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永遠に廃盤になってしまったセルロイドペンケースの話

少し前まで文房具店で見かけたレトロペンケース。少し前といっても数年くらい前でしょうか。おしゃれな文房具雑貨のお店で必ずといっていいほど鼈甲柄や、まだらな赤のキンギョ柄のレトロチックな箱型ペンケース、メガネケース、トレーが置いてありました。
作りはシンプルで留め金などの金具なし、蓋と本体の箱のみの物入れにもなるそれは、一見プラスチックのようですが、すぐに傷がつきそうな柔らかさを感じる(実際は堅いです)不思議な素材でした。
裏面を見るとカツシカセルロイドとシールが。

セルロイドといえば、古いセルロイドのオモチャがなんでも鑑定団で高額なったなどでよく聞くプラスチックに似た素材の事です。昭和時代によく使われた素材ですよね。可燃しやすく変形しやすかったのでプラスチックが開発されるとセルロイドは徐々に姿を消して行きました。

プラスチック製のペンケースがダイソーで100円でも売っているのに、素材的に劣るセルロイド製のペンケースは小型タイプで1,400円。一緒に商品を見ていた友人は「可愛い。買う」と即断即決で大きいサイズのペンケース(2,000円くらいの価格だったか)をさっと手に取りレジに行ってしまいました。
 私はというと、グズグズと脳内購入検討委員会を招集してしまい、メリットデメリットをあげることに。

メリット派 可愛い 素敵 セルロイドという名前がすでに可愛い
デメリット派 構造上蓋がしっかりしまらない・傷がつきやすい・新品で保管しても劣化する・高い

などなど、結局価格がネックになって買うのを躊躇ってしまったのです。これが大後悔のもと。

「迷う理由が値段なら買え、買う理由が値段ならやめとけ」

これ語源はぁちゅうさんだったんですね。ツイッターでみかけてなんて名言なんだと感銘を受けました。
このセルロイドペンケースがまさにこれ。最大の理由私の中では素材的に劣る商品に高い値段がついている。これが微妙に納得できなかった。でも数年たってもこの商品を忘れることができず、最終的にこの鼈甲柄、キンギョ柄というデザインがどうしても欲しくなってしまって、いざ買おうと思った頃には店頭からいつの間にか姿を消していました。どこにいっても見つかりません。あれだけどこの文房具屋にも雑貨屋にもあったのに!
 製造元が分かれば、ワンチャンで購入できるのでは?手がかりは商品の裏に貼ってあったシールです。確かブルーでカツシカセルロイドって印字されていたような。おぼろげに思い出したその言葉を頼りにネットを探しまくりました。結果分かったことは

製造元が文房具製造業からの撤退

カツシカセルロイドの名前の通り、葛飾区のセルロイド工場で作られていたのですが、工場を閉鎖してしまい製造機械も処分してしまったのこと。閉鎖直後は工場近所の居酒屋に在庫を配ったとか。工場跡地はリサイクル家具展示場になっているようです。

種類も在庫も豊富だったときに買っておけば良かったと後悔してもあとの祭り。カツシカセルロイド製ペンケースは店頭にある商品が全てで、もう二度と作られることはないのです。見かけたら買い!です。

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