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『助演女優賞』『バニラ』セルフライナーノーツ

8月24日(水)1st EP『助演女優賞』をリリースしました。

1〜4のシングルと新たに加わった『助演女優賞』と『バニラ』について書いていきます。


『助演女優賞』

私にしては恋愛要素を感じる曲。
恋人に浮気されて相手の女の子の元にいってしまっただけのどこにでも転がっている経験。

しかし、私のセクシャルやいろんな事情を汲むと恋愛ではない。それを取っ払って恋として歌った。

その時の“恋人”という存在とは高校生からの知り合いだったので人間として信用しきっていた。私の人生に必要不可欠なBa.RYとも友達だったし他にも共通の友達が多くいる。たったそれだけの理由で私のことを傷つけるわけがないと思い込んでいた。

相手の誕生日に会う約束をしていたが、私はいろんなことが重なってメンタルバグで家から出られず「体調良くないから家でゆっくりしたい」と提案した。
詳しい事情は特に話さなかった。
誕生日は誰にとっても特別なもの。他人でも心からおめでとうと思う。
家から出られない分、特別を演出したい気持ちで前日に冷や汗かきながら何度か過呼吸になって、せめてものプレゼントを買いに行った。

家にきても会話はあまりできず、つまらなそうに、せっかく誕生日なのに。高円寺にいきたい。と言われた。
ごめん。具合悪い。としか返せなかった。
誰かと落ち着きなく連絡をとっている様子で「夜は友達と会いたい」と言った。
“あの子”と遊ぶのだなと思った。
ベッドから動けない私より鏡にむかって髪を整えるその人は、もう私が知っている人じゃないということを頭で理解した。

私は見た目も無頓着になり自傷行為も激しくなって顔色も悪くガリガリに痩せた形が姿見にうつり、とても惨めだった。
SNSに流れてきた二人の写真をみて、私の存在はこの二人が出会うためのものだったと思った。
醜い脇役。
生きているのが恥ずかしかった。

自傷行為で生き延びていた。
ハイになった勢いで人と会ったり話したりしてるうちに、どれだけ人に大事にされてたのか気づいた。
離脱症状がエグくて暴れ回ったときも支えてくれる人たちがいた。
すごいね。
ほぼモンスターなのによく離れないでいてくれた。
元々、仲良かった人たちはもちろん、知り合い程度だった人たちが生涯大切にしたい人たちに変わった。
そして私自身も変わった。
大体のことは面白くできる自分に気がついて、
精神的に強くなれた。
強くなるというのは優しさを持つということ。
傷つけば傷つくほど誰かの傷に寄り添うことができると知って、前より傷つくのが怖くなくなった。
もちろん痛みは変わらないけど受け止め方が変わった。
このあたりで『助演女優賞』をかいた気がする。
しかし、赤裸々に、そして思考して言葉を紡ぐ私の純真な音楽にするには相応しくない人物であり経験だと思った。
よく「バンドマンと付き合うと曲にされる」とか聞くがあれは恋愛ではなかったのでそれとはスタンスが違う。
恋愛映画という物語にして、主演の二人のために捧げた私の涙と孤独に賞をあげた。
誰かの幸福の後ろで苦しんだ人へ贈る賞。


ここまで読んでくれた方は少なからず私が可哀想に映っているかもしれない。
大丈夫です。
可哀想が似合わない心意気です。
私は私を苦しめた人間を絶対に許さない。
生きているうちに地獄に堕ちてほしいなという強い念がある。
浮気というのは正常な精神状態で行える悪だが、私はそれを遥かに超える異常さで潰したい。
私に欠陥があるのは事実だし友達に「私の悪いところを言って」とさらに自分を追い詰めるまねをしていたが、時間が経つとふつふつと何かがわいてきた。
私はこんなに良い子にしていていいのか。


「復讐は何も生まない」というがそうは思わない。
生む。
「相手を許すことがあなたの幸せの第一歩」とかも全然響かない。
うちの宗派はそういうのやってない。
実際、相手の現状が苦しそうだと聞いたときは今までにない興奮が襲ってきて笑いと叫びが止まらなくなったことがある。
すさまじい多幸感だった。
ちなみに、まだ終わっていない。
いくら気持ちよかったとはいえ、相手自身の素質で得た当然の報いなので私の手で下したわけではない。
強い念を飛ばしてただけだ。
だから今はまだ全てを曝け出さないし深くまで書かない。


優しい心だけを持ちたかった。
そうなりたくて、そういう自分をつくっていた時期もあった。
だけど、私はわきあがってくる全ての感情を純粋に燃やそうとする今の自分が好き。



アレンジは鷹觜力哉(YUMEGIWA GIRL FRIEND)。
生涯大切にしたい人の一人。

ほぼ一部始終を知っていて、メンタルMAXバグ期も支えてくれた人。
早朝、救急車に乗りたがらない私にレンタカー手配しようとしてくれたりなどの活躍をみせた。


アレンジでこだわってくれた部分。

・デモをもらった時から切なさをとても感じたのでそれが活きるサウンドにしたかった。

・元のメロは絶対に崩したくなかったので引きたたせるようなコード、リフを精一杯考えました。

アレンジ、めちゃくちゃ良い。
何よりYUMEGIWA GIRL FRIENDを感じる。
ユメギワを好きな層は私の音楽とは相容れないと思うけれどぜひ拝聴していただきたい。
ユメギワを好きな層は私のアカウントまで辿り着いてないと思うのでこの願いもインターネットの海に消えるわけだが。
私の単調なコードも変化させながら、それでいてメロも大切にしてくれて嬉しい。
何人ものアレンジャーに大切な音楽を手渡ししていったが『助演女優賞』は鷹觜力哉にお願いしてよかった。
季節のイメージは私の中で秋だった。
力哉が切なさを感じ取ってくれたから、季節に置いてかれた心に秋の風が触れる音楽になった。
時間は進んでいく。
イントロの逆再生が名残惜しく、あの頃を思い出してしまうような侘さがある。
バンドインで疾走感と共に回想が始まっていく。
ラストには「私のハッピーエンドには気高い私がいるのでしょう」の通り、地に足をつけて前を向く自分が在る。
気高い私たちでいたい。




『バニラ』

シングルからEPリリースまでのスケジュールやミックス、マスタリングを手掛けてくれた向さんの提案で弾き語りをいれることになった。
一回ミスったら頭からやり直しの一発録り。
何テイクやったっけ。

レコーディングはナガタトモヤ。
一度完成までいきかけたけれど、やはり録り直したくなって納期ギリギリで再びスケジュール調整してレコーディングすることにした。
毎回付き合ってくれてありがたい。

夜職求人で有名な「バーニラバニラバーニラ(求人♪)バーニラバニラ(高収入♪)」から着想を得た楽曲は今まで自分が知る限りでもいくつも存在する。
私自身が夜の世界に踏み込んでおり、少なからず間近で痛みや黒さを見ている、感じている側として決して茶化したり明るくしたり、妖艶さや哀愁さだけをいただいて綺麗に形作ることもできなかった。

今後『バニラ』は別の形でもお届けする予定なのであまり書かないでおきますが、バニラという植物についてだけ。

バニラには花言葉がある。
「永久不滅」
甘ったるくて印象に残る香りから由来しています。
しかし、実際に咲く花の寿命は一日。

バニラ これ以外の戦い方ができなくて
それでも君に明日もできれば褒めてほしい
バニラ これ以外の認められ方ができなくて
それでも君と明日も
それでも君と明日も

一日しか咲かない花は誰かの一生に残り、
一日しか咲けない花に明日があれば良いな。




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