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”つまらない大人”はなぜ出来上がるのか

今からすれば笑ってしまうのですが、20代の頃に抱えていたキャリアについての悩みの1つに「自分が”つまらない大人”になってしまったらどうしよう」という恐れがありました。

当時の僕のイメージする”つまらない大人”(になっている自分)は以下のようなイメージでした。

【当時イメージしていた”つまらない大人”象】
・毎日嫌々ながら仕事をしていて活力がない
・自分の拠り所が過去の栄光になっており、昔の自慢話ばかりしている
・時に人のチャレンジにも「それは難しい・無理だ」と、可能性を潰すような発言をしてしまう

ざっくり言えば「自分自身もつまらなそうだし、周りの人間もつまらなくしてしまう」大人みたいなイメージです。

では、”つまらない大人”はなぜ出来上がってしまうのでしょう?

注):ここからのお話はあくまでも当時の僕が、職場や副業でのコーチングで多くの方のキャリアをサポートさせて頂く中で、自分ごととして妄想していたことであり、特定の誰かを揶揄したり、貶めたりするものではありませんし、「こう生きなさい」みたいなことを偉そうに言う意図もありません


つまらない大人は”いる”のではなく”作られる”

まずはっきりと思ったのは「”つまらない大人”が出来るのは本人の性格の問題以外の要素が大きいのではないか」ということでした。

当時の自分は、社内外様々な40〜60代の諸先輩方とプライベートでお酒を飲ませて頂く機会が多かったのですが、皆さん、本当に人として尊敬ができ、悩んだり苦しんだりしながらも、各々の人生観を持って真面目に生きていらっしゃる方ばかりでした。

でも、世の中の職場には確実に”つまらない大人”はいる。最近はあまり聞かなくなりましたが「窓際族」という言葉もある。今目の前にいる自分が大好きな先輩方も、プライベートな側面から入ったから大好きなのであって、もし職場で会っていたら違った印象を抱くかもしれない(あくまでも可能性の話ですが)…。

つまり、”つまらない大人”は”最初からそういう人とそうでない人がいる”という性格の問題ではなく”徐々にそうなっていってしまう”類の、誰もが陥る可能性のあるキャリアの罠なのではないか?そんな事を思うようになりました(何度も繰り返しますが、ただの私の妄想です)。

では、自分をいつの間にかつまらない大人にしてしまうの罠とは、一体なんなのでしょうか?


「”その時成果を挙げていたこと”への執着が”つまらない大人”をつくる」説

私が新卒からいたリクルートという会社では「人の成長は3年で決まる」ということがよく言われていました。

では、3年間で必死になって仕事を頑張り、成果が出せるようになると何が起こるのでしょうか?

なんとなく仕事で成果が出せるようになり始めると、上司や先輩方から「最近頑張ってるね。その調子でがんばれ!」と激励の言葉を頂く機会が増えます。これはとても有難いことですし、素直に喜ばしいことだと思います。

更に社会人5、6年目くらいになってくると、自分の得意な領域で勝負することの大切さみたいな話をされる機会も増えてきます。

「自分は何で価値を出すのかということをしっかり決めて、得意なことを重点的に伸ばしていくといいよ」いったアドバイスを頂きます。

この時、自分が出した仕事の価値が社内的にも認められ、以下のような状態にあると言えます。自分が出した仕事の価値により、自分の居場所が形作られている状態です。

成果出している1

しかし実は、この「得意なことで勝負し”続けていくこと”」が”つまらない大人”を生み出す罠なのではないかと思いました。

いったいなぜでしょうか?


世の中は変化し続けるのに自分は変わらないことで価値が目減りしていく

世の中の市場は物凄い勢いで変化をしていきます。

当然、企業も時代に合わせてどんどん自らのビジネスを変化させていかなくてはなりません。

それはビジネスモデル自体の変化といった大きなものから、テクノロジーの普及による社内外のコミュニケーションの変化のような、徐々に進行をしていくものまで様々です。

当然、市場が変われば、仕事で求められることも当然どんどん変わっていきます。一昔前は客先に行かずに商談をするなど言語道断でしたが、ここ最近では徐々にオンラインでの商談が当たり前になっている。そうなると当然、成果の出し方も変わってきます。

ここで過去のやり方を見直し、新しいやり方を成果が出るまでやり切ってみたり、新しい仕事自体を生み出すことが出来れば良いのですが「得意な事を磨き続けろ」と言われて真面目にそれ”だけ”をやり続けていくと、いつの間にかその変化をないがしろにしてしまうことがあります。

自分が成果を出し続けていることで価値を出し続けようと思えば思うほど、周りは変わっていくのに自分だけが変わらないというジレンマにぶつかることになります。

結果、世の中で求められるものが変わり、自分だけが変わらない分、自分の出している価値は相対的に目減りをしていきます。

図にするとこんな感じです。

成果2

そうこうしている内に、新しい価値の出し方に最適化された若者たちが次々と現れ、過去の自分がそうであったように目覚ましい成果を挙げていきます。そうして、自分が出した仕事の価値はよりその価値を失っていきます。

その変化は緩やかであるからこそ気付きにくく、気づいた頃には自分の仕事の価値はかなり目減りをしてしまっています。

しかし、そこで自分のやり方を捨てることは、短期的な成果を捨て、新しいやり方を模索することとイコールです。

更にそこには「これで今までの成果まで出せなくなったら、自分の居場所が無くなってしまう」という恐怖がつきまといます。

こうして、真面目に成果を追い求めていた人はいつしか”つまらない大人”に変わっていきます。

”つまらない大人”とは自分の得意なことに執着をし過ぎてしまったが故に時代と共に変化が出来ない結果として出てくる事象なのではないかと思います。
※もちろん業界などにもよるので一概には言えませんが


社会人5,6年目の”得意なこと”はしょせん”その時たまたま成果が出せたこと”に過ぎない

ここでのポイントは「自分の得意なことを伸ばせ」と言われた事に対し、そこに固執をし過ぎたことにあると考えられます。

社会人5,6年目は一通り仕事のことが分かり、成果が出始める時期ではありますが、そこでの”得意なこと”はしょせん”その時たまたま成果が出せたこと”に過ぎません。

そのこと自体は誇りに思い、糧にしつつ、次のチャレンジを追い求めていくことが結果的に”つまらない大人”にならない一番の方法なのかもしれません。

人生100年時代、1つの領域だけでなんとかやっていける時代では(自分自身のモチベーションも含めて)ありません。


過去の成功体験を捨てて新しいチャレンジを

ここまでの話を踏まえると、どうやらキャリアというものは築くだけではなく、手放すことも重要であると言えそうです。

これまでの成功体験を手放しても、経験や身につけたスキルが失われることはありません。短期的には上手くいかないことがあったとしても、それにより取り返しのつかない何かを失う、といったことも滅多にありません。

少なくとも年間数百のコーチングをさせて頂く中で、僕はそのような人を見たことがありませんし、大抵は本人の思いこみだったりすることがほとんどです。

次々とチャレンジを生み出す鍵となるのは、以前の記事でも書かせて頂いた”やり続けてしまえること”を軸にしながら次なるチャレンジを描き続けることだと思います。

幸せなことに僕の周りには何歳になっても、仕事も趣味も楽しそうに取り組み、飲みに行かせて頂くと「最近こんな面白いことやっててさ!」と目をキラキラさせながら話してくださる”面白い大人”がたくさんいます。

僕自身もそんな方々のようにチャレンジをし続けていきたいなと思っています。


ざっくりまとめ

”つまらない大人”とは自分の得意なことに執着をし過ぎてしまったが故に時代と共に変化が出来ない結果として出てくる事象。過去の成功体験はどんどん手放し、新しいチャレンジをし続ける。


ライター紹介

このnoteは、浜岡範光さんが口頭で語った内容を大学生ライターのりょーやが編集し書き起こししてお届けしていきます。チャンスをくださった浜岡さん、丸山修平さんには深く感謝しております。

浜岡さんのお伝えしたいことがみなさんにしっかり伝わるよう頑張ります!

僕自身のnoteではかなりラフに自分の考え事や創作を発信しておりますのでよければそちらもぜひ。

読者のみなさんからの質問等にはもちろん浜岡さんがお答えします。





こちらの連載は、作家の卵で、今は大学生をやりながらライターをしているりょーやを応援するというプロジェクトでもあります。 みなさまからいただいたサポートは、彼が夢を叶えるために全額投資させて頂きます。 応援よろしくお願いします。