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【Magic: The Gathering】《黒薔薇のマルチェッサ》の恐怖政治【統率者・EDH】

前書き

こんにちは。
記事を手に取ってくださり、ありがとうございます。

当記事では、統率者戦(以下、EDH)における《黒薔薇のマルチェッサ》について解説していきます。

廃位を使う政治系統率者でありながら、全体除去が主な戦略の一つであるため、「恐怖政治」と題しました。

最初は《アトラクサ》と同じく構築論のつもりで書きはじめましたが、《マルチェッサ》は《アトラクサ》と比べて構築の指針が明確であるため、紹介記事のような緩さになりました。
気楽に読んでいただければ幸いです。

また、筆者は公式のレベル表で言う5〜6で主にプレイしています。
異なるレベル帯でプレイしている方々にとっては、当記事の内容が甘く、あるいは厳しく感じられると思いますが、そういったことは往々にしてあることですので予めご了承ください。


1. 廃位について

《マルチェッサ》の能力の1つ目は、自身が廃位を持っており、さらに自軍全員に廃位を持たせるというものです。

702.105 廃位/Dethrone
702.105a 廃位は、誘発型能力である。「廃位/Dethrone」とは、「このクリーチャーが最多あるいは最多と同点のライフを持つプレイヤーを攻撃するたび、これの上に+1/+1カウンター1個を置く。」を意味する。

ちなみに、2022年3月現在、《黒薔薇のマルチェッサ》は廃位を持つ唯一の伝説のクリーチャーです。

このキーワード能力により、卓のプレイヤー全員にいつも以上にライフの量を意識させ、駆け引きを生みだします。

基本的には、ライフが最も多いプレイヤーを攻撃することになります。
グリクシスカラーで+1/+1カウンターを自軍全体に置くカードは絶対数が少なく、後述する《マルチェッサ》のもう一つの戦略のためにも、廃位の積極的な活用は絶対に必要です。

また、廃位の弱点として、「自分のライフが卓で最も多くなると誘発しなくなる(ライフが最も多いプレイヤーである自分自身を攻撃することはできないため)」というものがあります。

そのため、「他のプレイヤー3人が共謀して、廃位が誘発しないようライフを調整する」という事態がしばしば発生します。
そのような状況では、自分で自分のライフを削る手段があると、毎ターン安定して廃位を誘発させられるようになります。

その他、《威圧のタリスマン》などのマナアーティファクトや《硫黄泉》などのダメージランド、《蒸気孔》などのショックランドも重要な自傷源です。

EDHには「黒はライフをコストにするため優先的に攻撃するべき」というセオリーがありますが、《マルチェッサ》に限って言えば、序盤に中途半端に攻撃されるのはむしろありがたいですね(大きめの攻撃は困りますが)。

ライフが最も多い相手プレイヤーが複数いる場合、次ターン以降の廃位のことを考えるならば、ライフが多いプレイヤーを少なくとも一人は残さなければなりません。
そのため、攻撃対象は分散させるのではなく、ターンごとに一人ずつ総攻撃していくのが良いでしょう。

ライフが最も多い相手プレイヤーが一人だけであれば、他のプレイヤーからのヘイトを下げやすくなります。
「《マルチェッサ》は廃位のために次のターンはプレイヤーAに攻撃するよ」と言えますし、廃位のおかげで説得力もあります。
そうなれば、他のプレイヤーB、Cは下手に介入しない方がAの受ける被害は大きくなりますし、それで漁夫の利を得られると思わせられれば、その2人から妨害を受ける確率は下がります(1対3の魔王戦状態でない限り)。

Aに攻撃した後は、いけしゃあしゃあと「次のターンはBに攻撃するよ」とAに対して言ってしまえます。
カジュアルEDHでは、謂れなき攻撃を受けたら仕返しをしたくなるのが人情ですが、《マルチェッサ》には「廃位のために」という正当な(自己都合とはいえあくまで正当な)理由があるので、攻撃の動機付けもしやすいです。
攻撃の矛先が分かりやすく、かつ流動的なので、集中的にヘイトを向けられる事態を緩和することができます(向けられないとは言ってません)。

そのように、それぞれのプレイヤーが自分のことだけを考えているうちに、気づけば《マルチェッサ》の戦場が手を付けられないほど充実している、という流れが理想の展開です。
グリクシスっぽさが色濃く出ていてエモいですね。


2. リアニメイト能力について

《マルチェッサ》の2つ目の能力は、自分がコントロールしていて+1/+1カウンターが置かれたクリーチャーが死亡すると、次の終了ステップ開始時に戦場に戻ってくる(以下、リアニメイト)というものです。

この能力により、戦場と墓地を往復させ、戦場に出たときや死亡するときに誘発する能力(以下、ETB(※))を何度も何度も使いまわすことが《マルチェッサ》の基本戦略になります。

(※)正しくは、ETBとは「戦場に出たときに誘発する能力」のみを指し、「死亡したときに誘発する能力」はPIGと呼ばれます。しかし、煩雑な記述を避けるため、当記事においてはまとめてETBと書くこととします。

ETBでアドバンテージを稼ぐクリーチャーで脇を固めれば、《マルチェッサ》においてクリーチャーに+1/+1カウンターを置くということは、すなわちカード1枚分のアドバンテージとほぼ同義です。

ちなみに、このリアニメイト能力は《マルチェッサ》自身の死亡時にも誘発します。
そのため実質的な除去耐性持ちであり、+1/+1カウンターが置かれた《マルチェッサ》は二度死亡しないと統率領域に戻りません。
また、これは同時に他のクリーチャーに除去耐性を付与させられるということでもあり、戦略上重要なシステムクリーチャーを長く戦場に維持することができます。

さらに、コストでクリーチャーを生け贄に捧げる起動能力を持つパーマネント(以下、サクり台)があれば、相手からの追放やバウンスあるいはコントロール奪取の対象にとられたとしても、それにスタックして生け贄に捧げることで逃げられます。

生け贄に捧げるタイミングも重要です。
自分の戦闘後メインフェイズに生け贄に捧げてしまうと、自分の終了ステップに戦場に戻ってきてしまい、+1/+1カウンターが置かれていない無防備な状態で相手にターンを渡すことになってしまいます。
除去耐性という意味で危険を減らすならば、自分の直前の相手のターンの戦闘後メインフェイズに生け贄に捧げるのが無難です。

一方で、攻撃後にタップした状態のまま相手にターンを渡すと、今度は自分のライフが無防備というのもまた真です。
特にゲーム終盤では、相手3人に総攻撃されても敗北しない程度にリアニメイトさせアンタップさせておく必要があります。

実戦では、例えば「自分の次にターンを行うプレイヤーA、Bのときはクリーチャー1体で守れるが、その次のプレイヤーCのときは3体アンタップさせておきたい」という場面も往々にしてあります。
その場合、1体を自分の戦闘後メインフェイズに、2体をプレイヤーBの戦闘後メインフェイズに生け贄に捧げ、それぞれ次のターンの戦闘に備えるということになります。


3. 全体除去とコントロール奪取

《マルチェッサ》では、廃位のために積極的に攻撃を仕掛けていくことになるため、相手にP/Tの高いクリーチャーが並ぶのはあまり好ましい状況ではありません。

一面では、自分の攻撃が思うように通らなくなります。
ETBを使いまわしたい(積極的に死亡させたい)クリーチャーの攻撃はスルーされ、+1/+1カウンターで除去耐性を持たせたいシステムクリーチャーはブロックで討ちとられ、歯痒い思いをすることが多くなるでしょう。

他面では、攻撃でタップした後に相手に反撃されやすくなります。
序盤に攻撃されるのは廃位の助けになるためむしろウェルカムですが、ライフが減った終盤に攻撃されるのは言うまでもなく敗北と隣りあわせのためノーセンキューです。
もちろん、リアニメイトさせればアンタップさせられますが、そのために貴重な除去耐性を失うことになってしまいます。

しかし、何も問題ありません。
困ったときは全体除去をぶちこみましょう。
相手のクリーチャーは全滅、自分は+1/+1カウンターが置かれていたクリーチャーを終了ステップに全員リアニメイト、むしろETBによるアドバンテージが美味しいです。

Obliterate/抹消
ソーサリー
この呪文は打ち消されない。
すべてのアーティファクトと、すべてのクリーチャーと、すべての土地を破壊する。それらは再生できない。

自軍全体に+1/+1カウンターを置いてからの全体除去は、《マルチェッサ》における定番の制圧パターンです。
《抹消》は「決まれば勝ち」の伝家の宝刀ですが、他プレイヤーのヘイトがものすごいので、確実に勝利を見込める場面以外では撃たない方が賢明です。

また、相手の強力なクリーチャーに対しては、ただの除去よりもコントロール奪取の方が自分にとって有利です。
コントロール奪取は、再生や破壊不能といった除去耐性持ちのクリーチャーに対しても有効な回答となります。

《マルチェッサ》のリアニメイト能力は、①クリーチャー死亡時のコントローラーが自分であり、かつ②死亡時に+1/+1カウンターが置かれていれば、そのカードのオーナーが相手だったとしても自分のコントロール下でリアニメイトされます。
ただし、この《マルチェッサ》のリアニメイトによる永続コントロール奪取は、その過程で一度墓地を経由するので、相手のジェネラルには効果がないです。ジェネラルではないクリーチャーに対して使用しましょう。

あるいは、手っ取り早く《裏切りの工作員》を往復させるのも手です。
グリクシスカラーはエンチャントへの対処が苦手ですが、《裏切りの工作員》はパーマネント・タイプを問わず対象にとれるため、それへの一つの回答にもなります。

このように、全体除去とコントロール奪取のバックアップのもとに展開・攻撃する《マルチェッサ》は、クリーチャー戦において無類の強さを発揮します。


4. 《黒薔薇のマルチェッサ》に対抗するなら?

《マルチェッサ》はジェネラル依存度が高い構築になりがちです。
+1/+1カウンターを置くにもリアニメイトするにも《マルチェッサ》が戦場にいないと始まらないため、《マルチェッサ》を除去されると、攻撃は通らずアドバンテージも稼げずと途端に動きが鈍くなります。

よって、《マルチェッサ》に対抗するのであれば、《マルチェッサ》自身を抑えるのが基本です。

しかし、《マルチェッサ》に+1/+1カウンターが置かれてしまえば除去耐性を得てしまうため、その前に処理しなければなりません。
特に着地直後は無防備なため、多くの場合でつけいるべき隙になります。

そして、狙うのであればゲーム開始後の最初にキャストされた《マルチェッサ》を殺ると良いです。

一般的に、一度アドバンテージを稼ぎまくってからの立て直しは容易ですが、稼ぐ前に出鼻を挫かれてしまうと苦しくなります。
《マルチェッサ》も例外ではありません。

もちろん《マルチェッサ》側は、この弱点に対して何らかの対策を立てる必要があります。
具体的には、+1/+1カウンターが置かれた状態で戦場に出したり、速攻をつけて戦場に出たターンに廃位を誘発させたり、インスタントタイミングで+1/+1カウンターを置いたり、といった方法があります。

Unspeakable Symbol/語られざる印
エンチャント
3点のライフを支払う:クリーチャー1体を対象とする。その上に+1/+1カウンターを1個置く。

例えば、《隠棲した絵描き、カレイン》は序盤および中盤のマナ加速の役割も兼任し、2マナ→4マナで《マルチェッサ》まで美しく繋がります。
他には、《稲妻のすね当て》があれば、そのターンに戦場に出たクリーチャー1体に速攻をつけることができ、《マルチェッサ》だけではなく後続のクリーチャーの隙をも減らすことができます。
また、《語られざる印》はいつでも+1/+1カウンターを置けるだけではなく、好きなだけライフを支払えることによって廃位の条件をも助ける、ぶっちぎりで有能なユーティリティカードです。

もし《マルチェッサ》が戦場に定着してしまった場合、次に優先度が高いのはサクり台です。

戦場と墓地を毎ターン行き来させられるのはサクり台あってこそであり、さらにサクり台が無くなることで《マルチェッサ》は追放やバウンスに対して無防備になります。

誰しも《マルチェッサ》の逃げ道がある状態で除去を撃つのは躊躇われるものですが、それさえ無くなれば、他のプレイヤーが《マルチェッサ》に除去を撃ってくれることも期待できます。

いずれにせよ、《マルチェッサ》を処理してから他のクリーチャーを掃除していくのが基本になります。

その他、単純明快に効くのはやはり墓地対策です。

ソーサリータイミングの墓地対策は生け贄に捧げるタイミングをずらすことで躱せますが、常在型能力や起動型能力での墓地対策があると蛇に睨まれた蛙のように動けなくなります。

グリクシスカラーはエンチャント破壊を苦手としており、《安らかなる眠り》や《虚空の力戦》は特に天敵です。

あるいは、あなたの勝ち筋がコンボ寄りで、《マルチェッサ》の盤面に関わらず勝てるのであれば、《マルチェッサ》の攻撃を下手にブロックせずに、わざとあなたのライフを大きく減らしてしまうのも手です。

《マルチェッサ》は基本的にライフの最も多いプレイヤーを攻撃するため、一度あなたのライフが減ると、しばらくの間《マルチェッサ》の攻撃を免れることができます。
それどころか、ライフが最も多いプレイヤーと《マルチェッサ》との間で生まれる対立関係を、その外部から傍観する立場になります。
すなわち、あなたはその間フリーになるということであり、悠々とコンボの準備を進められるでしょう。

ただし、総攻撃でライフ0点まで削れてしまう状況であれば、先にあなたを倒しにくる可能性があります。
また、《マルチェッサ》のリアニメイトのための+1/+1カウンターは1個でも2個でも3個でも変わらないため、既に+1/+1カウンターが置かれているクリーチャーは廃位に関係なくあなたを攻撃してくる可能性もあります。

そのため、プレイングの選択肢の一つとして検討するさいには、状況をよく確認するようにしてください。


5. 筆者のサンプルリスト

最後に、筆者の《マルチェッサ》をサンプルリストとして提出して締めにしたいと思います。

《マルチェッサ》では、リアニメイトさせるクリーチャーに大きな縛りはありません。
したがって、自分のライフを減らすカード、サクり台、全体除去などの基本を抑えておけば、残りのクリーチャーは自由に組むことができます。
あくまで構築の一例として見てください。

★クリーチャー27枚
《突き刺しモズ》
《捧げ物の魔道士》
《不浄なる者、ミケウス》
《墓所のタイタン》
《カストーディのリッチ》
《虐殺少女》
《真夜中の空、殉至》
《スランの医師、ヨーグモス》
《敵対工作員》
《悲哀の徘徊者》
《病的な日和見主義者》
《不気味な腸卜師》
《ウーナの黒近衛》
《嘘の神、ヴァルキー》/《星界の騙し屋、ティボルト》
《ダウスィーの虚空歩き》
《闇の腹心》
《玉座の災い魔》
《セルトランドの投げ飛ばし屋》
《峰の恐怖》
《瘡蓋族の狂戦士》
《躁の蛮人》
《龍王シルムガル》
《ドゥームスカージ、カルダール》
《破滅の龍、ニコル・ボーラス》/《覚醒の龍、ニコル・ボーラス》
《隠棲した絵描き、カレイン》
《隕石ゴーレム》
《真面目な身代わり》
ーーーーーーーーーーーーーーー
★呪文40枚
《滅び》
《アガディームの覚醒》/《地下遺跡、アガディーム》
《毒の濁流》
《苦い真理》
《悪魔の教示者》
《夜の囁き》
《冒涜の行動》
《抹消》
《交錯の混乱》
《マナ吸収》
《白鳥の歌》
《否定の契約》
《暗黒の儀式》
《吸血の教示者》
《ヴァラクートの覚醒》/《ヴァラクートの石鍛冶場》
《墓穴までの契約》
《語られざる印》
《漸減》
《騙し討ち》
《ゴブリンの砲撃》
《アシュノッドの供犠台》
《ファイレクシアの供犠台》
《威圧のタリスマン》
《イゼットの印鑑》
《稲妻のすね当て》
《英雄たちの送り火》
《減衰球》
《思考の器》
《耽溺のタリスマン》
《ディミーアの印鑑》
《独創のタリスマン》
《友なる石》
《秘儀の印鑑》
《ラクドスの印鑑》
《頭蓋骨絞め》
《太陽の指輪》
《愚者滅ぼし、テヴェシュ・ザット》
《ヴェールのリリアナ》
《炎鎖のアングラス》
《ジアドロン・ディハーダ》
ーーーーーーーーーーーーーーー
★土地32枚
《島》
《冠雪の島》
《沼》
《冠雪の沼》
《山》
《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》
《ファイレクシアの塔》
《汚染された三角州》
《湿った墓》
《変遷の泉》
《地底の大河》
《沈んだ廃墟》
《ダークウォーターの地下墓地》
《涙の川》
《血染めのぬかるみ》
《血の墓所》
《特別観覧室》
《硫黄泉》
《偶像の石塚》
《シャドーブラッドの尾根》
《憑依された峰》
《沸騰する小湖》
《蒸気孔》
《訓練施設》
《シヴの浅瀬》
《滝の断崖》
《焦熱島嶼域》
《統率の塔》
《風変わりな果樹園》
《マナの合流点》
《高級市場》
《タイラントの聖域》

※枚数は基本土地含めてそれぞれ1枚ずつ

構築として特別に気を使っている点は、《英雄たちの送り火》のためにクリーチャー・タイプをある程度揃えていることです。

(又の名を「令和の《出産の殻》」と申します)

普通に使うと自分のクリーチャーが1体減って1体増えるだけですが、《マルチェッサ》で使うとコストで生け贄にしたクリーチャーがリアニメイトされるため、起動1回ごとに1体ずつ増えていきます。
実質的に起動コスト2マナの踏み倒しカードであり、デッキの展開力に大きく寄与します。

3マナの人間から4マナの《スランの医師、ヨーグモス》が出ます。
《スランの医師、ヨーグモス》からクレリックで繋いで、最終的に6マナの《不浄なる者、ミケウス》が出てきます。

《スランの医師、ヨーグモス》は、ドロー効果でありながら起動にマナコストなしと、サクり台として最高品質を誇ります。
増殖についてはそこまで出番は多くないですが、廃位で置いた+1/+1カウンターを増やせるため、公開されてるコンバットトリックとして相手のブロック判断を惑わせることができます。

《不浄なる者、ミケウス》は他の人間でないクリーチャーに不死を与える能力を持ちますが、これを《マルチェッサ》と組ませると、「+1/+1カウンターが置かれているクリーチャーは《マルチェッサ》の効果でリアニメイトされ、置かれていないクリーチャーは不死でリアニメイトされる」という無敵状態になります。
《マルチェッサ》のリアニメイトが実質1ターン1回のため無限コンボにはなりませんが、合わせて1ターンにつき2回ETBを使いまわせるようになります。

また、4マナの《ドゥームスカージ、カルダール》から5マナ巨人・狂戦士の《セルトランドの投げ飛ばし屋》を経由して、6マナの《墓所のタイタン》にまで至ります。

《ドゥームスカージ、カルダール》を毎ターン出し入れすると、ずっと相手どうしで殴りあってくれます。
《墓所のタイタン》も制圧力が高いクリーチャーであり、生成されるゾンビトークンがブロッカーになるため、守りを気にせず立ち回れるようになります。

ドラゴンでは、4マナの《破滅の龍、ニコル・ボーラス》から5マナの《峰の恐怖》や《真夜中の空、殉至》へ、さらにそこから6マナの《玉座の災い魔》や《龍王シルムガル》を踏み倒せます。

とはいえ、《英雄たちの送り火》への依存度はそこまで高くなく、どれも単体で強力なETBを持つクリーチャーばかりなので、それらを《マルチェッサ》で使いまわすだけでも十分な脅威を作りだすことができます。

無限コンボについては、基本的にクリーチャー戦で勝つデッキなので採用していませんが、《不浄なる者、ミケウス》絡みの無限頑強であれば、形を大きく崩さずに加えることができます。

(不死と頑強を交互に誘発させる)

あとはサクり台が《ゴブリンの砲撃》であれば無限ダメージ、《ファイレクシアの供犠台》であれば無限マナ、《狂気の祭壇》であれば無限切削です。

あるいは、手っ取り早く《歩行バリスタ》や《トリスケリオン》でも可です。

無限頑強になるカードの組み合わせはたくさんあるので、気になる方は調べてみてください。


後書き

これで《黒薔薇のマルチェッサ》の解説は終わりです。

ぶっちゃけ、廃位である程度コントロールできるとはいえ、他のプレイヤーのヘイトを買いがちです。
相手からすれば、「クリーチャー出さなければ一方的に殴られる、クリーチャー出せば除去される、かといって《マルチェッサ》の布陣は不死身で崩せない、どないせっちゅーねん!」みたいな(笑)。
リアニメイトも動きとしてそこそこ派手ですしね。
序盤は廃位でわちゃわちゃしていても、中盤に全体除去が通るとそこから魔王戦状態に移行することも多いです。

しかし、調子に乗ってると、ちょっとした隙を突かれて3人から総攻撃されて一番最初に脱落することもしばしばです。
廃位のために自分のライフをある程度減らさないといけないので、戦場の状況とライフのバランスも難しい(かつ面白い)ところですね。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。


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