即興小説「ペンギンの夢」
・お題:暑い小説家 時間:30分
(今年の夏は異常に暑い。)岡本氏は汗を拭い、机の上のパソコンに向かった。週刊誌に連載しているエッセイの締切が明後日までなのだ。岡本氏は何事にも余裕を持って臨む性格である。小学生の頃は翌日の持ち物をきちんとランドセルに詰めてからでないと眠れなかったほどだ。よって、岡本氏は原稿を締切の1週間前までには担当編集者に送信することを常としていた。
それが今回は、まだはじめの1行さえも書けていないのだ。これは由々しき事態だった。
(この暑ささえなければ