(廃盤)もペリカン万年筆シリーズの中で1、2を争う柔らかさだそうです。

うーん美しい。


















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