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日本一XXXしてる人

最近読んでいる本はバッタの本だ。とても面白いので是非お勧めしたいのだが、バッタの本なので虫が苦手な人はやめた方がいいかもしれない。僕も虫が嫌いなので、最初の口絵でバッタの写真がたくさん載ってて「ウワッ」と仰け反ってしまった。が、読んでいるうちに慣れてきて白黒のバッタなら許容範囲になった。だんだん研究対象として見れるようになった気がする。

これは、「バッタを倒しにアフリカへ」という本がヒットした前野ウルド浩太郎さんの新書である。ヒット作の前に書かれた本を新書にし直したものだ。とにかく著者の前野さんは虫が大好きで、愛が伝わってくる文章である。
本文は前野さんが研究者を志してから、大学院の院試に落ちて、拾ってもらい、研究を始めて、世界へ羽ばたいて行く記録である。その間に何本もの論文を出している。一年に何報書くのだという勢いですごい。研究内容も丁寧に記載されており、グラフを見比べながら、なるほどこのコントロール区と比較するとそういう結論がわかるのかー。と大学研究室時代の気持ちが蘇ってくる。

狂気を感じる部分も多々あり、とにかく測定している対象数が多い。n=900とかさらっと書いてあり、どんだけバッタ使って研究してるのかと恐ろしくなる。僕も農学部卒ではあるのだが、生物系に触れる機会がなかったので恐れ慄いた。分析系の研究室でよかった…

この本の後半では前野さんは、アフリカへ飛び立つ。アフリカはバッタの大量発生による農作物への被害が甚大であるそうだ。この問題を解決することは、多くの人類を救うことにつながる。なんて壮大なテーマだろうか。自分の好きな研究対象を追い求めて進んでいくと、世界の問題につながっていたなんて、熱い展開だと思う。

アフリカで日本から来た研究者としてその熱意を伝えると、現地の研究所長に「ウルド」という名誉ある名前を授けてもらったそうだ。このとき、日本一のバッタ研究者になったのではないだろうか。(本人はそんなことを思わないような謙遜される方に感じるが)

自分も何か日本一の何かになれるだろうか?今こんなに子育てを頑張ってるiOS開発者はそこまで多くない気がする。日本一子育てしてるiOS開発者を自認してもいいかも。

何かになるというのは、自分がそうだと言ってしまえばそう見てもらえる。そのくらい曖昧なものなのかもなと最近考えていた。

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