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雑記帳 / 父と見た夕陽

ある日あの時
なんの前触れもなく
仕事部屋から出てきた父は
「行くバイ!」

幼い日
母の運転する車で嘉瀬川へ

堤防から見えたのは
ずっと向こうの山へと
落ちゆく夕陽

「間に合った」「凄か」
そんな事を言っていた

父とは旅に行った記憶は
ほとんどない

あの美しく輝いた夕空は
懸命に自己の生命を燃やして
皆を照らした
そんな父の生き様のよう

少し時間ができて遊びにいったのは
高校の頃だったか
今思い返すと
仕事量が減っていっていたのかもしれない

何度となく行った
ビリヤード場
運動不足解消になったっぞと
笑ってた

怒鳴ったりはされたけど
殴られた記憶はなくて
今はもう
楽しかったり
喜んでいた
そんな面影しか思い出せない

今生きていて
息子の姿を見たら何と言うのだろう
批評と称して叱った後に
「それもお前の生き方
 好きにするといい」
なんて言いそうだ


貴方から受け継いだ
根っこは忘れない

宇宙(そら)に溶け込んだ生命とは
毎日会話している気がするんだ

だから
ちっとも寂しくないんだ
また何処かで

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